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五車学園にある空き教室の1室、そこではアサギ達五車の教師達に囲まれ、縛られたニ車骸佐がおり、眼前には対魔スーツのアサギが立っている。
「俺1人に、上忍達が雁首揃えて来るとはな。こんな場で聞くのは馬鹿らしいが何が聞きたい?何でも話すぞ。何だったら、ふうまの居城へのルートとかな。」
「それは後ほど聞くわ。それよりもあなた達はこれからどうするの?」
「あなた“達”?あぁ、蛇子の事か……こんな風に言うのも変かもしれないが、奴はここで面倒を見てくれ。奴は俺といるより五車にいる方が似合ってる。」
「あなたはこれからどうするつもり?五車で匿う事も出来るし、相州さんからはあなたの助命を願われている。こちらとしても、まだ若いあなたを死なせる訳にはいかないわ。」
骸佐は裂果に打ち捨てられるも、五車にて乙女崎から治療を受けて、命を取り戻した。しかし、土橋権左の方は間に合わず命を落としてしまった。
アサギとしては、骸佐の身柄を五車にて預かり、保護したいと考えているが、そんなアサギに対し、骸佐は自嘲するかのように笑った。
「五車の世話になるねぇ。悪くないかもしれねぇが、生憎1人が好きでな。あんたらの世話になるつもりはねぇよ。」
「そう……。そちらがそう言うのであれば止める権利はこちらには無いわ。けれどもあなたの身の安全の為にもこの町にいるというのも選択肢にあるという事を忘れないでね。」
「あぁ、分かったよ……。んで?何が聞きたい?」
「ふうま弾正の嫡男について聞かせて。」
「小太郎についてだと?」
「ふうま裂果が素性を隠していたということは彼女自身求心力に難があるということを示しているわ。正当な後継者である彼を保護すれば彼女のやり方に不満を持つ者達の離反「もう、おせぇよ」‥‥どういう事?」
「‥‥遅すぎるんだよ。小太郎は‥…先代頭領ふうま弾正小太郎の嫡子、ふうま小太郎は既に死んでいる。」
「‥‥なん、‥‥ですって。」
骸佐の思わぬ言葉にアサギを始めとした教師陣は絶句した。その様子を見た骸佐は何やら確信したような顔で言う。
「その様子を見るに小太郎を殺したのはアンタらじゃないようだな。」
「それは一体どういう意味?」
「あいつを殺したのは五車の追手だっとされていてな、一部例外を除いて馬鹿正直に信じてるんだよ。」
それを聞いたアサギは思わず頭を抱えた。
アサギが先ほど述べたようにふうま裂果が正体を隠していたのは彼女自身の求心力に問題があると見抜き、ふうま弾正の正当な後継者であるふうま小太郎を救出保護し、彼を旗頭にし正当なふうま一族の頭領であると宣伝し裂果を始めとした現首脳部に不満を抱えている者や戦いに嫌気を差している者達の離反を促しこの抗争の早期終結を構想していた。
だが、骸佐の言葉でその構想は崩れてしまった。しかも嫡子殺しの濡れ衣も着させられてしまったのだ。
骸佐の言葉を信じるのであればこちらの言葉は耳を傾けることはないだろう。
いや、下手したら既に一族全員に春輝を洗脳した邪眼で洗脳済みなのかもしれないのだ。
「(少数でもいいからふうまの消息を捜索する部隊の編制をしておけば。いいえ、あの抗争終結時に保護しておけば。)」
アサギの胸の内に後悔の念が過る。
アサギ自身ふうま一族に対して特に憎しみといった感情はない。寧ろ、祖母の葉取星舟の野望に巻き込まれ同情していたくらいであった。
もし弾正の遺児である小太郎と異母姉のふうま時子があの戦火を潜り抜け保護を求めて来たら保護をするつもりだったし、ほとぼりが冷めたらふうま再興の手助けをしてもいいと思っていたのだが。
「(それも叶わぬこととなったわね。)それであなたはこれからどうするの?」
「‥‥あの女や直臣共には散々屈辱を受けて来た。何度も腸が煮えくり返ったことか分からねぇ。だが!それを耐えることできたのは、耐えた先にふうまの未来があると信じていたからだ!!断じてあの女の野望の為じゃねぇ!!あの女に歪められ、走狗化している一族を取り戻す!!!‥‥今はそれだけだ。」
骸佐を尋問して分かったこと。
・ふうま裂果は多様な忍術を使う。
・幹部は素性を隠して表の仕事をしている。
・五車にも隠れて動いている幹部がおり、数名いる。
・ふうまの居城へ行くルートは、ふうま裂果の意思で開け締めが出来るが、そのルートは見つけるのが困難。
・ふうま裂果については詳しく知らない。
・ふうま弾正の嫡男、ふうま小太郎については死亡、異母姉であるふうま時子は囚われ幽閉されている可能性が高いという事。
これらの事が分かり、さらに五車から真庭と数人の学生が行方を眩ませたという報告も上がり、アサギは内心やられたと思うも、すぐに上役と十二宗家へと通達した事で事が大きくなることはなかった。
そんな中、骸佐が五車を出ていく時に彼を待っていた人物がいた。……蛇子だ。
「骸佐ちゃん……。」
「蛇子か。生きていたみたいだな。」
「うん、乙女崎先生が治して助けてくれたの。……ねぇ骸佐ちゃん、本当にいなくなっちゃうの?五車にいて良いんだし、ここでやり直そうよ。ふうまちゃんだったら、多分そう言うと思うよ……。」
「だろうな。あいつなら知恵振り絞って五車でも活躍するだろうよ。けど、俺はあいつ……小太郎じゃねぇ。俺は俺のやり方でケリをつける。五車で幸せに暮らすんだぞ。」
そう言うと骸佐は蛇子を一瞥すると、何処かへと去って行くのであった。
蛇子と彼女の祖母は、アサギからの恩赦で五車から追放されることは無く、しばらく監視付きになるものの、穏やかに暮らせるようになった……。
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