※この作品はR-18です。

祖国を裏切った女騎士と気の向くままに溶けあう話   作:アライ

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後日談が増えてきた

イングリットちゃん好きです


へべれけグリットちゃん②

「ふふ……どう調理して、差し上げましょうかぁ……」

 

 

 ベッドの上で確かな軸を持たずゆらゆらと揺蕩うイングリットを見たあなたは、こりゃ駄目だ、と深い溜息をついた。彼女にはお酒は早すぎたのかもしれない。更に酔いが回ってきてしまったのか、語尾が蕩けてしまっている。

 いくら度が強かったとはいえ、これ程までに悪酔いするならば普通のお酒でもこんな風に成りかねない。

 

 

「むぅ……その目は、私にはまだお酒は、早かったと……そんな風に思っていますね……」

 

 

 あなたはイングリットに心を読まれた。

 肯定も否定もあなたは声に出していなかったが、答えが表情に出ていたのか、イングリットは少し不機嫌になってしまっていた。

 

 

「私はちゃんと……飲める、歳ですよぉ……? 煩く言われる筋合いは、ありません、からね……」

 

 

 イングリットはあなたに身を寄せる様にして、少し怒気を含みながら絡んできた。普段の彼女からは考えられない様な鬱陶しさをあなたは感じる。

 いわゆる絡み酒というヤツだろう。

 

 

「先生のほうこそ……どうなんですか……? ちゃんと、飲める……歳なんですかぁ?」

 

 

 ぽわぽわとしていたイングリットは少し息を整えると、出し抜けにあなたへ歳を聞いてきた。もしかして一般的に成年とされる歳を下回っていると思われているのだろうか。

 士官学校時代から帝国軍の将兵として至るまでに、幾多もの人と飲み明かしていたのは彼女も目にしていた筈なので、流石にそれは無いだろうとあなたは思ったが、彼女に正確な自分の歳を伝えていない事を思い出した。

 それは士官学校時代から続く、少々面倒な話である。

 

 同僚の教師二人がそこそこの年齢(一人は年齢不詳)だったため、年若い風貌だったあなたは生徒達によく歳を問われたものだ。

 しかし、当時のあなたはその疑問に答える事はせずに誤魔化すだけであった。それは別に答えるのが嫌だったという訳では無い。

 

 理由は簡単だ。

 そもそもあなたは自分の歳が分からなかったのだ。士官学校の頃、少し気になって父ジェラルトに聞いてみれば、忘れちまったとしか答えなかった。父には少しずぼらな所が有ったので、当時のあなたはそういうものかとすぐに納得してしまったが──

 

 我が子でありながら誕生日以外の一切を伝えない理由は、父亡き後の手記から始まって──そして全てが終わった後にあなたは理解をした。

 父が歳の事を言いたがらないのも当然の事だと。全てを知ったあなたは、そう納得した。

 が、結局の所最後まで教えて貰っていないのも事実。帝国の要所に行く時などはどうしても身分の証明が必要になっていたので、人員を纏める立場に居るにも関わらず出生が分からないとは、と行く先々で怪訝な顔をされ、あなたはどうしたものかとほとほと困り果てたものだった。

 

 しかし、父の手記には手掛かりが残されていた。

 母は、子を産んだすぐに亡くなってしまったらしい。母の墓には墓碑銘として生きていた年月が記されていた。すると、一人子であるあなたはその年から自分の年齢が逆算出来る。

 その事に気が付いたのは、少し後の事であった。

 

 

「へぇ……士官学校の、頃はぁ……それくらい、だったんですねぇ……」

 

 

 あなたはそんな事をイングリットに話す。

 出生の事も女神の力の事も全て素面の時に話しているので、イングリットは極めてすんなりとその話を受け入れた。

 

 

「じゃあ……今は、何歳なんですかぁ……?」

 

 

 そうすれば、続けてイングリットはあなたに今の年齢を聞いてくる。

 簡単な話だった。あれから今に至るまで、五年の歳月が経ったのだ。それを年齢に足し算するだけの単純計算である。

 そこまであなたは考えて。

 

 ──あれ?

