絡みはゆきかぜ&凜子✕春輝
ふうまとの戦闘を終えてから、約2週間後。
五車の町には平穏が戻り始めており、ふうまとの戦闘の跡も見えなくなっていたが、五車学園ではそれ以上に校舎の一部が使えなくなり、授業に遅れが出てしまい、対魔忍達はアサギや時貞から出された課題を片付けていた。
課題は受ける学年によって難しさがあるが、分からない所はお互いにサポートしていきながら問題を解いていった。
そんな中、春輝は冬輝から瞳術“転写”についての能力を聞いていた。
「いいか春輝、転写は俺が言ったように能力を記憶、融合、コピー出来るがこの瞳術も完璧じゃない。だから詳しく説明しておくぞ。」
「あぁ、頼む。」
「この瞳術は、基本的に相手の使った技を記憶し、融合、コピー出来るが相手の元々の肉体的能力や魔力性質、素養などは記憶出来ない。あくまでも技を記憶するのが“転写”の能力だ。分かったか?」
「大体は分かった。つまり、ゆきかぜのトールハンマーはコピー出来るが、雷遁の素養そのものはコピー出来ないって事だな。」
「まぁざっとそんな所だ。あと“転写”は記憶出来る容量にも限度がある。それをオーバーしてコピーした場合、パンクして脳が死んでしまうからそこは忘れないでくれよ。」
「分かった。ならなるべく瞳術は使わないようにしたほうがいいか。あとどれくらいメモリがあるか分からないし。」
春輝が冬輝と話を終えた時、ドアがノックされ冬輝は春輝の中に戻る。
「春輝、今大丈夫かしら?」
「母さん、どうかした?」
「外にきららちゃんが来てるわよ。勉強が終わってるなら遊びに行ってらっしゃい。」
「きららが?分かったよ、ありがとう。出かけてくるけど、遅れないように帰ってくるから。」
春輝は出かけ用の服に着替えると、きららの待つ玄関に向かった。
「きらら、お待たせ。」
「全然待ってないわよ。ほら、早く行きましょう。」
春輝と きららは早速町に出掛けるのであった。
久方ぶりのデートにきららは、楽しげであり春輝もきららとの時間を大切に過ごしながら、デートを楽しんでいた……。
◆◆◆
「凜子先輩、来てくれてありがとうございます。」
「どうしたのだ、ゆきかぜ。そんなに改まって。」
春輝と きららが出かけている頃、ゆきかぜは凜子と稲毛屋にて2人で会って密談していた。
「凜子先輩、お兄ちゃんとの関係なんですけど。このままで良いんですか?」
「ぶふっ!な、何を言ってるんだゆきかぜ。春輝との関係と言われても私は。」
「私は。お兄ちゃんが大好きです。それこそ、1人の男の人として大好き。凜子先輩はどうなんですか?」
「私は……私も春輝の事は好きだが。春輝には鬼崎が……。」
「きらら先輩がお兄ちゃんと良い仲なのは知ってます!でも、先に好きになったのは私達の方です。だったら、私達だって先に進んでも良いはずです!」
「ゆきかぜ、少し落ち着「凜子先輩はお兄ちゃんの事、好きなんですよね、なら進まないと!」ゆきかぜ……。」
凜子はゆきかぜの真剣な眼差しを見て、言葉を失う。
自分も春輝が好きなのは間違いない。春輝が愛しいくて身体を重ねたのは事実だし、春輝が好きと思うのもある。
だが春輝は きららとの仲が良い上に、最近距離が近いのもあり、中々話せずにいた。
「(春輝が愛しいのは事実だが……どうすれば。)」
「やれやれ悩んでいるようだね。」
凜子が悩んでいると、1人の老婆が話しかけて来た。
「夏さん。」
「夏殿。」
ゆきかぜと凜子に話しかけて来たのは、稲毛屋の店主である“稲毛 夏”。かつては凄腕のくノ一であった老婆であり、今は稲毛屋の店主で五車学園の生徒達の話を聞く存在である。
「何だい、片や兄が好きでたまらないのと?片や好きな男に一歩踏み出せないのかい?」
「は、はい。そんな所です。」
「夏さん!どうすれば良いですか!?」
「簡単な事だよ、逆に食っちまえば良いのさ。」
「ぶふっ!?く、食う!?」
あまりに砕けた答えに凜子はお茶で咽る。
「男と女、その2つが揃ったらやる事は単純。それに好きなら自分から食わないと持ってかれるよ。」
「もし、相手の守りが硬かったら?」
「そうさね……ちょいと待ってな。」
夏は店の奥に入り、ガサゴソと何かを探して取り出すと、ゆきかぜと凜子の前にそれを見せる。
それは、かつて夏が使用していた忍具の一つであった。
「おこう、ですか?」
「そうだよ。これを持って行きな。今日の夜にこれを使うと、幸せになれるからね。あと、この丸薬を飲ませる事。男が飲めば効果てきめんだからね♪」
茶目っ気たっぷりに笑う夏。
その笑みには、かつて凄腕の房中術使いの笑みが浮かんでいた……。
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