※この作品はR-18です。

転生宇宙世紀 ―ジオンの女性士官にTS転生したので、ザビ家は気に入らないけど連邦と戦います―   作:読人不識

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ラル大尉回になったような…


奇襲

「月のキシリア閣下から正式な配属の令があるまで我が隊に預けるということで?」

 ソロモンで冷や飯ぐらいだったラル大尉があたしにそう尋ねてくる。

「そうです、グラナダでキシリア閣下に、今後の戦略の見直しと、連邦との一定期間の停戦を提案し、その後この艦の配属をお願いするつもりです」

 遥か年上のラル大尉に敬意を払いながら、今後の指針を説明する。

「その時に我が隊を編成に加え、スムーズに運用しようというおつもりですな」

 ラル大尉がジオン最年少の士官である私に敬意を払いながら、そう問い返す。

「ご明察通りであります」

 あたしはその推測を肯定し、

「今後ともよろしくお願いします」

 と意味深に挨拶しておいた。

 

 ホワイトベースの運用をランバ・ラル隊を主軸に任せ、あたしはザンジバルのブリッジへと戻る。

「サラ大尉、俺は後からズムシティへと向かう。月を経由する貴様より先着することになると思うが、無事にグラナダの姉上に荷物を届けてくれ」

 ドズル中将から通信が入る。

「承知いたしました。ではズムシティで」

 あたしは敬礼してそう応じる。

「武運を」

 そういって中将からの通信が途切れた。

 

 ソロモンからグラナダへの行程はジオンの勢力圏内であり、戦力の足りない連邦軍が入り込むのは難しいだろう。

 その虚を突かれるのはまずいので気を抜き過ぎるのは考え物だが、サイド7からソロモンまでと比べれば格段に安全な旅路になることは間違いない。

 

 ………

 ……

 …

 

 

 ソロモンを出港してからしばし、艦隊は無事にグラナダに向けて行軍していたが、徐々にミノフスキー粒子が濃くなってきたところでキャプテンシートに座ったランバ・ラル大尉から通信が入った。

「何事ですラル大尉?」

 あたしは努めて冷静に質問する。

「ソロモンを出港してすぐにミノフスキー粒子の濃度が濃くなり過ぎです。ここままの行程でいくと二日目に差し掛かるデブリの宙域で連邦からの奇襲があるかと……」

 ラル大尉が生真面目にそう進言してくる。

「奇襲…ですか? 連邦が?」

 その考察に唖然としてあたしが返す。大艦巨砲主義の連邦が奇襲を行えるとは思わなかったからだ。

「その可能性があるということです。現に警戒をされていないのであれば、奇襲を受ければただでは済まないでしょう。そういう機会にこそ狙うべきものなのですよ」

 地上でゲリラ屋もやっていたラル大尉の言には重みがある。

「ソロモンまでの行程で、ホワイトベース撃沈の為に連邦の主力艦はほぼ底をついたと思われますが、空母や補助艦に戦闘機を曳航させての機動戦などはまだやれるでしょう。船を隠して戦闘機で襲い掛かる。わしならそうしますな」

 ラル大尉が具体的なプランを助言してくれる。

 あたしはしばし呆然としてそれを聞き、ゲリラ屋の壮絶な発想に戦慄し、自分の中でその可能性が高い事に気が付いてから

「承知したラル大尉。シャア少佐にはこちらから話をしておきます。第二戦闘配置で航行でよろしいか?」

 と歴戦の猛者に意見を求める。

「それでよろしいかと」

 ラル大尉の肯定を受けてシャア少佐に奇襲の可能性を伝える。

 あたしたちの艦隊は警戒を厳にしながらグラナダへ向かうのであった。

 

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

 ミノフスキー粒子の濃度が異常に濃くなった宙域を、連絡用の導線で艦同士を繋いだあたしたちの艦隊は、相互に監視する方角をフォローしあいながら月へ向かって航行していた。

「これはいよいよ奇襲の可能性が高そうですな」

 第二戦闘配置の為、全員がノーマルスーツを着込んだまま、ブリッジで、ハンス・レーヴ中尉が強化ガラスの向こうに広がる大型のデブリに満ちた宙域を見てさも恐ろし気にそういう。

「ラル大尉の戦訓は金では買えない価値があるわね…新たな編成にはぜひ加わって欲しい。そうは思わないかい、中尉?」

 あたしはレーヴ中尉の反応を見る為、そう言葉を紡ぐ。

 彼は慇懃に礼をしてあたしの言葉を肯定する。

 