 

 あなたは硬直した。

 

 

「どう、しましたか……? せんせい……?」

 

 

 谷底で眠っていた五年間はどういう扱いになっているのだろう、とあなたは困惑した。果たしてちゃんと歳を取っているのか、これが全く分からない。

 普通生きていれば、爪が伸びたり、髪が伸びたりとどこかしら生物としての生理的反応が出てくるが、五年経って川からどんぶらこと流れてきたあなたは、五年前と全く姿が変わっていなかった。爪も伸びていなかったし、髪も伸びていない。

 老化現象も全く感じられなかった。まるで時間が止まっている様だ。

 

 もしかして五年間のあいだ、全く歳を取っていないのではないかとあなたは危惧した。

 

 

「……ふふん、そうですか……。そう、なのですか……」

 

 

 そんな事情を仔細にイングリットに話せば、なぜか彼女は得意げになってしまった。

 

 

 

 

「そう、だとすれば……せんせいは、私よりも……僅かながら、歳下という事に、なりますねぇ……」

 

 

 言葉が紡がれる。

 ──えっ。

 

 あなたはイングリットから告げられた想定の話に対して極めて驚き、そして狼狽した。

 

 

「そう、ですよ……あなたが、歳下なんです……」

 

 

 現実を突き付ける様にして、イングリットが同じフレーズを続けた。

 

 言われてみれば確かにそうだ、とあなたは認識する。

 数節の差ではあるものの、五年間の節日が加算されていないとするならば、本当に彼女よりも歳下になってしまう。

 

 あなたはそんなものは今に至るまで考えた事も無かった。

 

 

「どう、ですか……せんせい……? 未熟な教え子だと、思っていた者にぃ……歳を抜かされていた気分は……?」

 

 

 イングリットは煽る様にして、あなたに肢体を絡ませてくる。

 柔らかい彼女の胸の谷間に、片腕がすっぽりと挟み込まれた。そのまま擦り合わせる様にして、熱で小さく拍動する心音を肌を通して伝えられる。お酒によってふんだんに酔わされていたイングリットのそれは、確かな早さをもって動いていた。

 

 

「ふふ……世界でいちばん……便りにしている人、なのにも関わらずぅ……歳下だなんてぇ……ちょっと変な気分に、なって、しまいますねぇ……」

 

 

 脱衣、という側面で機能美に優れる寝巻きを、イングリットが意のままに脱ごうとする。が、それでも途中で面倒になったのか、無理やり中断して距離を詰めてきた。

 イングリットの着ているそれは僅かに透ける。遠目からならば何て事の無い純白が目に入るが、お互いの距離が無くなる程に近付かれれば、繊維の隙間を通して下着や肢体が見えてしまう。

 

 それはまるで、一度深入りしなければ分からない彼女の心情の様だとあなたは思っていた。

 

 

「それにしてもぉ……少し、不公平だと……思いませんかぁ……?」

 

 

 イングリットが割り入る様にして入った。あなたはベッドの上に腰掛けている状態なので、密着するとなれば太腿の上に座る以外の方法は無い。流れる様な動きで、イングリットが抱きついてくる。

 それはともかく、あなたはどうして不公平と溢されたのか分からなかった。

 

 

「五年間はぁ……意識が無かった、んですよねぇ……? それってずるい、ですよぉ……?」

 

 

 えぇ……と、あなたは戸惑いを隠せなかった。節日が長いと何か不義理な事が有るのだろうか、とあなたは酔いが醒めない頭を少し回して考えてみる──

 

 残念な事に、少し思い当たる節は有った。

 

 

「五年間ものあいだ、どれほど私がぁ……せんせいの事を想っていたのかぁ……分かって、いるんですかぁ……?」

 

 

 あなたはその話をイングリットから何度も聞いていた。何度も聞かされていた。

 

 お酒はその人の本性や心の底の心情を、時たま表すと言われている。イングリットはその想いを既に伝えているのは自身も分かっていたが、それでもまだ足りないと深層心理で認識しているのだろう。だから、何度も繰り返しているのだ。

