転生宇宙世紀 ―ジオンの女性士官にTS転生したので、ザビ家は気に入らないけど連邦と戦います― 作:読人不識
次回エピローグ的な事をやって完結予定です。
宇宙歴0081年 6月 下旬
「ア・バオア・クー近海に味方艦隊集結中、グレートデギンのドズル中将より我が艦隊はそのままサイド3都の補給路を断ったまま包囲を狭めよとの指令です」
赤毛のポニーテールが可愛いオペレーターのオペ子ちゃんがそう報告する。
ギレンはサイド3防衛の為の戦力を極力切り捨て、戦力をア・バオア・クーに集結し、そこで決戦を挑むつもりらしい。
我が方の軍事的指導者はドズル中将だ。
彼もソロモン近海に集結させた戦力や、地球から進発し、ラグランジュポイントを大回りさせた戦力をア・バオア・クーに集結させている。
拠点防衛の為の戦力を残さなくてはならない我が方は、戦力比では有利ではあっても動かせる戦力は師団単位だ。
対するギレンは派閥の切り崩しや、離反が相次ぎこちらは辛うじて旅団単位を動かせる程度の戦力しか残っていない。
決戦というには小規模な戦い。
だがジオン共和国とジオン公国の存亡をかけた戦いであることに変わりはない。
徐々に狭まる包囲網に焦ったのか彼方此方で小競り合いが発生し、双方戦力を消耗する。
だが消耗戦になれば補給線を絶たれているギレンは更に追いつめられる。
そして我が方によるア・バオア・クー包囲網が完成し、ドズル中将からギレン公王へ降伏勧告がなされる。
だがギレンはそれを鼻で笑って拒否し、最後の戦いが始まる。
ギレンが頼りに出来る戦力などもうエギーユ・デラーズの艦隊程度しか残ってないだろうに……
それともまだ何か策が残っているのだろうか?
返り忠?
埋伏の毒?
いや、確かにこの場面で味方に裏切りがあれば致命的な結果になりかねないが、師団と旅団の戦力差でわざわざ裏切るものがいるのか?
あたしは嫌な予感に身を震わせる。
「布陣中の味方艦隊の指令官を名前入りでマップ表示で見せて」
ホワイトベースの天井モニターに布陣中の味方の配置と、その指揮官が誰であるかを表示させる。
うん?
あたしはその名前を見つけ背筋に氷を入れられたかのような寒気を感じる。
ドズル中将の座乗艦であるグレートデギンのそばにシーマ・ガラハウのリリー・マルレーンが配置されていることに気が付いたからだ。
これはまずい!
あたしの直感がそう告げる。
「オペ子ちゃん! ランバ・ラル中隊とアムロにドズル中将の座乗艦の護衛に向かうよう伝えなさい、リリー・マルレーンから近づくモビルスーツがあれば撃破してかまわないと伝えて、ドズル中将にはこちらから護衛を出すとも伝えて! 急いでっ!」
あたしは慌ててそう指示を出す。
そして船内通信を使い
「セイラ、ヒルデ! 出撃準備、前線に穴が空くからあたしたちでそこを防衛するわよ! 以降ラグナロクの指揮はハモンに任せる!」
そういってモビルスーツデッキに急いで向かうのだった。
前線に穴は開いていたがサーシャとナタリアたちの奮戦で致命的に決壊することはなく、あたし達が合流したことでランバ・ラル隊の穴は埋められた。
敵であるギレンの手勢が少ないことが幸いした形だ。
これが連邦軍相手であれば一気に食い破られたであろう。
当初ドズル閣下は
『義妹殿も心配が過ぎる』
と笑って返事を返したそうだが、グレートデギン近辺でいくつか爆発が起き、前線に動揺が走る。
あたしは味方にオープンチャンネルで
「グレートデギンは健在である! 前線にいるものは前の敵に向いて戦え! 目の前の敵を叩かねば敵の策に乗せられるぞ!?」
と叱咤し前線を崩壊させないため奮戦する。
その直後明らかに敵の攻勢が強まるが、我が方の前線はこれを食い止め、逆にア・バオア・クーに取り付き、侵入し始める。
そのタイミングで補給に戻ったあたしにラグナロクに残ったハモンから
「シーマ隊がグレートデギンに攻撃態勢を取りましたが、未然に防ぐことが出来ました」
と報告がある。
あぁ、やっぱりあの女は裏切るつもりだったのかと胸中で納得する。
自ら手を汚すことを厭わず、利益の多い方に味方するあの女ならばやりかねないとは思っていたが、さすがにこの土壇場で裏切られると不安がよぎる。
「シーマは打ち取ったの?」
あたしはハモンさんにそう問いかけると
「アムロがシーマのガーベラを打ち取りました」
と微笑まし気にハモンさんがそう報告する。
「あの子の赤ん坊を産んでくださるのですよね?」
ハモンさんが問うてくる。
「これだけ手柄を立ててくれたらね…そのつもりよ。軍の一線からは身を引くことになるけど、アムロと赤ちゃんと一緒なら……あなた達もアムロを養子にするのでしょう?」
あたしが問い返す。
「はい、ラルもそのつもりでアムロに話をしています」
ハモンさんがそう返事をする。
戦後に向けて皆身の振り方をある程度考えて動き始めている。
ここで負けてそれをふいにすることはできない。
「サーシャ隊に通信、お願い。補給が終わり次第ア・バオア・クーへの侵入を開始せよ。後詰はあたしの中隊が務める。ラル隊はそのままドズル中将の護衛を継続。よろしい?」
あたしは命令を更新する。
「了解しました。姫様、御無事を」
オペ子ちゃんがそう返答する。
ギレンの起死回生の一手は効果なく終わり、ア・バオア・クーは徐々に沈黙してゆく。
ビーム兵器の放つ光条が徐々に治まっていき、やがて完全に沈黙する。
『ギレン
とオープンチャンネルで全軍に通信が入る。
『亡骸は丁重に弔え……』
ドズル中将からそう命令が下ると、降伏勧告が行われる。
しばらくの沈黙ののちエギーユ・デラーズ大佐名義で全面降伏の受け入れがなされる。
ようやくここにして、宇宙移民の自治独立とその統治権をかけた一連の戦争が終結するのであった。
後に「三年戦争」と呼ばれるこの戦争により、ジオン共和国の再建とザビ家独裁体制の崩壊、コロニー政府の自治独立がなされ、宇宙には一応の平和が訪れるのであった。
今回ガンダムの二次創作をやっていろいろ学ぶべき点を見つけることが出来ました。
次回少しエピローグ的な事をやって、本作は一応の完結です。
番外編でエロ話を書くかもしれません、リクエストも大体こなせたので、新しくやりたいことが浮かべばになりますけど……
長期間にわたりお付き合いくださりありがとうございました。
皆様のコメントのおかげでここまで続けることが出来ました、評価やお気に入り、感想のコメントなどありがとうございました。