イングリットは腰を下ろし、大きく張ったあなたのものを受け入れた。滑りによって初めは順調かと思われた挿入だったが、亀頭が彼女の膣肉によって覆い隠された瞬間、何かを突き破る様な感触と共に彼女の動きは止まる。
「ぐっ……想定していた、とはいえ……んっ……こんなにも、痛いとは」
イングリットの身体に、ひりつく様な鋭い痛みがじんわりと広がっていく。それと同時に、彼女の純潔の証だったであろう痛々しい程までに赤い血が、結合部からドロドロと流れ出していた。
「気を失ってしまいそうなくらい、とても……ですが……」
水火も辞さないという覚悟の表れなのか、イングリットはそのまま慣らすという選択肢を取らず、あなたをひと思いに受け入れた。押し開かれた彼女の膣口は、決して小さくはない抵抗を続けていたが、やがて怒張を根本まで押し入れることに成功する。
入り込んできた異物を排除せんという本能のもと、彼女の膣肉はあなたを暴力的なまでに締め付けてきた。
「かはっ……うっ……これ、で先生が、全部……」
イングリットは破瓜によって引き起こされる慢性的な痛みによって、打ち震えるまでになっていた。目尻に涙を貯め、今にも壊れてしまいそうだったが、それでも彼女はあなたの為に献身する。
処女で、女性上位の体勢。所謂、騎乗位を行うのは無理がある話だとあなたは思った。いくら主導権があるとはいえ、常に重力の影響が大きいその体位では、身を落ち着ける事も容易では無い。
「くっ……先、生……心配しないで、ください……。確かに痛みは感じますが、何よりも、嬉しいのです……。先生に、私の初めてを捧げられた事が……」
大丈夫です、とイングリットは健気に微笑んだ。悲痛な面持ちを、張り裂けるような痛みを、あなたに知られまいとしているのは、あなたの興が削がれる事を彼女が恐れているからだろうか。
「だから……先生、私を気にせず、ただそのまま……気持ち良くなってください……」
女性の涙は僅かながら男性を沈静化させ、性欲を減退させる──そんな効果があると、かつてあなたはどこかで聞いた事があった。それが本だったか、人づてだったか今となっては分からないが、それが本当ならば彼女の憂いは道理だろう。
しかし、あなたは違った。
「あれ……どう、して……? 先生のが……」
あなたの怒張は、イングリットの中を蹂躙せんと言わんばかりに猛々しく、更に大きくなってしまっていた。原因は、女性の涙を見ると逆に興奮するあなたの
彼女は痛みと同時に引き起こされた動悸を抑える為に、胸に片手を当てていた。それが、あなたにとっては不味かった。彼女の腕が双丘の間に挟み込まれ、瑞々しくて張りの良い胸がぐにゃりと動き、更に強調される形となってしまったのだ。それは、あなたの情欲を揺り動かす為に意図して行われた行為では無いのだろうが、視線を釘付けにするには十分すぎた。
彼女の手の代わりに自分の手が其処にあったら――いや、彼女の弾むような胸をこの手で揉みくちゃにできたら――そんな風に、あなたは想起してしてしまった。
「こんなにも、大きく、なって……うぅ……」
あなたが鬼畜だったのは、イングリットにとって想定外だったのだろう。事情を知る由も無い彼女は、許容量を超えた膨張に対して耐え切れず、しな垂れかかる様にあなたに倒れこんだ。
「……先生、すみま……あっ……」
あなたを絶頂へと導こうと意気込んだにも関わらず、その行為の手前さえもままならないという状況に情けなさを感じたイングリットは、思わずあなたに謝ろうとするが、倒れこんだ先の関係上お互いの顔が非常に近い事に、間を空けずとも気が付いた。
そこから先は早かった。
「……んむっ、はふっ……はぁっ、ちゅ……んぁっ……」
痛みを振り切る為に、イングリットは繋がったままあなたへ口付けをする。それは決して、恋人の前戯の様な段階的に行われる優しいものでは無い。志を胸に抱いてからずっと彼女は武に一辺倒だったため、それがどのようにして行われるものか知らないのだ。