 

 

「それなのにぃ……せんせいは、ただ眠っていただけだなんてぇ……私はけっして、ゆるしませんからねぇ……ん、んぅ……」

 

 

 だらりと力の抜けた身体でもたれ掛かってきたと思えば、幼子を慈しむ様にたおやかな手付きで首の後ろまで手を伸ばされる。体勢のおかげか、ぐいと押す様に随分と前のめりになって唇を落とされた。もう少し後ろまで傾けばそのまま押し倒される形となったが、今のイングリットになすがままになろうものなら何をされるか分からなかったので、あなたは何とか体軸の抵抗を続けた。

 

 

「ん、む……れろ……ちゅ──ぷはぁっ……」

 

 

 しかし、上だけは違う。わざと音を鳴らしながら舌を押し入れてくるイングリットに、あなたは同じ様にして応戦をした。惚けて緩くなった口内から唾液を、吸って吸われて滅茶苦茶にかき回される。

 平常より呼気が乱れていたのがあったか、少し苦しそうにしたイングリットによってキスは少し経ってから中断された。

 

 それはとても甘美なモノだったが、同時に結構お酒臭かったので、あなたは少し眉を顰(ひそ)めながら顔を背けた。

 

 

「……あっ、照れて、しまったのですかぁ……? いいですね……そういうのぉ……新鮮な気持ちに、なって……しまいます……」

 

 

 そうすれば、恥ずかしくなって顔を背けたのだろうと、イングリットに誤解された。

 付き合い始めの頃の事を思い出しているのかと、あなたは少し感慨深いものがあったが、やはりお酒の匂いはかき消せない。不躾かもしれなかったが、あなたはとりあえずイングリットにそれを伝える事にした。

 

 

「む……情緒に欠けますねぇ、せんせい……たとえそうでも、こういう時は言わぬが花……という、やつなんです、よぉ……」

 

 

 ずりずりと寝巻きごとお互いの身体を擦り合わせる様にされれば、火照ったイングリットの胸が感情を持ったかの様に心地よく弾む。上目遣いになりながらそれを行っている彼女は、少しだけふくれっ面になっていた。

 

 

「そもそも……先生も、結構……匂いますからねぇ……? お互い様、なんです……」

 

 

 イングリットのおかげというのもあったが、同じお酒を呑んでいるならば、当然の事ながら等しく酒が臭う。それも薄々あなたは分かっていたが、自分の事は棚に上げていた。

 

 

「それならば、どちらのものか……分からなくなるほど、ぐちゃぐちゃにぃ、してあげましょう……」

 

 

 頬に軽く添えられていた手と共にイングリットの指が揺らりとブレながら、下へ下へと落ちていく。やがて首筋を辿ったかと思えば一度指を外して、今度はなんとそこに舌を這わせてきた。指の先と舌の先では温度差という明確な違いが有る。ゆったりとした動きで慣れさせていただけなのだろう、突然の不意打ちにあなたは虚を突かれた思いになった。

 

 

「お互いの、体液がぁ……全て一緒になって、しまうくらいに……んむっ……」

 

 

 空白になった思考を埋める前にイングリットが先に動いた。こっそり持ってきた全ての元凶を水を摂るかの様に口に含めば、無理やり流し込まれる。

 先程と違ってあなたは受け入れる準備もできていなかったので、唇の間から少なからず外へと零れ落ちてしまう。

 

 

「はぅ……じゅるっ……んく、っぅ──はぁっ」

 

 

 そうすれば、男女の身体の構造の違いと前のめりになっているのもあって、殆どがイングリットの身体へと流れ落ちていった。彼女は薄い物とはいえ寝巻きを付けたままなので、胸の辺りが濡れてぐしゃぐしゃになってしまっている。

 イングリット主導ではあるものの呑みきれなかった責任も一応有るには有るので、流石にそのままにして置くのはどうかと気が引けたあなたは、理性をどこかに放ってしまった様な彼女から服をどうにかして剥ぎ取ろうと画策する。

