愛――それは誰しもが求める物。
親への愛、友達への愛、恋人への愛など様々あるでしょう。
私、カレン・C・オルテンシアはカルデアの皆さんに愛を知ってほしく、今日まで様々な方をおちょく――いえ、試してきましたが……どの方も私の愛に屈服するばかりです。
クーフーリンとお子様ギルガメッシュの恥ずかしい所を盗撮して、それを盾にパシリに行かせたりや、イシュタルさんの目の前で宝石をばら撒き、必死にかき集める姿を動画として残したりなどと、我ながら上々の出来ではないかと褒め称えたくなります。
ですが……そんな私の愛に屈服しなかった相手がいました。
それは数日前の出来事。
「今日は、誰をからか――げふんげふん、誰に愛を教えましょうか♪」
カルデアの廊下をスキップするように歩き、次の標的を探す。
現在向かっているのは食堂、あそこには多くの英霊達が集まるため、標的も探しやすい。
「昨日はイシュタルさんを狙いましたから、今日は同じ愛の女神でも狙っても面白いですね……ふふ……」
人によっては悪魔の笑みと言われそうな程に冷酷な笑みを浮かべ、食堂へと突き進む。
途中で英霊と何人かに化物を見るかのような目で見られましたが、そんな事は気にしません。
「(あの英霊の方々は、今度愛を教えてあげましょう……)」
新たな標的も見つかった所で、さらに気分を弾ませると、自然に歩く足も速くなる気がする。
気分を高揚させながら歩いていると、あっという間に食堂の前まで着いた。
今日やる事は決まっています。犬とお子様英雄王にやった通り、盗撮した物で脅してパシリにするというやり方です。
この方法で愛を教えると、一部の英霊達は泣き出してしまいますが……まぁ、必要な犠牲でした。
「さて、今日はどんな獲物がいるんでしょうか……?楽しみです……!いざッ!おーぷーんー!」
自動ドアが私を歓迎するように扉を開けてくれると、同時に食堂の中へとその一歩を踏み出した。
そこには、たくさんの英霊達が……が……が……?
まぶしい光の後、そこに見えたのはガラリとしている食堂だった。
「おかしいですね……今はお昼時のはず……」
首を傾げつつ、まずは食堂の長に話を聞くことにした。
注文のカウンターに行くと、一人だけ料理を盛り付けている食堂の長が出迎えた。
「おや……ようやく食堂の利用者が……っと、君か、カレン・オルテンシア……」
「カレン・C・オルテンシアです!それより何ですか、その残念そうな顔は……」
ため息でもついてしまいそうな程に疲れた表情で私を見つめる青年――エミヤに私もジト目で見つめ返すが、彼はそんな余裕も無いらしく、すぐに目線を逸らした。
「そんな事より、食堂が何故、こんなにも人が居ないんですか?」
「それは、私が聞きたいぐらいだ。まぁ、思い当たる節としては君が他のサーヴァント達にいたずらをし始めてから、一気に食堂がガラガラになった気がするが……」
「いたずらとは聞き捨てなりませんね、私がしているのは愛を教える行為。とても神々しく褒められるべき事なのです!」
至極当然の事を言うと、エミヤはため息をつきながら私に質問を返す。
「では聞くが……君に絡まれたサーヴァント達が度々泣きながら、デザートを運ばされているのはどういうことだ?」
「あれは、私に対しての感謝としてデザートという名のお布施を、泣いてしまう程に喜んで私に寄付をしているのです!」
「……物は言い様だな」
これも至極当然の事なのだが、エミヤは呆れたように深いため息をつく。
そして、もう話すことは無いと言わんばかりに、キッチンの奥へと歩きだした。
「待ちなさい、気が変わりました……貴方に愛というものを教えてあげましょう」
「結構だ……私は今忙しくてね、君に構っている暇はないんだ……」
