春輝達の試験が一旦終わり、その後にゆきかぜ、達郎らの所属する中等部の試合が始まった。試験内容はほぼ同じであり、2人とも兄や姉に遅れを取るまいと善戦し、ゆきかぜは必殺の雷遁で余裕綽々で勝ち、達郎も危なっかしくもあったが勝ちを得た。
その様子を見ていた春輝達。凜子、達郎、きららは先に帰ってしまったが、春輝はお祝いにゆきかぜと2人でお茶会に行こうと前に賢丞が現れた。
「よう、元気そうだな?どっか行くのか?」
「宗河、まぁこれからお茶会しに行くんだ。」
「そうなのか……なら、俺も付き合うぜ。」
「「え?」」
こうして、賢丞を入れた3人で喫茶に行くことになり、そこで賢丞が裏メニューの特大オムライスを食べているのを見て、驚いてしまった。
「あむっ!んんーー、美味ぇ!これくらい食い出がないとな!!」
「(いや、それ5人分なんだけど!?てか、どんだけ食べるの!?)」
ゆきかぜは目の前で5人前はあるであろうオムライスを平らげていく賢丞に驚いていると、それを隣でパフェを食べていた春輝も驚きながら見ていた。
「凄いな……あ、そういえば宗河「賢丞でいいよ。賢丞で。」そうか、なら賢丞。何で獅子堂との試合で棄権したんだ?」
春輝の問いに賢丞はスプーンを止めると、肘を着いてつまらなさそうに答えた。
「あぁ、あれ?それはあいつが、つまんない奴になったから。あむっ。」
「「つまんない奴?」」
「あぁ、あいつに勝ってもつまらなさそうだからな。だってよぉ、あいつの目は俺の事を見てないんだぜ?それに、なんか“お前なんか相手になんねぇ”って感じで言ってくるし……自分を見てもいない相手に勝って、何が良いんだよ。あむっ!」
「「……。」」
「ふぅ……っ!!!春輝っ!」
「は、はい!」
賢丞はオムライスを完食すると、春輝に向き直る。その目は真剣そのモノであり、春輝も思わず姿勢を正す。すると、賢丞は懐から一枚のメモを取り出して春輝に渡す。そこには、明日の時間と場所が書かれていた。
「これは?」
「明日、俺と修行しようぜ!!」
「え?」
「えぇ!!?」
賢丞からの誘いに春輝は呆然とし、ゆきかぜは驚きの声を挙げた。その後、支払いを済ませた3人はそれぞれの家に帰り、その後、夕飯にした……。
翌日、春輝はゆきかぜと共に賢丞の待つ場所に向かっていた。そこは五車の町から離れた場所にある採掘場であり、そこには賢丞と2人の女子生徒がいた。
「よぉ、春輝。それとゆきかぜ、待ってたぜ。」
「賢丞、それと確か留学生のシルキーさん達?」
「はい、私はレベッカ・シルキー、こちらは妹のリネットです。宜しくお願いします。」
「宜しくね~。」
賢丞の両隣にいたのは、五車学園に欧米から留学している“レベッカ・シルキー”と妹の“リネット・シルキー”であった。レベッカとは中等部の頃に出会い、留学して来たレベッカを何気無く助けて以来、レベッカに懐かれ好意を抱かれた。
当初は流石の賢丞もレベッカの騎士道精神を少し暑苦しく思っていたが、今では平気であり、レベッカの実妹のリネットとの確執を失くしてくれた事もあり、現在はリネットと共に過ごし、互いに「ベッキー」、「賢くん」と呼び会う仲である。
妹のリネットは当初はレベッカを一方的に憎んでいたが、賢丞の説得によって、今は賢丞の計らいでレベッカと同じく留学生として五車学園に在籍しているが、リネットは何時でも何処でも賢丞を襲おうと思っている。
2人とも賢丞とは肉体関係にあり、他にもいるが全員と互いに愛し合っている。
「2人も修行に?」
「いえ、私たちはお2人のサポートです。
この場所は我々と賢くんしか知らない場所なんです。」
「感謝しなさいよね!」
「……なんかムカつくんだけど?」
「ゆきかぜ、止めろっての。」
互いに挨拶が終わると、賢丞が手をパンパンと叩いて4人が彼の方を見る。
「よし、それじゃあ修行始めるぞ。
ルール説明だが、今回は忍術は抜きで体術と武器術で修行をする。
制限時間は昼まで、飯食ったら2時間休んでから夕方までだ。
やれそうか?春輝。」
「あぁ、宜しく頼む。」
「言っとくが獅子堂は冗談抜きで強い……一族と関係者全員がな。
お前も体は仕上げてあるがそれでもまだまだだ。
特に……獅子堂宗一郎、奴は化け物だ。」
「っ!そこまでなのか……!」
春輝は俯いた。分かっていたが、獅子堂は確かに強い。それを同年代から改めて言われると、春輝は身震いしてしまうが、顔は笑みを浮かべていた。
「賢丞……俺、強くなるぜ。」
「やる気になってくれたなら上等だ。んじゃ、始めるか。」
賢丞がそう言うと殺気を感じたレベッカ、リネット、遅れてゆきかぜがその場から大きく離れ、春輝も臨戦態勢を取る。
それを見た賢丞は春輝の頸動脈に向かって、延髄蹴りを放つが春輝もそれを見切って避けると賢丞に蹴りを打つ。
ダンッ!!……ドガッ!!