 すると、特に抵抗する事無く受け入れられた。

 

 

「んぅ……次は服を付けたまま、致しましょうね……」

 

 

 全く反省していない。あなたはイングリットを窘(たしな)めようとしたが諦めた。

 

 その代わりにと、目の前に現れた瑞々しい果実をそこそこ優しくあなたは揉み始める。

 

 

「あぁっ……んん……」

 

 

 先程垂れてしまい少し湿った風になってしまったそれと、どちらの物が分からない程に混ざってしまった体液を溶かし合わせる様にして、あなたは己の手をイングリットの身体と共鳴させる。

 跨っていたイングリットの腰が快感を逃すことが出来ず、僅かに宙に浮いた。

 

 

「やぁっ……はぁ──んぅ」

 

 

 先端を軽く摘まみ上げれば、びくりとイングリットの肩が小さく震えた。あなたはそれが掌に当たるのを楽しみながら、緩急を付けて揉み始めた。

 

 

「あぁ──やっ……! んぁ、ぅく……っ」

 

 

 強く揉んでみればどうにか痺れを接地面へ流そうと虚空を向いて喘ぎ、軽く細やかな刺激を伝える様に揉んでみれば少し不機嫌そうに翠色を向けながら甘やかな息を吐いてくる。

 

 お酒が入っていようが、僅かな差異はあれど基本的な所は変わらない。

 手を思うがままに這わせれば、たとえ抵抗していても意にそぐわず発情してしまう。

 

 やがて前のめりになっていた筈のイングリットの身体が小さく弾んだがと思えば、へなへなとなって肩を落としながらへたりこんでしまった。

 

 

「やぁ……このっ、ひゃぅ……」

 

 

 イングリットの下着に染みが作られていく。脱力しているのだろうか、肩に手を置きながら荒い息を吐いている。表情は下を向いているので、あなたの方からは見えなかった。

 達してしまったのは知っていたが、それも気にせずあなたは次を続ける。

 

 

「ま、まってく……ゃっ、るぅ……れちゅ……」

 

 

 不平を言われるのは分かりきっていたので、有無を言わさずあなたは口を塞いだ。

 それと同時に、太腿の近くへと手をもっていく。

 

 

「ぁぅ……やぁっ……んぅっ」

 

 

 下着を僅かに横にどかして見れば、粘着質な液体がそこには満遍なく存在していた。

 宙に舞っていた左手を秘所へと伸ばす。流石に薬指を使う訳にはいかなかったので、他の指を舐(ねぶ)って貰う様に緩やかに這わせる。

 快感から逃げる様にしてイングリットが身を捩ると、形の良い双丘が振動して自由自在に形を変えながら胸板に押しつぶされる。

 

 

「くぅ……んぁ、ひぃっ……やぁ……」

 

 

 良く繋ぎ合わされる事が多いとはいえ身体の内面にある個と個の神経は別なので、変化の詳細を確実に知る事はどうやっても不可能だ。しかし性感帯と思われる場所で指を巡らせれば、分かりやすい程に身を情欲と快感でぐちゃぐちゃに交錯させる。そんな所作だけで、内面を知らずとも幾らでも感情が理解出来てしまうのだ。

 イングリットは情事となると、心緒がかなり全面へと押し出されてしまう。その明瞭さや、心配になってしまう程である。

 

 

「はっ……ふぁっ、ふぅっ……」

 

 

 少しだけ指を抜いて中断してみれば、肩で息をしながら呼気を整えようと画策し始める。

 このまま眺めているのもいいか、とイングリットの様子をあなたはまじまじと観察していた。

 

 

「良いようにぃ……やられて、しまってますねぇ……もう、ゆるしませんよぉ……!」

 

 

 そうすれば視姦されている事に気が付いたイングリットが、確かな怒りを持って身を更に寄せてきた。さも当然かの様に常備されている植物由来の潤滑液を手に取ると、白雪の様に美しくすらりと伸びる脚から最後の防壁を取り払ってしまった。そして手に持っていた物を、早速自分の身体の上──ちょうど臍(へそ)の辺りへ垂らしてくる。

