交わりとは一言で表すと、熱の混ぜ合いだ。
体熱やら摩擦熱やらで滅茶苦茶に
しかし、それはイングリットによって阻止されてしまう。
「……あ、先生の汗……」
そのまま二回戦に移行すると思われたが、繋がったままのイングリットは何を思ったのか、あなたの胸板に滲み浮かんでいた一滴の汗を少し潰しながら指で掬い取った。そして下にこぼれ落ちないように顔の近くに運ぶと──
そのまま嗅いだ。
「すぅ……」
透き通る程に
突然の凶行を目にして、流石に驚愕の念を隠せなかったあなただったが、イングリットはそれをよそにして、目一杯に鼻で汗の香りを吸っていた。
「なぜだか……こうしていると、気分が……」
「んぅ……すぅ……」
平時なら軽く引く変態行為だったが、お互いが一つになったままで行われているのだから
鼻で吸って、ため息の様に口から吐く。少し暑苦しいのか、熱を逃す様に身を少し捩りながら遂行されるその動きは、余りにも刺激的すぎた。欲望を絞り取ったにも関わらず、未だぎゅうぎゅうに締め付けていた膣肉が、その僅かな動きだけでも横に擦れて熱を生み出してくる。緩やかな刺激によって元の大きさを取り戻した剛直が、吐き出されて溜まっていた精液の滑りで意図せず一気に奥まで押し進められた。
「…… あ゛ぅっ……?!」
子宮口を突き上げられる形となったイングリットは、意識外からの攻勢に反応できずにたじろいだ。しばらくすると、重力と共に浮き上がった肢体が、ぬちゃぬちゃと滑る音を伴いながら陸へと降りて来る。
「……い、いけませんね私は……」
ようやくイングリットに正常な思考能力が戻ってきた。へたりこんでいた腰を引き上げる様にして元有った場所へと返してくる。前のめりに成り過ぎない様に、丁度直角の位置で止まった。
「先生に動くなと言っておきながらこの有様とは……」
戒め言葉を自らに課すいじらしいイングリットだったが、今のあなたは先ほどから自分の太腿の辺りで形を自由自在に変えまくっていた部位に気が向いていた。
むにゃり、ぐにゃりと。
あなたには今、それが実際どの様に変化しているか正確に想像する事はできない。しかし、柔らかそうに跳ねながら揺れているという事だけは分かった。
その触れ心地が忘れられなかったあなたは、揺れが止まってしまったその軟質を再び鳴動させる為に手を伸ばす。
「……んぅ?! ……先生、何を……っ」
イングリットの尻を鷲掴みにしたあなたは、一度それを指が沈み込む程に強く揉みしだいた。突然の感触と温度差によってすぐに彼女の気が下側に向いたのを確認すると、あなたは羽の様に柔らかな手付きを意識し、擦り付けながら撫で回した。汗で肌が少し滲んでそこは、軽快にあなたの手と指を受け入れた。
「……ん、ぅ……ぁん……ぅぁ……」
形取る様にして手を這わすとイングリットが小さく胸を弾ませた。軽やかなその吐息と共に出てくるうわ言の様な喘ぎに絆されたあなたは、今すぐにでもその尻を大きく掴んで上下に揺さ振りたくなる気分だったが、まだその時では無いと耐え忍ぶ。もう少しだけ堪能していたかった。
「……先生、今度は……そっちですか……?」
手の内にある尻肉の造形をあなたは脳内に刻み込んで行く。骨盤が広く安産型とも呼ばれる骨格に、よく鍛えられているむっちりとした腰回りの肉付き。艶かしく成熟したそれを掬い上げる様にして見れば、反抗する様に確かな弾みを持って揺れ動く。
あなたはその質量を存分に楽しんでいた。しかし、自在に変形するその尻肉を、こちら側から見れない事だけがあなたにとって心残りとなる。
「……ふふ、先生……。ならばこれは、どうでしょうか……?」
その様子を見かねたイングリットは、尻を弄んでいたあなたの手を軽く上から押さえ付けて離させると、あなたの軸を中心にして後方へ転換する。ぐじゅりとその動きだけで、膣肉と剛直が体液を和えて混ぜ合わされ、思わずあなたは身体を震わせた。
何とかしてあなたは思考を落ち着かせると、目の前の景色が180度変わっている事に気が付いた。
「こういう風にするのは初めてですね……」
白く瑞々しい果実が二つ、腰の上に横たわっていた。滲んだ汗が軽く弾かれる様なハリのある肌の質感と、潤いが有り滑らかできめ細やかな肉。掴み甲斐がある、というのは既に揉んでしまっていた事から少し変な言い方だが、これ程までの物だとはあなたは考えていなかった。触覚だけでは分からず、見て初めて認識できる物もある。
「いつもと違う……角度で……」
いわゆる背面騎乗位という奴なのだろう。あなたの目の前にあるのは、しなった弓の様になだらかな曲線を描く背中と、相変わらずの新鮮さを表明する尻。再度手を伸ばして指を這わせて見れば、少しイングリットの身体が強張って、確かな反発力を持って押し返してくる。軽く摘み上げる様にすれば、身体がピンと上に跳ねる。