「くっ!?」
「っしぃ!!」
互いに距離を開けていき、そこからは拳打による殴り合いや投げや極め、互いに相手の攻撃を読みながら受け、避け、当てに行っている。そして、互いに正拳を放ってぶつかると、互いに距離を取る。
「はぁっ……!はぁっ……!」
「ふぅ……!」
春輝が息を荒くする中、賢丞はゆっくりと呼吸していく。
「春輝、なかなか良いじゃないか……打撃も相手の攻撃の読み方も上手い。
けど、どうしても癖なのか、お前相手に攻撃する場所が分かるように動きすぎだ。
常に相手の目を見ろ。それで大概の攻撃は読める。」
「まぁ……っ。あぁ、ありがとう!(この感じ、まだ本気じゃないな。あーもう、まだまだだな!俺も!!それに目を見るって、雷庵さんにも言われたな。)」
「よし……んじゃ次は防御だ。どこから来るか、読んで防ぐか避けるかしろよ?」
そう言うと賢丞は春輝に向かって駆け出し、そして……
ダンッ!!!
「ぐぅ!!!?」
春輝の腹にノーモーションで拳打を打ち込んだ。
「はぁっ……!?がはっ……!?見えなかった……今のは?」
「
並大抵の相手なら防御や回避出来ない。お前には、この無間を習得してもらう。
まぁ、お前ならすぐに出来るだろうよ。」
「分かった……!やってやるよ!」
◆◆◆
その頃、春輝と賢丞が修行をしている頃、レベッカ、リネット、ゆきかぜの3人は採掘場の近くにある小屋でお昼を作っていた。小屋には食器や食材、コンロなどもあり、そこで3人は調理をしていた。
「よし、出来た!」
「なかなか上手でしたよ、ゆきかぜさん。」
「早く持っていきましょう。」
「は、はい!」
3人がラップに包まれたおにぎりを持って、賢丞と春輝の下に向かうと2人とも汗だくで座り込んでいた。
「賢くん、水城さん。お昼にしましょう!」
「そうだな。春輝、食えそうか?」
「あぁ、何とかな。」
5人は昼にすると、一緒にお昼にすると春輝にゆきかぜが拳骨のようなおにぎりを渡してきた。
「お兄ちゃん、良かったら食べて。ちょっと不恰好だけど。」
「おぉ、結構でかいな。けど、旨そう。ありがとうなゆきかぜ!あむっ!!んまぁい!!」
ゆきかぜの作った拳骨握りを食べたあと、少し休憩を入れることにした。女性は片付けに入り、賢丞と春輝は休んでいてくれと、言われ2人は休むことにした。
「よぉ、お疲れ。」
「賢丞……ありがとうな、修行に誘ってくれて。」
「俺が勝手にやってるだけだよ。俺はお前に興味があるって言ったろ?
まぁ、見たまんまの奴で良かったよ。素直な良い奴でな。」
笑いながら水筒の水を飲む賢丞に春輝は苦笑いして返す。
「俺、そんな感じに見えるか?」
「あぁ、少なくとも俺はそう感じるね……お前、結構モテるだろ?」
「モテるって……俺はそういう訳じゃ。」
「アホ、謙遜するなよ。男は少しくらい我が強い方がいいぞ?まぁそれよりも、春輝。獅子堂との因縁がなにかは知らないが、あいつを止めるには勝つしかねぇぞ。」
「…………あぁ。」
「っしゃ!んじゃあ修行を再開するか。」
「おう!」
そうして春輝は修行を再開した。
…………その頃。獅子堂の屋敷、その私有地の山の中では目付きを鋭く尖らせた翔馬が目の前に立つ木を見ながら、拳に力を入れて力一杯に振るった。すると、木はミシミシと音を経てて倒れていき、それを見た翔馬は木を踏みつける。
そこには春輝の写真があった。
「殺す……必ず殺してやる………!覚悟しろよ、どんがらがぁ…………!」
春輝の写真を踏みつけ、ボロボロになるまですりつぶしていく翔馬。そんな彼を影から見て守っていた2人の女性、桃知 凪とスウ・ジンレイは声を掛けれずにその場を後にした……。