響鬼外伝の外伝!? かめんらいだぁふぶき ―僕っ娘師匠の裏の顔― 作:裕ーKI
手淫酒淫
東北地方。とある山の麓にあるキャンプ場に奴は現れた。
人々が自由気ままに自然と戯れている白昼に堂々と現れたのだ。
怪童子の変異種の1体――酒呑童子である。
酒呑童子は乱れ童子と同じく、洋館の男女の干渉を受けて怪童子が突然変異を起こした個体。
洋館の男女の気まぐれな実験が齎した結果の1つなのだろうが、成功か失敗かで言えば、まあ、成功なのだろう。
少なくとも制御できず、失敗作として扱った乱れ童子に比べれば、幾分かは成功なのだろう。
事実、我が子にあたる魔化魍の育成という本分を忘れた上に、同族を捕食してしまう“共食い”という奇行に走った乱れ童子とは違い、酒呑童子はしっかりと人間を敵と見なし襲撃している。逃げ惑うキャンプ場の利用客や係員を愛し子の餌と見なして襲い掛かっている。
ただ、覚束ない千鳥足のせいか全体的に動きが鈍く、未だに1人の人間も捕獲できてはいないようだった。
そして今、そうやってモタモタしているうちに、酒呑童子は人々を護るために駆けつけた2人の鬼と相対することになってしまった。
息の合った連携で酒呑童子を追い詰めているのは、猛士東北支部に所属している管の鬼――吹雪鬼とその弟子である狐夏変身体。
女同士でありながら、師弟の絆を超えた恋仲の絆で戦う2人は、阿吽の呼吸で立ち回る。
ところが酒呑童子は思わぬ難敵だった。
確かに行動速度は遅く、理性が働いているかどうかも怪しいほどに虚ろな目をしている。発する声も、なんだかハッキリしないうめき声だけ。
というか、その様は誰がどう見ても酒を飲み過ぎた酔っぱらいのそれだった。
一見すると、何の苦も無く圧勝できそうなものだが、しかしやはり、然うは問屋が卸さない。
戦いにおいて、行動を予測しづらい敵を相手にするというのは、それはそれでなんとも難儀なことなのだ。
狐夏変身体がいくら拳を振るい、蹴りを回しても、酒呑童子はその攻撃の裏をかくような予想外の動きでいずれも回避してしまう。
のらりくらりと。まるで中国武術の酔拳のように。
「あぁーもう! イライラする! ジッとしてろ!」
苛立ちを募らせながらも、狐夏変身体は躍起になって拳をさらに打ち出すが、するとその時、不意に酒呑童子が狐夏変身体の背後に回り込んだ。
「しまっ――」
死角を取られ、一瞬感じた危機感に心臓がドキリと高鳴る。しかしすぐに冷静さを取り戻し、振り返ろうとする。が、その瞬間――。
「ひゃぁあ!?」
突然下半身が強烈な違和感に襲われ、飛び跳ねるような悲鳴を上げてしまった。
「狐夏!?」
間の抜けた声を唐突に発した弟子の様子に、明らかな異常を感知した吹雪鬼は、両手に握りしめた2挺拳銃型の音撃管――雪波を連射しながら狐夏変身体の元へと駆けつける。
その際、牽制の意味を込めて発砲した数発の氷の弾丸は酒呑童子に全弾命中し、その気味の悪い図体を後方へと吹き飛ばした。
「大丈夫、狐夏! どうしたの? 何かされたの?」
地面に横たわる酒呑童子に銃口と警戒心を向けながら、傍で小刻みに肩を震わせている狐夏変身体に呼びかける。
すると狐夏変身体はゆっくりと振り向きながら、ボソリと呟くように返答を告げる。
「……触られました」
「なにを?」
「……しり」
「え? なに?」
「……おしり」
「おしり?」
「お尻ですよ! お・し・り! お尻を触られたんです!」
恥ずかしげに絶叫する狐夏変身体に、吹雪鬼は思わず呆気にとられる。
「お尻って……なんで?」
「知りませんよ! こっちが聞きたいですよ、もう! なんなんですかアイツ! 変態ですか! 変態童子ですか!」
「ちょっと何言ってるの狐夏、落ち着いて!」
怒り心頭の狐夏変身体をなんとか宥めようと慌てる吹雪鬼だったが、しかしその時、不覚にも一瞬、彼女は酒呑童子から視線を逸らしてしまう。
