※この作品はR-18です。

(オレの神経をすり減らす)最強で最高の仲間たち!   作:和音(わお)クロカ

2 / 2
ep.2 仲間外れにしないで

 凡人なオレは、自分自身がかわいらしいエルフに転生するとは思ってもみなかったし、友人兼親友にめちゃくちゃに抱かれるとは想像すらしていなかった。いや、カナトはオレが男だった時でもスキンシップは多かったけれども、挨拶とともに肩に触れたりしてきただけだから、オレに対してそういう欲望があるとは思わなかったのだ。扱いに困るほどの大きくて深すぎる欲望があるとは――。

 

 この世界の女神様がオレたち四人――カナトにカナミ、オレとチユ――を転生させたのだと、転生させられたその日にカナトから(なぜか背後からぎゅうぎゅうに抱きしめられながら)説明されてはいるが、なにを思って転生させたのかはいまだに解らないままだ。カナトたちなら知っているのだろうが、オレにはその説明はないままだからな。本当は殴ってでも聞くべきなんだろうが、反撃が怖いから聞かないままである。オレの犠牲が高いのは嫌でござるし、いまはいまで楽しいから、細かいことは気にしないに限るわけだ。

 

 異世界転生系の話によくあった赤ん坊に生まれ変わるのではなく、三歳くらいの幼児になっていたのはカナトたっての希望らしい。どういうことなんだと問い質して解ったことは、リューちゃんと話がしたいし抱きしめたいからという、なんともしょうもない理由だった。

 

 ここにきてやっと抱きしめられながら話を聞くことになった経緯が解ったのだが、えへえへ恥ずかしそうに笑いながら言われたので、直後はは? はい? は? とクエスチョンマークがたくさん浮かんだ。なにを言っているんだコイツはと呆れたのは、たくさんあったクエスチョンマークが消えたあとである。成長したら話せるというのに、お前が気にするところはそこなのかと思ってしまったんだよ。まあ、カナトたち三人は天使な見た目すぎたから見ていて飽きなかったし、癒されまくっていたわけだけれども。特に小さな頃は。オレはなあ、かわいらしくも愛らしい見た目ではあったけどさあ、中身はオレだぞ? 前世からの美形や美少女たちに比べたら、いいところなんかなしだから。カナトたちの身内贔屓が酷いだけで。

 

 そういうわけで、転生したのはまあいいとしてもね、不満がひとつだけあったりするんだよね。差がありすぎるのはいかがなものかという不満が。――前世でもいいところに生まれていたカナトたちを、今世でもいいところの子どもにするとはどういうことなんだ。男爵家に生まれたオレたちが、公爵家に生まれたカナトたちに敵うはずもなかろう。聳え立つ厳格な家格階級に勝てると思うなよ?

 

 つまるところ、前世では鈴野(すずの)龍一(りゅういち)という名の名前負け凡人野郎であったオレことマリュー・リリーベリーという名の金髪碧眼エルフは、前世では冴原(さえばら)奏斗(かなと)という名のイケメン御曹司だったカナト・エルム・マグノリアという名の銀髪碧眼エルフの玩具となっているのである。その名が表すとおりに、淫紋をつけられた性玩具だから! 押し倒される回数の多いこと多いこと! それも悲しいことに、飽きたら捨てられる可能性が高い玩具でもあった。コイツがいまも昔も異様にモテていることはこの目でもってしてよく解っているので、カナトが気に入るような素敵な人が現れたら、オレなど用済みポイ捨てだろう。まあね、カナトにはモテる要素しかないからね。モテることは自然の摂理だけれどもね。

 

 中性的な美貌だけでもモテる可能性は高いというのに! 銀髪碧眼、百八十は軽くあるであろう高い背と長い手足、余分な筋肉のない整った美しくも艶かしい体躯、柔らかな言葉遣い、チート持ちかつ魔力が底なしで魔法が強いとくればモテないはずがない。思考回路と性的欲求はおかしすぎるが、見た目だけなら一級品だろう。格好よすぎて見惚れてしまうのも解るくらいに。いたるところで視線の塊だっていうのは知っているんだからな。ユグドラータでも帝国でもクランでも、内外問わずに。

 

 黙っていれば一種の芸術品のような姿形であるのに対し、口を開けばリューちゃんリューちゃんかわいいかわいい、好き好き、大好き、愛しているよとうるさいうるさい。抱きついてきてはアホみたいに頬を擦り寄せてくるし、平然と人前でキスだってしてくる。人前で抱きしめられたりキスをされたオレは恥ずかしくてどうしようもないというのに。そうだよ、百年ちょっと生きてきても、恥ずかしいものは恥ずかしいんだよ。どうしてそう意地の悪いことをしてくるのかがいまだに解らないくらいなんだからな。オレを羞恥に溺れさせては楽しんでいるとしか思えない。ん? ああ、そうか! カナトは根性がくそな意地悪だったのか。いま理解した。なんて奴だ。

 

 そんな意地悪大好きなカナトには双子の妹であるカナミ――前世では冴原(さえばら)香奈実(かなみ)という名だ――がおり、カナミはカナミで銀髪碧眼なお嬢様お嬢様な見た目をしている。さすが公爵令嬢。気品溢れる中でも、可憐さも失われていない。胸の大きさは大きめなようだが、背は百六十五はある(と思う。絶対にある)オレよりも少し高いから、百七十はあるであろうか。カナトと同じく、こちらもチート持ちかつ魔力が底なし魔法が強いという勝ち組だ。羨ましい以外の感想がないよね。

 

 ちなみに、カナトとカナミは前世からの双子の兄妹である。顔もそうだが、前世からお互いに似ているところもあった。特に性格というのか、考え方がそっくりなところがある。本人たちは似ていないと言ってはいるが、その言葉だって揃っているんだから仲がよい。好き嫌いや趣味なんかでも違うところも多いけれども、二人ともにオレが作る料理や菓子が好きなようなのだから、舌の好みは似通っていると思われた。前世を含めて一段も二段も上の美味しいものを食べているカナトたちの舌に、オレの平凡料理や菓子が合うのが不思議でならないのだが、美味しいやおかわりと言われるのは嬉しいので乞われるまま作り続けていたりもする。単純なんだよオレもさ。

 

 エルフの国であるユグドラータ王国の王族は、銀の髪と青い目――青が深くて濃いという夜の闇に似ている色を受け継いでいるので、カナトたちも銀の髪と青い目――青灰の瞳を持っているというわけだ。エルフの中でも内在魔力が格段に高いという証である。オレと妹のチユ――前世では鈴野(すずの)千由(ちゆ)という名である――は王族の関係者ではないので、その他大勢のエルフと同じような金髪碧眼――海を思わせるような色というだけだ。転生者だからなのか、髪の色だけは金色金色な金色ではなく、白に近い金色という違いはあるが。

 

