あ、そして、100話達成しました。
読んでくれてる方々、ありがとうございます!!
春輝がとりあえず無事に五車の仲間達の所に戻る少し前、天御剣の面々はそれぞれで京都の各所で起きた同胞殺害をした相手を探すのに躍起になっていた。この数日で被害者の数は増え、事態は深刻になっていた。
何人もの若い隊士が命を奪われ、無惨に殺されたと聞いて隊首達は黙ってはいられず、犯人探しに躍起になっていた。
その中で井河 勇斗達は京都から離れた森の中で、魔族と誰かが戦っていたという情報を聞き付けて、彼らはその森へと向かうと森には巨大なクレーターが出来ていて、戦闘の激しさを物語っていた。
外にこれが漏れなかったのは、アイリスの特殊な力の1つである氷のドーム状の結界のお陰であり、この氷のドームには消音の効果もあったが、爆発によってドームは破壊されてしまったのだ。
「これは……一体誰が?調べてみるか。」
勇斗達はその戦っていた者達を探るために痕跡を探すのであった。
◆◆◆
その頃、春輝は五車の仲間達のところに戻ることができ、友人らに事情を説明したが、本気で心配されていた為に、ゆきかぜときららは春輝と一緒に動くと言っていたが、今回の騒動があったために春輝はアサギと共に動くことになった。
アサギは春輝の行動を時松から聞いていたが、内心呆れている。
「春輝、今回は魔族に襲われたという事で一応単独行動については多少不問とします。けれども、今後は何かあれば“必ず”知らせること……分かったわね?」
「はい、申し訳ありません。」
「……でも、何より無事でよかったわ。これからは無茶とかはしないで、周りを頼りなさい。貴方は一人ではないんだから。」
「はい、そうしてみます。アサギ様、ありがとうございます。」
2人が話をする中で、春輝は頭を下げるとアサギは優しく微笑んだが彼女の春輝への興味は益々増していた。
スレッド・ホークスと従者アイリスと言えば、バルトと並ぶ強豪であり実力は自分達上忍クラスであるらしいが、詳しい情報はあまり知られていない。けれども、そんな2人と多少とはいえまともに戦って生きているということ。
それは春輝の本来の力がまだまだ未知数であるということを示しており、アサギは内心を自分のモノにしたくなっていた。
「(この子を……春輝を私が鍛えれば或いは。)」
アサギは無意識に舌舐めずりをしていたが、周りには気づかれずで皆で京都の名所を散策していた。今一同が来ているのは、京都1番のパワースポットである“伏見稲荷大社”であった。
いくつもの鳥居が並ぶその道の奥には、過去にエドウィン・ブラックが手に入れようとした程の力を秘めた物が奉られており、バルトがそれを奪いに来たのだが、それは天御剣によって防がれた事がある。
その事件以来、この鳥居の先は関係者以外立入禁止となっている。
「(何だろう、この奥……凄い力を感じる。)」
【確かにな。わしも何だか惹かれるな。】
「(へぇ、九喇嘛が興味持つって珍しいな。)」
【興味って訳でもねぇ……ただ、何か惹かれるって気がするだけだ。】
そんな事を話した後に春輝達、五車学園が伏見稲荷大社の近くにて休憩をしていると、春輝は視線を感じて後ろを振り向く。すると、自分達を監視するように見ている黒い胴着らしき物を着た者達、対魔剣士……天御剣の隊士達が遠巻きにこちらを見ていた。
「(なんだろあれ?)」
「春輝、どうかしたのか?遠くをじっと見て。」
「なぁ、凜子。あの人達……あれ、いない?」
春輝が一瞬目を離し、再び隊士達のいる方を見るとそこには既に誰もいなかった。姿を消した彼らに首を傾げると、凜子は春輝を怪訝そうに見る。
「春輝、大丈夫か?早く行こう。今日の夜にはホテルを出るのだから。」
「あぁ……分かった。(気のせい、だったのか?)」
春輝は辺りを見回しながらも凜子と共にアサギ達の方に向かうと、別の名所へと向かうのであったが、隊士達はそんな春輝達を監視するのであった。
そんな視線を春輝は感じていたが、振り向くと姿を消してしまう隊士達の事をアサギに中々話せずに悶々としながらも、春輝は最後の観光を楽しむ事にし、最後に設けられた自由時間ではゆきかぜ、きらら、アサギと観光する事になった。
一同はそれぞれ店を廻りながら3人と観光を楽しんでいた春輝。優しげに微笑んでいると、後ろで人とぶつかってしまった。
「おっとと。」
「あ、すみません。大丈夫ですか?」
「あぁ、これは失礼。なにぶん“目”が見えなくてね。時々人にぶつかってしまうのだよ。」
杖を片手に立ち上がろうとする盲目の男に春輝が手を貸して、ゆっくりと立ち上がらせる。
「それは大変ですね。けど、こんな人混みの中で大変じゃ?近くまで送りましょうか?」
「なに、慣れてしまえば大丈夫さ。では、私はこれで……。」
男は杖を片手にゆっくりと歩いていき、その姿を見送ってゆきかぜらの下に合流しようとした春輝は“異質な感覚”を感じて足を止め、先ほどの男の歩いていった方に振り返る。
しかし既に男はおらず、春輝は感じた感覚に眉間にシワを寄せる。
「(今のって、気のせいか?魔族……じゃないよな。)」
「お兄ちゃ~~ん!行くよ~~!」
「あぁ、今行く……。(気のせいなら良いんだが。)ん?」
「なに、あんた達?」
