※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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やっとこさここまで来た!


百愧龍宮編
招待と大騒ぎ


 不知火救出の数日後、五車学園へと登校した春輝達はクラスへと向かっていた。春輝が席に付くと、藤孝が話し掛けてきた。

 

 

「よ、春輝、秋山。」

 

 

「あぁ藤孝、おはよう。」

 

 

「藤堂か。おはよう。」

 

 

「聞いたぜ、ま〜た無茶やったんだってな?生傷が絶えないお前は。」

 

 

「ははっ。まぁこういう性分だからな……。」

 

 

「はぁ……まぁ、死なねぇようにしろよ?カバーできる範囲はしてやるからよ。」

 

 

 そう言いながら互いに笑い合い、拳を合わせる春輝と藤孝。すると、そこに春輝に御守りを渡した芳廼 薫が現れた。

 

 

「水城くん、おはよう。」

 

 

「あ、芳廼さん!御守りありがとう。」

 

 

「いいよ、あれくらいしか出来ないし。そうだ!

今週の日曜日って時間ある?」

 

 

「休みだけど、何かあるのか?」

 

 

「うん。私がお世話になってる人達の集まる集会があるの。

良かったら来てほしいんだけど、どうかな?」

 

 

「良いのか?なら一緒に行かせてもらうよ!」

 

 

「うん、ありがとう!そうだ、藤堂くんと凜子さんもどうかしら?」

 

 

 薫の言葉に凜子と藤孝は首を傾げる。

 

 

「私達もいいのか?」

 

 

「大勢で行ったら迷惑だろうに。」

 

 

「逆に大勢の方がみんな喜ぶと思うよ。みんなすごく気の良い人達だし。」

 

 

「それなら良いかな。」

 

 

「なら、ゆきかぜや達郎、鬼崎にも声を掛けてみるか。」

 

 

 こうして春輝達の休みの予定に、薫の集会に参加するという予定が入った。しかし、その集会の場所はとんでもない場所であった……。

 

 

◆◆◆

 

 

 後日、春輝、ゆきかぜ、凜子、達郎、きらら、藤孝の6人は薫の指定した待ちあわせ場所に来ていた。

 

 

 そこは、五車町の外れにある駐車場だった。

 

 

「ここでいいんだよな?」

 

 

「あぁ、薫からはここだと言われたしな。」

 

 

 春輝と凜子が辺りを見渡すが、薫の姿はどこにも無かった。

 

 

「ねぇお兄ちゃん、本当にここなの?」

 

 

「誰も来ないわよ?」

 

 

「おっかしいな、芳廼さんはここだって言ってたんだけど。」

 

 

「姉さん、芳廼さん本当に来るの?」

 

 

「来ると言っていたんだが。」

 

 

「誰も来ねぇぞ?」

 

 

 6人が疑問に持ち掛けていたその時、一台のマイクロバスが自分達の前で停車した。

 

 

「みんな、お待たせ!」

 

 

「芳廼さん?この車は?」

 

 

「これなら集会場まで直進なの!みんな、乗って乗って!」

 

 

 首を傾げながらも、6人はバスに乗り込む。車は意外と広く、6人が乗ってもまだ余裕がある程であった。

 

 

「みんな乗ったね?それじゃあ、出してください。」

 

 

「はい。」

 

 

「芳廼さん、俺らはどこに向かうんだ?」

 

 

「私がお世話になってる人が所有する土地、大体一時間くらいだから。あ、おやつあるけどどうする?」

 

 

「「食べる!」」

 

 

 ゆきかぜときららが笑顔で賛成し、一同はしばらく車を走らせていると、のどかな風景が拡がっていき、辺りには小さな民家が見え始め、その中で一同の前に大きなお屋敷が見えてきた。

 

 

「あれが、集会場?」

 

 

「そう、集会場兼頭のお家なの。ここは政府も魔も、誰も手が出せないから、伸び伸びしてる人が多いんだぁ。運転手さん、ここで良いですよ。」

 

 

「分かりました、薫様。」

 

 

そうして車を降りて屋敷に向かっていると、大きな門の前に1人の褐色肌をした女性が立っているのが見え、薫はその女性に向かって手を振って小走りで駆け寄る。

 

 

「お~い!阿修華(あすか)さ〜ん!」 

 

 

「薫か。戻ったようだな、それで後ろの者達が?」

 

 

「はい。みんな、紹介するね。この人はこのお屋敷の門番をしてくれている人で"鬼城(きじょう)阿修華(あすか)"さん。阿修華さん、この人達は五車学園から来た人達です。」

 

 

「水城 春輝です。こっちは妹のゆきかぜです。それで、鬼崎 きららと秋山 凜子、その弟の達郎くん。そして彼が藤堂 藤孝です。」

 

 

「「「「「こんにちは!」」」」」

 

 

「うむ、元気がいいな。今門を開けるから待て。……少し騒がしいが、まぁ悪い人達では」

 

 

ドゴオオォォォォォォォッ!!

