「(何だあの傀儡……まるで暁のサソリが使う人傀儡みたいだな。それににしても、こいつはいったい……。)あんた、何でこんな事してるんだ?」
春輝は目の前の青年、糸型 造治にそう訪ねると、彼はそれを否定した。
「さぁな、家は有名だったらしいが、全員殺したし、あんな身なりだけ良いだけの連中に興味もねぇ……まぁ気になる奴らは何人かいるがな。」
「気になる……?」
「あぁ、対魔忍最強と言われてるアサギや幹部達、それと並ぶ"獅子堂"の連中。あとは、"覇遁の使い手"や"斬魔の対魔忍"……。他にも色々いるが、俺はいずれ そいつら全員を俺のコレクションにするつもりだ。だが今は……お前だ。」
造治は春輝を指差すと、笑みを浮かべる。
「お前を半殺しにして、旦那の元へ連れて行く。そうすれば大金が手に入るしな。
まぁ旦那はあのくの一連中を嬲るのに夢中だろうがな?あいつは趣味が悪いからな。」
「そんなことさせるかよ!影分身!」
春輝はそう言うと影分身を10人出して、造治に向かっていく。
すると、造治は両手の指を動かすと人魔傀儡"先代糸型"を飛翔させる。
そして、その両手に得物である大剣“下手の長糸”と小剣“上手の小糸”を抜いて、影分身達と切り合っていく。
「ほう?分身にしては中々やるな?だがなぁ、この双剣は忍術を切るんだ。
逃がしはしねぇよ!!」
ズバッ!!ズバババババッ!
ボボボボボボボッ!!
先代糸型が身体を回転させて、2刀を振ると分身達は一斉に切り裂かれ分身達は煙となって消えるが、造治は春輝を探していると、その背後から九尾モードになった春輝本体が現れたのを見て驚く造治、春輝は彼に向かって拳を振るった。
「ぜああぁぁぁぁぁっ!!」ドゴォォォっ!!
「ぐっ!?」
「悪いが先急いでるんだ。人形遊びに付き合うつもりはねぇ!」
春輝の言葉に吹き飛んだ造治は、ゆっくりと立ち上がると先代糸型を引き寄せるが、彼は俯いたままであった。
「(なるほど……分身を囮にして逃げたんじゃなく、その影に隠れて近付き、俺の懐に飛び込んだって訳か。それにあの姿……!)くくくっ……良いねぇ!」
造治はゆっくりと顔を挙げて春輝に向かって、笑みを浮かべると構えを取った。
「面白い。本当なら半殺しにして旦那に差し出すつもりだったが、止めだ……。
お前は、俺のコレクションにする。逃がすつもりはねぇ!」
「まだ吐かすか。こっちは急いでんだ。(骨2〜3本は折るつもりで殴ったのに。それにこの感触。)」
「逃さねぇよ。お前は絶対にコレクションに加える……!その力、俺の物にしてやる!!」
造治は先代糸型を操ると、傀儡に宿した力の一つを使い攻撃を始めた。
「木遁!
「(木遁!?)水遁!