 一緒に転生した関係からか、今世はオレたちも双子ということになったようだが、前世のオレとチユはいとこであり妹という関係であった。チユの両親はチユが生まれてすぐに事故で亡くなったようなので、姉であるオレの母が引き取ったのだ。中学に上がってすぐの頃にそう説明された。妹といっても、生まれた年は同じなので年齢は変わらなかったのだが。それでもチユは、先に生まれたオレを兄さんと呼んで慕ってくれていたっけ。オレはオレで、美少女に慕われて役得だなあと思いながらにこにこしながら過ごしていましたよ。それ以上の疚しい感情は持っていなかったけれども。なにより、血が繋がらなくとも妹なわけだし。それに凡人と美少女は釣り合わないからな。

 

 前世ではオレの方が高かったのに、今世ではチユにあっさりと背を抜かれてしまっている。チユの方がカナミより少しだけ高い。胸はチユもそれなりの大きさがあるであろうがね。色々あって仲間になった魔族のキューハルさんだってプロポーション抜群でカナトと同じような背丈だし、パーティー全体の身長が高い方だからか、オレはちんまり低身長に見られている。前世と同じくらいに百六十五はあるのになぁ! あったりするのになぁ! オレが勝てるのはチュキ――子どもなドラゴンだけだ。人化をしてもしていなくとも、勝てるのはチュキだけなのだ。

 

 前世でのカナトたちとオレたちは、八歳からのおつき合いである。近所の豪邸――お屋敷に引っ越してきたカナトたちが、引っ越しの挨拶に来たことに始まる。元々カナトの母親とオレの母親が学生時代の友人であったので、家族ぐるみのおつき合いに発展するのにそう時間はかからなかった。いつからかはもう覚えていないが、家族旅行も一緒にしている。といっても、誘われるままカナトたちの行く場所に連れられていくと言う方が正しい。誘ったのだからと旅行代も半分出してくれて。その半分も、毎回毎回必要ないからと母さんが固辞しているのだが、カナトの母さんが泣きそうな顔になると困った顔をして話し合いになっては最終的には出してもらう形となっていたのだった。母さん曰く、どう頑張って説得を試みても、カナトの母さんの「私はみんなと一緒に行きたいの!」という思いを砕けないようだ。泣きそうな顔になられると弱いらしい。カナトの母さんは儚げな美少女そのものだからな。見た目は。中身は結構頑固だけれども。

 

 そんな風に大学一回生の夏休みまで――転生するまでずっと続いていた時間は、転生してからさらなる時間を刻み続けている。

 

 なんといっても、オレたちは長寿種のエルフに生まれ変わったのだから――。

 

 エルフにとっては三日三晩など瞬きのようなものらしいのだが、恐ろしいものは恐ろしいからね。マジで恐ろしいからね。有言実行で本当に三日三晩抱かれてしまったんだよぉ! 激しく抱かれまくったオレは今現在、精も根も尽き果てていた。躯がだるいし喉も痛い。動きたくない。なにが恐ろしいって、抱き潰されるとはいっても、なんだかんだで手加減をされていたことに気づかされたのが怖い。

 

 変態くそエルフの性欲ヤバすぎだろ怖い怖すぎると心の中で震えながら壁を眺めていたら、銀色の髪がはらはらと目の前に落ちてくるのと同じくして温もりを感じる。カナトが「リューちゃん大丈夫ー?」と明るい声とともに袖を通しただけの彼シャツ姿のオレを抱きしめ直してきたからだ。

 

「い゛ま゛だぎじめ゛る゛の゛や゛め゛でぐれ゛」

 

 んんっ、声が限界以上におかしくなっているな……。掠れに掠れているし濁音だし。回復回復っと。

 

「はー……」

 

 一息ついてからよっこらせと背後にいるカナトに向き直ると、睨むと同時に一発殴っておく。察知して腕の力を緩めてくれたのは誉めてやるけどなあ、お前だけ元気があり余っているのが解せないんだよ。躯中にこれでもかとキスマークをつけやがってよお! 胸元と内腿が酷いことになっていそうでも、見る勇気がないんだぞ!

 

「リューちゃん痛いよー」

 

 酷いぃとオレを抱きしめて泣くのはなんでだ。哭かされまくって泣きたいのはオレの方なんだぞ。解っているのかくそ野郎。ちなみに、腹を殴りましたからね? オレであっても顔だけは殴れないから。平手打ちも出来そうにありませんわ。この世でカナトの顔をぶん殴ったりどうこう出来る奴なんて、カナミくらいしかいないであろう。

 

「うるせえ。泣きたいのはオレだっつの」

「渋い顔をするリューちゃんもかわいいなあ」

 

 引き剥がそうと頑張るが、微動だにしない。頬擦りもウザいですわ。カナト曰く、オレはいい匂いがするようで、二人きりの時は事あるごとにくんかくんか嗅がれている。髪も含めて全身をくまなく嗅がれている。人が動けないのをいいことになぁ……! 人目がある場所であっても我慢が出来ていないようなのか、抱きしめながらも髪や首筋をくんかくんかしてくる時があるが、別にオレでなくとも、カナトたちだっていい匂いがしているのにね。匂いの種類というのか、違いはあるけれどもさ。

 

「こらぁっ、どこの匂いを嗅いでるんだよぉ……!」

「どこって、乳房の間だけど?」

「やぅっ!? ちょっ、舐めるなよぉ! おいっ、離さないとまた殴るからな?」

「いくらでも殴らせてあげるから、もう少し嗅がせてよ」

「変態……。あと少しだけだからな」

 

 いつの間に体勢を変えて胸の間に顔を埋めていたのやら。もーと声を出すのは、頭をポンポン叩いてくる手が心地よいからではない。この温もりが心地よいからではないんだからな。変態が怖いからだぞ。

 

 そのままちゅっちゅっと胸の間の肌を何度が吸って満たされたのか、カナトは上機嫌な息を吐くとオレを離した。満たされてよござんした。

 

 頬を撫でてくるまま身を任せていると、強い眠気に襲われる。細められたままの青灰の瞳とかち合えば「疲れた。寝る……」と小さく吐き出す。あれだけ抱かれれば疲れるわな。

 

「うん。おやすみリューちゃん」

 

 頬にキスをしたカナトにふたたび頭を撫でられながら、目を閉じる。宝石のように美しく煌めく青灰の瞳を瞼(まぶた)の裏に感じながら。そこまで凝視してもなにも出ないからやめようなカナトくん! オレが恥ずかしいだけだからなぁ!

 

 胸の内で羞恥心と戦っていても難なく眠りに落ちていたようであり、次に目を覚ますと、なんとカナトの代わりにチュキがいた。起き上がるときに一瞬手で潰してしまったので「おわっ! 悪いチュキ、大丈夫か?」と慌てて掬い上げた形となっている。ムニュッとしたから驚いたわ。何事かと思ったわ。潰されたチュキが「ふぎゅっ!?」と驚いた声を出したから解っただけで。

 

「チュキは平気だよー。マリューおはよう!」

「うん。おはよう」

 

 ぽわわっとした癒されるチュキの元気のよい挨拶に笑みを返すと、チュキは金色の目を輝かせる。キラキラ煌めく様はカナトと似ているが、似て非なるものだ。純粋な好意の塊と欲望駄々漏れでは全然違うのですよ、カナトさん。

 

「あのねあのねーっ、チュキはねっ、マリューが起きるの待ってたんだー。チュキねー、頑張ったからマリューに誉めてほしかったのー!」

「そうなのか。待たせて悪かったなあ。それでチュキはなにを頑張ったんだ?」

 

 チュキの頭を撫でながら膝の上に乗せつつ問うと、んふーと機嫌よく胸を張る。なんとも得意げに。聞いて! 聞いて! いますぐに聞いて! とも言いたげな姿に、かわいいなあ、癒されるわあと思っていると、「チュキはねー」と続けていく。

 

「みんなとお薬運んだんだよぉ!」

「……おんん……?」

 

 えっ? なんだって? どういうことだ? オレは知らないんだけども、また仲間外れにされたということなのか、これは?