春輝は嫌な気配を感じながら、ゆきかぜらの下へと向かうと観光を続けることにした。その時、4人を囲むように現れた集団……天御剣の隊士達が現れたのであった。
◆◆◆
その頃、春輝とぶつかった男……天地 泉水は五重塔へと向かって歩いており、最上階に着くと人間とは思えない軽やかな身のこなしで五重塔の屋根に立つ。
「まもなくだな……ふっふっふっ……!」
怪しげに笑いながらも空を見上げる泉水は、顔を見上げて“その時”を待っていた……。
◆◆◆
そして、その頃……春輝はゆきかぜらと散策しようとした時に現れた集団、天御剣の隊士達に囲まれており、春輝とアサギは自然と彼らに警戒しつつ、ゆきかぜやきららを護るように立つ。
すると、隊士達の列の一部が間を開けると、そこから現れたのは春輝やきららと同い年の2人の少年であり、その内の1人を見て驚いた表情になって声を挙げた。
「勇斗!?」
「「「勇斗?」」」
勇斗を見て声を挙げたアサギに3人は首を傾げると、勇斗はアサギに向かって優しく微笑み返して、一礼をして来る。
「久しぶり、アサギ姉さん。そして初めまして、五車学園の生徒さん達。
俺は京都を守護する組織、“
「……その隊長さんが、何か用ですか?こっちは京都を観光している最中なんですが。」
「2日前の夜、この近くにある森で“何者”かが戦闘をした痕跡があり、それを調べたら“人間”と“魔族”の血痕が見つかり、それをこちらを調べた。それでも主だった魔族などからは当たらなかった……しかし、そこの金髪の彼と同じ毛髪が見つかった。
それで検索したら……確か、水城 春輝だったか。キミのモノと当たったよ。」
「「!?」」
「……それで?俺に何か用か?」
春輝がそう尋ねると、勇斗は腰に指していた対魔刀“暁”を抜いて春輝の首に刃を向け、ゆきかぜ、きらら、アサギはひどく焦ったように叫んだ。
「「お、お兄ちゃん/春輝!?」」
「勇斗!?あなた、彼に何を!?」
「彼を連行して取り調べます……これは既に総隊長からも許可を得ていますので、いくらアサギ姉さんが抗議しても無駄です。それに、この男は“普通”じゃない。
何か分からないが、その存在は野放しにはしておけない。大人しく着いてこい。」
「……もし、嫌だって言ったらどうする?」
「その時は申し訳ないが武力行使をさせてもらう。アサギ姉さんならともかく、一人前にもなってない“見習い風情”が“剣士”に勝てるか?俺の刀は、お前が知る剣使いの誰よりも速い。避けるのは不可能だ。」
そう言って刃を向ける勇斗に春輝は、ふぅ……と一息吐くとあっけからんとした様子で彼に言った。
「やってみるか?」
「なに?」
「あんたの刀と忍者の足、どっちが速いかやってみるか?もし俺が勝ったら見逃してくれないか?」
春輝の挑発とも取れる一言に周囲の隊士達は目付きを鋭くする。そして何より友人に対して宣戦布告とも取れる一言を言った春輝に蓮弥は睨み付ける。
「勇斗、そんな奴の戯言なんざ聞く必要ねぇよ!とっとと抑え「分かった。」って勇斗!?」
「俺の刀がお前に当たらなかったらお前の勝ち。今回のことは不問として総隊長に報告するさ。けど、もし俺の居合がお前に当たったら、大人しく着いてきて貰う……良いな?」
「分かった。それじゃあやるか。」
静かながらも張り詰めた空気が流れ、ゆきかぜ達や隊士達は固唾を飲んで結末を見守っていた。そして、1羽の雀が空に羽ばたいた瞬間に勇斗の居合が春輝に迫り、そして空を切り裂く。
勇斗の背後には春輝が立っていたが、その体や衣服には斬られた痕跡は無かったのだ。
春輝はスレッドらに襲われた時に覚悟を改め、相手の攻撃の流れが読めるようになり春輝は勇斗の居合をすり抜けて進むことが出来たのである。その事に春輝も驚いていたが、一番驚いていたのは勇斗であった。
「(俺の刀が……見切られた!?馬鹿な、いったいどうやって!?)お前、いったい何を!?」
「今回は俺の勝ちだな。約束通り帰らせて貰うぞ。」
春輝がそう言った瞬間、隊士達は刃を抜いて春輝たちを取り囲んだ。
「……約束と違くないか?俺の勝ちだろ。」
「確かにそうだな……だが、こちらも簡単に行かせるわけには行かないんだ。お前には否が応でも一緒に来て貰う!」
「……それなら、やるか?」
春輝が勇斗と睨み合い、ゆきかぜときららも構えを取り、アサギはどうなるのかと見ていた。その時、突然地震が起こり始めたのだ。
「なっ!!?じ、地震!?」
「う、嘘!?大きい!!」
「どうなってるの!?」
「っ!?危ない!!」
何かを感じ取った春輝が咄嗟に分身を出してアサギ達に飛び掛かり、伏せた瞬間に大地が割けて巨大な火柱が噴き出した。
「「「「!?」」」」
「なんだこれは!?」
「何が起きてる……!!」
春輝達が現状に戸惑う中、京都の五重塔の屋根に立つ泉水は楽しげに笑っていた。
彼の眼前には五重塔を中心に燃え上がる炎がまるで“逆五芒星”のように燃えており、それがまるで見えるかのように感じていた泉水は楽しげであった。
「ハハハハハッ!!ハーハハハッハッ!!燃えろ!!燃えるがいい京の都よ!!燃えてしまえ!!ハハハハハッ!!」
泉水はそう高らかに笑うのであった……。
天池 泉水、奴の目的とは!?
次回!!
「京都崩壊。」
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