※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

47 / 324
過去と襲い来る傀儡師。

 空が薄っすらと暗くなり始めた頃、人々が行き交うその上では4つの人影が空を駆けており、そのうちの3つは同じ速度で駆けているが、4つ目の影は少し遅れていた。

 

 

「……。」 

 

 

「春輝、櫛延が遅れてる。このままだとはぐれてしまう!」

 

 

「そうだな。……篠宮さん、少し止まってくれ。櫛延さんが遅れてる!」

 

 

「知りません、遅れるほうが悪いんです。」

 

 

 冷たく言う咲弥に春輝はムッとなり、彼女の隣に近付く。

 

 

「篠宮さん、急ぐ気持ちは分かる!けど、足並みを揃えよう!!

でないと、いざという時に!」

 

 

「分かりました……。」

 

 

 3人は近くのビルで止まり、遅れてきた澄香を待つ。すると、少し遅れて澄香が辿り着いた。

 

 

「はぁ、はぁ!ご、ごめんなさい。遅れてしまって。」

 

 

「……構いませんよ。私が勝手に急いだだけですから。それより、少し休んだら先を急ぎましょう。」

 

 

 そして暫くして4人は再び、魔都へと向かって駆け出す。

 

 

 先を急ぐ咲弥の隣を春輝が駆け、その後ろを凜子と澄香が共に走る。そんな中、澄香が凜子に話し掛けてきた。

 

 

「……秋山先輩、篠宮さんってアサギ様の言ってた玲華って人とはどんな関係なんですか?」

 

 

「姉妹だ。篠宮は私達の先輩である"篠宮(しのみや)玲華(れいか)"さんの妹だ。」 

 

 

「篠宮 玲華さん。確か、華姫って言われてた人ですよね?在学中に何度か見たことがあります。」

 

 

「あぁ、普段はおっとりしていて、どこでも眠ってしまう人だった。だが任務では舞のように対魔刀を振るい、どんな任務でもこなしていった人だ。」

 

 

◆◆◆

 

 

「姉さんは普段はのんびりしていて、私がいないと朝も起きれないで、いつまでも寝ててしまうんです。ご飯も作るのが下手で父様は苦笑していました。」

 

 

「そうだったのか。でも、篠宮さんは玲華さんの事が大切だったんだな。」

 

 

「えぇ。任務ではいつも率先して部下を纏め、彼らが撤退出来るように戦い、それで皆が無事に戻るを見て優しく微笑むんです。私はあの笑顔が好きでした。

何より、誰にでも優しかった。」

 

 

 咲弥の話を聞いていた春輝は、気持ちが分かるというように微笑んだ。春輝も数回程、玲華には会っていた事があり、その時は森の中で蝶や華に囲まれながら眠っていることが多かったが、目を覚ましている時に何度か会話もした事がある。

 

 

「私は姉さんの側にいたかった。だから必死に勉強もして、対魔忍として、厳しい訓練もこなして、それで忍術に目覚めたんですが、その目覚めたのが──。」

 

 

「その“毒遁(忍術)”、か。」

 

 

「ええ。だけど、私は……この忍術が嫌いでした。」

 

 

◆◆◆

 

 

「毒遁って、そんなに危険なんですか?」

 

 

「あぁ、一つ間違えば自分も相手も殺してしまう忍術、その事で彼女は元々黒髪だったが、あんなふうに毛先が紫になったらしい。それもあってか彼女は虐められた事が多かったらしい。」

 

 

「そんな!なんで忍術1つで!?」

 

 

「それだけ危険だという事だ。しかし絶望した彼女を助けたのが、彼女の姉である玲華さんだった。」

 

 

◆◆◆

 

 

『……。』

 

 

『咲弥、こんな所でどうしたの?帰りましょう?』

 

 

『……放っておいて、私は"毒女"なんだから。触ったら毒が“感染(うつ)る”って、みんな……が。』

 

 

『……咲弥。』

 

 

『っ!?姉さんだめ!手が!!』

 

 

『大丈夫、なんともないわ。』

 

 

『姉、さん……。なんで……?』

 

 

『私もお父様も、咲弥の忍術を誇らしく思っているの。

毒は確かに危険だけど、薬もなるし、誰かを治すことだって出来るのよ?

