※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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閑話 鍛えて、変われ!

 銀虹のシュトロハイムを倒し、篠宮 咲弥の姉、玲華を救い出した春輝達はアサギから休暇を3日程与えられ、体を休ませる事になり、その中で春輝は家族や友人達と一緒に山にハイキングに行ったり、父親の墓参りに行くなどして休暇を過ごした。

 

 

 そんなある日、春輝は白嶺の下を訪れると、そこには大柄な筋肉質な体をした男が数人いたのだ。その全員が白目と黒目が逆転している。

 

 

「白嶺さん、彼らは?」

 

 

「彼れ等は"呉(くれ)"という殺し屋の一族でね。今回の貴方の訓練の相手だよ。

言っておくけど、そこらの人よりも強いから。」

 

 

「殺し屋!?え、まさか、この人たちから技を覚えるんですか?!

覚えて大丈夫なんですか!?」

 

 

「今のキミなら大丈夫だよ。何せ能力に覚醒しているからね・・・。」

 

 

 そう言われて戸惑う春輝だったが、そんな彼の前に1人の老人が歩み寄っていく。

 

 

「お初にお目にかかる。わしは呉(くれ) 恵利央(えりお)。この娘から依頼を受けてのう・・・お前さんを鍛えることになったのじゃ。まあ、わしらは殺し専門でのう。訓練中に誤って殺すかもしれんから気を付けるようにな。」

 

 

「っ!は、はい!」

 

 

 本気の殺気を間近で受けた春輝、彼は息を飲むがそれだけ相手も本気だということを知り、春輝は気合いを入れて返す。

 

 

 そして、いよいよ呉一族との稽古が始まる。

 

 

 彼らは殺しの専門であり、格闘から暗殺術まで習得しており、それは達人の領域で春輝は何度となく半殺しにされ、時には指を、腕を折られ、足を折られ、砕かれ、転がされ、それはもう言葉では言い表せない程に酷く、拷問のようでもあった。

 

 

「がはっ!!げほげほっ……!」

 

 

 その中で春輝は血ヘドを吐いても、泣き言は言わずに稽古を続けていき、漸く呉の男3人から1本取ることが出来たのである。

 

 

「ぜぇ、ぜぇ、はぁはぁ!」

 

 

「ほっほっほっ!ホルス達3人に漸く勝ったか、見事見事。」

 

 

「は、はい。ありがとうございます。」

 

 

「なら、いよいよ"本番"じゃのう。」

 

 

「ほ、本番?」

 

 

 恵利央の言葉に春輝は、間抜け面になるが恵利央は構わずに続ける。

 

 

「今からお前さんを死ぬ寸前まで戦ってもらう。その相手に勝てれば終わりじゃ・・・途中では止めんぞ。嫌なら止めてもいいが、どうする?」

 

 

「っ!やります!やらせてください!」

 

 

 老人は笑みを浮かべると、手をパンパンッと叩く。すると、空から1人の男が現れた。

 

 

「ギャハハハハッ!おい、じいさんよぉ、こいつがその物好きな奴か?」

 

 

「そうじゃとも、たっぷり相手してやれ・・・紹介しよう、其奴はわしら呉一族の1人、名は雷庵じゃ。」

 

 

「宜しくな小僧。た~~~っぷりと可愛がってやるぜ?

泣こうが喚こうが止めねぇがな。ギャハハハハッ!」

 

 

「よ、宜しくお願・・・がはっ!!?」

 

 

 頭を下げようとした春輝は突然吹き飛び、転がる。雷庵が蹴りを放ったのである。 

 

 

「挨拶は無しだぜ?なんせ始まってるんだからなぁぁぁぁ!」

 

 

「ごぼっ!げほっげほっ!!」

 

 

「ダウンしてる暇は、ねぇぞ!!!」

 

 

 雷庵は倒れている春輝に駆け寄ると、ボールを蹴るかの如く蹴りを放ち、春輝は上ってきた胃液を口から吐き、転げ回る。

 

 

「ゲホッゲホッ!!?う、うぇぇぇ!!!?」

 

 

「ぎゃははははははっ!オイオイ、もうダウンか?だらしねぇなぁ?」

 

 

「はぁ、はぁ・・・!」

 

 

 春輝は目の前に立っている雷庵を見上げる。

 

 

 “恐怖”・・・。それが今、春輝の中にある思いであった。

 

 

 今までの相手に本気の殺気を向けてくる相手は居なかった。が、目の前にいる男、呉 雷庵は本気で自分を殺しに来ている。

 