 

 

「ほら、どうでしょうかぁ……? 先生も早く脱がないとぉ……服がぐしゃぐしゃにぃ、なって、しまいますよぉ……?」

 

 

 このままだとイングリットが言う通りに服がおしゃかになってしまうので、あなたは何とか下の服を脱いだ。体重を掛けながら座られていたので少々難しかったが、脱ぎやすい様にと肩に手を置きながら器用に膝を直立へと立たせていた。

 秘部からは銀色に光る糸が引いていた。

 

 

「はい、どうぞ……」

 

 

 脱ぎ終えるのを見届けるや、イングリットは再度潤滑液の蓋を取り払った。そうすれば、目の前で繰り広げられる痴態によって既に大きくなってしまっていたあなたのソレに、潤滑液を無理やり垂らしていく。

 

 液体は別に温められている訳でもないので、夏とはいえ冷涼なガラテアの大気を考慮すると、基本的には冷たい。身構える間も無く肌に触れれば、少し冷たく感じてしまうだろう。

 それを一番敏感な部分へと唐突に投下されたのだ、あなたは思わず震えた。

 

 

「ふふ……仕返しです」

 

 

 ある程度余裕を取り戻したのだろう、その様子を見たイングリットがにやにやとしながら語りかけてくる。

 

 

「先生、冷たいですよね? それなら温めたほうが良いと思うのですがぁ……はて、一体どうするのが一番なのでしょうか……。私には分かりませんねぇ……」

 

 

 先程までは途切れ途切れになってしまっていた言の葉が、今はしっかりと繋がっている。いかにも余裕綽々といった面構えだった。

 お互いの身体を温めるとなると方法は色々有るのだが、一番良い手段は一つだけだろう。

 しかし向かい合ながら上に座られている以上、あなたの方から動くというのは少々難しかった。

 

 

「どうして欲しいのかぁ……先生、言ってください?」

 

 

 薄ら笑いをしながら──軽蔑する様な視線もちょっと含みながら。

 そんな風に言葉を紡ぎながら、最高に挑発してくる。

 

 

「私に……お姉さんにぃ、言って……?」

 

 

 どういう訳か、イングリットが蕩けた。

 ほんのちょっと歳上なだけで姉ぶるとは何事かと少しあなたはイラっとしたが、情欲には逆らえず、次に続く行為を彼女に懇願してしまう。

 

 

「よく、できましたぁ……」

 

 

 ぐいと身体をより密着させられれば、片手で剛直を扱きながら秘所へと宛がわれる。まるで食べ物を咀嚼する時かの様にしっとりと濡れていたそこへと、寸分の迷いも無く飲み込まれた。

 柔らかく熱いその場所は、張った物を全て包みながら目一杯に温めてくる。

 

 

「ぁぅ──んぁっ……! 入って、来ましたね……?」

 

 

 濡れそぼった媚肉が優しく、それでいて時にはきつく締め付ける様に甚振ってくる。触れ合う肌よりも情熱的に、熱を持って蠢動(しゅんどう)してくる。

 確かに温かいそれは、火傷をしてしまわない程の絶妙な温度管理を以って愛撫してきた。熱い湯に浸かりながら浴している時の様な極上の心地よさが、局所的に性器へと伝わってくる。

 

 

「ちゅっ……はぅ、れろぉ……ぁっ──あぅっ……!」

 

 

 使える物全てを使ってやりたい放題される。もはやこれ以上触れ合わす事が出来る面積は無いのではと思える程に、お互いの身体を一つにされていた。少し前までは宙を舞っていた筈の腕さえも背中へ回され、決して逃さないと言わんばかりに強く抱きしめて柔らかく弾む胸を押し付けられる。

 

 

「んぅ、ぁぅ……ゃあ、んぁっ……!」

 

 