吐き捨てるように言葉を投げると、私の説得も虚しく、エミヤはそそくさとキッチンの奥へと逃げてしまった。
聖骸布を使うという手もあったが、食堂の長であるエミヤを敵に回してしまうのは得策ではない。
他に誰か居ないか――
…………
……
「……本当に誰も居ないとは……」
念の為に目を凝らして食堂の席の隅々まで見る……が、誰も居ない。
いつもの様子とは様変わりした食堂に思わず唖然としてしまう。
「(誤算ですね……これでは、愛の伝導ができないではないですか……)」
食堂だけではなく、他の部屋に行けば獲物も見つかりそうだが、大豊作を期待しての食堂であっただけに、少し残念な気持ちだ。
無駄だろうが、もう一度だけ声を掛けてみることにした。
「はぁ……本当に誰も居ないんですか?」
『ほーい!ここに一人居ますよー!』
「なッ……!ど、どこ……?」
突然の声にあたふたしたが、慌てて声の主を探す。
先程見た時は居なかったはず……と思い、若干疑心暗鬼ながら声のする方へと足を進める。
すると、食堂の奥のさらに奥の席から元気よく手を振る人物が一人……居た。
その人物は全身に刺青が施してある青年……アヴェンジャー・アンリマユだった。
「(ふふ……まさかの収穫です……!獲物発見……です♪)」
上機嫌のまま、ポツンと席に座るアンリマユの席の対面に座ると、同じくアンリマユも上機嫌で口を開き始めた。
「よう!初めましてと言った方がいいのか?確か、アンタの名前は……うーんっと、カ……カ……」
「カレン・C・オルテンシアです。ご機嫌よう、アンリマユ……」
「そう、カレンだ!カレン!俺の事知ってたのか!いやー、そりゃあ嬉しいぜ……俺って中々マスターにレイシフトさせてもらえねぇから、カルデアの英霊の奴に覚えてもらえないんだよなー」
余程、嬉しかったのかアンリマユは顔を綻ばせつつ、会話を弾ませる。
「いやー、今日は食堂に誰も居なくてびっくりしちまってさ……一人ポツンと残されてて寂しくよ、そこにアンタが来てくれたんだからな!それだけで俺はアンタに感謝してる……!ありがとな!」
「そ、そうですか……それは、良かったですね……」
純粋無垢な笑みを浮かべ、アンリマユは感謝の言葉を自然と口にする。
これから弱みを握ってやろうと考えていただけに、勝手に感謝されたとはいえ、少し罪悪感が出てきてしまった。
とはいえ、せっかく見つけた獲物だ、絶対に逃したくない。
「(とはいえ、攻め方を誤ると面倒ですね……)」
アンリマユの性格上はコロッと騙せそうだが、油断は禁物。
ここでの会話で信頼関係を築き、そこから部屋まで尾行、そして盗撮という流れに持っていく。
「ところで、アンリマユはいつも一人なのですか?」
「まぁな……第一、俺の事を知らない奴が多いから、食堂に来ても一人で居るんだよなー」
先程まで上機嫌だったアンリマユの顔に少し陰が差す。
その様子にすかさず、言葉を差し込む――
「それは、何とも哀れな……ですが、ご安心ください。この私、愛の伝道師カレンが貴方に真の愛という物を教えてあげましょう!」
「真の愛ね……具体的に、何を教えてくれるんだ?」
「それは、貴方の部屋まで連れて行ってくれたら、教えて差し上げます……どうしますか?アンリマユ……?」
前まで使っていた常套手段で、アンリマユに微笑みかける。
恐らく、今この方法を使ったら9割以上の英霊に逃げられる方法だ。
それでも、どうにかして英霊をイジリ――たいのではなく、愛を皆に伝えたいという一心で行動をしている。
そんな私の思いが届いたのか、アンリマユは若干困惑しながらも口を開く。
「……俺には真の愛とかよく分かんねぇけど、俺の部屋に来る分には歓迎だ!」
