転生宇宙世紀 ―ジオンの女性士官にTS転生したので、ザビ家は気に入らないけど連邦と戦います― 作:読人不識
サスロ暗殺した疑いの強い気の強い女で、ギレンの支配体制が面白くなくて軍事的にはドズルと対立してる。
けどパーソナリティがはっきり分からないのです。
ぱぁっぱぁっぱぁぱぱぱぁぱぁっぱぁ~
あたしの脳内で月面入港のテーマともいえるあの音楽が鳴り響く。
シャア先輩とラル大尉、そしてハモンさんとの会合を経た翌日あたしたちの艦隊は月のグラナダに到着した。
グラナダと言えばキシリア閣下のお膝元、そして目と鼻の先にあるフォン・ブラウン市にはまだジオニック社と名乗っている例の会社が存在する。
我々はグラナダに入港するが、引き渡すモビルスーツはそこからジオニック社へと搬送され、そこでジオニック社やツィマッド社の関係者の立会いの下、軍の技術者によって解体され解析を始める段取りらしい。
なのでグラナダに入港し終えるまでがあたしたちの仕事であり、それもほぼ任務を達成した状態と言える。
と言っている間に、月面都市のゲートが開き、あたし達のザンジバル級ズワメル、シャア先輩のファルメル、ラル大尉が指揮するホワイトベースが揃って月面都市グラナダに入港する。
あたしは現場指揮に残すレーヴ中尉に補給と整備の指示を出すと、艦を降りて出迎えのキシリア閣下配下の将校に迎え入れられる。
「サラ大尉、この度は大層な御武勲おめでとうございます」
尉官と思しきキシリアの使いが敬意をこめてそう挨拶してくる。
「出迎えありがとうございます。今回はたまたま幸運に恵まれただけですよ」
あたしはそういって受け流し、
「連邦から鹵獲したモビルスーツをお渡しします、準備はよろしくて?」
キシリアの使いにそう問い返す。
「こちらは受け入れ準備完了しております。キャリアまでは操縦してもらえるので?」
尉官がそう問い返すので、
「うちのパイロットにやらせます。誘導をお願いします」
相手の要望を受け入れ部下に指示を出す。
「搬送終了後、キシリア閣下の元へご案内します。サラ大尉はしばらくお忙しい事になるかと思いますが、御辛抱ください」
そう言ってお互い敬礼して任務に戻る。
これで私の任務はとりあえず終了だ。
ここから先はシナリオがない即興劇だ、だが失敗は自分や味方の死に繋がり、決して許されるものではないだろう。
その荒波を乗り切れるかは分からない、だが出来る限り必要な局面でベストを尽くせばそれなりの結果には繋がるだろう。
あたしは気負い過ぎず、楽観的にこれから先に挑むべく、肩の力を抜いてこれからのキシリアに伝えるべきことを考えるのであった。
………
……
…
「それで、連邦の新型モビルスーツの性能とは如何なものか?」
目の前の席に足を組んで座り、提出された資料に目を通しながら、キシリア・ザビ閣下があたしに下問なさる。
「はっ! 全ての面で、我が軍の主力兵器であるザクを、遥かに上回る性能を誇り、搭載されている学習型コンピューターのフィードバックにより、そのデータを応用された機体を実戦配備することで、短期間にある程度水準以上のパイロットを、前線に投入できるようになる可能性が高いかと」
ガンダムに関する情報は惜しみなく開示する。
「それほどの物か?」
片眉を吊り上げ、怪訝そうにキシリア閣下があたしにそう問う。
あたしは出された紅茶を一口すすってから
「それほどの物です。実戦で試験的に運用してみましたが、あれの主砲は一撃でザクを撃破できる威力を持ち、ザクの倍の推力で機動でき、装甲は堅固で連邦の戦闘機の機銃では全くダメージを受けませんでした。恐らく、ザクマシンガンでも同じ結果になるでしょう。それらに加えてあの学習型コンピューターも後々脅威となり得ます。そしてかなり高い可能性として、あの機体と同系統の機体が、連邦軍の勢力圏内にある別の研究施設で、開発されている可能性が高いと思われる点により、我が軍の短期決戦の戦略が破綻した現在、戦術思想の転換点にも立たされていると愚考いたします」
あたしは今までに思いついた報告すべき点をキシリアに報告する。
「それほどの機体が、複数の生産ラインで試作されていたと貴官は言うのか?」
訝し気にキシリア閣下があたしに問いかける。
「
リアリティたっぷりな情報でそう誘導する。
「ならばガルマは苦労するだろうな」
冷然とキシリアが言う。
「苦労をする、で済めばまだよい方かと…最悪な考えですが、ザビ家の方総出で葬儀を行う可能性もあり得るかと……北米からの圧力がなくなれば、中央アジアからアフリカへかけての連邦軍の圧力も激しくなるかと」
キシリアが唯一ギレンに勝っているのは地上における資源を背景とした物量だ。
そこを断たれれば連邦はおろかギレンに勝つ道筋さえ見えなくなる。
だからあたしはそこを刺激する。
ガルマを配下にしていてもキシリアはガルマを切り捨てることを厭わないだろう、身内に対してどういう感情を抱いているか今一はっきりしない女だが、ガルマの葬儀を政治的に利用することを肯定してはいた。
そういう意味ではギレンと同類だ。
だが自らの政治的勝利の道筋を断たれるのは辛かろう?
