“水城 春輝対芳陰 真”。
この第一試合の対戦表はそれぞれの生徒達の家へと各自連絡され、その内容を見た生徒達は驚きを見せていた。
「春輝と芳陰が!?」
「いきなりかよ!」
「これは予想外!まさに急展開!!」
「おいおい、マジかよ……。」
生徒達が驚く中、知らせを見た春輝は驚いたがそれと同時に……笑っていた。
「(第一試合の相手は、真、か。いきなり強敵だなぁ……。
けど、何だか燃えてきた……!)」
【へっ!あのバカだぬきと早速殺り合えるとはな……春輝、間違っても手なんか抜くなよ?】
「(当たり前だよ、そんなことはしない!!忍らしく、そして俺らしく……勝つ!!)」
春輝が九喇嘛と話していた時、芳陰家の家では静かな時が流れていた。
芳陰の茶の間では、真の祖父である
「まさか、真の相手がいきなり水城春輝、彼だとは……。思い切った事をしましたね?」
「いきなり春輝くんとやらせるとか、じい様も人が悪いよ。」
「ほっほっほ。そうかのう?まぁ、真の方は笑みを浮かべていたがのう。」
秀彬、玲志の言葉に将忠が楽しげに笑いながら、そう返す。
試合の組合せを聞いた2人は苦笑いをしながらも、何故2人を戦わせるのかと訪ねたときに「修行かのう」と言った将忠の言葉に頭を軽く抑えたが、それ以上に真が冷静だったのを聞いて、全員が驚いていた。
「真の奴、まさか春輝とやるとは思わなかっただろうに……大丈夫か?」
「玲志や、真は強い子じゃよ。春輝くんの事もあるが、2人はお互いに信頼しとる。
だから、本気で戦うのだろう。」
「……真は今は何を?」
秀彬が右手で湯飲みに入っている茶を啜りながら訪ねると、将忠は静かに笑って答えた。
「“瞑想”しとるよ。明日の試合に備えてのな。」
将忠はそう言って優しく笑う。
そこにはかつて“鬼影”と呼ばれた人物ではなく、優しく孫を思う老人の姿があった。
「ところで、秀彬……例の件はどうだ?」
「はっ。その事なのですが……。」
その頃、真は自分が使っている修行の場所にて“瞑想”をしており、明日の春輝との試合に備えての用意をしていた。
「……。」
【へっへっへ!!あ~~待ちきれねぇぜ!明日にはあの狐をボッコボコにできんだからなぁ!!】
「(守鶴、落ち着いてくれ。明日は大事な試合なんだ。)」
【分かってるつうの!けど、待ちきれねぇんだよ!!…………絶対に勝つぞ!真!!】
「…………もちろんだよ、守鶴。」
その翌日の朝6時、制服に着替えた水城 春輝と芳陰 真。
この両名はアサギから指定された場所へと車で送られ、2人が辿り着いたのは五車町から数キロ離れた所に存在する廃棄された工事現場であり、石や砂などがある上に、そこには不法投棄されたショベルカーやダンプカー、ブルドーザーなどがあり、広大な広さがあった。
「え?なんだ、ここ?」
「まさかここで試合を?」
「そうよ。」
困惑する2人の前に現れたのは、アサギとさくら、そして暁 桜牙であった。
「ここは政府が見つけた不法に行われていた工事現場よ……2人にはここで試合をしてもらうわ……桜牙、ルールの説明を。」
「はい。それでは水城、芳陰。ルールを伝えておく。
1.フィールドはこの工事現場全体。
2.制限時間は無し。
3.相手が参ったと言えば、言わせた方の勝ち。
4.殺した場合は不合格とする。
なにか質問は?」
「「いいえ、ありません。」」
「では、開始までに定位置に着くように。水城は西側、芳陰は東側だ。」
「「はい!」」
春輝が開始位置に行こうとした時、真が話しかけた。
「春輝、俺はこの試合に勝つつもりで挑む。お互い手加減は無しだ。」
「分かってる。俺も勝つつもりでやる!」
「よろしく頼む。」
【おい、クソ狐。ようやくてめぇをぶっ飛ばせるぜ!
覚悟しとけよぉ!?】
【はっ!喧しいわ、バカ狸。せいぜい負けて吠え面掻くなよ?】
【んだとこの野郎!!絶対に砂に埋めてやるからな!!!】
「「(この2人は相変わらずだなぁ。)」」
守鶴と九喇嘛の口喧嘩に2人は苦笑いをしながらも、互いに指定された場所に向かい、そこで用意された部屋で忍装束に着替えると、2人は時計を見て部屋を出ると開始位置に立つ。
すると、2人の調度中央にある位置に桜牙が立っており、腕時計を見ると片手を挙げる。
「これより中忍試験、水城 春輝対芳陰 真の試合を行う!
……………………始め!!!!!」
シュンッ!!!!
桜牙が合図を出した瞬間、最初に仕掛けたのは……意外にも真であった。
「砂遁、連弾・砂時雨!」
「土遁、土流壁!」
ドドドドドドドドドドド!!!
ゴォォォォォォォッ!!!
春輝は真の放った砂の弾丸、それを察知し足元から岩の分厚い壁を作り出して防ぐ。
分厚い岩の壁に当たる砂の弾丸、それは徐々に岩の壁を削っていくが、真は後ろから気配を感じて振り返ると、そこには春輝が立っていた。
「土遁、土流槍!」
「っ!」
ズババババッ!!
春輝が地面を叩くと、真の足元から細く鋭い岩の槍が縦に現れて真を貫こうとする。
しかし、真はそれを足元に砂を集めて浮遊する砂遁、砂爆浮遊で回避する。
それを見て春輝は笑うと、煙となって消えた……影分身であった。
「なっ!?まさか!」
「螺旋丸!」
砂時雨を放っていた時、春輝は影分身を出すと、分身を土中潜行で真の背後に進ませた。
そして、岩壁の後ろに潜んでいた“本体”の春輝が真が宙に飛ぶのを読んで岩壁を足場にして跳んだのだ。
「たあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「っ!!」
ドゴオォォォォォォォッ!!!
春輝の螺旋丸が真へと叩き込まれ、真はそのまま吹き飛び、春輝も岩壁の上に着地するが吹き飛ばした真は動かずにいた。
その瞬間、春輝は腕を“鋼遁”で硬化すると後ろへと振り抜く。
「…………気付いていたか。」
「まぁな、真。」
春輝の後ろには真がおり、拳を避けたのか体勢を低くしていた。
次回、真が攻めて、春輝が応戦して!?
尾獣が!!?
後半へ続く!!
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