再度機嫌を良くするアンリマユを後目に、しめしめ……と思う気持ちを何とか抑えつつ、アンリマユの手を握る。
「ふふ……それでは、早速行きましょうか……」
これでお膳立ては整い、後はアンリマユの弱みを握るだけ。
完全勝利、カレンちゃん!とこの時ばかりは思っていました。
でも、まさかあんな事になるとは、この時の自分は想像すらしていませんでした……
あの後、言葉通りに部屋まで案内をしてもらい、現在アンリマユの部屋の前だ。
最近は他人の部屋に入るということが無かったため、少し緊張する。
「それじゃ、ごゆっくり……」
先にアンリマユがドアが開けると、私もアンリマユに続いて部屋の中に入る。
パッと見た感じは他の英霊達と部屋自体は白い内装にベッドとシャワーとあまり変わらないが、一番驚いたのは私物らしき私物が無い事だ。
他の英霊達だったら、一つや二つは私物が部屋に置いてある物なのだが、見渡しても何一つ見当たらない。
「……案外、殺風景ですね」
「まぁ、俺がこの部屋自体あまり使ってないから、こうなるのは当然だよなー」
私の言葉を意にも介さず、アンリマユはぐったりとベッドの上に横たわった。
しかし、すぐに何かを思い出したのか、その身を起こす。
「そういえば、アンタに見せたい物があったんだった!」
「見せたい物……ですか?」
アンリマユは懐をまさぐると、玉のような物を取り出し、自身の手の上に乗せた。
見た目は白い何でもないただのボールだが、アンリマユは得意気に話を始める。
「これはダヴィンチから貰った物なんだが、何でもこれに火を点けてぶん投げると、でっけえ花火が見れるらしいんだよ!」
「ふーん……」
先程は気づかなかったが、よく見ると導火線が付いており、少しだけ中心部に切れ目があった。
アンリマユは花火というが、見た目は完全に爆弾の類だ。
「マスターに次、レイシフトさせてもらう時は、この玉ぶん投げて、花火を見てぇな……」
玉を抱えるように持ちながら、アンリマユは夢を語る様に話す。
その様子は、まるで幼い少年を見ているようで、どこか尊い物を感じた。
「その爆弾――じゃない……玉を少し見せてもらえませんか?」
「ああ!いいぜ!だが、慎重に触れよ?それは俺の宝物だからな?」
特に興味があった訳ではないが、少し気になったので玉を触らせてもらう事にした。
内心チョロいと思いつつ、アンリマユからその玉を受け取ろうとした――その時。
「あっ……手がすべっ――!」
「おい!何やって――!」
うっかり玉を受け取る際によそ見をしていたせいで、玉を上手く受け取れず、落下。
しまった……!と思った時には遅く、玉は地面へと一瞬にして着地し――割れた。
その瞬間――ボンッ!という音と共に、部屋全体にピンク色の煙が舞う。
「ゴホッ……!ゴホッ……!何ですか……ッ!?この、煙は……ッ!」
「知らねぇよ……ッ!ゴホッ……!俺は、花火って事しか聞いて……ゴホッ!」
私とアンリマユ、互いに玉の近くに居たせいで、大量の煙を吸い込んでしまったらしく、咳が止まらない。
何とか追加で煙を吸わないように口を覆っているが、それでも少量の煙は吸い込んでしまう。
「(くっ……これは、ダヴィンチにも愛を教えて差し上げなければいけないようですね……!)」
次の標的を考えながら、何とか気を保っていると、だんだん煙が収まってきた。
どうやら無限大に煙が放出されるわけでは無いらしく、割れた玉を見ても既に煙を流していなかった。
とはいえ油断は禁物と判断し、煙が完全に収まるまでは、口を覆い待つ。
5分後……ようやく煙が完全に無くなった。
うずくまる状態からの解放に思わず身体を伸ばしてしまう。
