おかしなところがあれば、ご指摘を!!
本選、第三試合……春輝が気合いを入れ直したのに対し、翔馬は壁に向かって拳を打ち付けて、人間とは思えない力で控え室の壁にヒビを入れ、対魔スーツに着替えると試合会場へと向かっていく。その目には殺意のみが浮かんでおり、眼光でだけで相手を震え上がらせる程であった。
「……水城、春輝!!!」
その後ろ姿を見ていたスウ・ジンレイは止めに入ろうかとも思ったが、桃知 凪が首を降ってそれを止める。彼女の頬には赤く晴れた様子であり、それは翔馬が凪を殴ったからであった。
本来優しい翔馬が周りが見えなくなるほどに、怒りを抱く……それがどれ程の事なのか分からないが、彼女には翔馬を止める事が出来なかったが、そんな2人を背後からニタリ……と嗤う影があった……。
春輝と翔馬がゲートから出てくると、フィールドが樹と岩に囲まれた状態に代わる。観覧席から歓声が挙がり、春輝の姿を見たゆきかぜと達郎、藤孝達が声を挙げて応援した。
『オオオォォォォォーーーーーー!!!!』
「お兄ちゃん頑張れーーー!!」
「春輝さん、ファイトーーー!」
「負けんじゃねぇぞ!春輝ーー!!」
その声に春輝は気合いを入れると、自分の目の前に立ち、こちらを鋭い目付きで睨み付けてくる翔馬をじっと見る。その目には感情などはなく、ただただ怒りだけが色濃く滲み出ており、試合開始直後に攻撃してくる可能性が見えていた。
【春輝、このガキはお前を恨んでるみてぇだが……お前何かしたのか?】
「(う~ん……何か、どっかで見たことあるんだけどなぁ。けど、何でか思い出せないんだよなぁ。)」
【なら思い出せ……それにこいつ。何かあるぞ。】
九喇嘛の言葉に春輝は翔馬を見る。すると、審判役の暁 桜雅と八津 紫が2人の間に立つ。
「よし、んじゃそろそろ始めるぞ……言っとくが、忍術も体術も使って構わないが殺しは無しだ。殺せば即失格とする。良いな?」
「「はい/あぁ……。」」
「それでは……始め!!!!!」
紫の合図の瞬間、春輝と翔馬の拳がぶつかり合い、ドンッと!!衝撃波が走り、空気が揺れ動き、互いに近接戦での拳や蹴りの応酬が始まる。どちらも相手に確実に当てようとするが、互いの相手の“先”を読んだ応酬になっていた。
「(こいつの攻撃、どれも確実に急所を狙ってきてる!しかも速い!!)」
「シッ!!!」
「うおっと!!」
翔馬の抜き手が春輝の喉に刺さりそうになった瞬間、春輝はバク転と同時に攻撃を躱しつつ翔馬を蹴り飛ばして距離を取る。すると、即座に翔馬は春輝に向かって踏み込んで飛び蹴りを放つが、春輝は蹴りで応戦して互いにまた距離を取る。
春輝が突けば、翔馬がそれを躱して今度は春輝の腕を折ろうとしたした瞬間に、春輝は翔馬の腹を蹴って離れる。
すると、翔馬が蹴られた腹の埃を叩きながら首を傾げる。
「お前……何でそんなに強くなった?“昔”は俺に負けてた癖に。」
「鍛えたからな。ていうか……どっかで会ったっけ?」
「……お前は本物のバカなのか?それとも、ワザとなのか?まぁいい、痛め付けて思い出させてやる!!」
翔馬は春輝に掴み掛かるが、春輝はそれを背負い投げで外すと、その瞬間に翔馬の鋭い蹴りが春輝の頭を掠める。翔馬は危なげなく着地し、変わらぬ眼光で春輝を睨み付ける。
その目に春輝は頬を掠めた傷を撫でながら、翔馬を見る。
「あっぶねぇ……!(こいつの蹴り、めちゃくちゃ速いっ!けどなんだ?何か、この感じ……。)」
翔馬は春輝に飛び掛かり、蹴りや突きと連撃を放つが春輝はそれを捌きながら、翔馬を何度も倒していく。すると、翔馬はそんな春輝に叫んだ。
