BanG Dream!~happy? or Un happy~ 作:TRcrant
それは放課後のこと。
「失礼します」
「よく来たな、市ケ谷」
生徒指導室を訪れた有咲は教師である宮田の前に立つ。
「覚悟は決まったか?」
「……」
宮田の問いかけに無言を貫く有咲。
「だんまりか……。まあいい。それならそれで構わん。だが、お前の返答次第では、斎藤の今後の将来が決まると言っても過言ではないぞ」
そう言ってニヤリと笑いながら有咲を見る宮田。
「……ッ」
その言葉に、有咲は息をのむ。
「お前が俺の女になれば、斎藤の将来はバラ色になるんだ」
宮田はそう言いながら有咲の背後に回り込むと、その肩に手を置く。
「ひっ……」
有咲は恐怖に怯える表情を浮かべるが、それでも何も言わずに俯いたまま黙り込んでいた。
(茂以外のやつにされるなんて……でも、そうしないとあいつが)
有咲の頭の中でぐるぐるといろいろな感情がせめぎ合い続ける。
「強情な女だな。そういうところも嫌いじゃないが、素直になれないのであれば仕方が無い。無理やりにでも」
宮田は有咲の耳元で囁くようにして言うとその手を前のほうに回そうとした。
有咲はそれから訪れる未来に、目をぎゅっと閉じて身構える。
しかし、その時だった。
突然、部屋の扉が開かれる音が聞こえてきたのでそちらに顔を向けると、そこには初老の男性教師の姿があった。
「き、ききき教頭!?」
宮田はその男性教師……教頭の姿を目にすると驚いた様子を見せて動揺しながら声を上げる。
「宮田先生、何をしているのですか?」
口調こそ穏やかだが、教頭の鋭い眼光が、宮田に向けられた。
「あ、いえ……これはですね」
「説明してもらいましょうか?」
教頭に睨まれた宮田は何も言えず口をパクパクと動かし続けるだけだった。
「……なるほど。あなたにはいろいろとお話を伺わなければなりませんね」
そして、宮田の様子を見た教頭は、何かを察したのか呆れたような口調で言うと、そのまま宮田は校長室に連れて行かれた。
その後、宮田はクビになった。
それは、一人の教師の末路であった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
翌日、俺はいつものように有咲を迎えに彼女の家まで向かった。
「お、おはよう」
「……おはよう」
昨日のあの写真のことを意識してぎこちない感じになりながら挨拶を交わした俺たちは、そのまま学校に向かっていつものように足を進めていく。
「そ、そういえば今日も生徒会の仕事ってあるんだっけ?」
「え? あ、うん。そ、そうだな」
有咲はどこか緊張気味の様子だ。
やはり昨日送ったあの画像のことを気にしているのだろうか?
