転生宇宙世紀 ―ジオンの女性士官にTS転生したので、ザビ家は気に入らないけど連邦と戦います― 作:読人不識
「ヨーロッパ経由で連邦がオデッサへ進むと?」
あたしは意外そうな響きを込めて問い返す。
「はい、北中米が制圧される以前に進発した連邦の軍団は大きく分けて三つ。主力はヨーロッパ経由でオデッサへ、新型モビルスーツを含む機動部隊は北アフリカへ、戦闘機や戦車などの旧来の兵器での機甲軍団は南アフリカ経由で中央アジアを目指す予定だったそうですが、こちらはサラ姫様の大隊との戦闘で殲滅され、北アフリカは激戦となりましたが、モビルスーツの運用技術の蓄積の差でわが軍が辛勝と言ったところでしょうか」
マ・クベが一つ一つを丁寧に報告する。
あたしとエッチして夢中になったらしい。
『キシリア閣下に忠誠捧げたままでいいから融和派に協力してよ』
と睦言でお願いしたら。
『私を理解して下さる主にはきちんとお仕えしたい』
と言ってそのままあたしの足の甲にキスして忠誠を誓ってくれた。
キシリアはマ・クベを結構厚遇してたはずだが、ベッドは共にしてくれなかったからか?
それともあたしの方がマ・クベを使いこなせると判断したのか?
彼の中で何か変化があったことは確かなのだろう。そして彼の副官であるウラガンと、あたしの副官であるレーヴと配下の中隊長達と、ブレインとなるセイラとアムロを含めて連邦軍の侵攻ルートとその対策に関しての会議を開くことになった。
南アフリカから北上してくるルートはあたし達が中央アフリカで撃破し、そこからの押上げはなくなった。
北アフリカからオデッサに向かう軍勢も激戦の結果壊滅。
北アフリカは現地を制圧するので精いっぱいで、こちらに援軍をよこすことはできないが、敵の援軍もない。
したがって残るは敵の主力であるヨーロッパ方面からの部隊のみ、だがこの部隊でのオデッサ奪還に地上における今後の方針を賭けているらしい。
「ヨーロッパ方面軍主力を率いるのは宇宙での失態から汚名返上を狙うレビルの様です」
連邦軍の内部情報に精通したマ・クベがそう報告してくれる。
「宇宙から遁走して休みなくヨーロッパ侵攻した訳なの? あの爺さんも精力的ね」
あたしが呆れ気味に返す。
「いえ、元々休戦期間明けに宇宙軍進発と同時にオデッサ侵攻を開始したようですが、レビルが宇宙であっけなく敗北し、その汚名を返上するためにヨーロッパ侵攻軍の主将に強権を発動して就任した模様です」
マ・クベが報告するとその場に呆れの幕が下りる。
「それは連邦の首脳も面白い話ではないわね。そこを突いてあなたはジャブローでロビー活動させてる…と?」
見透かしたようにあたしが言う。
「仰る通りでございます」
一礼してマ・クベがそう報告する。
「ならばこのオデッサでレビルを敗北せしめれば、連邦内部に伸びたあなたの手によって終戦に傾くと?」
確認するようにあたしはそう問いかける。
「そう思っていただいて構いませぬかと」
マ・クベがはっきりとそう答える。
「なるほど…辛いのであろうな、レビルも……」
あたしはため息とともにそう一言吐き出す。
V作戦発動以降連邦はレビル将軍の意向をかなり強く反映して行動してきた。
V作戦の成果はあたしにより奪取され、宇宙軍は壊滅、同時に始動したオデッサ奪取作戦まで失敗したら流石のレビル将軍と言えど失脚せざるを得ない。
ましてや連邦軍の高官には、マ・クベの手のものがレビル失脚の為に活動しているのだ。
今までレビルは強い将軍であり、リーダーシップを発揮できる立場であるから、連邦軍をまとめ上げることが出来ていた。
その背景には誰がやっても敗北するしかなかったであろうルウム戦役を生き残り、脱出して生きて連邦へ戻りジオンの実態を暴いたという、多大な功績によるところが大きい。