「ふぅ……ようやく、収まりましたね……」
「……あ、ああ……」
「アンリマユ?大丈夫ですか?」
声を掛けても、アンリマユは生返事しか返さない。
顔を見ると、少し顔が赤らめているのがよく分かる、それに足もフラフラとしておぼつかない感じだ。
様子のおかしいアンリマユを不思議そうに見ていると、急に身体が熱せられるように熱くなってきた。
熱いと言っても病気の類ではない、説明の付かないような身体の熱さだ。
「(心臓の鼓動が速い……身体が、火照る……さっき吸ってしまったのは、もしかして……媚薬……?)」
そんな推理をしている間にも、頭の思考はどんどんと鈍っていく。
「(胸が苦しい……目の前のアンリマユに抱き付きたい……)」
身体を襲う衝動を何とか押さえるが、すぐに限界になりそうだ。
自分でもおかしいと分かってはいる。しかし、自分の意志とは関係なく、性への衝動はどんどんと増大していく。
「カレン……今すぐ、ここから出た方がいい……」
私とは別の方向を向き、何かを嚙み殺すように言葉を紡ぐアンリマユは、拳を握りしめて、その衝動を押さえこんでいた。
アンリマユの言葉に本来は従うべきだろう、だが……今の自分の理性では、従うことが出来ない。
私の身体は突き動かされるようにアンリマユの元へと向かっていた。
「アンリマユ……こっちを向いて……」
「駄目だ……今は無理……ほんとにむ――んッ!?」
アンリマユの顔を強制的にこちらへ向かせると、勢いのまま、接吻した。
「ん――あんり……まゆ……!」
「……か、れん……ッ!」
動揺するアンリマユをよそに、私は積極的に接吻を行う。
少し抵抗するアンリマユをベッドに押し倒し、その行為を情熱的にする。
貪るような接吻にアンリマユは為す術がなく、ただ私の唇を受け入れるしかない。
「(何でしょう?この幸福感……アンリマユと唇を合わせているだけで、幸せ……)」
その幸福感を味わうためと、さらに深く唇を合わせる。
もっと!と思い、さらに続けようとしたとき――アンリマユは突然私を突き離した。
「……ッ!カレン、少し落ち着け……ッ!!」
「アンリマユ……?」
「アンタも分かっていると思うが、明らかにこれは、さっきの煙のせいでおかしくなっちまってる。アンタはそれでも俺と身体を重ねるつもりか?」
冷静に話すアンリマユだが、それでも煙の効果が切れたわけではなく、未だに顔を赤くして、息を荒くしている。
今の私にアンリマユの質問は愚問だ、今の私にこの気持ちを押さえれるわけがない。
「ええ……だって、貴方も抑えきれないでしょう?それに、私は愛の伝道師カレン……貴方に愛を教えて差し上げると申し上げたはず……」
「いいんだな……?」
「ええ、もちろん……来て、アンリマユ……」
崩れそうな理性を何とか保ちながら放った一言、それは紛れもなく本心からの言葉だった。
「さぁ……アンリマユ、まずは準備運動から、お願いします……」
「あ、ああ……」
股を開き、目を潤ませながら懇願するようにカレンは俺を誘惑する。
その言葉は踏ん切りのつかなかった俺の理性をいとも簡単に破壊した。
「(やっぱ駄目だ……俺もおかしくなっちまってる……だが、今更引っ込められねぇ……ッ!)」
葛藤を振り切ると、カレンのタイツ越しに秘部へと手を当てる。
「ぁ――んっ……」
上からなぞる様に秘部を触ると、カレンは身を仰け反らせながら、秘部をあっという間に濡らす。
性への知識はあるにはあったが、実際にやるとなると、ここまでの興奮と緊張をもたらすことに一種の喜びを感じた。
自分が行う行為によって、カレンがあんなにも快楽を得ている。
なるほど、これが一種の愛というものかと、とても実感を持てた気がする。
「そろそろ……んッ!イきそ、う……」