「来ました! 7時の方角より、連邦の戦闘機と思しき機影多数!」

 レーダー通信士がそう叫ぶと、あたしは

「全艦戦闘態勢に入れ! モビルスーツ隊出撃! オペレーター他の艦にも伝えよ!! あたしも出る、レーヴ中尉あとは任せた」

 そう言って後事をレーヴ中尉に任せると、モビルスーツ格納デッキへと向かう。

 

 ……

 …

 

 モビルスーツ格納デッキに着いたあたしはガンダムに乗り込み、機体に火を入れる。

 途端通信回線が開かれサーシャが画面に映り

「ヒメさま、あーしが先陣を切りやス」

 戦意高くそう言ってくれるので

「お願いするわサーシャ…あたしはガンダムで直掩を担当します、あなたは隊を率いて前衛を。シャア少佐は中衛を、ラル大尉のモビルスーツ隊はホワイトベースの直掩をお願いします! 全機発進!」

 この艦隊の最高階級はシャア少佐だが、ホワイトベースを無傷で丸ごと奪取して曳航してきたのはあたし達なので、ドズル中将からもあたしが責任者に任命されている。

 

「やたら機動性の高い機体が何機かあるようです、連邦の新型戦闘機かもしれません! お気を付けを」

 出撃する直前にレーヴ中尉から、警告が入る。

 先行するサーシャにそれを伝えると、あたしもガンダムで宇宙(そら)に出る。

 

 最悪でもガンダムだけは無傷でグラナダに届けなければ……

 今後の戦術思想の転換点ともいえるこの機体の重要度は、恐らくあたしにしか正確には理解出来てはいない。

 だからこそ無傷であたしが持ち帰る必要がある。

 

 大艦巨砲を並べた戦列で面制圧する連邦が、ここまでの奇策を弄してまでジオンが入手するのを防ぎたがっているのだ、嫌でもその価値を高めてくれる。

 だからこそ、無事にグラナダまで運ばなければならない。

 

 そんなことを考えているうちにサーシャが率いるザンジバル中隊が連邦の戦闘機隊に襲い掛かる。

 幾つか鮮やかな軌道でザクのマシンガンを回避する連邦の新型機らしい機体があるが、サーシャというエースを含めた、ザンジバルのベテランパイロット達は動きの鈍い旧型戦闘機を容赦なく撃墜してゆく。

 襲い来るサーシャ達の牙を切り抜けた何機かの新型も、シャア少佐のザク隊に足止めされる。

 執拗に連邦の新型戦闘機を追い回すシャア先輩たちの様子を見て取ると、直掩まで侵攻できる敵はまだなさそうだ。

「ラル大尉、あれが陽動という可能性は?」

 あたしは付近を漂う専用機に乗ったラル大尉に向かって、お肌の触れ合い通信で問う。

「恐らく陽動でありましょう。本命は逆方向からかと。その場合は連邦は最後の攻勢と言ったところでしょうな」

 ラル大尉が落ち着いた様子で、そう助言してくれる。

 シャア先輩の率いるザク隊を振り切れぬと見た連邦の戦闘機隊が撤退気味に踵を返しモビルスーツ隊を艦隊から引きはがしにかかる。

「モビルスーツ隊! 敵戦闘機を深追いする必要はない!! 艦隊から離れず直掩任務を主とせよ」

 あたしが指示を飛ばすと

「サラ大尉! 2時の方向より新たな敵戦闘機隊です!」

 ファルメルのオペレーターから通信が入る。

「やはりか……モビルスーツ隊手の空いているものは直掩に戻れ!」

 そう指示を飛ばして迎撃に出る。

 直掩として残したランバ・ラル隊の練度は高く、あたしのザンジバル隊やシャア先輩のファルメル隊よりある意味で動きが良く、的確に迎撃してゆく。

 

 先陣を切った敵戦闘機隊を壊滅させた前衛が、シャア先輩のファルメル隊に後を任せて直掩部隊の援護に戻る。

 均衡していた戦場が、直掩の増強により徐々に我が方有利に形勢が展開されてゆく。

 

 連邦の新型戦闘機を殲滅したシャア先輩のファルメル隊が援護に加わったことで、戦場の帰趨は決した。

 

 新たなデ(・)ブ(・)リ(・)が数多く漂う宙域でモビルスーツ隊を含めて周辺を警戒しながらあたしは

「ホワイトベースを運用できるようになったら、艦内に兵の慰安施設を設けるべきですかね?」

 と、ラル大尉の意見を求める。

「そうなされば兵の士気も高まり母艦を死守しようとする者も増えましょう」

 ラル大尉は慇懃な口調でそう答えてくれるのであった。

 




しばらく全体のプロットを練りながらの更新になると思いますので、滞りがちになるかと思いますが何卒ご容赦願います。
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