ある満月が栄えるの夜、その日は春輝と神村 舞華の2人を加えた火遁衆の面子による魔族の拠点襲撃作戦が展開されており、その中でも春輝と舞華の両名は敵の撹乱および引き付けが任務であった。
そうであったはずなのだが……。
「おらおら!!オレらに消し炭にされたい奴、前に出ろや!!」
「神村さん、前に出すぎ!!」
血気盛んに相棒である冥途バズーカをぶっ放す舞華の周囲をカバーしながら、敵を倒していく春輝に舞華はタバコを吹かせながら笑いながら言う。
「何言ってんだ!お前がいるから、ぶっ放てるんだよ!!後ろ、任せたぞ!!」
「はいはい、分かりましたよ!!」
「お、女も男も化け物かよ!!?」
武装したオーク達や魔族達の嘆きを燃やすように炎が舞い上がり、春輝と舞華は宙に飛び上がると術を放つ。
「食らえや!!火遁、
「火遁、
『うわああぁぁぁっ!!?』
悲鳴を挙げるオーク達や魔族達に向かって、凄まじい火遁の砲撃と巨大な炎の狐が迫っていき、任務が終わる頃には2人の廻りには物言わぬ消し炭が転がっており、その様子を見た加治はやれやれとため息を吐いたのであった……。
◆◆
翌日、春輝が五車町の隣にある街まで散歩しに来たのだが、その途中で……。
「あれ?神村さん?」
「っ!?て、てて、テメェ!水城!!?」
普段硬派な雰囲気とは異なる“ギャル”といった雰囲気と服で、服を買っている舞華と出会い、彼女は服をカゴに入れると一旦店を出て春輝を引っ張り込んだ。
「て、てて、テメェ……!どこまで見てた!?」
「?どこまでって、今しがた見ただけだよ。買い物の邪魔したなら俺帰る「ふざけんな今ここで帰るな!!……少し待ってろ!」?わ、分かった。」
その後、舞華は何着かの服を買うと春輝の腕をとって、圧力のある笑みで言った。
「良いか?もしここで帰るとかヌかしてみろよ?マ・ジ・で消し炭にするから覚えとけよ……?それが嫌なら、黙って買い物に付き合え?なぁ?」
「は、はい。」
ほぼ脅しが入った怨霊の呻き声のようであるが、春輝は黙って彼女の買い物に付き合い、その中でゆきかぜとするようにちょこっとしたアドバイスをすると、舞華は驚きながらも買い物を楽しんでいった。
そして、春輝がクレーンゲームで舞華が欲しそうにしていた人形を取って渡した後に、2人は近くのカフェでお茶をすることにしたのだが、舞華はどこか落ち着かなそうであった。
「どした?何かすごい大人しくなったけど。」
「いや、その……ありがとうよ。俺、あの人形欲しかったんだ……。」
「?そうなのか?それなら良かったね。」
「お、おい!誰にも言うなよ!?俺は硬派で通ってんだから!!」
慌てて念押しする舞華に春輝はため息を吐いて返す。
「言わないよ。そもそも、そんな趣味してないし。それにしても……神村さんって結構お洒落なんだね。」
「っ!お、おうよ!結構服には気を使ってんだぜ!加治の兄貴からも気を付けるように言われてんだ!」
「そうなんだ。」
その後、些細な事で楽しげに話す2人はその後、友人となり一緒に途中まで帰った……。
しかし、その翌日に報じられたのは神村 舞華の“失踪”であった。
何でも舞華は火遁衆の後輩たちと任務に出ていたが、途中で行方不明になったらしい。その報せに火遁衆は舞華を探すために捜索隊を出し、その部隊には春輝も参加し、春輝は獲られる全ての情報を使って舞華を探し出した。
「あのビルか?」
「はい。周囲には敵の姿はありません。」
春輝と火遁衆が辿り着いたのは、魔科医の老人が住んでいるビルであり、手分けしてビルを探る為に中へと進んでいくと女性のくぐもった声と男の下品な笑い声が聞こえてくる。春輝がその音のする部屋を覗いてみると、そこでは舞華が改造をされていた。
春輝は我慢ならずに部屋に飛び込んだ。
「神村さん!?」
「っ!?おやおや、対魔忍かえ?これはちょうど良い。こやつの“性能”を確めるとするかのう!」
パチンッと指を鳴らした魔科医の老人の言葉に舞華が春輝に襲い掛かる。冥途バズーカを振り回せるだけの腕力があるために、かなり力が強く、その拳は壁を軽々と破っていく。さらに目に光はなく、操られているらしい。
「その娘には“バグ”を仕込んでおる。下手に脳に衝撃を与えれば……バグが脳を食い散らかすぞ?それに、娼婦として売りに出せるように体も改造した……!その小娘は助かりはせん!!」
「馬鹿正直に教えてくれて、ありがとうな……!」
春輝はチャクラを流して、魔科医の言うバグの位置を探る。そして、バグを感知するとチャクラで包みこんで圧縮して、さらに空遁で体外に抜き取った。すると、舞華は気絶して動かなくなる。
舞華を横にすると、それを見て魔科医は驚愕して言葉を失った。
「き、貴様!?わし、わしのバグをいとも簡単に!?」
「さぁ、あとはあんただけだ。」
「く、くぅ!?ば、化け物めが!!だがなぁ、わしとて簡単には捕まりはせんぞ!?貴様らなんぞに「塵遁、限界剥離の術。」ーー」
魔科医は突然その場に倒れ、悲鳴を挙げる間もなく分子レベルまで分解された。手だけを残して春輝は魔科医のパソコンから顧客データ等を抜き取ると、舞華を背中に背負って部屋を出ていったのであった。
翌日、舞華は数日間入院することになったが、幸いにも外傷などは殆どなく体も治療によって完治したため任務に復帰できるらしい。その中で春輝もチラッと御見舞いに来たのだが、何故か舞華は春輝を見るとそっぽを向いてしまう。
「み、見舞いに来てくれてありがとうよ。そ、そこに置いといてって!?これは!?」
「良ければどうぞ。」
春輝が見舞いとして持ってきたのは、ボケッとした表情の愛らしい人形であり、それを掴むと咄嗟に素早く抱き締めてしまった。
「ば、ばば、バカ野郎!!こんなん貰っても、う、うう、嬉しくねぇ!今度また、も、持ってきやがれ!」
舞華の支離滅裂な言葉に首を傾げながらも、春輝は分かったと言って病室を出たのであった。
その間、舞華は春輝にどんな礼をしようかと、ベッドの中で頭を悩ませたがウジウジ考えるのが苦手な彼女は“とっておき”のお返しをしようと考えたのであった……。
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