(まあ、しょうがないよな。あんなのを見たら……なあ)
俺は昨日の夜に見た有咲のヌード写真を思い出していた。
「おい、鼻の下伸びてるぞ」
そんなことを思い返していた俺の顔を見て有咲がジト目で睨んでくる。
「わ、悪い」
「ふん、変態」
そして、いつも通り罵倒された俺は、そのまま有咲と一緒に通学路を歩き続ける。
「茂」
「ん?」
そのまま無言で校門前までたどり着いた俺に、有咲は声を掛けてくる。
「文化祭まで、頑張ろうな」
「……ああ。そうだな」
有咲の柔らかい笑みを浮かべながらの言葉に、俺はドキッとしながら答える。
その表情はいつも浮かべている笑顔ではなく、恋人の俺にだけ見せてくれる笑みだった。
俺の返事を聞いた有咲はそのままぱたぱたと校舎に向かって駆けて行き、いつものように俺たちは校門で分かれるのであった。
「おっす、茂」
「おう、おはよう亮。で、どうだった?」
教室に入って挨拶を交わすと、俺は早々に先日のことを尋ねる。
「ああ、もちろん成功だ。宮田はあの後クビになったらしいぜ。ざまあみろだよな!」
「そりゃよかった」
アイツは生徒に対してセクハラ行為を繰り返していたわけだし、それがバレてクビになっても当然と言えば当然か。
何はともあれ、これでもうアイツに悩まされることは無いだろう。
「でもさぁ~、あいつマジ最低じゃね? お前の女に手を出すなんてさぁ~」
「まあまあ落ち着けって」
興奮する亮を宥めるように言う。
確かに今回の件に関しては俺もムカついたけど。
「それにしても、亮には何かお礼をしないとな」
「お礼か……。うーん、それならクラスの出し物の準備を手伝ってもらいたいんだが」
そう言えば、俺のクラスでは喫茶店をやるとか言ってたな。
「ちょっとだけ手間取っててさ、茂の助けがあると助かるんだ」
「そうだったのか……でも」
手伝いたい気持ちはある。
だが、俺は生徒会の手伝いをしている身だ。
生徒会のほうも人手が足りなくて大変なはず。
「もちろん無理にとは言わねえけど」
悩んでいると、亮がそう言った。
ここで俺が手伝わなかったとしても、亮はきっと俺を責めはしないだろう。
だが、それはそれで罪悪感のようなものを感じないかと言えば嘘になる。
「まあ、今すぐじゃなくてもいいさ。最悪放課後までに行ってくれれば」
「……悪い」
それを感じとった亮は、ふっと優し気な笑みを浮かべながら俺に言うと、俺の前から去って行った。
休み時間にもなり、俺は気晴らしを兼ねて廊下を歩いていた。
(うーん、どうすればいいんだ)
それからしばらく考えを巡らせるが、なかなか結論が出なかった。
やはり、生徒会の……有咲の手伝いをしたいという気持ちと亮へのお礼をしたいという気持ちがぶつかり合っているのだ。
「有咲ッ」
そんな時、俺は有咲の姿を見かけたので、声を掛けた。
「な、何だ? 何かあったのか?」
突然声を掛けたからか、有咲は少し驚いた様子を見せる。
「いや、実は亮に頼み事をされてな……」
「……そっか」
俺はそこで言葉を止めて、有咲の反応を待つ。
有咲は俺の言葉を聞いて、どこか寂しげな表情を見せた。
「別に、私のことは気にしないでもいいんだぞ?」
「え?」
有咲の口から出た言葉に、俺は思わず聞き返した。
「だって、茂は生徒会の役員じゃないだろ。この手伝いだって、無理言ってしてもらってるようなもんだし。だから、遠慮なく断っても良いんだ」
「有咲……」
有咲の言葉は、まるで深い刃物のように俺の心を抉っていく。
確かに、俺はただのボランティアのようなもの。
クラスの出し物の準備を優先にしても、誰も文句は言わないはずだ。
クラスのみんなも、生徒会の手伝いのことを説明した時には、快く賛同してくれてはいた。
だからと言ってそれに甘えてしまっていいのだろうか?
だが……
(そんな顔されると、なぁ……)
有咲の、どこか寂し気な表情がどうしても気になってしまう。
「それじゃ」
「あ、ああ。またな」
俺は立ち去っていく有咲の背中を見送る。
(よし、決めた)
彼女の背中を見ながら、俺は決断を下す。
俺は―――
ここで恒例のアンケートになります。
主人公に取らせたい行動を選択してください。
得票数の多い選択肢の行動を主人公が取ります。
回答の期限は一週間後の7月7日までとなります。
皆様の貴重な一票お待ちしております。
*現在、難易度のバランス調整に関するアンケートを実施しております。
回答がまだの方は、二日目の夕方パートの後書きをご覧ください。
その際、活動報告も併せてお読みいただけると幸いです。
主人公の選択は
-
―――クラスの手伝いをする。
-
―――生徒会の手伝いを続ける