 

 雷庵は笑っているが、その攻めには一切の妥協がなく、確実に自分を殺しに来ているのだ。

 

 

 春輝はその殺気が恐ろしかった。

 

 

「(無理だ。勝てる気がしない。こんな人に・・・どうやったって勝てるわけが・・・。)」

 

 

【逃げるな!!!蹴りが来るぞ!!】

 

 

「っ!?」

 

 

「あ?」

 

 

 体が後ろに下がりそうになった春輝だったが、それを止めたのは九喇嘛の声であり、そのお陰か春輝は迫ってきていた蹴りを避ける事が出来た。

 

 

「(く、九喇嘛・・・ありが【情けねぇぞ!!】え?)」

 

 

【あんな程度の殺気に呑まれる!!

お前が進む道には こんな奴がゴロゴロといるんだ!!

立ち向かう気概を見せろ!?】

 

 

「(分かってる!!?けど、怖いんだ!足がすくんで動かなくなるんだ。)」

 

 

 春輝は精神の中で九喇嘛に向かって叫ぶように泣きながら、気持ちを伝える。しかし九喇嘛はそれを聞きながらも、ひじを付いて春輝に言い放つ。

 

 

【春輝、お前家族やダチを守るんじゃないのか?

それなのに強敵が出てきたら、ビビって逃げ腰になるのか?】

 

 

「(っ!?)」

 

 

【しっかりしろ!恐怖なんざ誰にだってある。だが逃げるのやめろ!

それはお前自身を殺すことになるんだ。そうなれば、一生負け犬だぞ!!】

 

 

九喇嘛の言葉に春輝は拳を強く握り、立ち上がると、自身の額をガッと強く殴りつける。

 

 

「「あ/ん?」」

 

 

「(九喇嘛、ごめん・・・。

それと、ありがとう。お陰で振り切れた。)」

 

 

【へっ!!分かったなら立ち向かえ。

こいつに勝てれば大概のことは乗り越えられる!

やってやれ!!春輝!!】

 

 

「あぁ!」

 

 

 気合いを入れ直して立ち上がると、雷庵に向かって駆けていき、ハイキックを放ち、雷庵はそれを防ぐと、春輝の顔に向かって正拳突きを放つ。春輝はその拳を防ぐと、背負い投げをして雷庵を地面に叩きつける。

 

 

「ガハッ!?このガキ、ようやくやる気になったか!!!

これなら、本気で楽しめそうだなぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 雷庵の体から凄まじい殺気を放ち、全身が赤みを帯び、マガマガしい殺気を放つ。

 

 

 これこそが呉一族の秘伝、"外し"である。

 

 

「っ!?凄い殺意、下手したら呑まれる!?」

 

 

「行くぜ、しっかり目ん玉開いてろよ!!!」

 

 

「負けるかぁぁぁ!!!」

 

 

 春輝は気勢を挙げると雷庵に向かっていき、2人の拳が交差して互いの顔面にぶつかる。血を流しながらも、2人は互いに殴り合う。初めは少しずつ春輝が押し返し始めていく。

 

 

 恵利央と白嶺は春輝の様子を見て驚き、目を見開く。春輝が"外し"を使っているのだ。

 

 

「(なんだこれ、体のあちこちが痛むのに、逆に調子が良い!!!

もっとギア上げるか!!!!!)」

 

 

 春輝は剣術の修行の中で学んだ呼吸方である、全集中・常中を行い、さらに速度を上げていき、そして・・・。

 

 

「アアァァァァァッ!!!!」

 

 

 叫び声を挙げ、呉一族の家に伝わる体術を使い、雷庵を倒したのである。

 

 

「はぁ、はぁ・・・。」

 

 

 春輝は力を使い果たしたのか、その場に倒れて眠ってしまう。すると、恵利央は春輝に近付くと彼を見下ろす。

 

 

「・・・これほどとはなぁ。まさか雷庵を倒してしまうとは。それに"外し"まで会得するとは。」

 

 

「呉の方、こちらを。今回の依頼料、雷庵殿の治療費、そして"外し"の料金だ。占めて20億入っています。お納め下さい。」

 

 

「ふむ、確かに。しかし驚きじゃわい。一族では無い者が"外し"を使うとは・・・目が覚めたら伝えておけ。外しは寿命を縮める、あまり使うな、とな。」

 

 

 白嶺がアタッシュケースに入れたお金を受け取ると、呉一族は元の世界へと帰って行った。その後、春輝は白嶺によって家に戻されたのであった・・・。

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