※この作品はR-18です。

対魔忍HARUKI   作:ボルボロックス

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宜しくお願いします。


京都観光と天御剣

 厳しい修行を無事に終えた生徒達一同、そんな一同にアサギがプレゼントしたのが京都観光の自由時間であり、その時間を楽しみにしていた生徒達にアサギは微笑みながらも説明をし始める。

 

 

「では京都観光について、ですが……基本的に立入禁止区域に入らなければ自由とします。ですが、ホテルの門限は18時00分ですので、それを必ず守るように。」

 

 

『はい!』

 

 

「はい、それじゃあ行ってらっしゃい!周りの人に迷惑をかけないようにね!」

 

 

『はい!』

 

 

 生徒達は返事をすると、それぞれが好きな相手と組んで京都観光をする事にした。そして、もっとも京都観光を楽しみにしていたゆきかぜはウキウキした様子であった。

 

 

「お兄ちゃん!凜子先輩!達郎!京都観光早く行こう!!待ちきれないよ!」

 

 

「分かった分かった。落ち着けってのゆきかぜ。」

 

 

「お兄ちゃん、お母さんへのお土産は何が良いかなぁ。髪飾り?ハンカチ?」

 

 

「母さんなら何でも喜ぶさ。思いが籠ってるんだから。」

 

 

「そう、かな。」

 

 

 春輝の言葉に腕を組んで考え込むゆきかぜに凜子と達郎は苦笑いを浮かべた。その後、きららも合流し、女子達はお土産をどうするかで盛り上がっていると、春輝は達郎と話をして待つことにした。

 

 

「達郎くん達、時松先生だったみたいだけど……厳しかった?」

 

 

「……はい、ものすっごく!!」

 

 

 ゆきかぜらのクラスを担当した時松はアサギ以上に厳しかったが、それでも生徒を思い、中等部の生徒が限界を超えられるように檄を飛ばした。

 

 

『その程度で合格になれるか!!!先達を越える程の力を振り絞って見せろ!!!出来ないなら、今すぐバスに乗れ!!!』

 

 

 その言葉に生徒の何人かは、怖れて動けなくなってしまったが、ゆきかぜや一部の生徒はそれを乗り越えて合格となったのであった。

 

 

 特にゆきかぜや達郎、さらに“極一部”の生徒には時松は厳しかった為に達郎は思い出して身震いした。

 

 

「と、時松先生……怖かったです……。あの人、本気で殺しに来る感じでしたから……。」

 

 

「それは……よく分かる。あの人、凄く恐い。」

 

 

「「……。」」

 

 

「春輝?達郎?どうした、顔を青ざめさせて。」

 

 

「どうしたの?」

 

 

 春輝と達郎の様子に首を傾げる凜子ときらら。その時だった。

 

 

「なぁ、水城 春輝……って、お前か?」

 

 

「「「「?」」」」

 

 

 突然声を掛けられ、春輝達が振り向くとそこには、短髪のイケメンの筋肉質な青年が立っていた。

 

 

「えっと、どちら様?」

 

 

「あぁ、悪い悪い。俺は近藤 優太郎!宜しくな!」

 

 

「あぁ、宜しく……!?」

 

 

 春輝は優太郎と握手を交わすと、その時に彼の手の感覚と雰囲気からある事を察した。

 

 

「あんた、もしかして獅子堂の?」

 

 

「まぁな!翔馬との戦い見たぜ!面白い奴だって思ってたんだが、中々声掛けられなくってよぉ。けど、話せて良かったぜ。今度獅子堂の「優太郎~~!!」!?」

 

 

「ん?」

 

 

 優太郎と話していると、1人の女性が物凄い勢いで駆けてきていた。

 

 

「優太郎!どこ行ってたの!?ほら、早く行くよ!!」

 

 

「ちょ、ちょっと待って麦さん!今話してた所なんだよ!ほら、最近何かと話題の水城 春輝!」

 

 

「ん?キミが水城春輝くん?初めまして!私は詩嶋麦、五車のOGなの!宜しくね!」

 

 

「は、はぁ。どうも、宜しくお願いします。」

 

 

「うん!挨拶が出来るのは良いことよ!また任務で会いましょう!

ほら、優太郎!行くわよ!!」

 

 

「だ~か~ら、引っ張らないでくれよ~~!…………」

 

 

 物凄い勢いで去っていってしまった麦と優太郎を見送った5人は呆然と見ていたが、観光を楽しむ事にしたのであった。

 

 

 京都は有数の観光地であり、五重塔、清水寺、天橋立といった名所の他にも独特なスイーツや料理があり、さらには着物などにも着替えられるらしく、着物姿に着替えて廻ることも出来るので、レンタルする者もいる。

 

 

「へぇ、こんなに色々有るんだなぁ。」

 

 

「京都は観光以外でも重要文化財が多いみたいですね。」

 

 

「そうだな。「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」ん?どした、ゆきかぜ?」

 

 

「アレ(・・)、なんだけど……買っても良いかな?」

 