「いいぜ、存分に絶頂しちまえ……ッ!」
「もう、駄目……ッ!イッく――ッ!ッ……!」
優しくなぞっていた指を激しく動かし、カレンを絶頂へと導いていく。
必死に口元を押さえ、何とか声を抑えようとしているカレンの姿が実に愛おしく映る。
「んぁ……気持ちいい……」
小刻みに痙攣しつつ、絶頂するカレン。
そんな彼女を見ていると、余計に自分を抑えられそうになかった。
「ふ、ぅ……少し休憩をって……――きゃあッ!?」
いつの間にか俺の手はカレンを押し倒し、その目をギラつかせていた。
腰の布を脱ぎ捨てるように外し、信じられない程に勃起した男性器を露わにする。
そして、そのままの勢いでカレンのタイツも破いていく。
「アンリマユ……ッ!まだ、本番は待って……ッ!」
「すまん、それは聞けない願いだ……ッ!」
自分の前に露わになった女性器を見て、もう歯止めを聞かせるのは不可能だ。
性器をゆっくりと女性器の口へと向かわせ、そっと口に付けると――一気に押し入れた。
「あッ……ッ!入っ……た……ッ!待ってって、言ったのにぃ……ッ」
「くっ……ッ!動くぞ……!」
カレンは精一杯俺を睨みつけるが、怖さなど全く感じない。
むしろ、自分の嗜虐心を掻き立てる。
「(ヤバい……この気持ち良さ、癖になっちまいそうだ……ッ!)」
腰を動かす度に先程のようにカレンが嬌声を上げ、快楽を得て、表情を変化させる。
そして、自分自身も性器に伝わる快感を存分に味わうことが出来ている。
「はぁ……ッ!はぁ……ッ!さっきよりも……気持ちいい……ッ!もっと、来なさい……ッ!」
「言われなくても……ッ!やりますよっと……ッ!」
カレンの言葉に答える様に腰の動きを早くし、膣をえぐるように自分の性器を動かしていく。
やり過ぎかと思い、ふとカレンの表情を見るが――
「あ……ぅ……ッ!気持ちいい……!」
痛みを感じていない事に安堵しつつも、先程から来ている絶頂への兆しをどうすべきかと悩む。
「(サーヴァント同士とは言え、中に出しちまうのはまずいよな……)」
正直、今の状況で中に出したくないと言えば嘘になるが、そこは理性を働かせることにした。
カレンの表情を見ても、そろそろ達してしまうのは分かっている。
「はッ……!はッ……!アンリマユ、わたし……そろそろイキそう……ッ!」
「俺も……ッ!そろそろ射精しちまいそうだ……ッ!それと、中には出さな――んおッ!?」
俺の言葉を封殺するように、カレンは自身の唇を覆い被せる。
「か、かれ……ん――ッ!?」
「黙りなさい……ん……っ、貴方は大人しく接吻されながら射精すればいいの……」
「駄目だ……!それは一線を越えちまう……ッ!」
悪魔のように囁くカレンの言葉に惑わされまいと、何とか精神を保つが、次のカレンの言葉で、その意志は粉砕された。
「好きよ……アンリマユ……」
「ッ……!!」
カレンの甘く囁くような言葉、その一言で俺の身体は憑りつかれたように腰の動きを早くした。
「いい……ッ!もっと、もっと……!」
先程の「好き」という言葉は、もしかしたら勢いで言った物かもしれない、それでも一人の女にここまで自分を求められる喜びは計り知れない物があった。
復讐者――アヴェンジャーと裁定者――ルーラー
本来対極に位置するはずの者が、身体を重ね合っているという事実に少しばかり感動を覚えた。
「本当に後悔は無いな……ッ!?カレン……ッ!」
「は……い……ッ!出して……アンリマユ……」
「行くぞッ!ぐっ……ぅ……!」
息も途切れ途切れになったカレンの顔を拝みつつ、俺は思いっきりカレンの膣へと精液を出した。
「――ッ!!あ、あ……出てる……さっきより、きもひいよ……♡」