だが、その功績をこの世界線では食いつぶしている。
最重要機密であったガンダムに関する一連の情報漏洩はテム・レイに対する厳罰だけで済む手落ちではなかったはずだ。
その失態を拭うために必要だったのが宇宙での勝利だったはずだが、それにすら失敗している。
ヨーロッパ侵攻軍に自らを捻じ込んだことは、ほぼ最後の賭けとも言えるほど、強引な行動であり、自らの主張を通す為の最後の砦と言える戦場での武勲をあげるラストチャンスと言えるかもしれない。
そこまでレビルを追い込めたのは戦場で彼を破っただけでなく
「よくぞここまでレビルを追い詰めてくれた、マ・クベ大佐。あなたの謀略、見事な冴えを発揮し、ジオンを救う大功となったといえる。本当によくぞやってくれました」
あたしは頭を下げてマ・クベの労をねぎらう、それだけの状況をこの男は謀略により作り上げたのだ、これを労わずして何を労えというのだろう。
戦場での武勲は派手で分かり易い、だからこそ英雄に祭り上げられやすい、シャア先輩やあたしがそうであるように。
だが、マ・クベは戦場で流す血の量を減らし、無駄に争わず勝つ道を模索した。
それを成し遂げられるものはジオンには多くはいないし、そういう者をジオンでは英雄には祭り上げない。
だからこそあたしはマ・クベ大佐を絶賛し、高い評価を彼に与える。
彼のような人材がいるからこそ、勝ち易きに勝つ状況を作れるのだから。
マ・クベはしばし呆然としてあたしを見つめた後、改めて膝を折って地に伏せあたしに永遠の忠誠を誓うのだった。
………
……
…
部下たちの前でマ・クベを称賛した後、今後の方針を話し合う事になった。
「ではサラ姫様は連邦との戦争が終結した後、ギレン総帥が暴走するとお考えで?」
マ・クベが戸惑いながらそう問い返す。
「少なくともあたしはそう見ている、連邦に勝った後からがジオンの山場と言えると思っている…」
根拠はない、だがあたしの勘は、戦後になるはずの時代に内戦が起きる可能性が高いと告げている。
明確な根拠がない、証拠が手元にないというだけで、ギレンの性格を考えれば、何かを仕掛けてくることはまず間違いない。
「各コロニーを傘下に収め、コロニー自治を認める代わりに戦力や工業力を供出させてはいる。しかしそれも中央で実権を握っているギレン総帥の胸先一つでどうにでも変わる。勝ったと見るや政策を一変させることなど当たり前のように起きると見た方が良いとあたしは思う」
あたしが懸念を表明する。
「コロニー協調路線は破綻すると?」
セイラが疑問を口にする。
「今のザビ家主体の体制では、その程度の政変は当たり前に起きるでしょうよ…」
あたしはそう予想を口にする。
「では軍の予算や補給物資を抑えられかねないと?」
レーヴが懸念を表明する。
「その程度の事は当たり前にされるお方だと、あたしは思う」
臆面もなくあたしはレーヴの言を肯定する。
「それでは地上から補給物資を送れる体制を築いた方がよろしいかもしれませんな…」
マ・クベが思案気にそういう。
「それができるなら、安心なのだけど…」
それが出来れば苦労はないとあたしは返答する。
「いえ、サラ姫様さえお覚悟をお決め頂ければ、地上の工業力を利用することも、物資の補給線を築くこともできます」
真摯な表情でマ・クベが言う。
「あたしが何の覚悟を決めればいいというの?」
怪訝そうにあたしは問いかける。
「獣と交わりそれを観衆に見せる覚悟をです」
真面目腐ってそういうマ・クベの声色には冗談の響きは一切混じっていなかった。
あたしは部下たちを食わせてゆく為に獣姦ショーを主催する必要がある。
あたしは悍ましさに身を震わせると同時に、子宮が疼くのを感じるのであった。
次回獣姦回、ハーメルンで獣姦て大丈夫なのかな?