翔馬Side
俺は水城 春輝が大嫌いです。
最初あいつに出会ったのは中等部1年くらいですかね。師匠のアサギ様から体術の合同訓練があいつと同じクラスになったと聞かされた時はもの凄くうれしかったですよ。
なんせ最強の対魔忍と言われた師匠を破り、初等部の時に任務に参加して戦果を挙げた、あの水城春輝と手合わせできるんですからね、その日の夜は心が昂って中々寝付けませんでした。
対面した時の第一印象はどこにでもいる普通の子供でしたね。最初は本当に師匠に勝ったのか?と思いましたけど運よく相手があいつになって体術の構えを取った時、はっきり言って勝てないと思いました。
構えから滲み出る練度から自分より遥か高い高みにいると実感させられました。でも、勝ちました。いや、勝たせてくれたのが正しいですね。正直にいって勝てる要素が見えなかったんですよ。でも戦っている最中、何を考えたのか知りませんがこちらのレベルに合わせたんですよ、しかも俺が勝てるぐらいにまで。
勝った時は全然嬉しくなかったですね、なんせ手加減されたのですから。
組手が終わった時、あいつが話かけてきたとき……
「君、強いな~、流石アサギ様の弟子だ」
……なんて笑顔で言ってきたんですよ。その時、こいつ何言ってんだと思いました。
そういったことが中等部3年まで続きました。ええ、そうです、表向きはあいつに勝っていますけど実際は勝ちを譲られ今日に至っています。
そして中等部3年の合同訓練の時、あいつと戦っている最中ある違和感に気づきましてね。何というか誰かの生き様というか誰かの行動をトレースしているということに気が付いたんです。
どうやらその誰かは対魔忍?の才には恵まれていないようで、何やら才能があるライバルに負け続けていたようですね。
・・・ここまで言えばわかるでしょう、そうです、俺はあいつが憧れている人物のライバル役に充てられていたんです。
それ以降、拳を交えるほどわかってきたんです。あいつは対魔忍としての根幹的なものがないというのが、あるのはどこぞの誰かの受け入りで対魔忍、いや忍者を目指しているというのが。アサギ様や宗一郎兄さんたちのような人に害をなす魔族を退治して人間と魔族の融和を目指すといった理想がないんですよ、あいつには。
それを知った時、俺はあいつに対する憧れを捨てました。
中等部3年の最後の冬休みに入る前最後の合同訓練は俺は一族の用事と適当な言い訳をして参加しませんでした。・・・・当然です、あんなドンガラ野郎なんかと訓練しても何も得る物が皆無ですからね、それでしたら一族の人や門下生たち修行をしたほうが有意義ですから。
アサギ様にはそれを報告したのか?
・・・・しました。ですが、あまり気にしていないようでした。勿論、抗議しましたよ。
「あんな、理想も目的もないドンガラで誰かの生き様をなぞっているような奴を後継者にするんですか!?」と。
でも相手にされませんでした。逆に視野が狭い、もっと大きな視野と度量を持ちなさいと叱責されてしまいました・・・・悲しかったですよ、本当に。まぁ、その悲しみを癒してくれたのは婚約者の桃地凪と兄妹弟子のスウ・ジンレイの二人でした・・・・あっ、これは報告書に書かないでくださいね、ホント、恥ずかしいから。特にスウのことは・・・・付き合っていません、つきあっていませんからね!?
あの人みたいな側室ではないですからね、本当に・・・・一生懸命で健気なところは惹かれますが。
本題から少し外れましたが、これが俺があいつを嫌悪する理由です。俺はあいつを対魔忍いや井河アサギの後継者とは絶対認めない。自分がこそが後継者に相応しいと気取る気はありません。
ただ、あいつ、あいつだけは絶対認めない。今回の試験が丁度いいですよ、今回の試験であいつがどれだけドンガラなのか、アサギ様に見せてやるつもりです。
・・・・もし彼が立派な理想や目標を持っていたらですか?。その時は一人の対魔忍として認め妹に対する暴行や今までの非礼を詫びます。
ああ、そうだ、あなたの一族や一門の奴で俺のことを人の本質を見抜く力がない未熟者と公言している奴と仲間を大切にしない心と弱者を軽視していると公言している奴をどうにかしてくれませんかね。ホント、不愉快なんですよねー、あいつら見てると半殺しにしたくなるんですよ、・・・・特に本質を見抜く力がないと言ってる奴が。
・・・・二人をしっかり、叱責しておくからやめてくれ、わかりました、信じます。
コメント等待ってます。