右も左も分からない一匹の獣は、本能の赴くまま、ただひたすらにあなたを貪るだけ。
「はぁっ……んちゅ……んぁ、はふっ……」
イングリットの舌が、あなたの口の中を侵していく。突然の侵入に驚いたあなたは、反射的に逃れようとするが、彼女はそれを許さない。柔らかい舌が逃げた獲物を追うが如く、あなたを執拗に攻め立てる。
「……れろっ、あむっ……はぁっ……んっ……」
捻じれ、甘やかに交錯する舌が、緩んだ口内から唾液や粘膜といったものを余さず絡めとった。それと同時に、熱を帯びた吐息が誘われるように内側へとなだれ込む。それが、彼女と共に気の向くまま溶けあっている現実を否応がなしに認識させてくる。
「あぁ……先生……先生っ……!」
ある程度痛みが引いてきたのだろうか、イングリットはあなたに何の予告も無しにおずおずと腰を動かし始めた。その動作の度に、彼女の嬌声がお互いの口では塞ぎきれずに這い出てくる。それは獣の様に言葉にならない声で、確かにあなたを一心に求める恋慕の情が含まれていた。
「はっ、んんっ……! あぁっ……! 先生……!」
やがてイングリットは名残惜しそうに、ずっと触れたままだった唇を離した。光が反射して煌めく橋が二人を繋ぐように架かるが、やがて谷底へ落ち、そのまま断ち切れる。彼女は身体を起こして、最初に一つになった時の様に、直立してあなたに跨った。
「んっ……やっと、慣れてきました。こちらのほうが、動くには都合が良いですね……」
先ほどの体勢では少し動くのに難儀していたイングリットだったが、元の高く見下ろす体位へと移行した事によって自由に腰を動かすという動作が容易となった。なってしまった。
これは主導権が完全に彼女の方に移ったという事を意味している。
「ふふ……先生。私、体軸の維持には自信があるのです……。こうして先生に跨っていると、まるで天馬に乗っているようで……」
イングリットの鼠蹊部が肌と触れ合い、確かな暖かみを伝えてくる。
大地を闊歩する馬を乗りこなす馬術と、大空を駆け巡る天馬を乗りこなす飛行技術。そのどちらも彼女の得意分野である。そんな彼女から主導権を握られながら遂行される腰使いがどれ程までに恐ろしいか、想像に難くない。あなたはこれからもたらされるであろう、甘い快楽の波に思わず戦慄く。
「あっ、はあっ……! ……先生のがっ……! 私を貫いて……っ!」
あなたの心の準備を待たずして、イングリットは腰を動かし始めた。
「ああっ……! ひぁっ、んっ、うぁ……っ!」
熱く滑った物同士が溶け合って、確かに混ざり合っている事を淫らな音が証明する。
彼女はどうしようも無い程までに肉食獣だった。あなたを見つめる翠の瞳は、獲物を見つけて、捕らえる機会を今か今かと待ち望んでいる獣の様にじっとりとしていて、隙間が全く無くなる程ぎゅうぎゅうに締め付ける膣肉は、そんな捉えた獲物を嬲り殺しにするかの様に、あらゆる方向からあなたの怒張を咀嚼する。
「そのお顔……っ、先生もっ……! 私で気持ち良くなって頂けてっ……! 嬉しい、ですっ……!」
激しい上下運動によって陸に打ち上げられた魚の様に勢いよく跳ねるそのハリのある双丘を、下から支えるように揉みしだきたい。両手で掴んで、思いのままに形が変わっていくのを存分に楽しみたい。こちらからも突き上げて、よがる姿をもっと目に焼き付けたい。よがり狂う彼女の嬌声をもっと堪能したい。
そんな邪な気持ちで、あなたの脳内は既にいっぱいになっていた。
あなたの快感を増幅させ、代わりに行動を阻害させる薬。そんな物はもはや、あなたにとって、枷以外の何物でも無い。
「ああ……こんなにも、気持ちいい、事なんてっ……! 知って、しまったら、私はっ……!」
彼女を突き上げる度に揺れ動くその柔らかな肢体と、光の反射によって揺蕩う銀雪の様な肌。そのどちらもが、狂いそうになるほど愛おしい。そんな彼女の花園を、己の分身が踏み荒らし、無遠慮に侵しているという事実に、背徳感すら感じてしまう。
「ずっと、こうなりたかったんです……っ! あの日、先生が居なくなってしまった時から、ずっとっ……!」
