「そういえば、
いざ三回戦という所で、あなたは唐突にイングリットから罪の告白を受けた。硬直してしまったあなたは、これから上下振動を開始するであろう双丘を鷲掴みにしようとする手前で動きを止めてしまう。
「して、その
イングリットは
「先生? 動きが止まっていますよ?」
差し伸べられた舞踏会の花をエスコートする様に──イングリットは空中で硬直していたあなたの手を軽やかに取り、自身の胸へとぎゅっと押し付けた。途端に沈み込んで形を変えたそれを、あなたはこれまで何度も何度も掌の上で踊らせ弄んできたが、未だその柔らかさの全てを堪能するまでには至っていない。慣れていない。
強制的に思考が悪い方向へと流れ、理性が極端に擦り減らされる。
「初めは何かを恐れる様におずおずと。しかし徐々にその目付きは変わり、欲望を隠せない色へと成るのです。そして最後はいつもの様に、お互いの身体を貪る事しか考えられなくなってしまう。はて、それでは先生が気に病んでいる事とは一体何なのでしょうか?」
イングリットは胸に抱いたあなたを更に押し付ける様に、両の手を使って愛おしそうに包み込む。
「先生、言って?」
見下ろされながら行われた一連の行動に、あなたはくらくらと目眩がする程までの愛おしさを感じた。しかし、許可されている回答時間はとても短いようで、イングリットはすぐに抱いたあなたの手を使って自慰をするかの様に自らの胸を揉み始める。自身の身体なので誰よりも触れた事が多いのだろう、こうして揉むのですよと言わんばかりに胸と手が一つになって
流石に堪えきれなくなったあなたは、彼女へ真意を答える事にした。
この部屋でイングリットと交わると、あなたはどうしても過去の彼女の情景を思い浮かべてしまうのだ。
彼女がここで何を思い、想って、成長してきたか。何を糧にして、未来を乞いて来たのか。
あくまで真実ではあらず唯の予想でしか無いの筈なのに、どうしても抗えない。
それはまるでイングリットを汚している様で──
「どの様に汚しているのですか?」
より具体的に。
期待していた反応が返ってきたのだろうか、少し口角を上げたイングリットが次を促してくる。あなたは正直言いたくなかったが、言わされてしまった。
あなたはここに居ると、どうしても王国騎士を目指していた時のイングリットを想起してしまう。
幼い頃から王国の盾として一族代々仕えてきた幼馴染に影響され、ただその事だけを夢にしてひたむきに打ち込む彼女の姿を思い起こしてしまう。
お家存続の為に公爵家との婚姻を結ぶ事になり、夢を諦めざるを得なくなった彼女の葛藤が連想されてしまう。
かの悲劇にて、かけがえのないものを失った彼女の悲しみと憎しみが容易に推し量れてしまう。
そして、折り合いが付かないこれからの話に苦悩する彼女の姿が手に取る様に分かってしまう。
あなたはここで行われる睦事で、幼少期より形成されてきた彼女の人格を、尊厳を、完膚なきまでに破壊している様な気分になってしまうのだ。
「ふふ……そうなのですか」
あなたの答えを聞いたイングリットは、まるで他人事かの如くせせら笑った。
「すでにその様な矜持は捨て去ったものですから、どうしても自分自身の事とは考えられないのです。先生はお優しいのですね」
褒められているあなただったが、素直にその感情を受け取る事は難しかった。そんな心行きを、表情によってイングリットに読み取られるが、変わらず微笑み返される。行き場を失ったあなたの想いが、彼女の方へ視線となって発露する。
「私は今、先生が持つそんな眼差しに、どうしようも無く背筋がゾクゾクしてしまうのです。まるで割れ物を見るかの様なその眼に、どうしようも無い程までに興奮してしまうのです。眼を離せばどうなってしまうのか、もしかしたら死んでしまうかもしれない──そんな事を考えている様な焦燥を隠せない瞳に、狂おしい程までに高揚してしまうのです。そして──」
そして。
「すぐに欲望に正直になってしまうあなたの一面が、堪らなく愛おしいのです」
イングリットは胸を揉みしだいていた拘束を解き、下から滑り込ませる様に手と手を絡み合わせる。左手と右手。それぞれが真反対の形状をしているのにも関わらず、初めからそこに在ったかの様に雁字搦めに重なった。
痛いほどに強く握られた右手の一部分がイングリットの薬指によって蒸れて、あなたは少しだけこそばゆかった。
