よければ、読んでください!!
春輝と真が口寄せした二人の尾獣、一尾の守鶴と九尾の九喇嘛は互いににらみ合いながらも、何故笑みを浮かべていた。
【よぉ、くそ狸。顔付き合わすのなんざ何年ぶりだ?】
【生意気言ってんじゃねぇよ、バカ狐が。すぐに砂に埋めてやるよ。】
軽口を叩く二人、しかし、すぐに黙ってにらみ会うと、鳥が羽ばたいた瞬間に同時に動き出した!
【うおぉぉぉぉぉぉっ!!】
【うらぁぁぁぁぁぁぁっ!!】
九喇嘛と守鶴が駆け出し、その上に乗っている春輝達は力で二人の頭に付いてバランスを取ったまま、戦いの行方を見ていた……。
ゆきかぜside
今日はお兄ちゃんの戦闘試験だって言うことで、あたしはお兄ちゃんの試合を見に仲の良い“秋山 凜子”先輩と弟で同じ学年の“達郎”、あと、すっごく癪だけど(何故か)お兄ちゃんと仲の良い“鬼崎 きらら”……先輩の3人と一緒にお兄ちゃんの試合を見に行ったんだけど……。
「立ち入り禁止!!?何でなんですか!?」
「試合は見世物ではない。お前達も他人の試合を見る暇があるなら鍛練しろ!」
「そんなぁ……。はーい。」
入り口の警備をしていた“八津 紫”先生にそう言われ、泣く泣く帰ることに。
うーーーー!お兄ちゃんの試合見たかったのに~~!!
「仕方ないさ、ゆきかぜ。帰ろう。」
「でもケチよね~!見るくらい良いのに!」
「あ、あは、あはは……。」
「はぁ…………ん?」
凜子先輩ときらら、達郎がそれぞれ反応を返す中で歩いていると、遠くの方で1人の女の子が歩いているのが見えた。
銀髪で、黒色のコートみたいな物を着ているけど……対魔忍、かな?
「どうした、ゆきかぜ?」
「あの人……誰でしたっけ?」
「あの人?……あぁ、佐久か。
彼女は佐久 かなめ、私たちの同級生だが物静かな奴なんだが……何処に行こうとしてるんだ?」
「着いて行ってみようよ?隠密訓練にもなるしね?」
「いや、止めといた方が……な、なんでもありません……。」
きららの言葉に反論したが、上から睨まれて縮こまってしまうが、私たち4人は かなめさんの後をバレないように追跡していくと、かなめさんは何処かの屋敷の中に着いた。
って、ここって!?
「ここって、芳陰さんの家だ!」
「芳陰って、あの芳陰?獅子堂以上に歴史の古いって言う?」
「あぁ、その芳陰だ。私や達郎、春輝やゆきかぜも幼い頃に世話になったのだが、最近は中々お会いになれなくてな。「君たち、ここで何をしてんの?」っ!?」
『っ!?』
凜子先輩が説明していた時、後ろから声が聞こえて振り返るとそこには見知った人がいた。
『
「はいどうも、お早う。」
この人は
ただ、本当に授業中にエロ小説読まないでほしいんだよねぇ。
なによ、イチャイチャタクティクスって……。
「菊地先生、何故ここに?さっき佐久が?」
「あぁ、かなめちゃん来たのね。
調度良いや、君たちも入んなさい。中で見られるから。」
『なにを?』
屋敷に向かって歩き出す嘉和先生にそう聞くと、先生が振り返って答えてくれた。
「春輝と真の試合だよ。見るでしょ?」
『見たいです!!』
そう言われて、私たちは驚きながらもきららとアタシは強く頷いて先生の後に続いた。
凜子先輩と達郎が遅れてきた後で、5人で屋敷の中へと入っていき、嘉和先生が屋敷の廊下を歩いていくと襖の前で立ち止まって、先生は片膝を付いた。
「菊地嘉和、到着いたしました。」
「うむ、入ってよいぞ。」
襖の奥から聞こえた声に頷くと、先生は襖を開けた。
そこには将忠さん、そして佐久さんと意外な人がいて あたしは思わずその人を見て、声を挙げた。
「と、刀姉さん!!?」
「あらユキちゃん、凜ちゃんに達くん、それと鬼崎ちゃんね。何でここにいるのかしら?」
「それはこっちの台詞だよ!?何で刀姉さんが!?」
「ねぇ、凜子、達郎。この人だれ?」
「あぁ、春輝とゆきかぜの家である水城家の分家の忍で、
目の前にいた人、それはあたし達“水城家”の分家の生まれで在りながらも、エリート部隊“九字衆”元副隊長で、今は同じエリート部隊“真陰”の隊長を務めている。
九字衆から真陰に移籍した神童であり、鬼壱あずさって人に匹敵する実力を誇っている人なの。
「それで、何故刀華殿がここに?」
「将忠様に誘われてね、春くんの試合を見に来たの……春くん、強くなったわね。」
『え!?』
アタシたちが画面の方を見ると、そこには……。
「これは、いったい!?」