そしてその瞬間、まるでこの時を待っていたかのように上半身を起こした酒呑童子は、口から勢いよく水流のようなものを放出し、吹雪鬼の顔面にぶっかけた。
「ゲホッ……ゲホッ……」
「吹雪鬼さん!?」
ビショビショに濡れた顔を拭いながら噎せる吹雪鬼に、今度は狐夏変身体が呼び掛ける。
「く、口に入った……。これって……お酒……?」
不意を突かれたせいで、酒呑童子が吐き出した液体を少し飲んでしまった。
直後に口内に広がったのは日本酒によく似た香りと風味。
吹雪鬼=フブキ自身は実は下戸で、その手の知識はあまり詳しくはなく、口にするのも嗜む程度なのだが、しかしそれでも断言できる。水流の正体は間違いなく酒だと。
しかもどうやらアルコール度数は本来の日本酒と比べても相当高いらしく、液体が通り過ぎた後の喉が焼けるようにヒリヒリする。
「まずい……。僕……お酒は駄目なのに……」
そう言っているそばから顔が火照るように熱くなり、心臓の鼓動も徐々に激しくなっていく。
早くケリをつけなくてはと、吹雪鬼は再び銃口を敵に向けるが。
「あれ!? いない!?」
先刻いたはずの場所に、酒呑童子の姿は既に無かった。
どうやら全身に回りはじめた酔いで意識が集中できず、敵の気配を捉えることができなかったらしい。
では肝心の酒呑童子が何処へ行ったかというと。
「吹雪鬼さん、後ろ!」
一瞬早く気づいた狐夏変身体が血相を変えて叫ぶ。
しかし時既に遅く、酒呑童子は狐夏変身体の言葉通り吹雪鬼の背後にくっ付くように立っていた。いや、言葉通り、本当にくっ付いて立っていた。
なんのつもりか、酒呑童子は擦り寄るように吹雪鬼の背中に身体を密着させていた。ピッタリと、互いの肌の質感も体温も感じ合えてしまえるほどに。
「な、なんだコイツ!? 離れろ! 離れてくれ!」
酒呑童子の全身の表皮は、深海魚の肌のように粘液に覆われて醜悪にぬめっている。さすがの吹雪鬼も、そのあまりにも気持ち悪い身体を我が身に押し付けられては、女性として当然我慢できるはずもなく、凄まじい嫌悪感を感じざるを得なかった。
なんとか振りほどいてやろうと慌てて体を揺さぶるが、そうはいくまいと酒呑童子は吹雪鬼の上半身にしがみ付いた。正確には、腋の下から胸へと両腕を回し、そのまま彼女の双丘を鷲掴みにしたのだ。
「ひっ!? ちょっと待て!? どこを触ってるんだ!?」
今の吹雪鬼は鬼、鬼の姿だ。
その肉体は変身前の柔肌とは違い、強靭な鋼の筋肉に覆われている。それこそピストルの銃弾なんて跳ね返せるほどに頑丈だ。性的な下心を持つ者がいくら抱いても、その欲求を満たせるような身体ではないはずなのだが。
「よせ! 今の僕に……揉むほど柔らかい胸なんてないから……」
しかし酒呑童子はそんな言い分などお構いなしのようで、平然とした顔で吹雪鬼の胸部をゆっくりと、そしてねっとりと撫でまわし始めた。
「うぃ~……。鬼さんの乳房、引き締まっていい感じぃ~。たまらんですなぁ~」
「コイツ……普通に喋れるのか……。しかもなんて下品な……」
てっきり乱れ童子のように理性や知性を失っているものと思っていたが、意外にも酒呑童子は流暢に言葉を発した。しかも従来の怪童子と同様に、見かけは男性的だが、声質はしっかりと女性のものときている。女の声でまるでセクハラおやじのようなぶっ飛んだ発言をされると、思わぬ形で戦意の調子が狂ってしまう。
「でも確かにちぃ~っと硬いなぁ~。これでは満足に絞ることもできやしないぃ~。仕方ないからぁ~、少し溢れさせてもらいますよぉ~」
酒呑童子は怪しい呂律と女性的声音で言うと、左手で胸を掴んだまま、右手をゆっくりと降下し始めた。
胸から腹、そして腰へと伝っていく酒呑童子の右手は、やがて吹雪鬼の両脚の付け根の間へとたどり着く。
「待て! そこは――」
その瞬間、吹雪鬼はゾッとして思わず叫んだ。