イングリットは過ぎ去ってしまった時を埋め合わせるかの様に、あなたを求め続ける。五年という歳月は余りにも長すぎたのか、彼女の膣肉は剛直が最奥に導かれる度に決して離すまいと吸い付いてきた。感情に呼応する様に動くそれを、彼女は無理やり引き離し、また受け入れて、どうにもならない切なさを一片でも塗り替えようとする。
「あの日からっ、五年もの間っ、私は死んだも同然でしたっ……! 矜持も、信念もっ、何も無い私はっ! 先生の無事だけが頼りで……っ! ただ、それだけでっ……!」
膣肉のひだが、煮えたぎるほどに熱いあなたの剛直を締め付けようと蠢きだす。お互いの分泌液を潤滑剤として、じゅぶじゅぶと、ただひたすらに淫靡な音を奏でながら。
もはや、快楽に喘ぐイングリットの顔には、普段の清廉な騎士としての風格は残っていなかった。
「あなたが生きていた、そう聞いた時っ……! 私は……私は……っ!」
不完全な物体が足りない部分を補うかの様に、イングリットはあなたの剛直から精を絞り出そうと乱れ狂う。奥を突く度に彼女の言の葉が途切れ、熱い吐息が弾む。その息遣いの中に見え隠れする寂寥の情を、快楽と愉悦で元が分からなくなる程にぐちゃぐちゃに塗りつぶせるのは、きっと一つだけ。
「ああ言いましたがっ、本当はっ……! 先生の事をっ、誰にも渡したくないんですっ……! 自分の気持ちにっ、嘘は、つけませんね……っ」
そんなただ一つだけの存在であるあなたを、イングリットは欲してやまない。
「舞踏会で手をとって頂いた時か、初めて先生にご指導頂いた時からかっ……それともっ、出会った時からかもしれませんっ……」
谷底に消え、意識を失っていた長い間、イングリットがどのような想いで戦ってきたのか、あなたは知らない。帝国将の一員として認められていたとしても、王国の間者として、裏切り者として、疑われ、蔑まれ、己の心が休まる場所すら無かったかもしれない。
だが、彼女に真を問うても決して多くを語らないだろうと、あなたは思う。
「先生の事がっ、この上なく好きなんです……っ! 誰よりも、何よりもっ……! 好きで、好きでっ堪らないんです……!」
それはイングリットに、譲れないものがあったから――
「誰にも渡したくない、私だけのっ……!」
イングリットは濡れた唇から涎が滴り落ちている事にも構わず、抑え込む様に両手を下ろし、一心不乱に腰を動かしてあなたを嬲った。そんな彼女の両腕に挟まれた艶やかな胸が、窮屈そうにあなたの前で揺れ動く。
彼女の身体はもう、突かれる度に痙攣するほどまでになっていた。
「ああっ……先生っ……気持ち良すぎて⋯⋯っ! 私、もう⋯⋯!」
快感の波に撫でられ、身体を打ち震わせるイングリット。
初めての絶頂を前にして、彼女はこれから待ち受けているだろうそれがどういう物か、身体で予期した。解放を今か今かと待ちわびている、自分が何者なのかも分からなくなるほどの脳内麻薬。彼女はもう、それを拒む道理も選択肢も無い。ただ気の向くままに身を任せるのみ。
そんな彼女を前に、等しくあなたももう限界だった。
目の前にいる一匹の雌をただ孕ませる為だけに、精液を送りこむ手筈が自動的に整えられる。
「んぁ……先生っ……! せんせぇっ……!」
絞り出す様な嬌声と共に、膣内が本能のまま、捕えた獲物を決して逃すまいと収縮する。ぎゅうぎゅうと物欲しそうに子種を求めて別の生き物の様に蠢き、震え、戦慄く。
あなたはもう耐えきれず、その待望に同調するかの様に勢いよく弾けた。
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!」
時を忘れてしまうほどの快感が感覚を麻痺させ、情欲が籠もり熱く迸ったものが膣内に解き放たれる。震えた怒張からどくん、どくんと吐き出されたそれは子宮へ、あるいはまた更なる奥へ、居場所を主張するために広がっていく。イングリットは引き起こされた激しい衝動に耐えきれず、形をなさない喘ぎ声をあげて身体を大きく仰け反らせた。