 

 ゆきかぜが指差したのは、赤と青の花の髪留めであり、2つセットで売っているが値段が少々高いのでゆきかぜが困惑していた。ゆきかぜは不知火へのお土産に買いたい。

 

 

すると、春輝がその髪留めを買って片方の赤いのをゆきかぜに渡した。

 

 

「え?」

 

 

「見せびらかすなよ。」

 

 

「ありがとう!」

 

 

 ゆきかぜは早速片方のリボンを解いて、髪留めを着けると凜子達の下へと向かって話をしに行った。花の髪留めを見てきららは羨ましそうに、凜子は素直に彼女を褒めており、その様子を見て春輝は優しく微笑む。

 

 

 その時だった、店の外が騒がしくなって外を見てみると、そこには何やら黒い着物を着て腰に刀を差した一団が走り去っていってしまった。

 

 

「アレなんだ?」

 

 

「兄ちゃん知らんのか?あれは、天御剣っちゅうこの京を護ってくれとる偉い方々や。」

 

 

「天御剣……。【春輝。】(九喇嘛、どうかした?)」

 

 

【この町、何か臭うぞ。何か嫌な臭いがしやがる。】

 

 

「(嫌な臭い……もしかして、魔族が!?)」

 

 

【恐らくそうだろうな。それに何か別の臭いも混じってやがる。】

 

 

 九喇嘛はそう言うと、再び眠りについてしまい続きを聞けずに困惑する春輝は、凜子達と共に近くの名所を廻ることにした。

 

 

◆◆◆

 

 

 その頃、京都を護る対魔剣士の部隊である“天御剣”。

 

 

 赤い広間に天御剣の各隊長達が左右に並ぶ中で、中央に座しているのが天御剣の総隊長である“榊(さかき) 重國(しげくに)”であった。彼らは今、この京都にて仲間達が斬られた事を話し合うために集められたのである。

 

 

特徴としては黒い着物と隊長各は隊首羽織を着ており、腰には緋々色金製の対魔刀を差している。

 

 

「皆、よくぞ集まってくれた。ではこれより隊首会を始める……孝厳(たかよし)。」

 

 

「はっ!」

 

 

 黒髪のポニーテールで左目に傷がある黒目を持つ青年……橘(たちばな) 孝厳(たかよし)が前に出た、その隊首羽織を身に纏い、羽織の背には菱形の中心に斬の一字が描かれている。

 

 

「先日の夜、数人の隊士から連絡が途絶えたので辺りを捜索した際には、何者かに切り殺されたと思われる死体が見つかった。何れも急所を一撃で貫かれている。既に亡骸は弔っている。」

 

 

「ハッ!弱い癖にでしゃばるからだよ。黙って俺らに報告しとけば死なずに済んだのによぉ。」

 

 

 吐き捨てるように言ったのは、黒髪のオールバック、切れ長の真紅の瞳をした2mの強面の大男であった。羽織の背には菱形の中に鬼の一字が書かれている。

 

 

名は真倚(まさき) 劫摩(ごうま)、天御剣の六番隊の隊長を務める。

 

 

 劫摩の言葉に数人が彼を睨むように見据えていると、茶髪のショートヘアで、濃褐色の瞳をした美少年が劫摩に食って掛かる。

 

 

「……少し言い過ぎじゃないか?真倚さん。」

 

 

「あ?弱いのは事実じゃねぇか。勇斗。」

 

 

 劫摩に睨まれながらも怯まない少年……井河(いがわ) 勇斗(はやと)。二番隊隊長を務めており、羽織の背には鷹の一字が書かれている。

 

 

 彼は井河家の分家の出だが、全く対魔忍としての才能が無かった為に破門され、その後、居場所を求めて各地を転々とした際に、孝厳に出会い、“天御剣”に入隊したのである。、忍としての才は全くないが、剣士としての才は重國や孝厳の父・宗彰を越えている。

 

 

「死んだ隊士達だって戦ったんだ。それを侮辱するなら……斬るぞ?」

 

 

「ほう……やってみろよ?」

 

 

 一触即発の空気が流れる中、1人の女性が2人の間に立つ。

 

 

「勇斗殿、劫摩殿。今は隊首会の最中……互いに殺気を仕舞われよ。」

 

 

「篁さん。」

 

 

「けっ!」

 

 

 2人の睨み合いを止めたのは、黒髪の長い菱形の中に晴明桔梗が書かれた狩衣を纏い、腰に刀を2つ指した女性であった。

 

 

 彼女は篁(たかむら) 八雲(やくも)……天御剣の五番隊の隊長を務めている女性で、京都五大宗家の中でも歴史が長い篁家の現当主である。その実力は対魔忍最強のアサギと同格であり、魔族から恐れられている。

 

 

 本来なら八雲が一番隊の隊長になるはずだったが、八雲自身が辞退して、孝厳が一番隊の隊長になった。過去にバルトが京都を襲撃しに来た際には、バルトと戦い、退ける程の実力者でもある。