「……はぁっ……あ、んぅ、ぁ……──あぁっ……」
跳ね上がった身体は、徐々に振れ幅を増し始めた。あなたの剛直は既にイングリットの中に入っている。女性上位の体位でその状況ならば、扱かれないという選択肢は存在しない。あなたはイングリットの上気している顔を見る事はできなかったが、熱い吐息が突き上げる度に規則的に吐き出されている事だけは分かる。冬の季節でも無いのに彼女が胸を震わせると、白い息が宙に舞っている様な気がした。
「──ぁっ、はっ……んぁ、あぅっ……──っ!」
身体を奥に倒したイングリットが体軸を維持する為に、開かれたあなたの膝の間に手を降ろす。そしてベッドのシーツを軽く掴んだのだろう、張ったリネンの生地がするりとあなたの腿を撫でた。直接あなたの膝に手を降ろしてこないのは、いざ置くとなると抑えつける形となって腰を動きを阻害してしまうからだろう。しかし、あなたは腰を動かさない。それはイングリットが気持ち良い所を探している、という動作にもある。
「んっ……ん、ぁ、ぁぅ、ん……っ、はぁっ……」
今までの体位は上であれ下であれ、一対一で向き合いながら行われてきた。イングリットの膣内は正面からあなたの剛直を受け入れて、その形を交わる度に細やかに記憶していた。しかし、今回は全く逆方向から責められている。形を覚えた膣肉が反り返った物が反発して、きつきつに締め上げてきて、どうしようも無い程に甘い悦楽を与えてくる。
そんな場面で、彼女は己の新たな性感帯を探ろうとしているのだ。無遠慮に突き上げるのは無粋という奴かもしれない。
あなたはただ、再度イングリットの膣内に白濁液をぶち撒けてしまわない様に必死に努めるだけだった。
「あぅ……ん、ぁあっ?!、ひぃ、っゃ……!」
いや、あなたは辛抱ならなかった。くにくにと軽く押し潰されながら縦横無尽に揺れる尻が煽り以外の何物でも無い。イングリットの大きな尻はあなたにとって余りにも劇物だ。揉んでいるだけでは足りない。下から突き上げて、もっと揺さぶりかけたい。そんな感情が理性を塗り替える様に上書きしてくる。
「……ふーっ、ふーっ……」
少しの間、責めを止めたイングリットは、息を落ち着かせながら再びあなたに対して直立する体勢を取る。あなたの方からも責めて欲しかったという想いが有ったのか、今度は何も文句は言ってこなかった。
「あぁ……やはり先生のお顔が上手く拝見できないのは、少し悩ましいですね……」
イングリットが身を僅かに横に捩り、首を後ろに傾けて目尻の奥であなたを捉えてくる。流し目だったそれは、あなたがぼんやりとしか見えていなかったのだろうが、それでも表情を補足するには十分だった。
「ふふ……先生も我慢できなかったんですね……分かりますよ……」
同時にイングリットの蕩けた顔もあなたの視界に入ってくる。少し悩ましげな装いをしながら、ちょっとだけ憎らしげに。それでいてそれらを上から塗り潰す様に頬を熱く、朱色に染めている。器用な物だとあなたは思った。
そんな様子をあなたは存分に楽しんでいたが、近しい彼女の肉体美の部分に目が吸い寄せられてしまう。
「先生、今度は私の背中ですか……? んぅ……節操ないんですね」
咎める様なイングリットの視線が飛んでくるが、あなたは心の中で自己弁護した。彼女の背中は魅力的すぎるのだと。尻肉の谷間からうなじまで、上半身を線対象に二分する肌の谷がただの窪みなのにも関わらず、どうにもあなたの獣欲をかき乱す。
「んっ……どうしてか、この視線……既視感が有りますね……」
膣肉の裏側に精を満遍なく塗りたくる様に揺らぎながら、イングリットはそう呟いた。あなたの鼠蹊部に手を置いて、体重を締め付ける圧力に転化させてくる事も忘れない。
「どこかで同じ様な事が……っ、有った様な……? ……ああ、思い出しました」
息を弾ませながら、イングリットは思案する。精液でぐずぐずにぬかるんだ物に跨っているという状況では、上手く思考が纏まる筈も無かったろうに、すぐに得心が言った様な表情になった。
「あれはっ……んぁっ、確か社交界に初めて出た時、でしたね。士官学校よりも……ぁう、前の話です。あの時は、背中が大きく開いたドレスを着けて……やぁ、ぁんっ……見合いの為に駆り出された、ものでした」
あなたはイングリットの過去を適当に想起していた。遠因はペガサスナイトである。彼女に限らず、大空を華麗に駆ける天馬騎士達は皆、訓練で良く鍛えられたむちむちした身体を服の合間から曝け出している。それは軽さ、もとい機能美を追求した結果なのだろうが、結構目に毒である。
