※この作品はR-18です。

魔法少女きょうこ☆マギカダークネス 流れ者達の平凡なひととき   作:凡庸

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第一部第2.6話 佐倉杏子の平凡な欲望②

「はぁ…はぁ…っ…!……くぁ……!」

 

 

 夜風が吹き、月光が映える夜の下。

 佐倉杏子は廃教会の壁面に身を預けていた。

 

 左半身を壁に付け、喘鳴に喘いでいる。

 その身体がずりずりと傾斜し、やがては地面に倒れ伏した。

 壁には、照り光る粘液が付着していた。それは、杏子が身を擦った部分の一つだった。彼女の左手は、粘液にまみれていた。

 

 

「うぅ……あ……!」

 

 

 冷えた地面が熱い身体に触れる。冷気が身体へと移るが、それは即座に熱へと変わった。 

 今の杏子は、まるで人の姿をした火であった。

 ホットパンツの中に入り込んだ右手は、ここ十数分間絶え間なく杏子の雌を弄んでいた。

 皮を剥いた陰核を摘まみ、陰唇の指先で押して入り口付近の粘膜を指の腹で擦る。

 下着どころかホットパンツは、雌の器官から溢れる粘液でぐっしょりと濡れ、まるで水に浸したかのような惨状となっていた。

 

 

「うぁ…うぅ………ううううう!!!!」

 

 

 胎児のように身を丸めながら自慰行為に没頭する杏子。

 快感の刺激が脳をいたぶるその中で、杏子は左手を思い切り噛んだ。

 パーカーの裾、荒れ気味の肌、筋肉のロクについていない肉が彼女の歯によって切り裂かれ、体内を通る熱い血滴を滴らせた。

 口内に充満する、潮と鉄の生臭い香り。

 

 

『どうしてこうなった』

 

 

 傷付けた肉体から溢れる自らの血を飲みながら、杏子はそう思った。

 気付の為に、腕と一緒に舌にも歯を立てた。

 ぶつんという音が口内に響き、八重歯が舌を貫通する。

 更に溢れる血潮、舌自体から生じたその味を舌で味わいながら杏子は過去を振り返る。

 それは、数分前の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ん…く……はふ…」

 

 

 押し殺した声。

 滲むのは快楽の喘ぎ。

 上半身に包帯を巻いた瀕死の少年が仰向けで眠るソファの傍らに立ち、佐倉杏子は右手を動かしていた。

 ここ数日間、どころか数週間は洗っていないホットパンツの中に滑り込ませた右手指の先で女陰をまさぐる。

 肉の唇を軽く撫で、皮を剥いた陰核を弄ぶ。びりびりという快楽が脳を苛む様に走る。

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

 荒い息遣いと共に、杏子の左手は自分の胸元に伸びていく。

 伸びきる前、胸に触れる前に手はビクリと動いて止まった。

 そうして生じた数秒の停滞は、彼への警戒心と欲望との葛藤だった。

 欲望が勝った。

 

 汗ばんだパーカー越しに乳房を掴むと、彼女は小さく身震いし、そのまま揉みしだき始めた。

 片手で乳首を転がしながら、杏子はもう片方の手で股間をいじくる。

 既に湿っているそこを指でかき混ぜると、ぐちゅぐちゅという粘性の水音が鳴る。

 

 

「う……あぁ……!」

 

 

 自分の手で自らを慰めているという事実への興奮と背徳感により、杏子の呼吸は徐々に激しくなる。

 そして、それが頂点に達した時―――

 

 

「んんんっ!!!」

 

 

 全身を襲う絶頂感。腰から始まり背骨を伝って脳へと届く、鋭い斬撃のような刺激的で甘美な感覚。

 がくがくと膝が震え、杏子はその場にへたり込んだ。

 乱れた髪が頬にかかり、杏子はそれを払う事もせず、ぼんやりとした目つきで天井を見上げる。

 身体に力が入らないのか、その体勢のまま動かなかった。

 