 舌を絡めあわせてくる口は熱を全て吸い込む為に強く塞がれていたが、突き上げる度に吐息が漏れ出てきてしまう。

 上の口も下の口も据えられた食べ物を味わう為、一心不乱に咀嚼してくる。やはり食べる事しか考えていない。

 人間の三大欲求と言われている内の二つ、食欲と性欲を同時に満たしてくるとは、なんて欲張りなのだろうかとあなたは思う。

 

 

「やぁ、ひぃん……! あぁ、うぅ──あっ……!」

 

 

 酸素を求めて名残り惜しく唇を離せば、しがみ付く様に上半身を更に押し付けられる。あなたを視界から一時的に外したイングリットだったが、代わりに聴覚はより鋭敏となった。

 艶めかしい声が、ほぼ零距離で耳へと伝わってくるのだ。

 

 脳髄を蕩けさせてしまう程の甘い囁きに、ぎゅうぎゅうに締め付け溶かしてくる膣肉。大量の脳内麻薬が余すこと無く分泌される。今まで味わった事が無いような、なんとも形容し難い極上の感覚が襲ってきた。

 このままでは何処かおかしくなってしまいそうな気分がしたあなたは、どうにか抵抗しようとイングリットの後ろに回していた腕を解き、隙間に這い入れるかの様に彼女の胸を揉みしだき始める。

 

 

「ぁんっ……ぁぁ、やぁっ……やはりぃ、胸を揉むのがぁ……好き、なんですねっ……」

 

 

 新しい境地を開拓しそうになったあなたは、どうにかしてそれをイングリットに悟られまいと、別の所へ意識を飛ばした。元より彼女のハリのいい美しい双丘に執着していた事もあって、なんとか心付かれる事は無かったが、いずれどうなるかは分からない。

 

 

「こうやって……教え子をお酒に溺れさせてぇ……判断力を奪ったところで、事に及ぶだなんてぇ……せんせいは、最低ですねぇ……? このぉ、鬼畜がぁ……ふふっ」

 

 

 そもそも事を始めたのは彼女の方だとか、今のあなたにはどうでも良かった。

 イングリットはとても貪欲な子だ。どこが性感帯で、どこが弱い所かなんて──すぐにバレてしまう。

 そして情事の時の傾向からして、彼女は中々に言葉責めが好きだ。

 

 甘い言葉を耳元で存分に囁かれながら腰を振り乱されようものなら、きっと気がおかしくなってしまうに違いない。

 きたる未来を恐れながら、それでいてどこか期待の念を持ちながら──今のあなたは、とりあえず気持ち良くなる事だけを考えていた。己の手が向かう先へと自然に目の先がゆく。

 

 

「そのまま、続けて……でも、視線を向けてはいけませんよぉ……? 私の、目だけを見て、下さいねぇ……?」

 

 

 まるで別の生き物かの様に動いていたイングリットの双丘の動きを止める様にして揉めば、じっとり凝視していたのがすぐに露呈した。

 イングリットによって頬を掴まれ、無理やり正面を向かされる。端正な顔は涎が垂れてきてしまっている程に、情欲へと狂っていた。

 

 

「んぁ、ぅっ、やんっ……そうっ、それで、いいんです……」

 

 

 これまでの経験を元にしながら強弱を付けて揉んでみれば、面白い様にそれに呼応してイングリットの顔がさらなる喜悦の表情へと変わっていく。

 普段の凛々しい彼女の事なんて忘れてしまう程に歪んでいたが、透き通る瞳はまっすぐ前を貫いている。

 

 激しく擦り付け甚振ってくる膣肉に、一瞬たりとも逃してくれない程に粘ついた視線。

 極上の快楽と極上の愛おしさに板挟みにされ、一気に射精欲がせり上がって来てしまう。

 

 

「もぅ、駄目ぇ……気持ち、よすぎてぇ……」

 

 

 依然として目線は揺れ動かない。ずっと対象を捉えたまま、離そうとはしない。

 目線を合わせたまま情交に及ぶ事なんて今まで幾らでも有った筈なのに、直視出来ない程の情愛がイングリットから放たれている所為で、どうにもあなたは目を反らしたくなってしまう。

 