「あぁっ……先生のが、私の中にいっぱい……」
精液が膣肉を押し出し、ただそこにあろうと溜まっていくのを、イングリットは恍惚とした表情で感じていた。
とても長いあなたの脈動を下半身を通して愉しんでいた彼女は、やがて見切りをつけると名残惜しそうに吸い付いていたものを離した。きゅぽっ、と小気味
「ふふ……先生、ありがとうございます……私のわがままに付き合って頂いて……」
イングリットはあなたから離れ、ベットの脇に乱雑に脱ぎ捨てられた服の衣嚢からハンカチを取り出し、あなたと交配した何よりの証であるその液体を拭き始める。しかし、彼女が拭いたのは上辺だけ。拭く必要も無いほど、その液体の大半は彼女の奥で粘ついて、貼りつきながら、役目を果たす時を待っていた。
事が終わってもなお、男の情欲を奮い立たせるような行いをするイングリットだったが、その姿を視姦する余裕をあなたは持ち合わせてはいなかった。およそ今まで生きてきた中で、享受した事は無かったであろう最上の快感――その締め括りからくる心地良い疲労感に身を任せていたからだ。
あなたは昂ぶる気持ちを抑えるために、精神を統一しながらこれからの事を考える。
イングリットとこうなってしまったのはもうしょうがない事だろう。彼女がずっと抱いていた想いを、教師とその教え子という尺で量るには余りにも大きすぎたのだ。王国をたった一人で離れ、誰の助けも無しに己の信じる道を突き進むと決めた彼女の事を、誰よりも気丈で強かな人だと――そう、長らく思っていたが、それは大きな間違いだった。
きっとイングリットは、誰よりも寂しがり屋で、感受性が高く、ちょっと依存癖が強くて、暴走しがちで、食べる事が大好きな食いしん坊――たったそれだけの普通の女の子なのだろう。
彼女の仮面の裏に隠された素顔、それはとても儚く繊細で――
「先生、お疲れですか……?」
イングリットは微睡みながら思案にふけるあなたを見て、折しも疲れ果てて眠りに誘われているのだろうと思い込む。しかし、あなたはまだ内に潜む熱を溶かしきれてはいなかった。
これまでの情事は全てイングリット主導の元に行われてきたので、そこにあなたの意思は介在していない。
あなたの煮えたぎる欲望は未だ果たされていない。
言わば今の状況は、おあずけをくらっている惨めな犬の様だった。
「先生、今はお休みください……」
あなたがその事を思うと、身の内から欲望を果たすために力が湧いてきた。
外界から隔別された至高の闇を切り裂かんが為に力を得た時と違い、余りにも不純すぎる動機で得たものだったが、今なら思いのままに、己の身を縛る鎖を断ち切ることができるかもしれない。
「明日になれば、薬の効果も無くなってしまうので……」
イングリット――彼女には色々言いたいことがあった。一人にしてしまった五年間の事とか、抱いている信念や矜持の事だとか、焼け付く程に情熱的な問いかけに対する答えだとか、それはもう、数えきれないほどに。
「その時は、私も……」
聞く耳を持たず、独り善がりで暴走するのは、昔から続く彼女の悪い癖だ。
ガラテア家の希望と言われ、敷かれた道をただ歩かされるだけだった人生への反発心からか、どうにも彼女は自分勝手で、押しつけがましいほどに悲観的で――
そんな彼女だったからこそ、今此処に――確かにあなたのそばに居る。
「……?! せ、先生、どうして動け……! あっ……!」
あなたは離れようとしていたイングリットを無理やりベットの上に引き戻し、押し倒す。それと同時に、どうしてかそのまま残されていた上着を取り払い、脱ぎ捨てた。
「せっ、せんせ……んっ……」
何か、言葉を紡ぎだそうとしたイングリットの口をあなたは有無を言わせずに塞ぐ。
突然の事に驚愕し硬直する彼女の瞳には小さな震えと共に、これから
今の不器用な彼女に対しては、きっとどんな言葉も意味を成さないだろう。
あなたはイングリットにその身をもって学んで貰う為に、彼女が望む一番の指導を与える事にした。