 数十秒後、ようやく杏子の目に光が戻った。

 杏子はゆっくりと立ち上がると、息を吐いた。

 欲情に濡れた、炎のような熱い息。

 それがしばらく続いた。

 そして、不意にその感情は変化した。

 

 

「……ちっ」

 

 

 舌打ちを吐き出した杏子。その顔には嫌悪の色が浮かんでいた。

 

 

「ああクソッ!!」

 

 

 小さな声で、叫ぶように悪罵を呟く。

 

 

「なんでだよ……なんでこんな事になっちまったんだよ……」

 

 

 右手をホットパンツの中に入れたまま杏子は呟く。

 指先は秘裂の間に浅く侵入しており、繊手を熱い粘液が濡らし、指先は収縮する肉の疼きを感じていた。

 絶頂からの快感の発露、それに付随する反作用としての、快楽が減衰していく感覚。

 賢者タイムとも言われるそれが杏子にも作用し、冷静な思考を与えていた。

 そんな彼女が思ったのは、この行為の虚しさだった。

 

 

「なんで、あたしは……あいつを……あんな奴を……あんな奴で…………ぅっ!」

 

 

 途切れ途切れの言葉に続き、杏子は顔を、口を左手で覆った。

 秘肉に触れていた右手も抜き放たれ、粘液塗れの手で口に蓋をする。

 自らが垂れ流した生臭い体液の味と香りを感じるより早く、杏子は廃教会の床面を蹴った。

 魔法少女の脚力により、彼女の姿は一瞬で屋外へと跳んでいた。

 着地の瞬間、その身体は崩れ落ちた。

 

 正面へとつんのめり、顔面が地面に激突する。 

 幸いにしてそこには丈の低い雑草が満ちていた。

 管理する者がいなくなり、生えるがままにされた結果が、天然のクッションとなって杏子を支えた。

 青々と茂る雑草のベッドの上で、杏子は激しく嘔吐した。

 

 

「げぇえ……!おぉ……っ!!ぐぅうう!!」

 

 

 胃の中が空になるまで吐いた。幸いにして、食物を取ったのは大分前。

 吐き出されるのは黄色い胃液だけだった。

 それでも、杏子の腹の中にはまだ何かが残っているような気がした。

 

 不快感を振り払う為、杏子はまた吐いた。

 無様に這いずり、のたうち廻りながら。

 

 胃液と泥にまみれ、潰した草の汁で全身を濡らした頃、口から吐き出す胃液には赤が混じっていた。

 多大なストレスで高濃度化した胃液が胃壁を溶かしたのだろう。

 無意識に発動した、治癒魔法の暴走だった。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 数分が経った。

 全身を包む倦怠感に抗いながら、杏子は立ち上がろうとした。

 状態を支えるべく手を伸ばした。

 吐瀉物で濡れた地面が滑り、再び泥と草汁とゲロの中へと彼女の顔が沈んだ。

 

 悪臭と、地面に激突した際の鼻の痛み、鼻孔の奥から込み上げる血の匂い。

 それらを脳に直接注がれるかのような苦痛。

 その中で杏子は疑問を覚えていた。

 自分はなぜ、左手だけで立とうとしたのかと。

 そう思った瞬間、腰が跳ねた。

 

 

「ひぅん!?」

 

 

 全身を穢しながら上げた悲鳴は、思いの外可愛いものだった。

 膝を折り曲げて、上半身を地面に着けたうつ伏せ状態。

 そして雄を求めるかのように、尻を上げた姿だった。

 

 その尻と腰が、小刻みに震えていた。

 尻の反対側、杏子の股間を彼女の右手が再び弄んでいた。

 それは、杏子の意識の外で行われていた。

 無意識の内に性器へと伸びた右手が、まるで杏子の隙を突いたかのように不意打ち気味に自慰行為を再開したのだった。

 

 

「ああっ!いやだっ!」

 

 

 杏子は叫んだ。だが、手の動きは止まらない。

 むしろ激しさを増しているようにすら感じられた。

 

 

「だめっ……もうダメだってばぁ!!」

 

 