そんな彼女達が着る服には背中が開いたものが有ってもおかしくないと思っていたが、全く別の話だった。流石に邪推しすぎたかとあなたは反省する。
「背後を取られれば、それはもう……んぁっ……ジロジロと脂ぎった視線で眺められ、はぁっ……存分にぃ、品定めを……っぁ……されたものです……。纏めていた髪を解いて、隠していたっ、筈なんですが」
腰を揺さぶる度に、イングリットの背中が軽く弛緩する。口元に手をやって、快感に打ち震える身を抑える様に耐え忍ぶ。甘い疼きを逃そうとしたのか、あなたの腹に当たっていたイングリットの足指がぴくりと動く。
あなたは昔の話にも関わらず、少なくない嫉妬を覚えていた。彼女の麗しい背中を堪能できた存在が他にいた事にやっかんでいた。
この背中は舐め回す様に見るのではなく、軽く触れる様に目を這わせるのが一番だと、あなたは過去の者達にマウントを取る様に考えていた。
「先生……自分だけは違う、みたいな様子を装われていますが、先生もあまり変わらないと思います……」
あなたは心の中で泣いた。
「……やぁ?! あぁっ……急にぃ、激しくっ……?!」
それを紛らわす様に、あなたは乱暴に尻肉を掴みながら突き上げた。途端にイングリットの肢体が、柔らかな曲線を描く背が、連なって跳ね上がる。うなじから垂れた汗が、窪みを辿って二つの山の谷間に入り込み、やがて色んな体液が入り混じった結合部へと流れ込む。ぐちゅぐちゅと、小気味良い音があなたの聴覚を刺激した。
「あぁ、やぁっ……! せんせいっ……それは、だめっ……です……」
自らの真上で淫らに踊る姿に情欲を煽られまくったあなたは、イングリットの懇願も無視して、思う存分に彼女の身体を貪り始めた。女性優位の体位とはいえ、割と簡単に攻守は逆転してしまった。
手を伸ばせば胸の様に柔らかく吸い付き、それでいて胸とは少し違い確かな反発を含みながら押し返してくる。そんな尻肉を揉みしだきながら腰を思いきり打ち付ける。
「や、やめ……まって、あ、ゔっ……あぁっ……!」
あなたは腰を浮かして跨られている場所を上の方向へ押し上げると、そのまま腰を下に引き、両手で尻肉を掴みながら宙に固定した。そして勢い良く剛直を打ち上げた。
「あああッ──! やぁ、いやっ……んぁ、はぁっ! やぁっ……!」
イングリットの最奥を擦る様にして何度も突く。口から這いでてきた唾液が、肩に垂れ下がる程までにイングリットは狂っていたが、気にせずあなたは突き上げる。跨られている今でも、正常位の様に上から覆い被さっている時と変わらない程に、腰を激しく奥へ奥へと抽送する。
「うぁ……──う……っ、んっ……! ぁ、……──!」
余裕が無くなってきたのだろう、言葉にならない声を虚空に散らすイングリットはよそに、あなたはひたすら責め立てる。ぐちゅぐちゅと水音が響き結合部から飛沫が散るのも気にせずに、ただひたすらに。
やがて、イングリットの身体がぎゅっと大きく強張った。
悩ましい程にとろけた声が宙に舞う。
「ぁう……っ──! ……! ゃぁ……──っ! ぅぅ……、ぁっ……──。……っ」
小刻みに揺れる身体と共にイングリットの膣肉が、少し前に吐き出されたものを、今更大い尽くそうと締め付けてくる。秘部から垂れた彼女の体液が、溢れ出した精の様にどろりと這い出てくる。
どうやら今度はイングリットの方が先にイってしまった様だった。
これでおあいこである。
「はぁっ……。ふぅ──っ……ままならない、ものですね……」
イングリットはあなたの方へ後ろ向きに倒れ込んできた。あなたの胸の中へ、身を預けてきた彼女がすっぽりと収まった。
「今度は私が先に達してしまいましたか……。でも、先生はまだ……」
酸素を求めて上下するイングリットの胸の動きを、あなたは彼女の背中から感じ取った。確かな鼓動を感じていると手を首の後ろに回され、無理やり唇を奪われる。中々に軽業じみていたそれは、深く舌を絡め合わせる事は無理だったものの、あなたの中にある熾火が未だ燻っていない事を再認識させた。
「ぷはっ……んぅ……。……私も、まだ足りないのです」
イングリットは背を起こし、結合部を擦り合わせながら身を捩ると、再びあなたと正面から向き合った。彼女の眼が二つとも、じっとりと粘つく様にあなたを覗いてくる。
「先程の体勢も良かったものですが、やはり先生のお声を聴くにはこちらの方が都合が良いですね」
あなたはイングリットの絶倫ぶりに思わず震えた。
あの答えも満足に返していないのだから当然なのだろうが、まだまだ夜は普通に続くらしい。
あなたは頬を引き攣らせながらも、イングリットとの甘い宴の続きを期待せずにはいられなかった。
まだまだ続くんじゃ