BanG Dream!~happy? or Un happy~ 作:TRcrant
翌日。
俺は朝のホームルームが始まるまであと5分くらいの時間で教室に到着した。
「……」
「……」
すぐに目に飛び込んできたのは不機嫌さを隠さずにこちらを見る亮の姿だった。
俺はそんな亮を睨み返すと、そのまま自分の席に着く。
(結局、有咲は何も言わなかったな)
あれから何度か聞いてみたが、有咲の答えは一貫して”何でも無い”だ。
生徒会室に有咲と戻った俺たちに『どうかしましたか?』と尋ねてきた氷川先輩にすらだ。
(まあいい。それもあいつを問い詰めればすべてはっきりするだろ)
俺はそう思いながらチャイムが鳴るのと同時に教室に入ってきた先生からの連絡事項に、耳を傾けるのであった。
昼休み。
席を立とうとした俺の元に、亮がずんずんと歩み寄ってくる。
「話がある」
「……屋上で良いか?」
俺の問いかけに、亮は頷いて答える。
こちらから言いに行こうと思っていたので、むしろ都合が良い。
亮は無言で頷くと、スタスタと歩いて行った。
「ねえ、茂君」
そんな時、俺に声を掛けてきたのは戸山さんだった。
「鈴木君と喧嘩したの?」
心配そうな顔を浮かべて言う彼女に、俺は首を横に振る。
「……どうしてだ?」
「だって……二人とも全然喋らないし……」
「大丈夫だよ。別に大したことじゃないんだ」
戸山さんのその言葉に、俺は勘が鋭いなと思いながら言葉を返した。
「……そっか。ごめんね呼び止めて」
彼女は申し訳なさそうに謝ると、友達の元に戻って行く。
俺は戸山さんの後ろ姿を見送りつつ、亮の後を追うように教室を出る。
階段を上りって、屋上に出るとそこには亮の姿があった。
亮はこちらに向かい合うようにして立っている。
「で? 言い訳を聞こうじゃねえか」
最初に切り出したのは俺だった。
「言い訳って……妙に悪意のある言い方だな」
俺の言葉に、亮はどこか嫌みを込めたように苦笑しながら言う。
「お前が有咲にした事を考えれば当然だろうが!」
「だから、あれは誤解だと言っているだろ?」
亮は少し苛立ったような声でそう言った。
「誤解だと? ふざけた事をぬかすなよ。だったら昨日空き教室で何をしていたのか説明してみろ」
「それはもちろんだ。だが、その前に」
亮が一度そこで言葉を句切ると、後の方からガチャっと扉を開ける音が聞こえてくる。
その音に俺は振り返ると、そこに立っていたのは有咲だった。
「有咲、どうしてここに?」
「それは……」
俺の問いかけに、有咲はどこか怯えたような表情で亮の方を見る。
「俺が呼んだんだよ」
「……どういうつもりだ?」
有咲の代わりとばかりに口を開く寮をにらみつけながら、俺は意図を尋ねる。
「どういうつもりも何も、当事者がいた方が話しが早いと思っただけさ」
「……で、聞かせてもらおうじゃねえか」
「ああ、実は……」
亮は真剣な面持ちで昨日空き教室であったことを話し始めた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(えっと、確か資材があるのはこの教室だったよな)
亮は空き教室に、クラスの出し物で必要な資材が置いてあると教えられたため、一人でそれを取りに来ていた。
「あれ、市ヶ谷さん?」
「あ、鈴木君。どうしんですか?」
教室に入った亮の目に飛び込んできたのは、窓際に立って窓の外を眺めている有咲の姿だった。。
「ちょっと探し物をしていてね」
亮は教室に入って中を見回しながら言う。
「そうなんですか」
「そういう市ヶ谷さんこそ、ここで何を?」
「私は、その……外の景色を見に」
亮の質問に、有咲は視線を泳がせながら答える。
「そっか」
亮はそんな有咲の態度を見て、それ以上追及する事は無かった。
(まぁ、あんなことがあった後だし、しょうが無いか)
亮は内心でそう思いながら、目的の物がどこにあるか探す。
有咲はつい先日まで、教師の宮田に脅されていたのだ。
一人物思いに耽りたいと感じる事もあるだろう。
亮はそう結論づけていたのだ。
「あの、鈴木君」
亮が探し物をしていると、有咲が遠慮がちに声を掛けてきた。
「ん? どうかした?」
「その……昨日のこと、なんだけど本当に茂……斉藤君にお願いされたんですか?」
有咲がおずおずと尋ねてきた内容に、亮は一瞬目を瞬かせる。
「もちろんさ。茂のやつ、大事な彼女がひどい目に遭ってるんじゃ無いかって心配していたからね」
「そっか……茂……斉藤君、私のこと心配してくれてたんだ」
亮の言葉に、有咲は嬉しそうに微笑む。
「当たり前だよ。茂は優しいからな」
「うん……そうですよね」
亮が笑いかけると、有咲はどこか照れくさそうに笑顔を浮かべて相槌を打つ。
「ところで、市ヶ谷さん」
「はい。何ですか?」
改まって話しかける亮に、有咲は不思議そうに首を傾げる。