「春輝と真の中にいる“尾獣”と呼ばれる生き物じゃよ。
今は、2頭を用いて戦っておる。」
光る狐が砂の大狸に向かって殴りかかったと思ったら、今度は狐が狸の腕に噛み付いて投げ飛ばしていた。映像の向こうから地響きが聞こえているのが分かる。
けど、それよりもこの光る狐の体の色って……。
「あぁ!!凜子先輩、みんなこれ!?お兄ちゃんの乗ってる狐の色!!?」
「あぁ、以前に見たあの姿と同じだ!」
あたしと先輩達は前に薫さんに連れられて行った場所で見たお兄ちゃんの姿と、同じ色をした狐に驚いていた。
そんな中、達郎が呟くように言った。
「これが、春輝さんの強さの秘密……?こんな凄いの宿してたら、それなら……。」
『……。』
確かに、こんな凄いの宿してたら強くなるのは当たり前だし、何よりも家族に黙ってたなんて……。
そんな風に考えて落ち込み掛けた時、嘉和先生が画面を見ながら言い返した……。
「達郎、それは違うぞ。尾獣は強い力でもあるが、逆に危険でもある。」
『危険……!?』
「そうじゃ、尾獣は意志疎通も出来るがその正体は強大なエネルギー源でもあるが、尾獣の力は使い方を間違えれば宿した者の身も心も滅ぼしてしまう。」
強大な力によって、身も心も滅ぼしてしまう……それはつまり、ゆきかぜ達の忍術もそうである。一度力の使い方を間違えれば、暴走し、どうなるか分からない程に危険な代物であり、授業の中でも忍術についての注意は受けていた。
「あの、将忠殿……春輝や芳陰の力は、どれ程の物なのですか?」
「そうじゃのう……もし仮に、尾獣がこの国で暴れれば日本は壊滅するだろうの。」
『!?』
「それだけ大きな力ってことだよ。でもね、春輝も真も互いに尾獣を連れていたから惹かれて、友達になることが出来たんだが、春輝は尾獣が居なくても、真と仲良くなったろうね。
何せ、アイツは無茶するけど、良いところもあるからね。」
嘉和の言葉に全員が顔を見合わせて笑い、互いに春輝の良いと思うところを考えた。
「お兄ちゃんの良いところ。お兄ちゃん、優しいです!」
「あぁ、笑った顔が私は好きだな。」
「私も!」
「僕はちゃんと話を聞いてくれる所が好きです!」
「ホッホッホッ!若いのう、お主ら。じゃが、その思いがあれば大丈夫じゃろうて。」
そんな中で、春輝と真の戦いも激しさを増していた……。
その頃、春輝と真は口寄せした相棒達と共に激しい戦闘を繰り広げていた。
【うらぁぁぁぁぁぁぁっ!!】ダァンッ!!ドオォォォォッ!!!
【ぐべっ!!この野郎!!風遁、練空弾!!!】ドゴオォォォォッ!!!
九喇嘛の拳による2発のパンチがヒットし、守鶴は後ろに下がり掛けるがすぐに建て直し、左手で己の腹を叩き、口から空気の大砲を放つ。
岩場の岩を削りながら、突き進むその風の大砲を九喇嘛は飛んで避け、着地するとすぐに追い討ちを掛ける。
【土遁、九尾土槍!】ドドドドドドッ!!
九喇嘛が使った術、岩などの鉱物をさらに圧縮して硬度を増した9本の槍が守鶴に迫るが、それを真が防ぐ。
砂埃が止むと、そこには巨大な笠を被った別の狸が守鶴を護っていた。
「最硬絶対防御・守鶴の盾!!」
「マジか。」
「お前が“攻”なら、俺は“守”だ。如何なる攻撃も通さない。」
「やってくれるな……!!真!!」
「(守鶴、やるぞ!!)」
【暴れるぜ!!風遁、砂散弾!!】ビュオォォォォァァァァッ!!!
「避けるぞ!!」
【ちぃっ!!】
守鶴の風遁と真の砂礫による散弾銃、九喇嘛は大きく回り込みながら守鶴へと近付いていく。
そして、その上にいる春輝はすでに用意をしていた。
「来るか春輝、なら、俺も全力だ……守鶴!」
【おう!!】
真と守鶴が互いに精神をリンクさせて、大地を操ると大地から首の長い龍が顔を出す。
「【砂遁“奥義”砂鉄土龍!!!】」
地中からあやゆる鉱物を圧し固めて作り出した砂の龍、その砂の龍が口から鉄をも貫く硬度の砂の杭を吐き出して、九喇嘛に仕掛けるが春輝と九喇嘛もとっておきを放った。
「【風遁、超大玉尾獣螺旋丸!!】」
砂の龍と透き通るような青い玉、その2つがぶつかった瞬間……。
ドゴオォォォォッ!!!
けたたましい爆音が鳴り響き、周囲の岩山や近くにあった木々を削って辺りを更地にする。
そんな中、その被害から逃れた桜牙は爆発が止み、2人がいた場所を見てみると、そこにはボロボロになった春輝と真がいたが、真は倒れており、春輝が片腕を挙げていた。
「しょ、勝者!水城春輝!!!」
さぁ、次回は……分かりません!