 

「そのみんなっていうのは、カナトとカナミとチユとキューハルさんかな?」

「そうだよー」

 

 パタタと背中の羽根をはためかせる、怪獣ぬいぐるみのような見た目の小さな子ドラゴン。ふたたび得意げに胸を張ったが、オレの頭と心は絶賛混乱中である。

 

 あるぇ? やっぱり仲間外れにされとるやんけ。意味が解らないんだけれども? オレは要らない子なのかな?

 

「そうなんだ。チュキは頑張ったなあ」

 

 悲しみを堪えて、いいこいいこと頭を撫でてやると、チュキは「んへへ~」と喜色満面で尻尾をパタタと左右に振る。ドラゴンでなくて犬なのかな? 大きさでいうとオレの膝より少し低い。色でいえば、濃いめのサーモンピンクだろうか。火竜らしいので。火竜のイメージに多くある赤茶色ではないのは、成長するにつれて鱗が強化してくると同時に色が変わってくるからだとカナトから聞いている。物知りだよなあ、本当に。

 

 何度か頭や背中を撫でると満足したのか、チュキは「マリューにいっぱい誉められたー」ときゃっきゃっと笑ったかと思えば、「チュキ、キューハルのところに戻るね~」と消えていく。チュキだって教えられた転移陣を使いこなしているというのに、オレはいまだに半径三メートル以内でないと転移出来ない。……悲しい。

 

「は、はは……っ」

 

 乾いた笑いしか出ないわ。子ドラゴンのチュキだってちゃんとパーティーに貢献しているというのに、チュキより大きなオレがハブられるなんておかしいだろ。おかしいよな? カナトたちはそんなにオレのことが嫌いなのか。用があるのはオレが作る料理や菓子だけで、オレ自身は必要ないというのか! 淫紋はただただ辱しめて恥ずかしめるためにつけたんだな!? そうなんだな!? 感度を上げられて哭くしか出来ないオレを心の中では笑っていたんだなぁ!?

 

 やっぱりそうだったんだ……。大好きだとか愛しているだとか言っていても、性欲処理の為の雰囲気作りでしかなかったんだ……。オレが思っていたとおりに! そうだよなあ、そうなんだよなあ……。素晴らしすぎる能力を使いこなせないオレなんて、オレ以外が好きになるはずがないんだよぉ。カナトだって溜まったところに女エルフになったオレがいたから、ちょうどいいと手を出しただけなんだ。ほら、友人だからさあ、いざとなれば言いくるめることが可能だろ? 友人の情でもって特殊プレイだってやれるしなあ! 現に手枷や足枷、胸を使われたことは何度もあるし! 鞭とかはないけど。本格的なSMプレイはいまのところはないけれどもっ。

 

 ――決めた。そっちがその気なのなら、オレだってパーティーを抜けてやらあ! 要らない子ならいる必要がないだろうしなあ! 性欲処理をしたいのなら他にも選び放題なわけだしな! パーティーには大事な報連相だってオレにはないみたいだしさぁっ! みんなしてなんなんだよもうっっ!

 

 怒りの中で着替えを終わらせ、ローブマント姿で階段を降りる。杖という武器を片手にして。

 

 なんか受付から慌てたような声が聞こえるが無視しつつクランの玄関を乱暴に開けて外に出ると、冒険者ギルドへと向かう。大股で。金銭管理はカナトに任せているからオレの手持ちは少ないのだが、これからは自らの手で稼がなければならないだろう。頑張らないとな!

 

 薄闇に染まる空の下、ギルドのドアを開けて中へ入ると、思い切り注目を浴びた。フードを被っていないからである。自分自身がかわいらしい外見をしているのは解っているのだが、ユグドラータにはこの手の見た目の者はたくさんいる。というか、カナミだってチユだってキューハルさんだって魅力的だからな。魅力的すぎて困るんだからな。人化したチュキなんてオレたちのアイドルなんだからな。だから出掛ける時にオレだけフードを被る必要性がないのだが、いちいち被らされるんだよ、カナトの手によって。パーティーを抜けたいまはわざわざ守る必要もないから、被らないだけだ。

 

 ないのだが、居心地の悪さにそそくさと掲示板前に立てば、「おぅぇえぇえっ! ちょっ、はっ!? なんでいるんだ!?」と慌てたような声が聞こえた。うるさいなあと視線を遣ると、そこにいたのはクラン内ナンバー3である『女神の剣(メシア・ソード)』の面々だった。併設された食堂で飲んでいたらしい。先程驚いたような声を出していたリーダーの男が、なにやらあわあわしたまま――足を縺(もつ)れさせながら近づいてくる。いや、そんなに慌てなくてもいいから。慌てたままだとテーブルに戻した木製ジョッキがひっくり返りそうなんだけれども。大丈夫かね?

 

「こんちにはー」

「こんちにはじゃない! なんでこんなところにいるんだ! カナトはどうしたんだ!?」

「カナトとケンカでもしたの?」

 

 リーダーの男に怒られている間に他のメンバーも青い顔をしてやって来たが、そこまで慌てる必要はないだろうに。オレとカナトは友人兼親友同士であって、恋人でも夫婦でもないわけだし一緒にいる意味はない。だから一緒にいなくとも、おかしいところなんてないだろ?

 

「オレがひとりでいることが悪いと言うんですか!? オレはカナトがいなくてもちゃんとやっていけますからねっ! そもそもっ、オレとカナトは一緒にいる必要はないんですー」

「――いや、ケンカはしてないよ。俺がちょっとリューちゃんを怒らせちゃっただけだから」

 

 だからカナトなんて知らない! と続けて口を開こうとしたとき、背後から強く抱きしめられてしまい、開いた口がそのままだ。

 

「ぅえっ!? カナトなんでっ」

 

 なんでいるんだと声を荒(あら)らげると、「なんでって、リューちゃんがいなくなったからでしょ」と嘆息を吐かれた。フードを被せられると同じくして。

 

「ほら、帰るよ。俺以外の男がたくさんいる場所に来る必要はないんだから」

「オレはパーティーを抜けたんだから、カナトの指図は受けないっ」

「――ん?」

 

 フードをとるとカナトを突き飛ばして、掲示板へと向き直る。痛がりもせずに緩く首を傾げた姿が視界の端に映ったが、それは数秒間の出来事だった。「言っている意味がよく解らないんだけど?」と、今度は強く腕を引いてきたのだから。「やめろっ」とその腕を払い除けたのは、掴まえる意味が解らないからだ。オレはパーティーには必要ないというのに、どうして掴まえようとするんだ。