「驚かれましたか? 私の一面に」
顔を綻ばせて少し可笑しそうに笑いながら、次へ連ねられるあなたの言葉を確かな自信を持って待ち受ける。
驚いていない、とあなたは
「ふふ……ですよね。先生は浮世離れしているというか、脱俗的というか。正直、士官学校の頃は何を考えていらっしゃるのか分からないお方でしたが、こうして睦み合えば欲望に抗えない俗な一面もはっきりと見えてくるものです。先生がそうなんですから、私にもその様な一面が在っても不思議では無いというものでしょう」
何やらあなたはイングリットに小馬鹿にされている様な気がしたが、状況が状況なだけに僅かな怒気は窮屈な程に締め付けてくる彼女の蜜壺によってすぐに性欲へと変換されてしまう。
「それで……これからどうしましょう、先生? 先生から動きますか? それとも私の方から動いた方がよろしいでしょうか? 私はどちらでも良いですよ?」
イングリットは挑発する様に見下ろしてくる。下から覗く彼女の肢体はやはり絶景だとあなたは想った。蛇の様に妖しくくねる腰に、僅かな心臓の鼓動だけでも揺れ動く胸。人という枠組みを越えて、生物としての尊さまで感じてしまう生身の身体の迫力。これがまだ動いていないというのだから酷い話だ。汗ばんだ肌や昂ぶる熱の鼓動、その全てを自分の物にしたくなってしまう。
「──ぁっ……?! いきなりですねっ……あぅ、ひっ……!? ゃっ……先生がその気なら……いいでしょう……。っ──……受けて、立ちますよ……っ」
縦に腰を打ち上げれば、イングリットは少し斜めった模様を描く様にして腰を立体的に振り乱してくる。しかし、腰と絡み合わされた片手という二点接地では少々ぎこちない動きだった。
それを見かねたあなたは、宙にぶらりとなったまま意思の介在しない振り子の様になっていたイングリットの右手を、隙を見計らって奪い取る。
「……んぅ……いいのですか? これでは私が存分に動けてしまいますよ? 胸も満足に揉めなくなってしまいますし」
あなたはその手を仕返しとばかりに同じ様に絡み合わせていた。あなたと両手とイングリットの両手は、指が這う隙間が無い程に組み合わされている。これで新たな接点を得た分、イングリットの方はかなり動き安くなってしまっていた。
主導権を確実に握られている──というよりも、手綱を握られていると言った方が正しいかもしれない。
「それ程までに私が生涯で身に付けた天馬捌きを受けたいんですか? 私はもう大修道院で初めて交わった時の様にうぶでは無いのですよ? 先生からそれはもう、沢山学ばさせて頂きましたから」
イングリットの独壇場を自ら整えるというのは、死地に向かう様な物だろう。だが、あなたはどうしてもその先がどんな物なのか知りたくなってしまったのだ。あなたの中では、恐怖と好奇心は五分五分といった所だろうか。失敗しても命を絞り取られる訳では無いので安いものかもしれない。
「先生がそこまで望むのならば、やぶさかではありません。ではいきましょう……」
イングリットが意を決し、動いた。
途端、あなたは底知れない狂気を翠の瞳の奥に感じてしまう。一度除けば深い地の底へ引き摺り込まれてしまうかの様な危うさと、一度味わえば脳裏にこびりついてもう離れる事はありえないと言える程の甘い陶酔。それらが両手を通して伝わってくる熱によって上手い事調和され、お互いの善も悪も全て混ざり合って徐々に融解していく。やがて自分が自分で無くなってしまうかの様な幻想が、脳を埋め尽くす様に侵食してくる。
「──はっ、あぁ、ぅ……ぁっ──! 先生の手ぇ……少し、つめたいですねっ──……ぁぁっ、やぁっ……私がっ、温めて……暖めてっ、あげましょう……っ!」
繋ぎ合わせた部分がほぐれ、溶け合っていく。三点を軸にして、イングリットが8の字を描きながら戯れているだけなのに、揺さぶり掛けてくる振動が太腿や鼠蹊部だけでは無く、両手両指から伝わってくる所為で、身構えられなかった方向から理性が無茶苦茶にかき回される。
「んぁっ……あっ、いやっ──ぅぁ、んっ……あっ、はぁっ……っ!」
下だけでは無く、上も一体になってしまっていた。腰を打上げられれば、それに連なって腕が自然と同調する。それでいて心地良い程に締め付けてくる快感から逃れようとすれば、身体を無理やり元の場所繋ぎ止められる。それはまるで羽を奪う不恰好な鎖の様だった。