カレンはドクドクと精液を注がれていく感覚に顔を蕩けさせる。
その顔はとても満ち足りているようだった。
俺の心もどこか穏やかな気持ちになっていくようだ。もちろんこれから先の事を考えると寒気が止まらなくなりそうだが、一人の女と「愛」を得れたのは、とても嬉しかった。
「(もしかしたら、俺とお前はどこかで会ってたのかもしれねぇな……)」
媚薬を吸っていたにしては情熱的な自分への求め方、そして他の英霊達があまり関わっていなかった俺を知っていた事。
正直、疑問は余りある程に残る、しかし――
「すぅ……アンリ……マユ……」
いつの間にやら吐息を立てて寝始めたカレンの姿を見ると、そんな事は後で考えようと思ってしまう。
カレンの女性器から男性器を抜いてやると、大量に精液が零れ落ちてきた。
しかし、カレンは構わずに吐息を立て続ける。
「ったく……行為の最中寝るとは、どういう神経してんだ……」
ため息をつきながら、脱ぎ捨てた布を拾い、再び身に着ける。
「まぁ……俺の花火はおじゃんになっちまったが、悪くなかったぜ……カレン」
「ん……ぅ……すぅ……」
ぐっすりと眠るカレンの頭をクシャリと撫でてやると、気持ちよさげに顔を綻ばせる。
そんな姿に思わず苦笑してしまう。
「俺は、とりあえずダヴィンチに事情をたっぷりと聞かせて貰わなくちゃいけないからな、また会おうぜカレン!」
一言だけ言葉を残すと、部屋を後にした。
時は再び戻ってカルデアの食堂、相変わらず人がガラガラな食堂の端で私は一人頭を抱えていました。
「はぁああ……ッ!私はどうしてあんなとんでもない事を……ッ!」
今思い出すだけでも身体を引き裂くなりたくなりそうなぐらい恥ずかしい出来事です。
いくら媚薬によっておかしくなっていたとはいえ、アンリマユと身体を重ねてしまうなんて恥ずべき行為でした。
「(私が弱みを握る予定だったのが、逆に私が弱みを握られる羽目になってしまった……ッ!)」
アンリマユに昨日の事をリークされでもすれば、今まで弄んだサーヴァント達に復讐されるのは目に見えています。
どうしたものかと、更に頭を悩ませていると、聞き覚えのある声が遠くから聞こえてくる。
「今日もアイツは居るかなー……っと……おっ!居た居た!」
相変わらず無邪気な笑顔でこちらへと駆け寄ってくるのは、アンリマユだった。
「(無邪気な笑顔とは裏腹に、昨日の事で私を脅すつもりできたのでしょうね……)」
額に汗を浮かべつつ、そんな事を考えている私の心情など露も知らず、無邪気にアンリマユは対面の席へと腰掛ける。
どんな事を要求されるのだろうかと身を固くしていると、アンリマユから出た言葉は予想とは違う言葉だった。
「昨日は悪かったな……俺の貰ってきたもんのせいで俺と身体を重ねる事になっちまってよ……」
「ふ、ふん……ま、まぁ……あれは貴方のせいというよりは、ダヴィンチのせいですから……し、仕方ない事でしたね……」
てっきり脅されると思っていただけに、いきなりのアンリマユの謝罪の言葉は予想外だった。
脅されたら脅し返してやるぐらいの気持ちでいただけに、正直、下手に出られるとやりづらい。
「ダヴィンチは俺がしっかりとお仕置きをしたんだが、媚薬のせいとはいえお前と身体を重ねっちまったのは取り消せねぇだろ……?だからよ、俺と『恋人』って奴になってくれねぇか?」
アンリマユの言葉に私の心臓がドクンと鼓動したのが分かった。
「(こ、恋人……?私は、愛の伝道師カレン……愛を教える立場なはず……!私が愛を知る立場になっては、いけない……!)」
媚薬の効果は既に切れているはずなのに、身体が熱い、それに顔が紅潮している。
頭も沸騰したように熱い、考えがまとまらない。