 

「リューちゃん? どうしたの?」

 

 カナトもカナトで意味が解らないと言いたげな声でふたたび腕を伸ばしてくるが、その腕も「触るな!」と弾く。強い拒絶を示したのだが、呆気なく手首を捕られてしまい驚いた。オレが思っているよりも遥かに素早く簡単だったのだから。これがチートの本質なのか。オレが至ることのない力なのか。なんだよそれ。なんなんだよ。オレがいくら追いかけても、みんなはさらに遠くに行ってしまうんだ。

 

 湧き上がる焦りとやるせなさに思わず動きを止めてしまうと、先程とは比べられないほどの強さでもって引き寄せられ、腕の中へと閉じ込められてしまう。こうなってしまえば、オレの力では抜け出せないのだからどうしようもない。

 

「っぅ……、手首折る気かよ……!」

「話し合う気がなさそうなんだから、仕方がないよね?」

「そうだよっ、そのとおりであって、話し合う気なんかないんだよ……! 性欲処理係と仲間外れにするくらい嫌われているんだからっ、話なんてあるはずもないしっ、パーティーにもオレの居場所なんかないんだろ! なら初めから入れるなよっ! カナトとカナミとチユとチュキとキューハルさんで仲良くやってればいいんだっ! 淫紋をつけてまで弄んで楽しかったよな!? よかったなあ、楽しくて! でもな、オレはもうパーティーを抜けるんだから、今度から他を当たってくれよ?」

 

 引き剥がすように腕を伸ばしながらという不恰好なまま、心から叫ぶ。途中からはもう涙が止まらなかった。パーティーに貢献したいのに、全然出来ないオレの気持ちなんて他のメンバーには解らないだろう。カナトに抱き潰される度、自分の役割は性欲処理係しかないのだと突きつけられる虚しさはオレにしか解らない。そしてその関係でも――恋人でも夫婦でもないのにわざわざずっと一緒にいる性欲処理係という関係でも、カナトの性欲につき合えるのなら、オレでなくてもいいことに気がついた。誰だっていいんだ。カナトにはどんな人でも選べる力があるんだから。オレだけを選ぶ理由なんて、なにもないのだから――。

 

「う゛ぅ゛ぅ゛っ……! オ゛レ゛だっでぇっ゛! ぢゃ゛んどっ、バーディ゛ーの゛、や゛ぐに゛っ゛、だぢだい゛の゛に゛ぃ゛っ゛……!」

 

 一緒に歩きたいから頑張っているのに、全然追いつけない。いままでにあった差がさらに開いていくだけなのだ。先を行ってしまうみんなの背中を追いたくても、オレだけはその背中さえ見えない。足元だって解らないままだ。

 

 ――そんな自分がやるせなくて、歯痒くて、情けなくて、悔しくて、惨めで、恥ずかしくて、悲しい。役立たずなのは嫌だ。嫌なんだよ。嫌なのに、オレはなにも出来ないままなんだ。生まれ変わっても凡人のままなのはオレだけ。前世からなにも変わっていないのはオレだけなんだ。

 

 わんわん泣きながら内に溜まっていたドロドロな感情を吐き出すと、カナトは「リューちゃんの考えは間違いだらけだよ」と困ったように笑う。「放っておくとすーぐに変な方向に考えるんだから。どうしてそう悪い方向に考えるんだろうねえ。思い込みの激しさだけは昔から変わらないんだからさあ」と苦笑しながら大きな手でオレの頬を挟んで、そっと目元に口づけてから唇も重ねてくる。何度も何度も繰り返し、優しく。壊れ物を扱うかのように。

 

「な、んで、……なんで、いまっ、そんな、優しいキスを、してくるんだよぉ……っ」

「リューちゃんが泣いているからだし、リューちゃんを愛しているから」

「いつもいつも、勝手なことばかり、言いやがって」

「勝手なのはリューちゃんの方だからね。ひとり勝手に色々考えては落ち込むんだから放ってはおけないのに、一緒にいても悪い方向に考えるなんてお手上げだよ」

「そんなのっ、カナトたちが立派すぎるからだろぉっ! オレが劣りまくっているのが解りすぎてツライんだよっ」

 

 ふたたび情けなくぐずぐず泣き出したオレを見ながら、カナトは「そうでもないよ」なんて吐き出す。苦笑混じりに。

 

「リューちゃんが身内贔屓をしているだけで、立派でもなんでもない。俺の頭の中なんて、リューちゃんのことしかないんだよ。いつだって俺はただひとつを――一番大切な人が隣で笑ってくれるようにと必死になっているだけだからね。それでもリューちゃんが勘違いしまくりで泣くから、俺も泣きそうだよ」

「勘違いはっ、してないだろぉっ。ん、ぅっ!?」

 

 続きは聞かないからと言いたげにオレの唇を舐め上げたカナトは、ああもうと呆れたような溜め息を吐いてべちりと額を叩いてくる。

 

「しています。しまくっています。まずひとつ。リューちゃんは性欲処理係なんかじゃない」

「か、カナトに抱き潰されてるのは、事実だしっ」

「それはそうだよ。暴露したとおりに、俺はリューちゃんを愛してるいるんだから、当たり前だよね」

 

 ちょっと回復されたのか、すんすん鼻を啜るに落ち着く。カナトはオレを抱きしめて、触れたくなるのはリューちゃんだからだよと囁いてくる。我慢出来なくなるのはリューちゃんだけだと。声からして蕩けたような顔をしているのだろう。いやなんか、こうして抱きしめられる前にも切羽詰まった告白みたいな言葉は聞いたけれども、カナトは本気なんだろうか?

 

「カナトは、その……、本気でオレを好きなのか?」

「まだ疑われているのは正直嫌だけれどもね、俺はずっと愛してると言ってきてるけど?」

「んぇっ? 愛してるって本気だったのかお前!? えっ、本当の本当に……?」

「えっ? 初めてをもらう時だって、愛してるよってちゃんと言ったよね? それこそ誰にも渡したくないくらいに愛しているんだけども。淫紋だって俺の所有物――、つまり、『俺のものだから誰も手を出すな』と『誰であっても渡さない』という意味合いを持っているし。まあ、ね。正直に言うと、リューちゃんの乱れに乱れた姿が見たいという欲望もあるけれどね」

 

 気恥ずかしげに頬を掻くカナトに愕然とする。そんなにも熱い思いを抱いていたままなんて知らなかったし、淫紋にそんな意味があるなんて知らなかった。まったく解らなかった。

 

「た、確かに初めての時、マリューだけを愛しているよって微笑みながら言っていたけど……、その場の雰囲気かと思ってた……。お前ずっと大好きだとか愛してると言ってきても、うざいくらいベタベタ触ってる時だし、オっ、オレを羞恥で殺しにかかってるとばかり思ってた……。ベッドの中だって愛してるって言われてるけど、やっぱり雰囲気重視かと思ってたし……。い、淫紋だってっ、感度を上げて感じまくるオレの姿をニヤニヤ眺める為だけか、と、思ったんだよ……。だから……、だからオレはずっと、性欲処理係だとばかり、思ってた……。カナトは、根性がくそな、意地の悪い奴だと……ばかり……」