 

 

「我々の仲間を殺めた不埒者、それがこの京にいるのであれば全力で討つのみ。仲間同士でのいさかい等あってはなりません。」

 

 

「八雲の言う通り……こんな事されて許しておけるわけないからな。」

 

 

「今居らぬ他の隊首にはわしから伝令を出す。

皆、この京に蔓延る“魔”1匹残らず駆逐せよ!!」

 

 

「「「「はっ!!!」」」」

 

 

 隊首会が終わり、それぞれが持ち場に戻ろうとしていた。

 

 

 勇斗は劫摩を睨みながら部屋を出ると自身の持ち場に戻ろうとすると、目の前から赤い髪を後ろで纏めた少年が駆けてきていた。

 

 

「おーい!勇斗!」

 

 

「蓮弥か。」

 

 

 赤毛の少年の名は朱城(あかぎ) 蓮弥(れんや)。

 

 

 天御剣の二番隊の副隊長を務める少年で、勇斗とは上司と部下の関係ではなく、どちらかという親友同士の間柄であり、蓮弥は勇斗と常にタメ口で喋っている。

 

 

「隊首会どうだった?」

 

 

「……思い出させるな。頭が痛くなる。」

 

 

「何か有ったみたいだな?まぁでも、こっちでも幾つか調べといたぜ。」

 

 

 そう言うと蓮弥は書類のような物を勇斗に手渡し、それを1枚ずつ確認した勇斗がある項目で手を止めた。

 

 

「……対魔忍が来てるのか?」

 

 

「おう、なんでも一般区域で過ごしてるらしい。このくそ忙しい時に来ないで欲しいぜ。」

 

 

「対魔忍……か。念のためコイツらを監視しておけ。多分魔族がいれば勘の良い奴は動くだろう。それを利用する。」

 

 

「そいつはまた……ま、お前の考えなら賛成だぜ。隊士達に伝えとく。」

 

 

「ありがとうな……。」

 

 

 勇斗は去っていく蓮弥の背を見送ってから、空を見上げてから懐かしい人物達の事を思い浮かべながら、呟いた。

 

 

「アサギ姉さん、さくら姉ちゃん……。」

 

 

◆◆◆

 

 

 井河 勇斗が世話なった人達に想いを馳せているころ隊長達が去った赤い広間には二人の人物が残っていた。一人は天御剣総隊長の榊重国で、もう一人は勇斗と真倚 劫摩の諍いを止めた五番隊隊長の篁八雲であった。

 

 

「‥‥いかがした篁隊長、何かあるのであれ言うてみよ。」

 

 

どうやら榊は篁が自分に意見があり、ここに残っていることを見抜いているようである。

 

 

「それでは、申し上げます。今回の件、京に特別演習に来ている五車に協力を要請してみてはどうでしょうか?」

 

 

「……何?」

 

 

「我々は基本的に戦闘に特化し過ぎて犯人を捜すというのは不得手です。ここは探索系忍法を有する対魔忍を派遣してもらい下手人の特定に協力してもらった方が合理的で早期に事件を解決できると愚考します。」

 

 

 篁も述べているが天御剣という組織は基本的に京都を外敵から護るために戦闘面に特化しており、探索と言った分野は苦手なところがある。そこで彼女は諜報や探索と言った分野に長けている対魔忍に協力を仰げば、同胞を殺害した下手人を早期に発見し解決できると思い榊に進言したのだが……。

 

 

「……無用である。かの者達に協力を要請せんでも下手人は我らの手で始末する。」

 

 

 総隊長の榊は進言を拒否してしまう。

 

 

「……それは、なぜでしょう?」

 

 

 いつもだったら利用できる者は利用し事件を早期解決する柔軟性と合理性を持つ榊が非合理な返答をしたことに困惑する篁をよそに榊は語る。

 

 

「……数年前起きたあの“事件”を忘れてはあるまい。今回の事件も裏で対魔忍が一枚噛んでおるかもしれん。」

 

 

「さ、流石にそれは穿ち過ぎでは?‥‥確かにあの”事件”は対魔忍一族が引き起こしたものですが五車の者が引き起こしたことではありませんよ?」

 

 

「五車が関わっていようがいなかろうが関係ない!対魔忍が京を荒らした、これは否定できない事実じゃ!!それに京を荒らした一族は嘗て政府に対して反乱を起こした一族だという。そんな者達を今日まで野放しにしている連中に協力要請なんぞできるものか。」

 

 

 やや感情論があるとは言え、流石に篁も榊の言い分を全て否定できることは出来ず、諦めたように言う。

 

 

「‥‥分かりました。確かに総隊長の言い分にも一理あります。此度の進言は忘れてください。」

 

 

「うむ、篁隊長も隊に戻り捜索の準備に取り掛かるのじゃ。」

 

 

 篁はその言葉を聞いた後、榊に一礼し赤い広間を後にした。だが、その表情は優れず憂いを帯びていた……。

 




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