巨大で柔やかな大樹を鞭のように相手に振り下ろされそうになったが、春輝は即座に水を回転する刃物にして飛ばして、その鞭を切断する。
「風遁まで使うのか。なら、土遁!激流土砂!!」
「土遁、土流壁!!」
造治の周囲の地面や壁が土砂へと変わり、春輝を激流のように押し流し飲み込みそうになるが、春輝は土遁の厚い壁を作り、それを足場に跳躍して脱出した。
「へぇ?なかなかやるな?だが──」
「土遁、黄泉沼!」
「っ!?」
造治の足元が沼のようになり、徐々にその身体を飲み込んでいく。そして完全に見えなくなったのを確認すると、春輝が凜子達を助けに行こうと歩き始めた時、春輝の足下から辺り一面に樹木が生え始める。
「これは……まだ生きてるのか。木遁使って登ってきやがった。」
「ったく、お気に入りの一張羅がドロドロだぜ。」
造治は木に掴まりながらゆっくりと上がってきており、楽しげに笑っていた。
「お前、木遁と土遁が使えるのか?」
「いや、俺は使えないが、
そう言って造治は、先代糸型を指差す。
先代糸型、彼は生前木遁と土遁を使う事ができ、造治はその異能の力を先代が死んでも使えるように弄り、改造し、そうして造られたのがこの先代糸型なのである。
「俺の知ってる傀儡遣いに、砂鉄と毒を使う奴がいるが、それよりヤバイな。」
「お前のほうがヤバいっての。風遁と水遁に土遁、それにその力……お前まだ何か隠してるだろ?殺して、バラして、改造して、俺のコレクションにしてやるが、その前に面白いを見せてやるよ。」
造治はそう言うと、木の上で構えを取るとメインの術を発動する。
「
「(杜遁……!?)」
造治の前に土と木と植物で出来た巨大な大砲を生み出され、そこから一発の玉が春輝は向かって発射し、春輝はそれを躱すと、その砲弾は壁に激突すると大きく壁がめり込んだ。
「ふふっ。どうだ、中々のモンだろう?弾は高密度に圧縮されていて鋼以上に固い。お前がいくら強かろうが鋼以上の硬度を誇るこの砲弾、どうやって止める?」
「確かに普通なら止められないが、速さはそうでもないな?」
造治がそう言うと春輝は構えを取り、それを見て造治は両手にため息を吐く。
「そうかい……なら、死ね!」
大砲から砲弾が放たれ、今度は春輝に向かって一直線に向かっていく。けれども春輝は逃げようとはせず、右手にチャクラを込めると、一気に振り抜いた。
「
ビギッ!!びぎぎぎっ………ズダアァァァアァァァッ!!
「っ!!」
春輝が放ったのは、春野サクラが使った体術である"桜花衝"に似せた技、金色神楽である。
一見すると単なる怪力によるパンチにしか見えないが、これは腕力だけでなく彼女の持つ医療忍術を会得するために必要不可欠な超微細のチャクラコントロールがあってこそ成せる技。
これは体内で瞬時に練り上げた最大級のチャクラを一瞬で拳に集結させ、それを打ち込むことで拳打による衝撃と共に標的の隅々にまでチャクラが駆け巡って伝達され、大ダメージを与えることができるのである。
突然の事に困惑していた造治だったが、その隙きに春輝は加速して近づくと、2発目の金色神楽を放って先代糸型を粉々に破壊する。
「っ!」
「さっきも言ったけど、先を急いでるんだ。人形遊びに付き合うつもりはねぇ!」
粉々になった先代糸型を見ていた造治。
その瞬間、彼の頭に苦い記憶が蘇る。
『何だそのざまは!!もっと集中せんか!!』
『あぐっ!?』
『お前は!この家の!跡取りになるのだ!!甘えは許さん!!』
『痛いっ……痛いっ……!!』
目の前には転がってきた
「あ~あ、壊れちまったか。まぁいいか、そろそろ変えようかと思ってた所だ。それにしても、こんな簡単に壊れるとか、整備はしっかりしてたんだがなぁ。」
「?」
「ったく、無様だよ……けど、壊れた人形に用は――ない。」
ガシャアァァァァッ!と先代糸型を踏み壊すと、核となる丸いパーツだけ拾い上げ、春輝の方を見る。
「かなりのお気に入りだったんだが。まぁ壊れたならいいか。」
「まだやる気か?」
「あぁ、本当ならすぐに別の傀儡を用意するんだが……お前には、"俺自身"が相手をしてやるよ。」
そう言うと造治は導師服を脱いでいく、その春輝はやはりと目を瞑った。
「お前、自分を傀儡にしたのか!?」
そこには人間らしい身体ではなく、胴体や腕の関節がまるで人形のような身体をしており、その姿を見て春輝は確信した。
「(さっきコイツを殴った時のあの感覚、あれは人形の身体だった。つまり、こいつはサソリと同じ!!)」
「いや全く久しぶりだよ。
糸型 造治。彼は東京キングダムに来て、半人半魔になった事により、忍法も変化し自分自身を人形にすることが可能になり、その業を持って多くの者達から恐れられようになった。
「同情とかするなよ?俺は好きでこの身体になったんだ。お前も傀儡になってみれば分かる。
最っ高の気分が味わえるぞ。」
「お断りだね。テメェをぶっ倒してみんなを助けに行くんだからなぁ!!」
そう言うと、春輝は造治に迫り造治も先代糸型が持っていた二刀を持ち、春輝に襲いかかった……。