私達と違って凄い力だと思うわ。』

 

 

『っ!』

 

 

『それに、私は咲弥の笑った顔が好きよ。

だから、笑っていてね。』

 

 

『姉さん!!!』

 

 

◆◆◆

 

 

「篠宮さんのお姉さんは凄い人なんだな……けど、そんなお姉さんが何で妖魔に?」

 

 

「……犯されたんです。」

 

 

「え!?あ、ごめん。」

 

 

 咲弥の言葉に驚く春輝、しかし、咲弥は続けて話し始める。

 

 

「私が姉さんと一緒にとある魔族の討伐に行ったんです。しかし、その場に犯されて淫らな顔で倒れていたくノ一が沢山いて、その中央に奴はいました。」

 

 

「奴?」

 

 

「忘れもしません……!姉さんを甚振った挙げ句、無理やり辱めたあの妖魔を……!」

 

 

◆◆◆

 

 

『アァァアァァァッ!!』

 

 

『姉さん!!?止めて!!!』

 

 

『イイ女だなぁ。そこらのくノ一とはマンコの締りが違う!それに淫乱みたいだな?獣みたいに犯されてるくせに、乳首を勃起させて、よ!!』

 

 

『ち、乳首ぃぃ!乳首はダメェーーー!!そんなに、お、奥突いたら、壊れちゃうぅぅぅ!?』

 

 

『止めて!!姉さんを離して!!犯すなら私を!!』

 

 

『お前みたいなガキ犯さないよ。それより見てみろよ。この顔を!!』

 

 

『え……ね、姉さん……。』

 

 

『しゃ、咲弥ぁぁ♡見ない、れぇぇ♡こんな顔、見ないれぇぇ♡♡』

 

 

『っ!!』

 

 

『マンコの締まりが良くなったなぁ!!見られて感じたのか?まぁいい、このまま孕ましてやるよ!俺の精液で子供が孕むか楽しみだなぁ!!!』

 

 

『止、めて…………!もう止めてぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

『イケよ!?ドスケベくの一さんよぉぉぉぉぉ!!!』

 

 

『んほぉぉぉぉぉ♡♡♡!!!いくいく!イックゥゥゥゥゥ♡♡♡!!!』

 

 

『姉さん……!!?姉さぁぁぁぁぁん!!!!?』

 

 

◆◆◆

 

 

「……その後、アサギ様達が来てくれましたが、姉さんは暫くして家を出て行ってしまったんです。」

 

 

「篠宮さん、ごめん。その……。」

 

 

「謝らないでください。あの時の私に力が無かった。だけど……今の私には力があります。この手で姉さんを助けます!!」

 

 

 強い意志の籠もった言葉に、春輝は強く頷く。

 

 

 すると、彼らの目の前に目的の建物が見えてきて、4人は近くの建物の屋上に止まった。

 

 

「あそこですね。」 

 

 

「あそこに玲華さんが……。」

 

 

「っ!みんな見ろ。」

 

 

 凜子がそう言うと、下には銃を持ったオークや魔族達が大勢おり、辺りを警戒して回っていた。

 

 

「物々しいな……。」

 

 

「多分、ヨミハラでの事件で警戒してるんだろう。」

 

 

「どうします?このままだと進めませんよ。」

 

 

「……別の道から進もう。」

 

 

 春輝達は警戒網を掻い潜りながら、路地裏を進む。オーク達は警戒していて、気付いておらず4人はなんとか路地裏から地下へと進んでいく事にした。

 

 

「地下通路はこんな感じとはな。」

 

 

「そうですね。それにしてもこれからどうしましょう?」

 

 

「私達の事、奴らは気づいているのだろうか?」

 

 

「それも気になりますけど、何か不気味ですね。この地下道。」

 

 

 地下道を進む4人。

 

 

 しかし、その中で春輝達の前に赤毛の青年が現れた。

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

「この地下通路を通ってきたか。案外俺の勘は当たるものだな?」

 

 

春輝は目の前の青年を見て、目を見開いて驚いた。

 

 

「(サソリ!?いや違うか。けどなんで、まさか……。)ノマドか……。みんな、気をつけ……!!?」

 

 

