転生宇宙世紀 ―ジオンの女性士官にTS転生したので、ザビ家は気に入らないけど連邦と戦います― 作:読人不識
皆様の応援のおかげです。
他所からポッと来ていきなり評価とか頂けると思ってませんでしたので
本当にありがとうございます。
出来るだけ続けて更新していきたいと思っておりますが、勢いだけで始めてプロットも出来上がってないので、滞ってしまったら申し訳ございません。
出来るだけそうならないよう頑張ります。
あたしは艦内にある女性士官用のロッカールームでノーマルスーツに着替え、モビルスーツ格納デッキに漂いながら向かう。
連邦の新型モビルスーツはご丁寧にもコクピットにマニュアルが備え付けてあったらしく、今のところ順調に解析が進んでいる。
木馬型戦艦を鹵獲後、作戦成功の報告と以後の指示を仰ぐため、レーザー通信で月のキシリア少将に連絡を繋いだ所、
三機あった白いモビルスーツの内、一機を実戦テストに用いる為あたし専用機としてパーソナルカラーのチェリーピンクと黒に塗り替える許可をもらい、
残り二機の内一機はスペアパーツ用としてストックし、最後の一機をグラナダのキシリア閣下に引き渡すことに決まった。
その代わり、曳航している木馬型の搭乗要員として何人か借りる代わりに、ソロモンのドズル中将にはキャノン搭載型を一機融通することで話は決まった。
技術士官に解析させた三種の連邦側新型モビルスーツのスペックは異常なほどで、ザクマシンガンではよほど当たり所が良くなければほぼダメージを与えられないようだ。
それに搭載されているビーム砲は下手をすると戦艦の主砲並みであり、ザクⅡならばほぼどこに当たってもオーバーキルである。
その事実を指摘したあたしに対し、深刻な事態に見舞われていると状況を鑑みたキシリア閣下は結果として、新型のうち一機をドズル中将に譲るというあたしの進言を受け入れてくださった。
現状のまま月まで帰還することは現実的ではないし、木馬型の性能は未知数故に連邦側も奪回できなければ撃沈してくる可能性は否めない。
キシリアとドズルと言えばジオン宇宙軍の中で、キシリアの突撃機動軍とドズルの攻撃宇宙軍に分かたねばならぬほど両者は激しくいがみ合い、
ギレンがそれを仲介することで組織の体系を二つに分けたと言う経緯がある。
1stでは結果としてドズルとキシリアはその溝を埋めることなく、ジオン本土の最終防衛ラインの一角であるソロモンを落とされ、
デギン公による講和の道はギレンによって断たれ、ア・バオア・クーにてギレンがキシリアに処刑され、キシリアはシャアに暗殺されザビ家崩壊の憂き目にあう。
ザビ家内部での暗闘は激しく、埋めがたい溝があったからそこをシャア先輩につけこまれた。
それは初期に木馬型と遭遇したのが古い軍事的思想で凝り固まった攻撃宇宙軍側だったからではないのか?
ドズル中将はリアリストだ、一機のモビルスーツが戦況を変えるなどとは思わない方だ。
それ故シャア先輩の暴走を許したのではないのか?