 しかしそれは叶わない。

 

 

「せんせいも、いきそうなんですね……? なら、ちゃんとお互いの目を見ながら、ですよ……? お姉さんとの、約束……ですっ」

 

 

 やたらと歳上ぶるのは一先ず置いといて、イングリットは表情を見ながら達するのが好きだといつも熱烈に語っている。根源的な望みなのか、それが出来る体位の時はいつも強請って譲らない。有無を言わせない情愛と、先端やカリから根本まで全てを形どる様にして動く情熱的な膣ヒダも添えて、面様をじっくりと凝視されながら、なすすべなくイかされる。

 

 それが極楽の様な快感を与えてくれる事は分かりきった事なので、あなたは拒んだ事は一度も無い。

 

 

「私の目を見て、イって、くださいねっ……」

 

 

 変わらず快楽に歪んだ顔を隠そうとはせず、甘い言葉を紡ぎながらその先を促してくる。

 もはや全てが決定打となってしまいそうな、暴力的な締め付けが継続的に与えられてくる。荒い息を近くで存分に感じながら、あなたは同じ様にしてイングリットの透き通る目をじっと見つめた。

 

 果てしない程の親愛と慈しみが、今のイングリットからは感じられた。

 絶頂が近いのだろう、頬に添えられた手に一際強く力が加えられた。

 

 

「あぁっ……! せんせぇ……っ! 私を見て、見てっ……!」

 

 

 体重をかけて覆い被さられているので、勿論引き抜く事も出来ない。ただそのままの場所に、迸り煮えたぎった欲望を解き放つだけ。イングリットの口元から涎が垂れているのも気にせず、無遠慮に溜め込んだ物をぶちまけた。

 

 

「……ゃん……だめ、いやぁ……イく、っく……あぁっ……! ~~ッ!! ぁぅ、んぁっ! やぁ、んぅ……! あぁぁ……」

 

 

 どくっ、どくっ、どくり、と断続的に膣内に吐き出せば、同時に絶頂したのだろう、イングリットの身体が弓の様に大きくしなり、力無げにしなだれかかってきた。全ての精液を絞り取ろうと強く締め付けてくる媚肉に、示し合わせる様に余すこと無く続けて射精すれば、イングリットの表情が恍惚のものへと変貌した。

 その後、流石に合わせ続けるのは不可能だったのか、イングリットの目線はあなたの首の後ろ、後方へと向かった。汗がすり潰される程に押し付けられた身体からは、上気する胸の鼓動が感じられた。そして、悩ましい程に荒い息があなたの耳元へと吐き出される。

 やはり耳元は不味い、とあなたは震えながら再認識した。

 

 

「はぁっ……はぁっ……はっ、ふぅ……」

 

 

 イングリットは熱を落ち着ける為に肩で息をしていた。

 

 やがて何とか息を整えると、身体に力を入れ直して再度あなたと向かい直る。

 

 

「あぁ、最ッ高でした……先生、ありがとうございます……」

 

 

 無垢、と言うには欲望に染まりきり過ぎている笑顔を、イングリットは浮かべていた。

 こちらこそ、と言いながら──あなたは心地良い程の疲労に襲われている事に気が付いた。

 

 今日は色々な事が有ったので大変だった。

 

 イングリットと共に在る生は三大欲求の権化の様な物であるものの、言い換えればそれは、とても人間としての充実した日々を送っているという事を表している。あなたはこんな掛け替えの無い生活が、何よりも愛おしくて、何よりも大切である。

 それは何年、何十年経とうと変わらない不変の物であると、あなたはしみじみ思うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは──二回戦と行きましょうかぁ……せんせい?」

 

 

 だから少し休ませてくれ、とあなたは懇願した。

 

 

「たくさん甘えて貰いながら……というのもぉ、悪くは無いと思うのです……歳上なんでぇ……」

 

 

 あなたはイングリットには、あまりお酒を飲まさない様にしようと。

 そう、思った。




お酒でやたらと歳上という単語に執着するイングリットちゃんを書きました。

姉とはいったい
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