 必死に叫ぶ杏子だったが、声とは裏腹にその動きは激しさを増していく。

 

 

 「んくっ……ああん……」

 

 

 快楽に溺れていく杏子を嘲笑うように、彼女の右手は動き続ける。

 陰唇をなぞり、膣口を擦る。そして痛さを覚えるほどに硬くなったクリトリスを、まるで歯で噛み千切るかのように強く摘む。

 

 

「ああああ!!!」

 

 

 絶叫と共に杏子の右手が止まる。どぷっと、彼女の雌は熱い液体を放った。

 右手がそれを受け止め、熱い液がホットパンツに滲んでいく。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 荒く息をつく杏子。だが、その息は

 

 

「ひくっ!?」

 

 

 甘さを孕んだ悲鳴に変わった。

 放たれた潮を受け止め、動きを止めていた右手が再び動き出したのだった。

 

 

「くそっ……くそっ……!……くそっ……!」

 

 

 悪態をつきながらも、杏子は快楽を求めて指を動かしていく。

 止まらない。

 止められない。

 そして彼女の赤い血が求める欲望は、次の段階へと進んだ。

 

 

「ふわぁっ!?」

 

 

 

 突如として訪れた刺激に、杏子は身体を震わせた。

 いつの間にか、右手の人差し指と中指が肛門を穿っていた。

 排泄器官への挿入による、嫌悪感。

 それを行う自分に対する憎悪にも似た感情。

 

 

「いっ!」

 

 

 突然の鋭い痛みに、杏子は身体を強張らせた。

 

 

「ぐぅ……がぁっ!!!?」

 

 

 尻穴の入口に爪が突き立てられていた。

 杏子がその事に気付いた時には、既にその傷口は広げられつつあった。

 親指が陰核を弄びつつ、後ろに回された人差し指と中指がアナルを広げて傷を広げる。

 ぶちぶちと、繊細な粘膜が切れていく音を杏子は聞いた気がした。

 

 

「あぎぃいい!!?」

 

 

 そのあまりの痛みと苦しみに、杏子は獣のような叫びを上げながら身体を仰け反らせ、悶えた。

 腸内に侵入した異物は、杏子の意思とは無関係に、まるで肉を喰い漁る蛆虫のように蠢いた。

 

 

「うぐぅ!ひゃめろぉ!!」

 

 

 杏子は泣きながら懇願したが、その願いが聞き入れられる事はなかった。

 指は杏子の願いを拒絶するが如く、肛門への苛烈な蹂躙を行っていた。

 やがて杏子は失禁し、周囲に濃厚なアンモニア臭を振り撒いた。

 

 

「やだ……もう……嫌だよ……」

 

 

 弱々しい声で呟きながら、杏子の右手は再び秘所へと伸びる。

 陰唇を割り開き、クリトリスに触れるとビクンッと杏子は痙攣した。

 

 

「はっ……はぁ……あ……ぁ」

 

 

 腰が揺れる度に、尿と愛液にまみれたホットパンツが擦れ合い、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる。

 快楽に不快感に嫌悪に恐怖。

 それらが同時に訪れ、それぞれの感情がせめぎ合う。

 

 負の感情を抑える為に、快楽を貪るべく性器と肛門を弄り続ける。

 自分で自分を犯すように。

 いや、それは比喩ではなく事実であった。

 今の杏子は、自分で自分を強姦していた。

 

 犯されている。

 

 強姦。

 

 レイプ。

 

 その思考が快楽と苦痛が渦巻く脳裏に閃いたとき、杏子の脳裏には一人の少年の顔が浮かんだ。

 

 ナガレ。

 

 自分が拾った存在。

 

 美しい少女のような顔の、雄々しき魂の少年。

 

 しばらくぶりに関わった異性。

 

 未知の存在。

 

 大嫌いな奴。

 

 嫌い。

 

 嫌い。

 

 大キライ。

 

 

 そいつに、今。

 

 

 

 自分は犯されている。

 

 

 

 

 そう認識した瞬間、杏子は夜を引き裂く悲鳴を上げた。

 

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