「かつての恋人を見殺しにするのは忍びない…と、そういう事か?」
窺うような瞳であたしを睨みながらキシリアが問う。
「そういう気持ちがないと言えば嘘になるかもしれません……」
答えを濁して誤魔化す。
「よかろう、父上もガルマの戦死は望むまい。それで貴官は今後どうすべきか考えるのか?」
鷹揚に頷きながらキシリアが下問する。
「はっ! 現状我が方による地上支配は薄氷の上を歩いているような状態です。そこに連邦軍が量産した新型が投入されれば戦局は覆されるでしょう」
冷めた紅茶を一舐めしてからあたしは続ける、
「連邦軍も実戦経験を積ませる予定だったはずのフラッグシップモデルを強奪されたことで、反攻作戦の機会を一時的に失った状態かと思われます。ここは一年、いえ、せめて半年の休戦を結び、従来機に近い操縦系統の新型機の開発、そしてパイロットの慣熟期間を経てルナ・ツー侵攻、それと停戦期間中に他のコロニーとの連携の強化、協調路線を取るか? 場合によっては併合も考えた外交を展開させるべきかと。そこで徴募した兵を、学習型コンピューターのフィードバックで促成栽培し、パイロットを前線に投入し、地上における支配権を確立し、長期戦に耐えられる体制作りが肝要かと…」
あたしがシャア少佐たちと話し合った戦略を説明する。
「それを総帥が許すと?」
キシリアがあたしに問う。
ここが恐らく分水嶺! ここで彼女を納得させ得れば融和派にも協力せざるを得なくなる。
「恐らく拒絶なさるでしょう」
あたしは呼吸を整えて続ける
「ですが地上戦線を維持できなくなった時点で、宇宙での焦土作戦を主体とし、数多将兵の命を散らして、連邦を引き込んだ上でのソーラレイでの奇襲を選ばれるでしょうね。ザビ家の方々がその頃何人生き残られているのか? あたしはそう多くは残られていないと愚考いたしますが…」
強い意志を込めてキシリアと目を合わせてあたしはそう言い切る。
しばらく視線のやり取りを続けた後
「士官学校空前絶後の才媛は、物怖じという物を知らんのだな…よい、公王陛下や総帥には私から上申しよう。決して悪いようにはしないことを約束する」
そう言ってすぐ
「貴官にはズムシティで、公王陛下からの叙勲式に出席してもらう。ズワメルはグワジン級に名前を付けかえる故、ザンジバルの艦名の命名を任せる。それとホワイトベースと言ったか? あの艦の解析が終わり次第貴官の部隊に与える。受勲が終われば貴官は大佐だ、ジオン一級十字勲章で二階級、今後の戦略提案でもう一階級の昇進だ。隊の編成にも時間がかかる、その間ゆっくり休むといい」
上司直々に休暇のお勧めである。
「ありがとうございます。ですがもう一度サイド7に潜入してみようと思います。ラル大尉の部隊から選りすぐりを連れて。もし何かあればご報告いたします」
あたしが事前にこれからの行動の許可をもらう。
「ならばサイド6のバルダコロニーによるがいい。そこで貴官が有望と思う兵に検査を受けさせよ」
キシリア閣下はあたしがニュータイプである可能性を疑っているらしい。
「承知いたしました。あたしの他に有望なパイロット数名連れて御邪魔いたします」
とりあえず最初の難関を乗り切ったことに、あたしは安堵しながら退室するのであった。
実は僕オリジンをあんまりきっちりと見てないので、キシリアのキャラの把握が弱いのはそう言う所も関係あるかも?