ヒントは男で青い炎を使う人です。
夕闇に染まる寂れた人気の無い廃工場、そこは以前魔族達が奴隷にした女達に投与し、その様子を楽しむ為に作られた"魔薬"の製造工場であったが、既に対魔忍によって壊されている。
そんな廃工場には今、2人の男が刃を交えていた。
「火遁、大炎弾!!」
「ふんっ!!」
その周囲は2人の戦闘の被害なのか、辺りに散らばっていた鉄やガラスは溶け、周囲は残り火が燻ぶっている。
その勝負の中、つぎはぎの肌の青年が黒炎を放った男を見据えながら服の埃を叩く。
「これ程の力を持つ者が魔族に力を貸しているとは……。貴様は何者だ?」
「俺が何者かなんて関係ねぇよ。まぁあんたみたいな有名人に知られてるとは思わなかったぜ……獅子堂 時貞さんよぉ。」
体のあちこちがつぎはぎだらけになっているラフな格好の青年が自身の目の前にいる若々しい肌をした男、
「っ!?」
「蒼遁、
ボオオオオオオオオッ!!
それを見た時貞は驚いたように瞼を見開くが、男は構わずに蒼い炎、蒼炎を時貞に向けて放つ。
「舐めるな!!」
ゴオオオオオオオォォッ!!
時貞も負けじと己の手から得意の黒炎を放つと、男はニヤリと笑い蒼炎の火力を上げていく。
彼も多少押されたが、黒炎の火力を上げて蒼炎を押し消すと、時貞は即座に青年に間合いを詰めて駆け寄り、短刀を彼の首に突き付ける。
「貴様が何者で、何故ここにいたのか……それを喋ってもらうぞ。」
「お優しいねぇ。獅子堂家の方は?てか、俺が話すと思ってるのか?」
「逆にこの状況で何が出来るのか、教えて貰いたいな?辺りは仲間が見張っている。逃げられはしないぞ。」
「そいつはご苦労な事だな……無駄だがよぉ。」ゴポッ!!
「っ!?」
青年の口から溢れた黒いヘドロのような物を見た時貞は、ヘドロを警戒して離れて距離を取る。
「また今度な獅子堂さんよぉ、いずれまた会う時が来るだろう。あと、精々後輩の育成を間違えないことだな。」
「待て!!」
時貞が捕らえようとした時、既に青年はその場におらず廃工場を出て辺り探すも、その姿はどこにもなかった。
すると、時貞の合図で辺りを囲んでいた部下達が降りてきた。
「辺りを探せ。まだ近くにいるはずだ!ターゲットは継ぎ接ぎの男だ!」
『はっ!!』
時貞の言葉に部下達が散開すると、時貞は空を見つめ、男の言葉を思い返すのであった。
『精々後輩の育成を間違えないことだな。』
「(あれはいったい……。)」
◆◆◆
???side
「上手く撒けたぜ。あんな化け物とやり合えるかっての。」
何とかあの黒炎使いの時貞から逃げ果せた俺は、フードを被って夜の暗闇に紛れて、地下通路を歩いていた。
すると、目の前に黒い渦が現れると、そこから見知った顔の
「イーヒッヒッヒッヒッ!これはこれは、お久しゅうございます。」
「お前か。相変わらず気色悪ぃ野郎だな?……例の野郎は良いのか。」
「イヒヒヒ!はい、もちろんです!既に“楔”は打ち込んでありますよ〜!」
「そうか。そいつぁ何よりだな。」
慇懃無礼な態度で笑うピエロの横を通り過ぎようとするが、その手に人を掴んでいるのが見えた……相変わらず悪趣味な野郎だ。
「おい、そいつどうしたんだ?」
「ん?あぁ、こいつですかい?こいつ、コソコソ嗅ぎ回ってたんでねぇ、正体探るついでに頭と体を弄ってオモチャにしやした!なんでも“テンゼン”とか言ってましてね?……ほら、よ〜く出来てるでしょ?」
「気味悪ぃな。まぁいい俺も化物の力を使って疲れた。適当に休む……あと、決行の日を間違えんなよ?」
「へい!勿論ですよ……。」
ピエロの男はそう言うと消えていき、俺も休むことにしたのだが、そこに"あいつ"が話しかけてきた。
【あなた、何でこんなことをするの?あなたの目的はなに!?】
「俺がしたいことなんだよ、文句言うんじゃねぇぞ……化け猫。」
この声の主、それは巨大な化け猫なんだが、こいつは俺が奪って体内に抑え込んでいる。
こいつが一体なんなのかは分からねぇが、力は中々使えるし、こいつのおかげで俺は蒼炎をコントロール出来るようになったし、威力火力共に上がった。
「テメェは俺の中にいるんだ。宿代として力を渡してればいいんだよ。」
【くっ!?……分かりました。】
化け猫は頷くと、俺の中へと消えていき、俺も闇の中へと消えていった……。
獅子堂だか獅子唐だか知らねぇが、調子に乗ってると足元掬われるって事を教えてやるよ……。
短くてすみません!!