否が応でも脳裏を過ってしまうこの先の展開に、無意識に緊張で全身が強張りだしてしまう。まるで注射を打つ直前の身構える子供のように。
吹雪鬼の制止の声も空しく、酒呑童子の右手は彼女の想像通りの行動を実行に移した。
怪しくてかった異形の右手が吹雪鬼の股間の前に辿り着くと、茶色いレザー調の褌の上に指を重ね、縦筋をなぞるように上下に擦りだす。軽いタッチでゆっくりと、そして気色悪いほど丁寧に。
途端に背筋がゾワゾワとした感覚に襲われ、吹雪鬼はたまらず震え声を上げた。
「――やめっ……ちょっと!? そんなとこ……だめっ……あっ……あぁっ!?」
無意識だったとはいえ、発した直後に吹雪鬼は自分でも驚いた。
戦いの真っ最中とは思えない甘く痺れた声。こんな威厳も何もない――羞恥しかない声を敵や弟子の前で堂々と吐いてしまうなんて。
――だめだ。こんな気構えじゃいけない。
なんとか気持ちを切り替えるために闘志を奮い立たせようとする。
しかしどうにもさっきから力が湧いてこない。
戦意に集中できない。
何かがおかしい。
どうやら顔面にもろに浴びた酒に酔ったせいで、思考と気力と抵抗力が著しく低下しているようだ。
加えてそれに関係してか、身体の感度までもが異常を来している。
大切な人でも何でもない、下劣な怪物に少し触れられた程度で電気が走ったような性感を感じるなんて。
そんなの、異常としか思えない。思いたくない。
吹雪鬼は背後の酒呑童子を引き剝がそうと、心身の力を振り絞って両手の雪波に力を込める。だが――。
「いやっ!? やめてくれ! 恥ずかしいからっ! そんな……あぅん!?」
彼女の反撃の意思を知ってか知らずか、酒呑童子は吹雪鬼の褌を横にずらすと、露になった秘裂に2本の指をジワジワと沈み込ませた。
ヌルヌルの粘液に塗れた酒呑童子の指は、一切の抵抗も受けず、滑り込むように吹雪鬼の女陰に侵入していく。
「ど……どこに入れ……んあぁ!?」
根元まで指を膣口に埋め込むと、その指を小刻みに振動させる。
上下左右にかき回し、ジュプジュプと出し入れを繰り返す。
「ダメっ! ダメだって……はぁあん! んっ、んぅあ! はふん!」
どれだけ修行を重ねて超人の肉体を得ても、身体の基本的構造は人間の時とほとんど変わらない。人の体の弱点は、鬼になろうとも弱点のまま。強度と耐性の違いこそあれど、急所は急所のままなのだ。
その最たるものが身体の内側。身体の内部がそう。そして、女性にとってそこから伝わる刺激というものは、時と場合によってはある意味苦痛よりも厄介なのかもしれない。
「はっ……あぁ……んふっ……んんっ……いやぁ……」
酒呑童子の指の動きに合わせて、吹雪鬼の口から艶のある悲鳴が漏れる。普段は知的で男勝りな吹雪鬼のものとは思えないほどに女性的で悩ましい声。
――ダメ、堪えなきゃ。狐夏の前でこんな……。
心の中でそう鼓舞して必死に我慢するが、そんな意思とは裏腹に、吹雪鬼の秘部からは既に大量の愛液が流れ出ていた。
酒呑童子の粘液と混ざり合い、いやらしい水音が激しさを増していく。
「うちの子は汁気が好物なのですよぉ~。たぁっぷりと溢れさせてくださいねぇ~」
酒の効果に便乗した酒呑童子の囁き、そして残響する秘部の音が聴覚を独占し、吹雪鬼の思考回路を確実に麻痺させていく。
いつの間にか、吹雪鬼は自分でも気づかないうちに自ら快楽を求め始めていた。
酒呑童子の指の動きに合わせて、腰を突き上げるようにくねらせる。
欲しがるように、ねだるように、くねくねと舞踊ダンスする。
「いやぁ……恥ずか……しいのに……あふぅ♡……み、みっともないのに……腰が……腰が……止まらない……あぁん♡ 勝手に……あっ♡ あっ♡ あぁ♡ 動いちゃうぅん♡ あぁ……いいっ♡ イキそ……」
まるで“鬼ごろし”の名の如く、音撃戦士としての正常的思考を奪った酒呑童子の酒の力により、すっかり欲情した吹雪鬼は無我夢中で腰を振り乱す。
