ゆきかぜ、不知火、リリムの3人と交わった翌翌日の火曜、春輝はゆきかぜ、凜子、達郎、きららと共に買い物をしに街へ来ていた。休日ということもあってか人が多く、相応に賑わいを見せていた。
「ねぇねぇお兄ちゃん!京都ってどんな所なんだろうね?」
「噂だとかなり賑わってる街だって聞いたぞ。あと、確か“対魔剣士”って存在もいるらしいしな。」
「あぁ、“
その後、対魔剣士の話題で持ちきりだったが、無事に買い物を終えた一同が荷物を持って帰っていると、道の途中、ある少女と鉢合わせた。
「あれ?櫛延さん。」
「あ、春輝さん。それに凜子さんと鬼崎さん達も。こんにちわ。」
「櫛延、なんだ買い物か?」
「はい、結構量が多いので大変なんですが……皆さんも買い出しですか?」
「そうだ。私と達郎は春輝達の家にお世話になるときがあるのだが、買い出しに出るときがあるんだ。鬼崎もたまに世話になるんだ。」
「そうなんですか……ん?」
「?どうかし「春輝さ~~ん!!!」ん?どわぁ!!?」
春輝の名を叫びながら現れた1人の女子、後ろから飛び付いてきて春輝は荷物を死守しながらも転んでしまったが、その激突してきたであろう女子は構わずに春輝に抱き付いていた。
「お久しぶりです春輝さん!まさかこんなところで会えるなんて思いもしませんでした!お元気そうで何よりです!!」
「お、お兄ちゃん大丈夫!?あ、あんた誰!?」
「てか、なに春輝に抱き着いてんのよ!!」
「は、春輝さん大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ。俺は幸い大丈夫……あと、久しぶりだね、常森さん。」
名前を呼ばれたワインレッドの髪色をしたボブカットの少女、常森 蓮華は名前を呼ばれて顔を綻ばせる。その姿を見て、ゆきかぜ、きららはムッとした顔つきになり、凜子は複雑な顔つきになる。
すると、ゆきかぜがにこやかに笑みを浮かべながら春輝の前に出る。
「お兄ちゃん、そいつ誰?知り合い?」
「あぁ、彼女は常森さん。以前に任務で助けたんだけど……というか、常森さんなんでここに?」
「は、はい!私も買い物を手伝おうかと思って着いてきました!では、早速行きましょう!」
「「ちょっと待てぇ!!」」
ゆきかぜ、きららと蓮華が睨み合いになるが、何とか買い物を終えた一同は喫茶店でお茶をした。しかし、そんな一同を影から見る物がいた。
その夜の事。その日は春輝、凜子、ゆきかぜ、達郎の4人は魔都の高層ビルにて大蔵省の大臣と魔族が精製した魔薬の取引をすると情報を得て4人で討伐しに出た。魔薬の現物を押収し、大臣と魔族の誅殺を終えた4人。これから報告をしようとした時、櫛延 澄香のいたチームとの連絡が途切れたという報告を聴き、春輝達はその場所へと向かうことにした。
その頃、澄香は仲間達の任務が上手く行くように陽動を行っていたのだが、そこに現れたのは富豪の依頼を受けて澄香を狙っていた闇のヤイバが現れ、仲間2人に重傷を負わせ、さらに澄香も痺れ薬によって動けなくされる。
「くっ!?こ、のぉ……!」
「髪を使う忍術か、なかなか面白い忍術だったが――ネタが割れれば大したことのない忍術だな。」
ヤイバは澄香を押さえ付けると持っていた愛刀を彼女の髪の根元を引き刃を合わせる。澄香は何をされるのかを咄嗟に感じ取って恐る恐るヤイバに尋ねた。
「な、何してるの……!?何する気なの!?」
「貴様のこのうっとおしい髪、これを欲しがってる男がいてな……この髪を切るんだ。」
「なっ!?や、止めて……!そんなことしないで!!この髪は、大切なものなの!!お願い、お願いします!止めて!!?」
澄香は涙を流しながら大切な髪を切らないでほしいと必死に悲願する。この髪は幼い頃に大好きな母を真似て伸ばしてきたのである。この髪は澄香にとって大切な宝物であり、母が亡くなった後も伸ばし続けていた。
そんな澄香にヤイバは無慈悲に返した。
「貴様の事情など、知ったことか。」
「い、いや……!いやああぁぁぁぁぁっ!!!」
「螺旋丸!!」