「……ああ、もう──っ、厄介な暴れ馬、ですねっ……! 鞭を、入れられてはいない、ぁぅっ……ファーガスの駿馬でも、んぁっ……! これ程までには、っぁ……暴れは、しませんよ……っ!」
ゆさりゆさりと馬に揺られる様にその身がうねれば、僅かに窄められた肩と掴まれた両手によって強調されたイングリットの胸が忙しなく揺れ動く。天馬騎士達はこぞってその胸にさらしを巻くと言われているが、確かにそれは間違いでは無いのだろうとあなたは推測する。余りにも揺れすぎているのだ、空中戦でこんな物を放っておいたら碌に闘いもままならない。
「──先生、やはりっ……胸ばかり、はぁっ……やぁ、見ていますねっ……。揉みたいのですか……っゃ、揉みたいのでしょう? でも、ダメです……っ」
擦り付ける様にグラインドしたかと思えば、絡め合わされた両手をそのまま引き摺る様にして上を連れて行く。上へ行けば、下へ重力で落ちるのみ。僅かに軽くなった身体の感覚と共に、乱暴なまでに圧縮してくる膣肉が結合部へ打ち付けられる。
それと同時に汗が滲む程に握られたあなたの両手が、更に強く絡め取られた。
「我慢して、くださいねっ……? ……んぁ、やっ……先生が、惨たらしく、ぁっ……達して、しまうまでっ……決して、この手はっ……あぁっ……! 離しま、せんから、ね……?」
惚けてしまうくらいに甘い言葉を馬上で囁きながら、イングリットはひたすら昂りをぶつけてくる。かつての清廉の騎士としてのプライドをとうの昔に捨て去ってしまった彼女には、何も気にする物など残っていない。正式な婚約まで操を守り通すという貴族の淑女たる矜持も、純潔も、あなたによって散らされてしまったので、当然の事ながら残っていない。
ただそこには、はしたない一匹の獣の雌がいるだけ。
「先生……私を、見てください……もっと私を……っ!」
イングリットが物欲しそうな顔で覗いてくる。言われなくてもあなたは、物理的にも精神的にも彼女から目を逸らす事は不可能だった。どこへ視線を向けようとも、必ず視界にはイングリットが入ってしまう。もはやそれは虜と言っても過言では無い。だが、彼女は満足していない。だとすれば、そのおねだりは程度の問題かもしれないとあなたは考えた。
荒い息を吐きながら膣肉でぎゅうぎゅうに締め付けてくるイングリットの責めから、あなたは何とか耐えながら、言われた通り彼女の肢体を情欲のままに、想像で汚しながら舐め回す様に見つめた。
「──……ッッ!! ああ、先生が──やぁっ……私をっ、欲望の捌け口として──ひゃぁ……っ、見てくださって、います……っ!」
潤んだ瞳を揺らしながら漏れる吐息を我慢できず、口を開けたイングリットからは小さな紅い舌がちろちろと覗いている。リズムを刻みながら腰を勝手に打ち付けて来れば、反動ではあはあと体温調節をする犬の様に声音と共にその舌を甘やかに揺らしてしまう。
繋がっているというのも有るが、まじまじと見るという行為でこれ程までに感じてしまうとは、余りにも正直過ぎると言えるだろう。
「ぁぁッ──っ!? ゃぁ、んぁッ……あぅ、はっ……ぁあっ……!」
辛抱ならなかったあなたは程なくして、快楽を貪る様に腰を打ち上げた。相手を労らない本能のままの責めだったが、すぐに効果は有ったのか子宮口を下から持ち上げられたイングリットの身体が、びくびくと全身で痙攣する。
「──んぁっ、あっ……やぁっ……?! やめ、あぁっ……ぁぅ……っ!」
突き上げる度に軽くイってしまっているのだろうか、とろとろに惚けた魅惑的な表情が僅かに歪む。竿全体を熱く包み込んで来る膣肉が、緩やかに締め付けてくる。そこはまだ完全な絶頂には至っていないにも関わらず、別の生き物の様に子種を搾り上げる事しか考えていない。
どちらの物か分からないほどに混ざってしまった汗が、熱に耐えきれずに蒸発してしまう。
「あぁっ……! もう、ダメっ……! んぁっ……気持ち、良すぎてぇっ……」
快感から逃げる様にイングリットが身を押し付けてくる。あなたの両手が奥まで押しのけられるが、最後まで絡めた手が解かれる事は無かった。とろとろに潤んでしまった彼女の目尻には涙が浮かぶ程までになっていたが、それを見たあなたは拭う事もせずにひたすら腰を欲望のままに打ち付ける。これではまるで種馬だ。
「ぁあっ……ゃぁっ──! 先生の……はぁっ、けだものめっ……んぁっ!」