一心不乱に激しく。
卑猥に。
猥褻に。
本能のままに。
湿った指を飲み込んで。
やがて押し寄せる高波に、吹雪鬼は絶頂の時を迎えようとしていた。
心の準備はできている。
溺れる準備はできている。
そして今、その瞬間が訪れ――。
「んああぁあぁ♡ だめぇ♡ 僕……僕……もぉ……あああああっ♡ イッ――」
しかしその時だった。
「吹雪鬼さんを……離せぇ!」
絶頂の津波に攫われようとしていた、まさにその刹那、幸か不幸か余計な手出しか、凄まじい勢いで噴射した真っ白な冷気が、吹雪鬼の背後に取り付いていた酒呑童子を包んで吹き飛ばしたのだ。
「ぎゃぁああああああ!? 冷たいぃ!? 凍ってしまうぅ!?」
全身を液状の粘液に覆われている酒呑童子は、その粘液ごと全身を凍結され、身動きが取れなくなってしまった。
「大丈夫ですか、吹雪鬼さん!」
「あ♡ ああぁ……♡ あぁん……♡」
「吹雪鬼さん! 気をしっかり持って!」
酒呑童子を凍らせた冷気は、狐夏変身体が口から放った鬼幻術だった。
普段は鬼の気の扱いが苦手で、技の完成度もまだまだ未熟な狐夏変身体だが、師匠の危機を前に根性を見せたのか、珍しく精度の高い冷気を撃つことができた。
「敵の動きを封じた! とどめを刺すなら今ですよ、吹雪鬼さん!」
最愛の弟子の声に、酒と快楽に浸っていた吹雪鬼の意識が正気を取り戻す。
呼吸は荒く、発散し損ねた性的な疼きは体中に留まったままだが、解けた戦意を何とか手繰り寄せ、ただの雌の心じゃない――戦士としての心を取り戻す。
「……う、うん! ありがとう……、狐夏! あ、あとは任せて!」
吹雪鬼は慌てていつもの冷静さを取り繕いながら、両手の音撃管・雪波を連射。弾丸状の赤い鬼石を酒呑童子の胴体に撃ち込む。
2挺の音撃管を連結させ、装備帯のバックルから取り出した音撃鳴・冷華を装着。雪波をトランペット型の音撃モードに移行させると、吹雪鬼は途切れ途切れの荒い息を何とか整える。
正直、身体の疼きは止まってはいない。全身火照ったまま、発情したまま、興奮したまま、敏感になったままだ。もし今、誰かに少しでも身体を触れられでもしたら、瞬く間に快楽を貪るただの雌に戻ってしまうかもしれない。それほどまでに、酒に浸かった吹雪鬼の心身は暴発寸前だった。
だからこれ以上長引かせる訳にはいかない。今すぐ戦いを終わらせる、終わらせなくては。
「……お、音撃射! 雪月花!」
吹雪鬼はマウスピースに口元を重ね、酒の匂いを帯びた息を清らかな音色へと変えた。
トランペット型の音撃管から吹き放たれる雪風のようなメロディーが、鬼石を通して酒呑童子の体内へと流れ込んでいく。
「ヒギャァアアアアアア……!!」
邪気は祓われ、魔物は滅びる。
酒呑童子は断末魔の声を上げながら、2人の鬼の前で爆散。木屑となって大地へ還っていった。
「やったぁ! やりましたね、吹雪鬼さん!」
敬愛する師匠の一撃で無事に敵は退治された。
勝利の嬉しさに、弟子の狐夏変身体は無邪気にはしゃいでいる。
しかしその一方で。
「そ、そうだね……。あっ……あぁっ……♡」
吹き終えた音撃管を静かに下した吹雪鬼の両脚は、未だに性感を抑えきれず、痙攣するようにガクガクと震えていた。
――嗚呼、もうちょっとでイケたのに……。あのヌルヌルの手でイキたかったのに……。
自ら滅ぼしたばかりの酒呑童子の性的な手腕に、あろうことか名残惜しささえも感じてしまう。それほどまでに、吹雪鬼の性欲は昂る一方だった。
「は……あぁ……♡」
絶頂できなかったことに対する不満の表れか、彼女は熱い吐息を淫らに漏らしながら、己の秘部を褌の上からそっと指で撫で上げる。弟子に気づかれないように、そっと、さり気なく。
やり場を失った、グツグツと煮えたぎる婬情の扱いに困り果てながら。