新しいもの好きのキシリア閣下ならば恐らくドズル中将よりは過剰な反応を示す、現に下げたくもない頭を下げて攻撃宇宙軍側の人員を借りる決断までなさったのだ。
このザビ家内部の歪で複雑な暗闘は結局終戦まで続き、ただでさえ物量に劣るジオンは戦力の分散投入を続け敗北した。
ザビ家とダイクン派の闘争の結果と言えばそうであるし、オールドタイプによる権力闘争と言えばそうなのだが、
ジオンにスペースノイドの自主独立を賭けていた人たちには、その権力闘争はいい迷惑以外の何物でもない。
だが賽は投げられた。
あたしやシャア先輩の立ち回りによっては違う結果にたどり着けるかもしれない。
ソロモン経由の指令でこちらに合流する部隊は恐らくシャア先輩の艦隊だろう。
上手く話をつけられればよし、さもなければ……あ~やめやめ。今からあの人がどう出るか考えても分かる訳がない。
政治的手腕では妹には負けるものの、指揮官として、パイロットとしては文句なく優秀な人物であり、この時期の冴え渡る頭脳は神懸ってる程なんだから、
まともに対抗できると思う方が間違ってる。
そんな風に開き直ったあたしはいつの間にかモビルスーツ格納デッキにたどり着いていた。
連邦の白い悪魔、あたしが頂いてジオンの桃色淫魔として使わせてもらうよ……
…………
……
……
「ですから、カタログスペック上ではザクの5倍のエネルギーゲインを持っていることになっておるようですな」
顎髭が渋い中年の技術士官―確かミノフスキー博士の弟子の一人だったはず―、であるマヌエル・クロップ技術大尉が新型のコクピットに座るあたしに向かってハッチの外からそう話しかける。
「足元の操作系に足が届かない。あたしのザクから上げ底持ってこさせて」
トランジスタグラマーというよりはロリ巨乳といった趣の私の小さな体ではモビルスーツパイロットをするに際していくつか不便がある。
その一つが足元の操作系に足が届かないという物だ。
言っておくが私は足が短くはない。
身体の割には足は長い。
だが絶対的に背が小さい為、大男でも乗れるようなサイズに作られた連邦の新型機とは相性が悪いようだ。
まぁ普通のザクⅡのシートもあたしにはサイズが大きかったので、気を利かせた技術大尉があたしのザクⅡから座席を換装させてくれていたようだが。
シートから抜け出して連邦の新型の概要を聞く間にコクピットの調整がなされる。
原作アニメを何回も見て知っていたが、改めてこの宇宙世紀の住人として聞かされるガンダムの性能はこの時代としては異常すぎる。
ザクⅡ一強の時代に、ビームライフルを弾数制限ありとは言えザクならオーバーキルになるほどの威力でぶっ放せ、急所を狙えば艦船を落とせるビームサーベルに、ザクマシンガンがほぼ効かない装甲、おまけに高性能の学習型コンピューターを搭載し、それに加えて高機動力と来ている。
「ハンパないなぁ……」
本来は白地をトリコロールに塗り分けられた機体をチェリーピンクと黒に塗り分け、黒い胸元の左には、尻尾でハートを突き刺すサキュバスのノーズアートを描いた。
あたしのパーソナルカラーと桃色淫魔と異名される所以となったサキュバスのマークだ。
しかし、それを連邦の象徴ともいえるガンダムフェイスに施すことになるとは思わなかった。
ザクやらヅダやらリックドムやらゲルググにはゲームやガンプラを使って施したことはあっても、あの憎き連邦の白い悪魔にそれを意匠するなど考えたこともなかった。
「姫様ー! 新型のコクピットの換装終わりましたー! 具合を試してくだせぇー!」
ハッチから顔を出した技術兵があたしに向かってそう声をかけてくる。
あたしはクロップ技術大尉を伴ってコクピットに入ると操作系の感触を確かめる。
「うん、良い仕事だね、いつもありがとう♡」
あたしの愛機を整備してくれる技術兵に愛想よく感謝を伝える。
士官や指揮官とはいえ、技術作業員とは仲良くしなくてはならない。
嫌な奴の機体の整備だからと手を抜かれては命が幾つあっても足りないからだ。
「姫、
機体に火を入れると、ブリッジからモニターが繋がれ、レーヴ中尉が確認してくる。
「軽く流す、まだろくに火も入ったことがない機体で無理はさせられないわよね」
あたしは軽くうなづく。
「姫様、お気をつけて」
クロップ技術大尉があたしにそう注意を促しハッチから離れ退避していく。
技術スタッフが格納デッキから退避するのを見計らってあたしはオペレーターに向かって
「サラ・ミア、ガンダム出るわよ」
と発艦の意を伝える。
唸りを上げる熱核ジェネレーターは確かにザクⅡの五倍のエネルギーゲインがあるという言を裏打ちするかのようにたくましい吠え声をあげ力強さを感じさせる。
もう
御拝読くださりありがとうございます。
ハーメルンの事をまだよく理解できてないのでご助言などございましたらお聞かせください。