澄香が涙を流しながら叫んだ瞬間、春輝が跳んで駆け付けて闇のヤイバの腹に螺旋丸の叩き込み吹き飛ばす。その為に澄香の大切な髪を切られずに済んだ。澄香は自分を庇うように立っている春輝を見上げる。
さらに遅れて凜子、ゆきかぜ、達郎が現れる。
「ぐっ……貴様ら!」
「は、春輝、さん……?みんな……。」
「櫛延さん、大丈夫?」
「う、うん……ありが、うひゃ!」
春輝は影分身を3体出すと、澄香を横抱きにして重傷の2人を背負う。
「凜子達、櫛延さんを連れて先に離れてろ。こいつは俺が倒してから向かう。」
「だが春輝、行動するには3人で動けと「命令違反は分かってる。けど、怪我人もいるんだ。凜子、頼む。」--分かった。」
「凜子先輩!?」
「姉さん!?」
「だが、必ず戻ってこい。」
凜子達は分身と共にその場を離れると、ヤイバが凜子達に闇吹雪を放とうとしたが春輝によって阻まれ、目の前で自分を睨み付けてくる春輝を見たヤイバは忌々しそうに舌打ちをする。
「ちっ……まさか貴様に邪魔されるとはな。」
「闇のヤイバ、こんな場所で彼女に何をしてた?」
「ふんっ、悪趣味な富豪の依頼を受けてあの女を狙ったまでの事。俺の本来の目的のためとはいえ、あんな屑の依頼を受けるなど。」
「ならここで倒すまでだな。魔鳥の時は逃がしたが、今回は逃がさないぜ。」
春輝は片手で印を結ぶと、新たな力を発現させる。
「雷遁モード!!はああぁぁぁっ!!」
春輝の体に雷遁が纏われ、四肢にも凄まじい雷光が走る。
これが春輝の獲た新しい力、属性解放である。簡単に言えば印を組まずに忍術が使えて、体術にも属性が付与されるという能力であり、任意で属性を変えることも可能である。
「行くぜ。雷遁!雷獣牙!!」
雷の塊で作った大人サイズの狐がヤイバに迫り、それを切り裂くと爆散するが感電し膝をつくヤイバ。春輝はさらに追い撃ちを掛けようとする。
「ぐっ……くうぅっ!影忍法、千羽鶴・闇吹雪!」
「雷遁!雷鳥乱舞!」
鋼の如き硬度を持った千羽鶴は春輝の雷鳥によってバラバラにされ、ヤイバは凄まじい威力の雷の塊を受けて、膝をつくが春輝は口寄せした刀、白鰐を出してヤイバの喉元に突き付ける。
「ここまでだな?終わ……!?」
止めを刺そうとした瞬間、青白い炎が春輝に迫る。その瞬間に雷遁の速度を活かして避けると、荼毘が現れた。
「荼毘!!?」
「悪いがこいつを殺られる訳にはいかねぇんだ。退くぞ、鎧野郎。」
「……感謝する。水城 春輝、ここまで俺を追い詰めた褒美に俺に依頼した富豪の名を教えてやる。男の名は◆◆◆◆◆。精々捕らえてみることだな。」
荼毘とヤイバは青白い炎に包まれて消えていき、春輝は通信機を使って凜子達の居場所を聞くと一同の待つ病院へと向かった。搬送された3人の内、2人は重傷だったが澄香はベッドで休んでいるとの事であり、春輝達は報告のために1度戻ることにした。
翌日、春輝が澄香のお見舞いに行くとそこには若干元気そうな澄香がいた。
「櫛延さん、大丈夫?」
「水城さん、うん……。その、助けてくれてありがとう。」
「お節介でやったことだ。気にしないで。」
「それでも、嬉しかった……。この髪、お母さんに似せて伸ばしたから、切られると思うと、すごく怖かったの……!本当に、本当に……ありがとう!」
澄香は春輝に自分と自分の髪を守ってくれてありがとうと泣きながら抱き着き、その事に春輝は照れながらも彼女の頭を優しく撫でた……。
◆◆◆
その頃、頭髪コレクターの富豪は闇のヤイバが依頼をしくじった事を聞いて、かなり荒れていた。彼は櫛延 澄香の写真を見たときにその長い髪を自分の物に出来ると鼻を鳴らして喜んだが、それが手に入らなかった事で荒れていた。
「くうっ!!欲しい!この髪が今すぐにでも欲しい!!そうだ……!」
富豪の男は電話を取って何処かに連絡した。
『何か用か?』
「おぉ、お前たちか!早速だが依頼をしたいんだ!内容を話したいから家まで来れるか?!報酬はたんまり出すぞ!!」
『良かろう。これからそちらへ向かう。』
「頼んだぞ、クエスター!!」
男は醜い顔をさらに欲望で醜く歪ませるのであった……。
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