「リューちゃぁん、いくらなんでもそれはあんまりだよぉ。欲望に忠実ではあるけれど、俺はそこまで酷い男じゃないんだから考え直してほしいな。切実に」

 

 オレの背中を優しく撫でながら「俺までくそ野郎に改変されていれば、アプローチしまくっていても解らないはずだよねえ。堪えるなあ。悲しいなあ」とがっくりと肩を落とす気配のするカナトに対して、慌てて「ごめん、全然解ってなかった! 本当に悪かったっ!」と謝ると、「大丈夫大丈夫。これから解らせるからいいよ」と軽く頬を摘ままれる。「じっくりと――ね」と、頬をふにふにしたまま愉しそうに言われたものだから、躯が固まってしまう。じ、じっくりってなんだよ、お前ぇ。

 

「そ、それってさ、また三日三晩とか言わないよな……?」

「さあねえ。覚悟だけはしておいてよ。それにしても、俺をそこまでのくそ野郎だと思っていた割りには、よくつき合ってくれていたよねえ」

 

 本当にと、どこか呆れを滲ませながら小さく笑うが、まあ、優しい優しいリューちゃんなら、断る選択はないのかもしれないけれども――というカナトの言葉どおりである。友情を築く前なら拒絶していたり逃げ出したりしていただろうが、友情を築いてしまった後なのだからその情でもって仕方がないなあとなったのだ。溜まると大変なのは解っているし。

 

「うん……、いくらくそ野郎であっても、友人でもあり親友でもあるからな……、情に流されてたんだよ。溜まるとキツいしな」

「リューちゃんはその優しさをもっと自分に向けるといいよ。俺たちはリューちゃんがなにも出来ないなんて思ってないんだし」

「ん、ありがとう。気をつける」

 

 頬を擦り寄せられて気まずげに小さく笑い返すと、カナトはオレの髪を何度か撫でてから話を続けていく。

 

「はい話は変わるよ。ふたつめは仲間外れについて」

「そうだよ! なんで仲間外れにされてるわけ? ユグドラータでは一緒だっただろ?」

「とても簡単な話だよ。リューちゃんが盾役として、自分自身を犠牲にするからね。ゲームと同じようにさあ」

 

 それのなにがいけないのかとカナトを眺めていると、「あのね」とふたたびぺちりと額を叩かれた。ここでも呆れられるなんて、どういうことだろうか。オレはどこも間違ってはいないだろうに。

 

「ゲームの中ならあくまでキャラクターの死だ。リセットも簡単に出来る。けれどもね、何度も死ぬ姿を見せられるのは堪えるんだよね。たとえゲームの中であっても。だから俺たちは課金に走ったんだよ。リューちゃんを盾役にしなくてもいいように。強くなったよ。――でもひとつだけ誤算があった」

「誤算?」

 

 なんだろうかとカナトを見ると、また頬を摘ままれた。苦笑して。

 

「俺たちが強くなった分だけ、リューちゃんはさらに自分を犠牲にした」

「追いつきたかった、から」

「負けず嫌いで思い込みの激しい性格をその時まで考慮し忘れていた俺たちは反省した。守るならば解らないようにしなければ――とね。そうしなければ、ずっと犠牲にすると思ったから。忠告しても聞かないことは解っていたし」

 

 思い当たることが多すぎて言葉にならない。カナトの言うゲームとは、みんなでプレイしていたVRMMO『エタニティ・ノヴァ』のことだろう。『新しい世界を闊歩しろ――。永遠を築け』という謳い文句のネットゲームは、カナトのお祖父さんの会社が出資している関係でクローズドβテストから参加していた。クローズドβテストとオープンβテストで提出したレポートを元に改修を経て、正式サービスが開始されてから三ヶ月ほど経ってのエルフ転生なので、その後どうなったかは知りようもないが。エルフはキャラクター作成では選ぶことが出来ないので、ゲームのキャラクターに転生したわけではないと言い添えておく。

 

「ユグドラータの冒険者活動はまだよかったよ。それまでに結界の範囲を広げられたし、強化したあとだから。危なげなものは駆逐したあとでもあるから、それほど危険な魔物はいないと解ってもいたしね。お膳立ては完璧だったから、リューちゃんも一緒に連れていくのになにも不安はなかった。ゲームと同じような戦い方であっても、我慢が出来た。――回復魔法を望んだのがそういう理由だから。リューちゃんが怪我をしても素早く治せるようにって」

 

 そこで一度言葉を切ると、ふたたび唇を重ねてくる。すぐに離されたが、その顔はくしゃくしゃだった。カナトが泣きそうな顔をするところなんて、初めて見た。

 

「帝国はダメなんだよね。治安はよいけどそれだけだから。結界は強化したけど、範囲は狭い。せいぜいが砦門までだ。干渉しようにも、雑多すぎて手が出せないんだよねえ。腹が立って仕方がないんだけど、打つ手なしなんだよ。町の外は結界の範囲外だから、心配で心配で不安で不安で仕方がないんだ。いくら結界特化であっても、俺たちはリューちゃんが自分を犠牲にする姿はもう見たくない。だからなにもさせない。リューちゃんがなんと言っても、嫌われようとも、俺たちは安全な場所に閉じ込める選択をする。何度だってする」

 

 言われた言葉の意味は理解出来る。オレが自分で撒いた種なのだと――。けれども、お願いだから、これ以上オレを除け者にするのはやめてくれ。オレだけを弾かないでくれ。置いていかれてしまうのはオレの戦い方が悪いのだと解っても、それでもみんなと一緒にいたいんだよ。――ひとりで待つのはもう嫌だよ。ひとり知らないままなのは嫌なんだよ。

 

「やだ! 嫌だぁ……! 戦い方は気をつけるからっ、オレも連れていってほしい。カナトたちの言うこともちゃんと聞くからぁ、これ以上オレのことを置いていかないでくれよぉ! 昔みたいにっ、一緒に連れてってよぉ……! お願いだからぁ……。ひとり知らないのはっ、ひとりで待つのはぁっ、もう嫌なんだよぉ……」

「俺から離れないのなら」

 

 強く強く抱きしめてくるカナトの声は掠れている。もう本当にオレのことを離したくないのだと言いたげに。痛いほどにまっすぐな思いだけが伝わってくる。

 

「――リューちゃんが俺から離れないのなら、一緒に行こうか」

「離れないっ! ちゃんと、カナトから離れないようにっ、行動するっ」

「なら、パーティーに戻ってきてくれる?」

「うん!」

 

 大きく頷くと、カナトはさらに力を込めて抱きしめてきた。リューちゃんリューちゃんだあだとか、泣きながらお願いされたら弱いよねえだとか、俺はリューちゃんにだけは敵わないからなあだとか、仕方がないなあだとかいう呟きの数々もエルフ耳はちゃんと拾ってくれている。性能がよすぎだろうが、この耳はさぁ! 中身が出そうなほど苦しいのに、恥ずかしい方が強くあるんだぞ。恥ずかしすぎてどうしようもないんだぞぉ!

