暁冥達、百愧龍宮はヤイバが生み出した怪物、“闇ツクモガミ”を相手に奮戦しており、建物やそれぞれの部下たちに怪我人を出しながらも、襲い掛かってくる敵を倒していった。その時、空から聞こえてきた甲高い鳴き声に上を向く。
すると、空から青い体をした鳥……魔鳥が向かってきており、魔鳥は暁冥たちに向かって翼を羽ばたかせて衝撃波を放つ。その衝撃波は強烈で暁冥たちやツクモガミを吹き飛ばしていく。
「なんだあの鳥!?」
「新しい敵だろうな!!行くぞ武頼!!」
「あいよ、黒牙!!」
武頼と黒牙が魔鳥に得物を持って突貫する。しかし、鳥はその羽ばたきで武頼と黒牙を吹き飛ばすと全員がその場で堪えるのが精一杯であった。
その中、暁冥が金剛羅刹を振るい魔鳥を殴り飛ばす。しかし暁冥の強烈な一撃を受けても魔鳥は空中で体勢を立て直し、あろう事か暁冥を威嚇するように睨み付ける。それを見て暁冥は笑みを浮かべる。
「へっ!面白ぇ、俺を睨んで威嚇しやがるか。焼いて食ってやる!!」
『ギイィィィィィッ!!』
「真正面か!ならぶち砕いてやる!!」
暁冥は腕に力を込めると、金剛羅刹を思いきり横に振ると、その一撃は雷を纏いそのまま魔鳥にぶつかる。
「
暁冥必殺の一撃を受けた魔鳥は吹き飛び、山にぶつかり大きく山を抉った。
「わお!流石旦那だね。」
「ったりめぇだろうが!旦那があんな鳥に負けるかよ!」
「流石は首領だ。」
「暁冥様カッコいい!」
「ボス、流石です。」
「兄貴の勝ちだな。」
「親父が強いのは当たり前だろ?」
魔鳥を倒した事で笑みを浮かべる八愧衆の面々、すると、暁冥は魔鳥を倒した事で皆の方に振り返って歩き出す。すると、遠くから慌てた様子で帰ってきた薫が現れた。
「はぁ、はぁ!み、皆さん!」
「あら薫、何してたの?」
「あ、あの!ここにさっき青い化け物が!!」
「青い化け物?それなら旦那が倒したぜ?つうか、何でそんなに息切れてんだよ?」
薫が現れたことで一同が彼女の方に顔を向けた。その瞬間に魔鳥は飛び上がり、暁冥へと襲い掛かったのである。
「キエェェェェェェェェェッ!!」ドスッ!ドスッ!
「ぐっ!?」
「頭!!」
「お前ら動くんじゃねぇ!!こんな鳥、すぐにぶち殺してやる!!」
暁冥が金剛羅刹を振ろうとしたが、魔鳥は暁冥を蹴り飛ばすと翼を羽撃かせて嵐のような暴風と雷、豪雨を起こして暁冥達を吹き飛ばしていく。その中で魔鳥は逃げ遅れて泣いている小さな鬼の女の子を見つけ、その子供に狙いを定めて滑空していく。
「止めて!!!」
「薫!!?」
薫が必死に魔鳥を追い掛けて、女の子に手を伸ばし、助けようとするが魔鳥の方が早く、女の子を襲おうと口を開いており、その手は届きそうになかった。
「(ダメ!間に合って……!!お願い!!!!!)」
しかし、願いも虚しく魔鳥が女の子を足で掴んで捕らえようとした、その時であった。
「拳岩!!」
「凍拳!!」
「「凍岩鉄槌!!」」
聞き慣れた声と共に魔鳥が吹き飛び、その声の主を見てみるとそこには岩の拳をした春輝と氷の拳をしたきららがおり、反対側では藤孝、凜子、ゆきかぜ、達郎、不知火が避難と治療を行っていた。
「み、みんな!何で!!?」
「何でって?あれで帰れるわけないだろ?」
「確かに、あんな泣きそうな顔で言われてもねぇ。」
「っ!?」
「きらら、お前は2人を連れて下がってくれ。奴は……ボンッ!!……俺が倒す。」
春輝は鉄扇“颪”を呼び出すと魔鳥を睨み、きららは薫や少女を連れて後ろへと下がっていき、魔鳥は自分を吹き飛ばした春輝の方を見て、体を震わせて威嚇していた。
「来いよ、鳥。バラバラに刻んでやるから!」
「キエェェェェェェェェェッ!!」
魔鳥は春輝に向かっていくと、春輝は九尾モードになると襲いかかってくる魔鳥を往なしながら、魔鳥の体を鉄扇の刃や風で切り裂いていく。しかし、魔鳥の体の羽は柔らかいのに硬く、中々その皮膚にまで攻撃が届かない。
「(かなり速いな。)なら、これでどうだ!天狗!」グルルルルルルッ!
