百愧龍宮の里から帰った翌日、春輝は覚醒した九尾の力をコントロール出来るようにするために、1人山へと向かった。
母やゆきかぜには外に散歩に行ってくると、言って出てきたのだが、ゆきかぜは百愧龍宮の里でのこと以来、兄の事が心配であったが、春輝は大丈夫とだけいうとゆきかぜは渋々だが頷き納得した。
「はあぁぁぁ………っは!はぁ、はぁ!くそ、上手くコントロール出来ない。前は出来たのに、何でだ?」
【あんな力、おいそれと出せるわけ無いだろ?
あの時はお前の意思がわしと重なったからだ。
だが今は使う時じゃない。】
「(そう、なのか。まぁなら仕方ないか。)……はぁ、ゆきかぜや母さん、あとリリムにケーキでも買って帰るか。」
春輝はそう言って商店街に向かうと、ケーキ屋に向かって歩いていると、目的の店を見つけた。
「お、あったあった。んじゃ何を「あら?水城君じゃない。」ん?あ、こ、高坂先生……!」
春輝に歩み寄ってきたのは、赤いスーツにミニスカートの姿をした色っぽい雰囲気が止まらない女教師、高坂 静流であった。
「休みの日にお出かけ?しかも偶然ね、こんな所で会うなんて……不知火さんや妹さん一緒じゃないの?」
「え?あ、はい。2人は家にいますよ。俺は散歩に来てまして……。」
「そう……なら、私とお茶しましょ?」
「え!?」
「私、あなたに興味があるのよ。あなたについて、詳しく聞きたいわ。」
腕を組まれて、驚いた顔になる春輝だったが彼はそれ以上な内心おっかなびっくりしていた。
「(く、くくく、九喇嘛!どうすればいいんだ!?)」
【はぁ……んなこと位で喚くな!自分でなんとかしろ!】
「(お、お茶するくらいなら……そ、そうだよな!深い意味はないよな!よし、お茶するだけ。お茶するだけ。)……わ、分かりました。なら喫茶店行きましょ。」
「うふふっ♪ありがとう♪」
春輝は戸惑いギクシャクしながらも、静流と喫茶店に入った。
そこで行われたのは、確かに静流からの春輝に対しての質問。
どこで忍術に目覚めたのか、どんな事が得意なのか、何故アサギに並べたのかなど、様々な事をされたが春輝はそれを丁寧に答えていく。
その姿勢に静流も興味を持ったのか、2人は意気投合し、任務についての感想から、普段どんなことに悩んでいるかまで様々な事を話した。
……時折静流がする仕草やスーツの部分から見せる谷間に目を泳がせつつ、目のやり場に困りながらではあるが。
◆◆◆
静流side
「(うふふっ♪戸惑ってる、中々かわいい所あるじゃない♪)」
水城不知火さんの息子さんであり、今の対魔忍の中で独特な雰囲気を持っている春輝くんと偶然出会った私は彼と喫茶店でお茶していた。
真面目に彼から話を聞いたのだけど、彼は中々面白い人物だったわ。
彼は普段修行をしているけど、それは影分身という分身系の術を使って行うらしい。そのやり方は効率的らしく、分身では得られない経験値を得られるみたい。
さらに彼は幼い頃には既に忍術に覚醒していたらしく、それに修行も加わって、今の実力に至るらしい。
「(なるほど、才能ではなく努力して覚醒したってことかしら?中々面白いじゃない♪
それに……照れてる顔もかわいい♪この子……食べちゃいたくなる♥)」
「あ!もう、こんな時間だ。そろそろ帰らないと。高坂先生、話聞いてくれてありがとうございました!ここは俺出しますよ。」
「教師が生徒に奢らせるなんて駄目に決まってるでしょ?私が出すから、あなたは帰りなさい。」
そう言うと、春輝くんは申し訳無さそうに頭を下げて、会計を済ませると喫茶店を出て、彼は家へと帰っていった。
けど……水城春輝くん、かぁ。
「……ちょっと、興味あるかも♪」
◆◆◆
静流との話を終え、ケーキを買って帰った春輝が玄関を開ける。
「ただいま〜。」
「おかえりお兄ちゃん!あ、ケーキ!?」
「あぁ、夕食後に食べよう。母さん?」
「あ!お母さん、お兄ちゃんのお部屋で待ってるよ?何か大切な話があるんだって。」
ゆきかぜの言葉に首を傾げる春輝は手を洗ってから、母の待つ自分の部屋に向かった。
するとそこには、にこやかに微笑む母と……気まずそうに正座しているリリムがおり、春輝は察した。
「あ……か、母さん?」
「おかえりなさい、春輝。話があるから、そこ、座って?」
迫力のある母の笑みに、春輝はただ頷く事しか出来なかった……。