糸型造治side
身体が重い・・・まるで鉛でも乗っけられているかのように重く、魔力で手すら動かせない程に重い。しかも、この体の感じからすると、アイツから受けた攻撃はかなりのダメージらしい。
瞼を開けてみると、目の前には知らない天井が広がっていた。
「ここは、どこだ?」
「おや、目が覚めたかね?」
声のした方を見ると、そこには見知った顔のオッサンがおり手にはブランデーが入ったボトルがあり、それを飲んでいる。
相変わらずよくあんなの飲めるな?
「ここは、あんたの家か?俺を運んだのか?」
「あぁ、地下通路で転がっているキミをたまたま見つけてね?取り敢えず直せそうな部位は直したよ。
何かの仕事をして、しくじったのかな?」
「・・・まぁな。くそ、シュトロハイムから倍は貰わねぇと釣り合わねぇ。」
「ほう?あのゲスのシュトロハイムからの仕事かね?なら残念だ、奴ならくたばったらしい。
何でも対魔忍に敗北してな。」
「っ!?本当なのか。くそ、5000万しか貰えず、この様とは骨折り損のくたびれ儲けだ。
だがまぁ・・・収穫はあったがな。」
俺の言葉にオッサンは葉巻をポケットから取り出すと、火を付けて吸って煙を吐き出す。
「何かコレクションに加えようと思える相手に出会えたかね?」
「あぁ、先代糸型を破壊した上に、俺を粉々にした奴なんだが・・・あれは最高だな。
もう少し成長すれば、あんたよりも強くなるかと知れないぜ。」
「ほう?わたしよりも強く、かね?それは面白い相手じゃないか。
もしかして、その相手はブラックが興味を持っている"少年"かな?」
「いや・・・どうだろうな。
だがまぁ、蝙蝠野郎には渡さんさ。」
俺がそう言うと、オッサンは楽しげに笑いながら葉巻を吸っていき、根本まで吸い終えると今度はビール缶を開けて飲み干していき、つまみとして置いてあったステーキ肉を食べ進めていく。約15皿程。
相変わらずよく食うわ。
「ところで、その人物は対魔忍かな?」
「・・・あぁ、変な奴さ。見た感じは普通だったんだが、奴は何かが違う。
使う術も知ってる対魔忍には無いものばかりで、何より先代糸型の武器に対抗してた。
あと、変な衣を纏ったんだ。」
「ほう。衣ねぇ・・・では聞くが、その彼は"獅子"の党首よりも強いかね?」
「あんな人外野郎と一緒にするな。あれは真っ当な人間だが・・・何かを飼ってるな?力としては神話級かな?」
オッサンはナイフを握っていた手を止めて肉を切り終えると、そのまま口に運んでいく。しかし、話はキッチリと聞いているようで、続きを催促するようにフォークを動かす。
「まぁでも、今はまだ発展途上・・・蕾だな。
けど、アイツが何か切っ掛けを掴んで本気になれば、獅子堂の幹部クラスにはなるだろうよ。」
「ほう。獅子を超える可能性を秘めているのか。それは面白い!!!」
「あぁ、だから奴は俺が倒す。倒して、コレクションにしてやるんだ・・・手ぇ出すんじゃねぇぞ?」
「分かっているさ。だがわたしは自由を愛しているのは知っているだろ?」
「・・・相変わらず食えねぇ奴。」
そう言うとオッサンは楽しげに笑みを浮かべ、席を立つとスーツに着替えて何処かへと歩き出す。
あの場所にいくのか。
「あの女のところか?」
「・・・私は今まで様々な女性を抱いてきたが・・・彼女は特別だ。わたしが心から愛せるのは彼女だけ。
だから、こうして たまに会いに行くのさ。あぁ、好きに休んでいてくれ。
出ていきたければ行くがいいさ。それはキミの自由だ。では失敬。」
そう言うと部屋を出ていったオッサン、ケインは笑顔で出ていった。
身体が動くようになるまでは、まだ時間が掛かりそうだ。しばらく休んでいよう。
それにしても、春輝か。
奴のあの力、あれは何だったんだ?まぁ、何でもいい・・・いつか、俺のコレクションに加えてやるよ。