「ギエェェェェェェェェェッ!!?」
2頭の風の狗が魔鳥の腹に牙を突き立てるが、魔鳥はその狗を掻き消してしまう。
「これでも効かないか。(どうする?三の刃まで開くか?だが、三の刃は威力が有りすぎる。かといって、天狗や旋空だと心許ないし……あれで仕留めるかな。)」
春輝は颪を魔鳥に向かって投げると、魔鳥はそれを翼で弾き返すが春輝は既に魔鳥に近付いており、新たな一撃を放つ。
「風遁、烈風掌!!」
春輝の放った風遁を纏った掌が貫通し、魔鳥は怯むがダメージは殆ど無く、春輝を睨み付けて好戦的な姿勢をとる。
「術が効かないとはな……まぁでもこの高さなら“アレ”で仕留めるか。」
春輝は風遁のチャクラを練り上げる。鋭く、圧縮された空気を右手に溜めてそれを魔鳥に接近して、まだ傷の癒えていない魔鳥の腹に叩き込んだ。
「“風遁・螺旋手裏剣”!!!!」
ギュオオオオオォォォォォォッ!!!……バリバリバリバリッ!!
その瞬間、空から雲が吹き飛び、空には美しい月の光で輝く粒が現れる。それは魔鳥は粉々に砕け散ったのであったが、空に現れた満月と光の粒を見た一同はその光に釘付けになる。
「あれは……」
「綺麗……。」
「春輝、まだこんな隠し玉を持ってたなんて……。」
一同が驚く中、魔鳥を倒されたヤイバは足早にその場を去っており、手には魔宝が握られていた。
「あの金髪の小僧……!アレほどの力を持っていたとはな。しかし、魔鳥はこの先いくらでも産み出せる。あの小僧に負けぬ“新たな魔鳥”を産み出せば良い。」
ヤイバはそう言うと、行方を眩ましたのであった……。
◆◆◆
その翌日、里の復興はクローディアらの指揮や春輝の影分身も手伝った事で手早く進み、被害を受けた家屋は木遁で産み出した大量の木材によって建て直され、一同は驚いていたが春輝はヘロヘロになりながらも作業を手伝っている。
その中で不知火は暁冥に呼ばれ、彼の屋敷に呼ばれた。目の前には包帯を体に巻いた暁冥とクローディアがいた。ちなみに春輝達は疲れて眠っている。
「この度はまさか対魔忍に助けられるとは思いもしなかったぜ。だがまぁ、助けられた事は事実だ。礼を言わせてもらう……感謝する。」
「それは良いけど……あなた達はこれからどうするの?この里はこんなに荒れて……。」
「なぁに復興はお前の息子の手伝いもあって、だいぶ進んでるからな。この調子でいけば、あと3日くらいで復興は終わるだろうよ。それにしても……今時の若い連中は強えなぁ。ウチに欲しいくらいだ。」
「……そんなことしたら、私、この里を滅ぼすわよ?」
笑みを浮かべながら暁冥に殺気を放つ不知火だが、暁冥は高らかに笑うだけであり、隣にいたクローディアも静かに座っている。すると、暁冥が酒を飲みながら話を始める。
「今回の騒動で対魔忍……特にお前の息子達にはデカイ借りが出来たな。あの春輝に伝えてくれ。何かあれば、俺達は力を貸すってな。」
「ヤクザ者から力を借りようとは思わないわ。」
そんな事を話ながらも、不知火達は用意されたマイクロバスに乗り、帰宅した……。