 

 

 阿修華がそう言いかけた時、屋敷の中からとてつもない爆音が鳴り響いた。

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

 

「……阿修華さん、もしかしてこれってもしかして“あのお2人”ですか?」

 

 

「あぁ……。どうやら何かあったようだな。取り敢えず立ち話もなんだ、中に入ってくれ。」

 

 

「「「「「「(何かってなに!!?)」」」」」」

 

 

 一抹の不安を覚えながらも門を潜り中に入る。

 

 

 すると、その中では……。

 

 

「待てコラぁぁぁっ!!ぶっ殺させろぉぉぉ!!!!」

 

 

「アハハハッ!イイねぇ……楽しくなりそうだ!」

 

 

 春輝達が入った屋敷の庭。そこでは"大鉾を持った男"とそれを相手に"徒手で応戦している男"がおり、その様子を数人の男女が見ていた。

 

 

「……なにこれ?」

 

 

「あの人達はまた……!!!もう!!?乎阿(ヤオ)さん!武頼さん!止めてください!!

みんなも止めてよ!!何があったの!?」

 

 

すると、鎧を着た獣人が黒い虎の獣人が呆れたように話し始める。 

 

 

「乎阿の奴が武頼の饅頭を食ったのだ。」 

 

 

「そんな事でここまで喧嘩しますか!?黒牙(クロキバ)さん!?2人とも止めて!!」

 

 

 薫が叫ぶが、それすら聞こえておらずそれどころか2人の喧嘩は激しさを増していき、ついには2人がそれぞれの技を出そうとしていた。

 

 

「喰らえや……!!牙王――」

 

 

「ハハハッ!!八衝拳奥義!錐竜――」

 

 

「(やばい!!)」

 

 

【春輝!やばいぞ!!】

 

 

「(分かってる!!)」

 

 

 2人が技を出そうとした瞬間、春輝は2人の間に術を用意する。

 

 

「──閃!!!」

 

 

「──錐釘!!!」

 

 

「晶遁、結晶壁!!」

 

 

 斬撃と拳、その2つのちょうど間に分厚い結晶の壁が来て、その3つが重なった時、凄まじい衝撃波が走る。

 

 

ドゴオォォォォォォッ!!

 

 

「うわっ!?」

 

 

「くっ!?」

 

 

「「きゃあぁぁぁっ!?」」

 

 

「おいおい、なんて威力だ!?」

 

 

『っ!?』

 

 

 喧嘩の顛末を見ようとしていた一同は突然の事に、目を見開いて驚く。そんな中、春輝が一息吐いて肩を撫で下ろしていた。

 

 

「ふぅ……。(結晶壁、厚くしといて良かったぁ……。まぁぶち壊れたけど……被害は)「おい。」!!?」

 

 

 声をかけられて上を向くと、目の前に先程まで喧嘩をしていた2人、乎阿と武頼が立っており見下ろされている。

 

 

「テメェ、何の真似だ?」

 

 

「良いところだったのに、邪魔してくれて……殺しちゃおうかな?」

 

 

「(この2人、ヤバい……!)」

 

 

【春輝、こいつらだけじゃねぇ。この薫って女といい、あの5人といい、明らかに次元が違う。】

 

 

「(だな、身でヒシヒシ感じる。この人たち、強い!!)俺は、喧嘩を止めたかっただけです。叱られる言われないですよね?」

 

 

「ほう?俺らの喧嘩を?お前が?ダハハハッ!!こいつは面白ぇ!!なぁ乎阿――?」

 

 

「そうだね、武頼。面白いことを言うね――?」

 

 

笑い合う2人、一見楽しげに笑っていたが、その次には凄まじい殺気と気迫を春輝にぶつけながら睨みつける。

 

 

「「ガキが調子に乗るな。」」

 

 

「!?」

 

 

春輝に殺気を向けた2人に、身構えながらも応戦しようとした時。

 

 

 

 

 

「オイコラァァァァッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 1人の赤い着物を着た鬼の青年が屋敷の中から叫んできた。

 

 

「朱愧(しき)?何しに来た?」

 

 

「武頼!乎阿!何客人に手ぇ出そうとしてるんだ!!」

 

 

「「客人?」」

 

 

 突然の事に混乱する2人を他所に、鬼の青年は春輝に近付いてきて、頭を下げてきた。

 

 

「水城 春輝くんとその友達だな?これ見苦しい物を見せた。俺は百愧龍宮が幹部、“朱愧(しき)”という者だ。薫や頭から話は聞いている。上がってくれ―――お前らもそろそろ行け。もうすぐ頭が来る。──てめぇらもやりすぎだ。」

 

 

「わーったよ。」

 

 

「ふふ。ごめんごめん。」

 

 

 朱愧の号令に全員が反応すると、その場から屋敷の奥へと姿を消す。

 

 

 突然の事に戸惑う春輝達だったが、薫に諭され屋敷の中へと入った。そして、屋敷の奥に進むと、先程の薫は先に行くと言って屋敷の中へと進んでいき、屋敷の中を進んでいくと、大広間に通される。

 

 

 そこには薫を含めた8人がおり、物々しい雰囲気が漂っていた。

 

 

「……春輝、これは?」

 

 

「分からない。兎に角黙ってよ。」

 

 

「「「「うん、うん。」」」」

 

 

 そんな中、奥の襖が開きそこから男が現れる。

 

 

「よぉ!お前ら、元気か?八愧将は全員いるみたいだな!んじゃ、会合を始めるか!」

 

 

 そう言って、入ってきた男―――鬼徹 暁冥は楽しげに笑っていた。

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