BanG Dream!~happy? or Un happy~ 作:TRcrant
(亮には悪いが、別の機会にしてもらおう)
悩んだ結果、やはり生徒会の手伝いを断ることは出来ないという結論に達した。
最初にお願いしてきたのは生徒会の方だし、それを途中で俺の都合で断るというのは、どうも気が引けた。
それに、有咲の寂しそうな表情を見ると、どうしてもクラスの方を手伝うとは言えなかった。
(よし、そうとなれば早速亮に断りを入れねえとな)
俺は亮に断りを入れるために、足早に教室に向かう。
「あれ?」
教室に戻った俺は、亮の姿を探すが、どこにも亮の姿が無かった。
(運が悪いな。まあ、戻ってくるだろうし、そんときでいっか)
まだ時間はあるんだ。
俺はそう思って特に焦ってはいなかった。
それに、今探しに行っても見つけられる自信は無いし。
そんなわけで俺は自分の席に着くと、次の授業の準備をすることにした。
……亮が戻ってきたのは、昼休みが終わるギリギリだった。
「これはやばいな」
放課後、俺は教室で頭を抱えていた。
なんせ亮と話せると考えていた俺の計画はご破算になったのだ。
あれから何度も話しかけようとしたが、どういうわけかその度に亮の姿が見えず、結局話すことが出来なかった。
(まさか、こんなことになろうとは……)
俺は試しに亮のスマホに電話を掛けるが、繋がらず何度か掛けてみるものの、一向に繋がる気配が無い。
(仕方ない。明日謝っておくか)
ドタキャンは出来れば避けたかったが、こればかりは仕方がない。
俺はこれまで通り、生徒会の手伝いをするべく生徒会室へと向かっていた。
「失礼します」
ノックをして、生徒会室に入った俺を出迎えてくれたのは、先に来て席について作業を始めていた白金先輩と氷川先輩だった。
最近なんだかんだ言ってこの光景が見慣れてきている気がする。
「あ、斉藤君。今日も、よろしくお願い……します」
「はい。こちらこそ」
そんなことを考えながら白金先輩に相槌を打つと、腕を組んでいた氷川先輩が口を開く。
「ところで、今日は少し遅いようですが、なにかあったのですか?」
「え? あー……何でも無いです」
氷川先輩の問いかけに、俺は一瞬言葉に詰まる。
もし言ってしまえば二人のことだからクラスの方の手伝いをするようにと言ってくるはずだ。
それはそれでありがたいが、とはいえ途中で投げ出すような感じにもなるのであまり好ましくない。
「なんでも無い、ですか……」
俺の言葉を聞いて何か思うところがあったのか、考え込むように顎に手を当てる氷川先輩。
「あ、そういえば有咲は来てますか? 姿が見えないんですけど」
これ以上追及される前に話題を変えようと、俺は二人に有咲のことを訊ねた。
生徒会室には有咲の姿が見当たらなかったのだ。
「いえ、市ヶ谷さんはまだですね……。でも、もうすぐ来ると思いますよ」
俺の問いに対して答えたのは白金先輩だ。
「そうですか」
(出し物のことで遅れてるのかな?)
クラスの出し物の準備とかもあるのだとすれば、遅れてくるのも当然だ。
俺はそう思って先に仕事を始めることにした。
……だが。
「……来ませんね」
「何か、あったのでしょうか?」
しばらく経っても、有咲が生徒会室に姿を現さなかったことに、心配そうな表情を浮かべる二人。
(何だか、嫌な予感がする)
俺の中でそんな気持ちがどんどんと大きくなっていく。
「すみません。ちょっと有咲を探してきます」
いても立っても居られなくなった俺は、二人の返事を聞かずに生徒会室を飛び出していた。
いつもなら廊下を走る俺の姿を不思議そうに見つめたり咎めたりする先生がいるが、今は文化祭直前と言うこともあって、そんなに気にする様子も無かった。
そもそも、今は気にしている場合じゃない。
(どこに行ったんだ?)