 

「ぅ……、カナト苦しいぃ、から……、あと恥ずかしいぃ」

「リューちゃん――マリューお願い。お願いだから、二度と俺から離れないで。マリューがいないと解った時の絶望は言い表せなかったんだから……っ」

 

 震えた声に気がついたが、どうやらオレもオレでカナトを酷く傷つけていたようだ。普段とは違う呼ばれ方をされたことで、オレの行動がそこまで重大なものだったのだとようやく理解する。だってカナトが、二人きりの時以外にマリューなんて呼ぶから。主にベッドの上で呼ばれているというのに、いま、そんな呼び方をされるなんて思わなかった。――切ないほどの声で。

 

 もぞもぞ動いてなんとかカナトの額に自身の額を合わせると、カナトは不思議そうな顔をした。一拍置いて、どこか安心したような笑みを浮かべたが。そんなカナトの背中を苦しい中でも頑張って撫でてやると、さらに顔を綻ばせていく。

 

 やっぱりオレは、とてつもないほどの心配をさせていたようだ。

 

「カナト、心配かけてごめんな。仲直りしよう?」

「うん、そうだね。キスしようか。いますぐ早くキスしようか! ペロペロして!」

「ペロペロってなに言って、ん、っ……!? ちょっ、カナトっ」

 

 なに言ってるんだお前と言うよりも前に、カナトの舌が唇を這う。元気を取り戻すのが早すぎだし、考えを変えるのだって素早すぎるし、なによりも仲直りのキスというか、お前もうキスしようかと言いながらも顔中にちゅっちゅっとキスしまくってるだろ。唇だって舐められまくっているし、涙も拭えないとかなんだこれ。ここは外だぞ。うん? はて――……、外ぉ!? 外だったわ!

 

「お、おっ、オレはっ! 公共の場所で性欲処理だとかなんだとか叫んでいたのか! ――ということはなにか? オレは自らカナトにめちゃくちゃにされていることを暴露したのか? ここでぇっ!?」

 

 この、冒険者たちが集う場所で――。

 

 嘘だろ!? なんてことをしてしまったんだ!

 

 突きつけられた事実に瞬時に顔が熱くなる。いや、顔だけではなく、全身が熱い。頭も抱えたくなるがしかし、躯がうまく動いてくれないようだ。震えるしかないのだから。

 

「いや別に、俺がリューちゃんを抱き潰していることなんか、クランのみんなはとっくの昔に知ってるけど?」

「えっ? みんなって……、どういう意味だ? なにを言ってるんだ……?」

 

 解らないと首を傾げるオレを眺めたカナトは、かわいいかわいいと頬を擦り寄せてきた。解ったから続きを話せと睨むと、にこりと笑む。それはそれは柔らかな笑みを。――悪魔のような笑みを浮かべた。

 

「どうもなにも、そのまんまの意味だよ。みんなはみんなでしかない。下働きまで含めて全員ってこと」

「はい? え、それって……」

 

 さらりと言われ続けた衝撃内容に混乱するが、ちらりとナンバー3たる『女神の剣』の面々を見ると、気まずそうに視線を逸らされた。言われたことが正解なのだと物語っているかのように。

 

「ふぇ、ぁ、え……っ、えっ」

 

 なにも言えない。ただただ全身の血が沸騰するようなほどの熱さしかない。「ぁぅ、ぇえぇ……」と声にならない声を上げながらも、同時に涙がボロボロ溢れてくる。

 

 ――これからオレはクランの中でどんな顔をすればいいんだ。

 

 なんでカナトはそんなにいい笑顔をしたままなんだ。お前の行動の所為でオレはこんなにも恥ずかしい思いをしているというのにっっ!

 

「ぶぁーーーー!!!!」

 

 羞恥と腹立たしたがない交ぜになったまま杖を振り上げて目の前の男をボカスカ殴ると、「気が済んだ?」といい笑顔のまま問いかけられる。

 

「済んでるわけないだろ! なんで他人に性事情を知られなければならないんだよ!」

「『リューちゃんには手を出さない』というのが、クラン加入の条件のひとつだからねえ」

「ねえじゃない! 穏やかにわけの解らないことを言うな! おまっ、お前っ……! なんなんだその条件はぁ!」

 

 ふっさげんなお前っふざけんなぁと荒らげる声とともにふたたび杖でガンガン殴ると、「寝取られていいのは二次元だけだから」と言われる。ものすごく真剣な顔をして。確かに現実では胸糞でしかないけれども!

 

「ぐぅぅ……、カナトの言いたいことが解るから悔しい」

「でしょう?」

 

 一転してへらりと笑ってオレの顔に頬を擦り寄せ始めたカナトは、「リューちゃんがいない世界なんてつまらないから壊すだけだけど」と恐ろしい事を言いおった。それを出来そうな力があるのだからまた怖い。愛が深すぎて怖い。

 

「壊すなっての」

「リューちゃんが俺の隣にいてくれる間は壊さないよ」

「なんなんだよ、それ。やっぱりカナトの考えは解らないわ」

 

 オレには世界を命運にかけるような力なんてありませんってば。というか、また顔中にキスしてきてるのな。治癒されているのか、顔の火照りが消えていくからいいけど。

 

「言い合いしてたら疲れた。カナト帰るぞ。あ、でもその前に」

 

 ちょっと離してと抱きしめたままのカナトの胸を叩くが、「嫌だけど」と拒否される。「ちょっと話すだけだから。カナトお願い」と手を合わせるとようやく腕が緩んだ。渋々といった顔をするカナトの大きな手を引いて『女神の剣』の面々に向かって行く。顔色が悪いがどうしたんだろうか?

 

「ひとつ聞きたいことと言いたいことがありまして」

「あ、ああ、なんだ?」

「その……、こ、声は聞こえてませんよね?」

「声、とは?」

 

 リーダーの男の声に絞り出すように答えるが、リーダーは解らないようで目を瞬いた。言わないとダメなようだなこれは。恥ずかしいけれども。

 

「うー、あー……、あの、ですね、その……、あ、喘ぎ声……のこと、なんです、けど……」

 

 解らないのなら仕方がないなと、羞恥に堪えながら口を開くと、すぐさま隣から乾いた音がしたので、目を向ける。叩いたのか殴ったのかは解らないが、頬が真っ赤になっているんだが。なにをしたんだコイツ。

 

「な、なんだよカナト、どうした?」

「かわいすぎて理性が飛びかけたから軌道修正をしました」

「このドアホっ! 誰の所為でこんなことになっていると思ってるんだよ! 恥ずかしすぎて死にそうなんだぞオレはぁっ!」

「声は聞こえないようにしているに決まってるじゃない」

「そうだな! ――んえ?」

 

 いまなんて言った? 勢いでそうだなとは言ったけどもさあ、いまなんて言ったんだ?

 

「聞こえないようにしているから大丈夫だよ」

「それならいいや。安心した」

 

 やっぱりなんだかんだ言っていても、そういうところはちゃんと考えているんだなあ。そうだよな、カナトだって聞かれたくないだろうし、オレだって聞かれたくないからね!