春輝が振り返るが、そこに凜子達の姿はなかった。

 

 

「(九喇嘛!3人は!?)」

 

 

【どうやら空間系の能力を使える奴がいるらしいな。3人を攫ったのはそいつで間違いないだろう。】

 

 

「くそっ!誰が「おい。」っ!?」

 

 

「俺を無視するなよ。傷付くだろ?それにしても金髪に青目(ターゲット)か……。

こうも早く標的に出会えるとはな。俺もツイてる。」

 

 

 春輝は自身がかつて見たサソリという人物に似た青年の方を向く。

 

 

「3人を攫ったのはお前か!」

 

 

「いや、どうやら依頼主が我慢できなかったらしい。

まぁ俺としては金が貰えるから別に良いが……。」

 

 

「何が狙いだ?」

 

 

「お前の抹殺又は捕獲だ。他の連中は知らん……。

まぁ大方悪趣味な輪姦ショーでもするんだろうな。」

 

 

 春輝はそれを聞いた瞬間、春輝は即座に術を発動した。

 

 

「っ!!!?そんなことさせるか!!風遁・爆風弾!!」

 

 

 風の大玉が青年に向かっていき、直撃する。しかし、青年は倒れず何事も無かったかのように、その場から動いてはいなかった。

 

 

「ちっ!生きてるのか!」

 

 

「なかなか風だな?そこらの下手な忍の術より強い……こいつは、本腰入れてかねぇとな。」

 

 

そう言うと青年は炎を振り払い、3体の木で出来た人形“傀儡”を場に出した。

 

 

「それは……傀儡か?」

 

 

「そうだ。ついでだ、自己紹介しとこうか?こいつらは“人魔傀儡(じんまくぐつ)”って言ってな。俺のオリジナルだ。右から“猿”、“虎”、“蛇”でな。俺の傀儡さ、言っとくが強いぞ?」

 

 

 カタカタカタカタカタッ!

 

 

 赤毛の青年はそう言うと春輝に3体の傀儡を向かわせる。 

 

 

 “猿”と呼ばれた黄の道士服に編み笠を被り、小柄で背中には二本の刀を背負っている面布人形が飛び跳ねながら春輝に迫り、口から苦無を吐き出して攻撃してきたが春輝はそれを避けた。

 

 

 すると、今度は顔に『虎』という文字が書いた袖がない橙の道士服に編み笠を被った体は大きく、猫背になっている面布人形“虎”と、顔に『蛇』という文字が書いた女性の体形をした袖が長い白の道士服の面布人形“蛇”が春輝に迫る。

 

 

 虎が巨大な刃がついている両刃斧を、蛇が伸縮自在の鞭と毒が塗られた釵を抜いて春輝に襲い掛かるが、春輝はそれを避けて距離を取っていく。

 

 

 それを追撃しようと3体が春輝に襲い掛かろうと、瞬時に迫る。

 

 

 しかし、その瞬間に春輝は雷遁を纏って傀儡に近付くと、拳と足にチャクラを溜めると3体の傀儡をバラバラに破壊し、それを見た青年は言葉を失った。

 

 

「は……?(ちょっと待て、いくらなんでも動きが早すぎる。……話が違うぜ。)」

 

 

「こっちは遊んでる暇は無いんだ。……それに“この程度”の傀儡なら簡単に壊せる。」

 

 

「この程度(・・・・)……。へぇ、そうかい。んじゃ、それなら……こいつを出すか。」

 

 

 そう言うと青年はお気に入りの傀儡を亜空間から取り出した。

 

 

「それは?」

 

 

「こいつか?こいつを見せるのはお前が初めてだ。感謝しろよ?俺の最高傑作で倒されるんだからな。あと自己紹介もしとくぜ?

 俺は忍と人形師の一族『糸型家』が産まれ、"糸型(いとかた)造治(せいじ)"。そして、これは俺のお気に入りコレクションの一つ、人魔傀儡(じんまくぐつ)【先代糸型】だ。」カタカタカタカタカタ!

 

 

 連獅子のような髪型に、服装はロングコートの外套な忍の軽装備を身につけた老人の顔をした傀儡、それは糸型家の先代であり、孫である造治によって哀れな傀儡とされた祖父の姿であった……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。