「お、おい……大丈夫か?顔がめちゃくちゃ赤くなってるが……」
「な、何でもありません……ッ!少し、暑いだけですから!」
心配するアンリマユの顔が近づいてくる、それだけで嬌声を上げてしまいそうだ。
心臓の鼓動が一段と早くなり、このままだと心臓が飛び出そうなぐらい鼓動が早まっている。
「(考えがまとまりません……もっと冷静にならなければ……ッ!)」
そんな私の姿が嫌がっていると映ったのか、アンリマユは少し寂しい顔をする。
「そうだよな……いきなりこんな事言ったのが悪かった、また縁があったら絡んでくれ……」
アンリマユは席から立ち、その場を後にしようとする。
何とか引き止めようと、言葉を編み出そうとするものの、思考は二転三転して全くまとまらない。
「(どうすれば……!?どうすれば……!?……ッ!そうでした!ここで『恋人』になれば、アンリマユの口も封じれる。それに、私に貢物をくれるに違いありません!)」
無理矢理、自分を納得させると、立ち去ろうとするアンリマユに言葉を放つ。
「ま、待ちなさい……!アンリマユ!」
「お?まだ俺に言いたいことがあるのか?」
動きをピタッと止めたアンリマユに満を持して言葉を放つ。
「いいでしょう……!貴方の『恋人』になってあげます……!」
「本当か……!やったぜ!」
顔を綻ばせるアンリマユにさらに言葉を放つ。
「ただし、条件があります……!」
「条件?なんだそりゃ……?」
私の言葉に思わず眉を潜めるアンリマユだが、構わず言葉を続ける。
「私と身体を重ねた事は口外しない、それが条件です……!」
よしっ……!と自分の中でガッツポーズを決める。
これで弄んだサーヴァント達に復讐される事は限りなく0だ、アンリマユの事だから純粋に約束は守るはず、パーフェクトだ。
しかし、アンリマユは呆れたように口を開く。
「何だそんな事が条件かよ、別に俺はお前と身体を重ねた事なんか言うつもりはねぇし、言ったら俺まで恥をかいちまうじゃねぇかよ……」
「わ、私はてっきり貴方がそれをダシにして私をこき使うのかと……」
震える声でアンリマユに質問を返すものの、アンリマユは呆れたように言葉返す。
「そんな事する訳ないだろ?俺の事どんだけ邪悪だと思ってんの?まぁ、アヴェンジャーだから邪悪ってのは間違ってないかもな」
「まぁ、というわけで……今日からカレンは俺の恋人だ、よろしくな!」
晴天のような笑みで私の肩に手を置きつつ、アンリマユは語り掛けると、そのまま駆け足で食堂を出て行ってしまった。
引き止める間もなく行ってしまったアンリマユだが、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
「アンリマユ……本当に罪な人ですね……」
純粋だからこそ、普通なら言い淀んでしまう事もスラスラと言えてしまう、それが人の心を揺るがす物でも。
私自身、これから恋人としてどんな関係を迫られるのか、そしてどんな関係へと発展していくのかという好奇心が心を揺れ動かしていた。
「だからこそ、私はかつて貴方に――」
遠い記憶だが、今でも鮮明に残っている。
カルデアに来てからは、あまり思い出さないようにしていた。
”ここにいるアンリマユは私の事を覚えていない、だから他人のフリをしよう”と、事実だけは分かっていたつもりだ。でもそれも限界に近い。
存在は違うとはいえ、かつて抱いてしまった恋心は、そう簡単には消えなかった。
「アンリマユ……好きよ、大好き……」
自然と出る涙。
でもそれは、悲しみの涙ではない、心からの喜びから出た涙だった。
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