イングリットは、言葉責めによって更に大きくしてしまったあなたをひたすら詰る。余りにもそれは逆効果だったが、彼女は嬉々としてそれを何度も行なって来た。
「こ、この……っ! やあっ……ひぃ、んあっ……!」
もう何もかもぐちゃぐちゃで、どこからどこまでが自分の身体なのかも分からない。繋ぎ合わせた部分が溶解して、深い地の底へと堕ちて行く。それと同時に、熱い迸りが底からせり上がってくる。
「せんせい……はぁ、んぁっ……そろそろ、答えを教えてっ……ください?」
あなたの身体は既にイングリットに知り尽くされてしまっている。絶頂を予期する事など簡単な話だった。彼女はそれを見越して、あなたへ問いかけてくる。長い髪と短い髪、どちらが好きか。
どうやらその問いから逃げる事は不可能の様だった。
「……お願い……せんせい……答えて……っ?」
あなたは思う。イングリットは否定しているが、心の底には清廉な騎士として大成したいという夢が小さく残っているのだろう。それが絶対に叶わない物だと分かっていても、想いが隠しきれずに問い掛けに発露してしまう。
そんなイングリットを、あなたは滅茶苦茶に壊してしまいたかった。過去を何もかも否定して、自分の色に染め上げたくなってしまった。内面から塗り替えるという行為に、どうしようも無い程に背徳感を感じてしまうのだ。
だからあなたは、長い髪だと答える。
「ふふっ……最ッ低ですね、せんせい……っ」
押し寄せる快感に身を逸らす事も叶わず、大きくお互いの身体が弛緩する。煩わしい物を見る目と愛おしい物を見る目が混ざり合い、よく分からない情欲的な視線となって降り注ぐ。
「……ゃ……いやぁ、だめ……イく、っくぅ…… あ゛っ……! 〜〜ッッッ!! ぅぁ──ッ、あ゛っ゛!!! やぁ……! あぁぁ……」
限界に達した竿から、中を汚す為の液体がドロドロに送り出される。一瞬嬉しげに震えた膣肉は、一転して獲物を嬲り殺そうとする肉食獣に変化してしまう。地に堕ちるだけ追い込まれて、逃げ場も無くなった精がなす術もなく絞り取られる。それでも入りきらなかった分が有ったのか、結合部から白濁したものが溢れ出してきた。
「はぁっ……ふぅ、ふぅっ──」
不規則な吐息が辛そうに吐き出される。
両手の拘束を解いたと同時に、イングリットが倒れかかってきた。双丘がぐにゃりと潰されているのにも気にせず、あなたはそのまま受け入れる。すると、荒い息が熱と鼓動を通して体内に伝わってきた。
「はぁ、ふぅ……。────……むぅ」
気が遠くなる程の快感の波を潜り抜けて一旦落ち着いたあなたは、繋がったまま余韻を楽しんでいた。
しかし、倒れ伏してしまったイングリットが何やら少し不満げな声を上げている。彼女の表情はあなたからは見えない。
まさかこれだけやって、まだ満足していないのかと震えたが──
「────。お腹が空きましたね……」
あなたは思わず苦笑した。
抜かずに連戦となれば、消費カロリーもかなりの物となってしまうだろう。およそ一般的な訓練よりもそれは過酷だったかもしれない。
イングリットがお腹を空かせてしまうのも仕方の無い事だったが、いかんせん今は夜で間が悪い。
「んぅ、そうですか……。ではこれで我慢しましょう」
たしなめられたイングリットは顔を少し上げると、何の予告も無しに無理矢理あなたから唇を奪った。唾液を混ぜ合わされて別の口内へ持ってかれる。
「ぷはっ……んっ、んくっ……」
あなたの口の中で体液を啜ったイングリットは、それをそのまま嚥下した。そんな少量では腹の足しにもならない筈なのに、彼女はとても満足げだった。思わずあなたは同じ様に生唾を飲みこんでしまうが、何とか次に連なる衝動は堪えた。理性を動員させなかったら、このまま四回戦まで行ってしまったかもしれない。流石にそれはあなたにとってもイングリットにとっても翌朝に響き過ぎる。
そんなあなたの内なる葛藤を見抜いたのか、見抜いていないのか、少し可笑しそうに笑ったイングリットが、名残惜しげにずっと繋がっていた物を引き抜いた。
それと同時に吐き出された液体が、どろどろと溢れ出てくる。
「あっ……」
ちょっと出し過ぎたかもしれない。
夜中。このまま寝るのは流石にまずいと猛省したあなたは、イングリットと共にガラテア家のお風呂で、何とか理性を抑えながら膣内に出された精をかき出す事になってしまった。
ここら辺で一区切り
無双の事前情報でイングリットちゃんの姿が見えたら
また再開するかも