 

「リューちゃんのかわいい声を聞いていいのは俺だけだからね。いままでのも録音済みだし、なんなら編集してまとめてるよね。いまは大好きが舌っ足らずになっていくのを聞いているんだけどねえ、本当にかわいい」

「……安心が消えた……」

 

 一瞬で崩壊したわ。なにをしているんだコイツは。本当の本当になにをしてくれやがるんだ!?

 

 すさまじい羞恥にまた顔が熱くなっていくのが自分でも解ったが、変態野郎に腰を抱き寄せられたのでついでに睨みつけてやった。この変態くそ野郎がと吐き出しながら。

 

「うんうん、リューちゃんに言われるまでもなく、俺はずっと変態紳士だから。で、言いたいことの方はなにかな? 俺にももちろん聞かせてくれるよね?」

 

 なんでいい笑顔で顔を近づけてくるんだ。近づいてくんなとぐいぐい押しながらも、口を開く。早く立ち去らなければ、さらなるダメージがありそうな気配ばかりするから。

 

「オレの性事情というわけの解らない変なことは心の中に留めて、これからもいままでどおりに接してほしい――って言いたかったのに、誰かさんの所為で台無しだから」

 

 躯を押したままでその誰かさんの足を二度三度と踏むと、カナトは「リューちゃんに足を踏まれるのは久しぶりだなあ」と感慨深げである。さらには嬉しそうな笑みを浮かべるのだから、意味が解らない。オレは足を踏みましたよね?

 

「なんで嬉しそうに笑うんだよ……。とうとうマゾヒズムを拗らせたのか?」

「そんなことあるわけがないから。俺はかわいがりたい側で、かわいがられたい側じゃないし。ほら、俺はベッドの外でも上でもリューちゃんに意地悪な事ばかりしているから、リューちゃんになら意地悪な事をし返されてもいいと思っているだけだよ。だからもっと踏んで?」

「踏まないから! つかお前ぇ、意地の悪いことをしている自覚があったのかよ!」

「そりゃあねえ、あるに決まっているでしょ。やってる本人だよ? 自覚がなかったら問題だらけのはずだからね」

「だったら、手枷も足枷もやめろっ。胸を使うのはいいとしても、首筋と内腿をめちゃくちゃに噛んでくるのとかはもうするなよ! キスマークだって、つけすぎるのは禁止にするからな!」

「お断りしまーす」

「なんでだよぉ!」

 

 その場で怒りを爆発させつつ地団駄を踏むオレを眺めてはあっはっはっは、リューちゃんはかわいいなあと大きな声で笑うカナト。おい、目に涙を溜めるくらいに笑うとはなんなんだ。こちらはさらに怒りが湧き上がってくるだけだというのに!

 

「てめえカナトこらあ、楽しそうに笑うな! 人の話を聞けってば!」

「聞いてるよー。早く帰ってみんなに顔を見せようねえ」

 

 おいこら、さらりと抱っこすんな! なんという卓越した手腕なんだよ。抱き上げられる違和感なんてなかったぞ、いま。

 

「自分で歩けるから下ろせって!」

「リューちゃんは二度と俺から離れないと誓ってくれたじゃない」

 

 ねえと笑んだ顔は朗らかだが、オレは抱っこしていいなんてひとことも言ってないだろ。してくれと頼んだことだってない。いつだってカナトがひょいひょいとオレを抱きかかえるだけであって!

 

「あれはこういう意味じゃないだろうが!」

「うん。そうだよ。でも俺がリューちゃんの温もりを感じたいから許してね?」

「解った。もう勝手にしろっ」

 

 なにを言っても離すことはないと解ったから、落ちないように首に腕を回すと、カナトは頬に唇を落としてきた。愛しているよとそう言って。

 

 外でするのはやめろ恥ずかしい!

 

 そう叫ぶと、カナトは柔らかな笑みだけを返してきた。蕩けた顔は心臓に悪いのです。

 

 くそエルフが! オレの心臓を弄ぶんじゃない!

 

 

 ◆◆◆

 

 

「――っ、ふー……、収まるところに収まったか」

「緊張しましたね……」

 

 クラン内トップスリーの位置にいる『女神の剣』の面々は次々に安堵の息を吐く。男三人と女ひとりの幼なじみ四人パーティーは緊張しかしなかったし、猥談を聞かされた身でもあるのだが、その内容を思い出さないようにしなければならない。さもなくば、近々生きてはいないだろう。

 

「あの殺気はいまだに慣れんな。そもそもあの殺気だった空気の中でも、マリューはよく普通に話しかけられるよな」

 

 盾役であるリーダーの男の言葉に、ローブマント姿の回復役の男が返す。

 

「不思議だったのでそれとなく聞いたことがあるのですが、クラン内は安心安全が保たれているので、なにもしていないようです。殺気を飛ばすにしても、パーティーメンバーはお互い結界を張り合っているようなので問題はないそうですね。といっても、チュキちゃんはよく解っていないようですが……。ただ、殺気を放つのはマリューさんに勘づかれないように最大限気をつけているとも言っていましたね。綿密な調節力と繊細さ、集中力が必要でしょうが、難なくこなすのが『精霊の聖騎士』のメンバーですかね。まあ、一番恐ろしいのはやはり、リーダーでありマグノリア公爵家の三男坊――カナト・エルム・マグノリアですが」

「そうだな。マリューがパーティーに戻らなかった場合、俺たち全員首を落とされていたかもな。それも同時に一瞬で」

「やっぱりあの男は化け物だよな、どう考えても」

 

 リーダーの言葉を継いで剣士の男が答えると、回復役は神妙に頷いた。

 

「ええ、怪物ですよ。そもそも、空間魔法をあれだけ使いこなせる者など、『精霊の聖騎士』以外にはそうそういやしませんよ」

「拠点製作を直に見た俺たちであっても、いまだに理解しきれていないからなあ……。あれは誰も真似が出来ないだろう。活動拠点とマジックバッグの恩恵は本当にありがたい」

「あとテントね!」

 

 またまたリーダーの言葉を継いだ弓役の女の言葉にテントなあと話が少しずつずれていくが、わいわい語り合う『女神の剣』に対して、他の冒険者たちは血の涙を流していた。

 

 野営には必須のテントだが、こと『精霊の戯れ』に所属するパーティーに渡されたテントやマジックバッグの性能は、他の追随を許さないほどの高性能さである。申請して許可されれば、家賃であっても武器・防具の購入・手入れの際にも補助金が出される。そんな至れり尽くせりなクランの恩恵や活動拠点も過ごしやすいという話が他の冒険者たちにも伝わっているというのに、活動拠点と変わらない生活がおくれるテントや許容量の多すぎるマジックバッグなど、羨ましいにもほどがある。王族さえも求めているというが、製作は制作者の気分次第だとされている品なのだ。冒険者内外に関係なく、喉から手が出るほどの逸品をタダ同然で渡されるなど、本当に運がよい。

 

「なあ、メンバー募集はいつあるんだ!?」

「残念だけれども、いまのところ募集はないわね。特に『精霊の聖騎士』は新規加入メンバーはとらないと公言しているし。私たちもね、クランマスターと副クランマスターに勝てるのなら見込みはありそうだというだけで、必ずメンバーにするとは限らないわ。私たちがクランに加入出来たのだって、ギルドからの口添えがあったからなのよね」