「茂と付き合ってるの知ってるし、恥ずかしがって呼び方変えなくてもいいよ」
「……へっ!?」
亮の突然の発言に、有咲は驚きの声を上げる。
「べ、別に恥ずかしくなんて思ってねえ……ないしッ」
顔を真っ赤にして否定する有咲に、亮は苦笑する。
「ほ、本当なんだからなッ!」
必死に取り繕うとする有咲に、亮は思わず笑みをこぼしてしまう。
「わ、笑うな!」
そんな亮に、有咲は頬を膨らませながら言うと亮の方に飛びかからんばかりの勢いで詰め寄る。
その時だった。
「うわッ!」
「まずッ」
何かに足を取られたのか、バランスを崩して前に倒れそうになった有咲に、亮は慌てて受け止めようと手を伸ばす。
(って、やばッ)
有咲の腕をつかむことは出来た物の、前に倒れる有咲の勢いで逆に押し出される形になった亮も、そのままバランスを崩して後の方に倒れてしまう。
そして、有咲と亮は重なり合うようにして床に倒れたのだった。
「痛った~」
「悪い。大丈……夫?」
痛そうに声を上げる有咲が怪我をしていないか確認しようと、それまで閉じていた目を開いた亮だったが、そこで言葉を詰まらせる。
何故なら、亮の目の前に有咲の整った顔があったからだ。
しかも、それだけではなく亮と有咲の顔の距離は、鼻と鼻がくっつきそうなほど近いかったのだ。
二人は、倒れる最中に立ち位置が反転したようで、覆い被さるような体勢になっていた。
「……え」
そのことに気づいた有咲は、呆然とした表情で亮を見ると、みるみるとその顔が赤く染めていく。
「あ、えっと……」
有咲は、いきなりの出来事に思考が停止してしまったようで、ただ口をパクパクさせるだけだった。
「ご、ごめん。すぐに退くから」
亮は慌てて有咲の上からどこうとする。
「有咲ッ!」
そのタイミングで、茂が教室の中に飛び込んできたのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「―――というわけだ」
「なるほど、な」
亮からの説明を聞き終えた俺は、腕を組みながら考える。
つまり、亮は有咲がけがをしないように富を挺して守ろうとしたが、運悪くああいう感じになったと言うことか。
まぁ、確かに話の辻褄は合う。
「お前に殴り飛ばされたことは気にしては無いさ。誤解されるような行動を取った俺が悪いわけだしな」
「……」
亮は話をまとめるようにそう言ったが、俺はまだ完全に納得がいっているわけでは無かった。
「有咲」
「な、何だ?」
「亮の話は本当か?」
俺は突然声を掛けられて、ビクッと肩を震わせる有咲に尋ねる。
「それは……その……」
有咲は視線を泳がせながら口籠るが、こくんと無言で頷いた。
「な? 本人がそう言ってるんだから信じてもいいだろ?」
「……そうだな。お前が無理矢理言わせてなければな」
亮の言葉に、俺は皮肉交じりに答える。
「ちょっと待てよ。どうしてそういうことになるんだよ?」
「誰もそれが正しいことを証明するやつがいないんだから、疑われて当然だろ? それに、有咲をここに呼びつけたのはお前だ」
俺は亮の疑問に答えた。
「ここに呼んだのは、話が早いと思ったからだ。それに、俺が市ヶ谷さんをどうやって脅すんだよ? そんなネタなんて無いぜ」
俺の言葉に、亮が反論する。
(確かに。こいつには有咲を脅せるような材料なんてない)
「それに、俺は助けたじゃないか。もしそのつもりなら、今も宮田はここにいて、状況は変わってなんか無いはずだ」
「……確かに」
亮の言うとおりだ。
もし、そういうつもりなら、宮田の仲間に入れば良い。
それをせずに、有咲を助け出すのに協力してくれた。
それは、亮の言っていることが本当である事を証明するのに十分だ。
(だけど、何か引っかかる)
だが、やはりどうしても違和感が拭えないのだ。
それが何かは分からないが。
(こうなったら有咲に本当のことを話してもらった方が良いか?)
仮に、脅迫されてるのであれば、それから守れば良いのだから。
考えを巡らせた俺は―――
ということで、恒例のアンケートになります。
主人公に取らせたい行動を選択してください。
得票数の多い選択肢の行動を主人公が取ります。
今回より、選択肢の数が3つになります。
そのうちの一つが正しい選択肢(Hポイントに加算)です。
他の二つの選択肢はいずれも間違った選択(Bポイントに加算)です。
投票の期限は、一週間後の17日までとさせていただきます。
皆様の貴重な一票お待ちしております。
*現在、難易度のバランス調整に関するアンケートを実施しております。
回答がまだの方は、二日目の夕方パートの後書きをご覧ください。
その際、活動報告も併せてお読みいただけると幸いです。
主人公の選択は
-
―――亮の話を信じる
-
―――亮の話を信じない
-
―――有咲に尋ねる