まず最初に思いついたのは有咲のクラスだった。
「あ、ちょっといいか? 市ヶ谷さんはいる?」
「市ヶ谷さんならとっくに出てったけど」
有咲のクラスの教室の前にいた生徒に声を掛けると、その生徒は首を横に振りながら答える。
(じゃあ、どこに行ったんだよ)
教えてくれたクラスの生徒にお礼を言いつつ、有咲のクラスの教室を後にした俺は、校舎内を探し回る。
しかし、いくら探しても、有咲を見つけることは出来なかった。
(おかしいな。一体どこに……)
焦りを募らせながらも、廊下を走っていた俺だったが、ある教室を通りかかった時に、中から何か物音が聞こえたような気がしたので立ち止まる。
(ここ……空き教室だよな)
俺は、目の前にある教室の扉に掛かっているプレートを見た俺はその教室をのぞき込んだ。
「なッ!?」
教室の中を覗き込んだ俺の目の前に飛び込んできた光景に、思わず驚きの声を上げる。
なぜなら、そこには有咲に覆い被さるようにしている亮がいたからだ。
「有咲ッ!」
俺は慌てて有咲の元へ駆け寄ると、亮の肩を掴んで強引に引き剥がす。
「有咲、大丈夫か?」
「う……うん。ありがとう……茂」
俺は亮を睨みつけながら、床に倒れている有咲を抱き起こす。
有咲の表情はどこか恐怖に染まっている風にも思えるが、幸いにもけがをしている様子は無く、俺はほっと胸をなで下ろすと有咲を背にして尻餅をついている亮の方に歩み寄ると胸ぐらをつかむ。
「おい、お前ッ! なにやってんだよ」
「お、おい待てよ……俺は何もしてねえって」
どこかヘラヘラしてるような感じの態度を見せる亮を見て、ますます怒りが込み上げてきた俺は、拳を振り上げると亮の顔面を殴った。
「ぐっ……」
「茂ッ!」
有咲の悲鳴のような声を聞きながら、俺は殴りつけた右手に走る痛みに顔をしかめながら亮をにらみつける。
「なんなんだよ……いきなり」
殴られたことに腹を立てたのか、亮は俺のことを憎々しげに睨んできた。
その様子がさらに俺の怒りを高めるが、俺は自分を落ち着かせるためにふっと息を吐く。
「行くぞ、有咲」
「え? あ……うん」
有咲の手を引いて俺はその場から去る。
これ以上、亮の顔を冷静に見ていられる自信が無かったからだ。
「有咲、あいつから何かされたのか?」
誰もいない廊下をしばらく歩いた所で、俺は無言で歩いていた有咲に訊ねる。
「……別に、何もされてねえから」
「……本当か? 嘘ついてないか?」
有咲が何でも無いと言っても、俺が有咲のことが心配だということに変わりは無い。
「茂」
「何、んぅ!?」
そんな時、俺の名前を呼んだ有咲の方に顔を向けると、有咲は不意打ち気味に俺の唇を奪った。
突然のことに驚く俺だったが、有咲は俺の首の後ろに手を回して逃げられないようにしてくる。
「んちゅ、じゅる、れろ」
有咲は俺の口の中に舌を入れてくると、俺の舌と絡めてくる。
そして、そのまま有咲の柔らかい体が俺に押し付けられる。
「はむ、ちゅるる」
「ぷはぁ、ちょ、どうしたんだあり―――んっ」
なんとか有咲の口から離すことが出来た俺は有咲に声を掛けるが、有咲の顔は真っ赤になっていて、瞳には涙が浮かんでいた。
その姿に違和感を感じる俺に、再び有咲は唇を重ねてきた。
「ん、はぁ……好き、ちゅ、はぁ、大好きだよ、茂」
何度もキスをしながら繰り返される有咲からの告白に、俺は心臓が高鳴り、顔が熱くなるのを感じた。
俺の口の中に、有咲の唾液が流れ込んできて、それを飲み込むと俺の頭もだんだんボーッとしてきたような気がする。
「ちゅぱ、あ、はぁ、茂、もっとぉ」
「あ、ああ……」
有咲の甘い囁きに誘われるようにして、俺は有咲の体を抱きしめると、今度は自分から有咲の口に自分の舌を入れた。
(有咲の舌、あったかい)
有咲の舌はまるで別の生き物のように動いていて、それが俺の舌と絡み合うたびに頭がおかしくなりそうなほどの快感に襲われ、俺はその気持ち良さに、有咲の体を強く抱き寄せた。
「はむ、ちゅ、れる、じゅる」
俺達はお互いに激しく求め合った。
「ぷはぁッ」
お互いの荒い呼吸の音だけが聞こえるなか、どれくらいの間そうしていただろうか、満足したのか有咲は名残惜しそうに離れていった。
俺との間に銀色の糸伸びるが、それもすぐにプツンッと切れた。
「ごめんね……茂」
「いや、大丈夫だ」
申し訳なさげに言う有咲に、俺はそう答えるしか無かった。
「は、早く行こうッ」
「そ、そうだな」
慌てた様子でそう言って生徒会室に向かって歩き出す有咲の後を、俺は慌てて追うようにして歩き出す。
有咲とのキスは、今まで経験したどのキスよりも甘美なもので、時間の流れを忘れてしまうような感じだった。
俺は底知れぬ不安感を抱きながらも、生徒会室へと向かうのであった。
*香澄編と比べてH描写が少ないのは、Bポイントの影響だったりします。
また五日目より、選択肢は三つになります。
三つの内、一つの選択肢が正しい物となり、残りの選択肢は誤りとなります。
*現在、難易度のバランス調整に関するアンケートを実施しております。
回答がまだの方は、二日目の夕方パートの後書きをご覧ください。
その際、活動報告も併せてお読みいただけると幸いです。
H:2(+1)
B:1