「何でだよ……!何でこんだけ強いくせに“あんな手加減”したんだよ……!?何で、何で本気でやらなかった!!何で俺にあんなことを言ったんだ!?」
「は?お前……何言ってんだ?」
「俺は、俺は……!お前と本気でやるのを楽しみにしてたのに!!?何だって、何だって“あんなこと”を言ったんだ!!?」
「あんなこと……言った?それに手加減……?お前いったい何なんだ?」
翔馬の言った言葉に周囲がざわつく中、春輝は怪訝そうに首を傾げて翔馬の言った言葉を腕を組んで思い返していたが、その意味が分からないのか春輝はキョトンとするばかりであった。その様子を見て言った言葉に翔馬は構わずに春輝に近付き、春輝にアッパーを放つ。
「ぐっ!!」
春輝は吹き飛ぶが翔馬は春輝の顔を掴むと、頭から地面に叩きつけるように落とした。
「ぐはっ!」
「っらぁ!!」
翔馬のサッカーボールキックが春輝の顔を蹴り抜いて吹き飛び、その光景に一同は言葉を無くした。あまりに酷い技の応酬に言葉を失ったが、その瞬間に翔馬が春輝を蹴った足を抑えて踞った。
ー生徒観客席ー
「何だ?獅子堂の奴、足抑えてるぞ?」
「何かあったのか?」
「おい、あれ!!?」
ー教師観覧席ー
「あれは!?」
「足首が、折れてる?!」
藤孝が指差し教師陣の視線の先、そこには足首が折れて青紫になっており、凜子達は何があったのか分からず戸惑っていたが、賢丞と斗斬、そして恭弥や刀華、宗一郎といった一部の者達には見えていた。
春輝はサッカーボールキックを喰らう瞬間に左手でガードし、右手を手刀にして力一杯に振り抜き翔馬の右足首を骨折させたのである。
「(馬鹿な!?何時折られた!?蹴られる瞬間にそんな余裕……まさか!?)」
そんな中、翔馬が春輝の方を見るとそこには首をコキコキと鳴らしながら、鼻血を垂らしている春輝がいたが、ケロッとしている。
「あぁ、ビックリした……!」
「なっ!?(あの野郎……!何で軽い怪我で済んで…まさか、咄嗟に全身の筋肉を弛緩させてショックを和らげやがったのか?!)」
「さぁて、と。やられっぱなしは御免だし……やり返すとしますか。」
春輝は好戦的な笑みを浮かべながら、鼻血を拭うと翔馬の方を向いて笑みを浮かべて構えをとった……。
◆◆◆
九喇嘛side
試合は先手を打たれたがカウンターで小僧の足を折ったようだな。
それに・・・・獅子堂 翔馬という小僧は確かに強い。春輝が判断を誤ったりしたら確実に負けるぐらいには。
だが、それは今の評価だ。小僧と春輝が最初に手合わせした時の実力差は春輝が圧倒していた。だからこそ、春輝よ、なぜで負けた?
……それに気づかなければ、お前はこれから一生過ちを繰り返し破滅の道へ突き進む羽目になるぞ。
◆◆◆
???side
水城 春輝、へぇ。中々やるじゃん……獅子気取りの馬鹿と、あのおっさんを利用して内乱起こさせるつもりだったけど、この分なら上手く行きそうだな。
「最悪、こっちにはこの“2人”がいるしな。」
足の下で、俺の炎に焼かれて重傷を負った女2人の襟をつかんで試合会場に向かった……が、まさか、こんなにことが上手く運ぶとはな。少し怖いくらいだぜ。
あのおっさんの“不協和音の囁き”だったか?中々使えるな……まぁ、それでもこの機会を作るのに相応の準備もしたしな。
「本来なら獅子堂と芳陰にやるはずだったが、あんな面白いやつがいるとはな……世の中分かんねぇもんだ……。」
ご意見、感想あれば下さい!
いつも励みになってます!
皆様の感想待ってます!!