 

 他の冒険者から発せられた言葉に弓役は申し訳なさそうに答えるが、自分たちでどうこうできる問題ではないのだ。

 

「二人の地獄の特訓はきつかったなあ……。何回死んだっけか」

「やめろ! 思い出させるな!」

 

 剣士が遠い目をした言葉に、リーダーがこれでもかと叫ぶ。

 

 クランの加入にはクランマスターと副クランマスターはもちろんのこと、『精霊の聖騎士』リーダーに認められなければならないし、『女神の剣』の面々も他のパーティーたちも、これでもかとしごかれている。他ならぬ『精霊の聖騎士』のリーダーの提案で。だからこそ、帝都に名を馳せるまでに成長出来たのだ。

 

 いつか帝都に名を轟かせるという夢を掲げていたパーティーは、その夢を最短で叶えられたことは感謝している。しかし、『精霊の聖騎士』のリーダーに認められるということがどれだけ至難の技か身を持って知っているからこそ――まだまだ自分たちは認められていないのだと解っているからこそ、遠い目にしかならない。いや、自分たちだけではないだろう。クラン所属のパーティーにおいて、リーダー自ら厳選した『精霊の聖騎士』の右腕であるナンバー2『精霊の盾(ゲルニカ・スクトゥム)』以外では必ずマリューのひとことがあったようなのだ。

 

 ギルドからの口添えによりパーティーに会った時、マリューに「前衛も後衛もいるし、回復役もいるからバランスがいいなー。カナトはこういう素直なパーティー編成が好きだろ? オレも好きだし」と言われたからここにいる。リーダーの膝の上に座らされていたことにどきまぎしたが、他のパーティーメンバーがなにも気にしていないようなので、途中からはこういうものなのかと流していた。

 

 カナトはマリューの言葉に対して、「うんうん、好きだね。俺はリューちゃんのことが大好きだよ。愛しているからねー」と返したが、人前にもかかわらずにキスをし始めたものだからか、「ふざけんなアホ!」とボカスカ殴られている。かわいいかわいいと愉しそうに笑む姿に空気が凍ったのは自分たちしか知らないだろう。話し方は穏やかだが、冷酷で冷淡だと聞いていた人物像との激しい解離がそこにあったのだから。

 

 ――このパーティーリーダーは大丈夫なのかと思ったのが懐かしい。

 

 クランはマリューを守る為の要塞砦であるのだが、当のマリューはなにも知らないまま、泣き顔のパーティーメンバーにひしと抱きつかれて困り顔になっていたのだが――。

 

 クラン加入の話がないことを理解した他の冒険者たちは落胆しながらも散り散りになると、リーダーはパーティーメンバーを見渡した。

 

「お前たちはあの目を見たか?」

「ええ。つまらないと語る時のあの底冷えするような目のことですよね?」

「あれこそ死ぬかと思ったわよ」

「心臓が潰されかけたわ」

「ああ、俺も同じだ。何者をも拒絶する色を孕む瞳があれほど恐ろしいとはな……」

「冒険者をしていれば、世間に摩れて怒りや悲しみを持つ者を何度も見ることがあるのですがね」

 

 しかし、あの目は――狂気であり凶器となり得るほどの暗い色をしていた。いままでに見たことがないほどに。顔色ひとつ変えずに凶行に及ぶことが出来るであろう恐ろしい目だ。あの目が優しい蕩けた色を――とても慈しむ色を帯びているのは、愛しい人を前にした時だけだとまざまざと見せつけられた。

 

 カナト・エルム・マグノリア並びに『精霊の聖騎士』。彼らを敵に回すのだけはやめた方がよいと本能で悟るはクランに所属する者たちだ。愛らしいエルフただひとりの弱点に手を出せば、彼らは誰であろうとも牙を向いて蹂躙するだろう。死してなおさらに。それを理解していて手を出すというのなら、アホと呼ぶしかない。あるいは蛮勇とも呼ぶべきか。自ら死にに行きたいというのなら誰も止めはしないが、骨さえも残らない可能性が高いので、拾いにいく者はいないのかもしれない。

 

「マリューさんは本当に大変ですよね。怪物に捕らえられてしまって。まさか淫紋までつけられているとは思いませんでしたよ……」

「やりすぎだとは思うが、それほど手中に納めておきたいんだろうよ。なにがなんでも逃がしたくないわけだ。双方あれだけの恵まれた外見を持っていると、横恋慕や嫉妬で拗れることがひとつふたつはありそうなものだが、カナトが牽制している上にマリュー以外一切興味を示さないものだから平穏だよなあ。マリューの方も友人と親友ではあるわけだしな。まあ、今回の件でカナトの深い愛を知ったんだ。二人が結ばれる日は近いかもな」

「それがそうでもないわよ。カナトにおいては第(・)三(・)王(・)女(・)が(・)目(・)を(・)つ(・)け(・)て(・)い(・)る(・)と(・)い(・)う(・)話(・)も(・)あ(・)る(・)わけだし。どうやら一目惚れらしいわよ。あの見た目は確かに人を惹きつけて止まないけれどもね」

「いや、王族の前でマリューに怒られても――杖でぶん殴られても、リューちゃんリューちゃんとデレデレだったと騎士団の噂になっていただろうに。まあ、怒られた理由がベタベタ触れすぎたという、ものすごく情けないなものだったがな……。騎士団がカナト並びにパーティーを動かす為にマリューに接触を試みているが、カナト自身が嬉々としながら潰しにいっているぞ。この間なんか電流を浴びせていたな。「俺のマリューに汚い手で触れようとするなら、灰になるのがお似合いだねえ」とな」

「リーダーの物真似がうまいの初めて知ったからね。普段からあれだけベタベタしている姿があっても、諦めないのは第三王女だからとしか言えないわよね」

「あー」

 

 パーティーの面々はまた遠い目になる。頭を抱える関係者の姿が即座に目に浮かぶからだ。近衛は特に大変だろう。わがまま姫の相手をするのも。

 

「まあ、どうあれ、俺たちは俺たちのやるべきことをするだけだわな」

「そうね。今日もお疲れー」

「お疲れ様です」

「飲み直すか!」

 

 『女神の剣』の面々は、テーブルに置いたままの木製ジョッキに手をつけ直す。依頼を終えたあとの至福の一杯はやはり最高だ。

 

 なにかあっても対処はするであろうから、自分たちが心配する必要がないのだとして、安心して飲める。

 

 たとえクランに帰ってから、「君たちの記憶からリューちゃんの泣き顔は削除しておいてね? しないと除名処分だから」と、目だけは笑っていないとても圧のかかるよい笑顔で言われる可能性が高くとも、安らげる時間に安らがなくてどうするのかという話だ。

 

 今日も冒険者たちの夜は長くなるであろう。いまは夕方を迎える時間であっても、夜はこれから始まるのだから。そう、これから――。

 

 

 

 

 




【 あとがき 】

二話は長くなりましたー。
キリのいいところで切って三話に組み込もうかとも考えましたが、はて?これ、どこで切ったらええんや……?切りどころはどこや?解らんとなったのでそのまま(長いままで)投稿しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。