BanG Dream!~happy? or Un happy~ 作:TRcrant
二日目の夕方パートになります。
それでは、どうぞ。
「実はな……」
考えた俺は、戸山さんに話すことにした。
別に隠すことでもないし、隠したら隠したでやましいことでもあるように思われそうだと感じたからだ。
「へぇ~、じゃあ今さーやと同棲してるんだ」
「どっ!?」
「まぁ……そうなる……のか?」
香澄のストレートな物言いに沙綾が動揺する中、俺は香澄の言葉に疑問形で返してしまった。
今は確かに沙綾の家に住んでいることは間違いないが、どちらかというと居候みたいなものだ。
それに一週間限定だから、同棲とは少し違う気がする。
「でも、いいなーそういう関係って!」
しかし香澄はそんなことお構いなしに話を続ける。
「も、もうそれ以上言わないでよ、香澄」
沙綾は恥ずかしそうに顔を赤く染めながら戸山さんに言うと、こちらを真っ赤な顔で恨めしそうな表情を浮かべながら見てくる。
「はーい」
そう返事をする戸山さんと一緒に、俺と沙綾は教室へと向かうのであった。
そして、昼休み。
「沙綾、昼―――」
「ごめん、飯塚先生に手伝いをお願いされててちょっと遅れそうだから、先に行ってて」
昼食に誘おうとした俺の言葉を遮るようにして沙綾は申し訳なさそうな表情で謝ってくる。
飯塚先生というのは、数学の授業を受け持つの女性教師だ。
丁寧で分かりやすいのでとても人気者らしい。
かくいう俺も、あの先生のおかげで成績がアップしていたりするのだが。
「なんだか急だな」
「うん。なんか次の授業で使うプリントを運ぶのを手伝ってほしいみたい」
どういった経緯で沙綾にお願いすることになったのかはわからないが、勘ぐる必要もないので、俺は沙綾を送り出すことにした。
「そうなのか。頑張れよ、沙綾」
「うん」
俺の言葉に、沙綾は笑みを浮かべながら返事をすると、そのまま教室を後にしていく。
「あれ、さーやは?」
すると、同じく昼食を食べに行こうとしていた戸山さんが俺の後ろから声を掛けてくる。
「ああ、なんか先生の手伝いだそうだ」
沙綾が教室から出ていくのを見て香澄が疑問を口にするので、俺はさっき沙綾から聞いたことを戸山さんに伝えた。
「そっか。それなら仕方ないか。先に行って待ってよ、茂君」
「ああ」
香澄の提案に従って、俺たちは先に中庭に行くことになった。
そして、中庭でいつものように昼食を摂っていた俺たちだったが、
「……遅いね、さーや」
ふと、香澄が心配するように呟いた。
「確かに……ちょっと遅くなりすぎじゃないか?」
「うん……」
有咲が同意し、りみは不安げに答える。
もうすでに俺たちが中庭に来てからかなりの時間が経っている。
さすがに遅すぎないような気がする。
「ちょっと様子を―――」
「お待たせー」
様子を見に行こうと立ち上がった時、パタパタと駆けてきながら沙綾が現れた。
その手には弁当箱を持っている。
「遅かったけど、大丈夫だったのか? 沙綾」
「う、うん。ちょっと手間取っちゃって」
俺は沙綾に尋ねると、沙綾は笑顔で答えた。
だがその笑顔はどこかぎこちなく、心なしか声も震えているように聞こえた。
「どうかしたのか、沙綾」
そんな沙綾の様子に違和感を覚えた俺は、沙綾に訊ねる。
「べ、別になんでもないよ。気にしないで」
沙綾は慌てて取り繕った感じの返事をすると、いつもの定位置である俺の隣に腰掛ける。
「……そうか」
明らかに何かを隠している沙綾の様子を怪しく思いながらも、俺達は沙綾と昼食を食べるのであった。
「ありがとうございました」
放課後、この日も部活は無かったので俺はいつものように山吹ベーカリーでバイトに精を出していた。
ちなみに、沙綾はバンドの練習で学校が終わるとすぐに行ってしまった。
俺も見に行きたくはあるのだが、何だか遠慮してしまって行けていなかったりする。
(今度行ってみようかな)
なんて考えつつ、俺がレジで会計をしていた客を見送ると、奥の方から亘史さんが出てきた。
「悪い、茂君。今日は上がってくれていいぞ」
「はい。わかりました」
時計を確認すると、馬手から数時間は経過していたので、俺は亘史さんに言われた通りに、更衣室で着替えると沙綾迎えに行くことにした。
「あら、茂君。どこに行くの?」
「ちょっと沙綾を迎えに行ってきます」
外に出ようとしていた俺に声を掛けてきた千紘さんに、俺はそう答えると、俺は山吹ベーカリーを後にする。
そしていつも歩いている通学路まで来た俺は、目の前から歩いてこちらに向かってくる沙綾の姿を見つけた。
「沙綾」
「あ……茂」
俺は沙綾に手を上げて挨拶をすると、彼女は驚いた表情を浮かるとすぐに喜びの笑みへと変えて、俺の名前を呼んだ。
「練習、お疲れ様」
「うん。ありがと」
俺は沙綾に労いの言葉をかけながら彼女の頭を撫でると、沙綾は気持ち良さそうに目を細める。
そんな沙綾の様子が可愛くてしばらく頭をなで続けていると、沙綾は突然顔を背けた。
「えっと……どうしたんだ?」
沙綾の態度に困惑しながら、俺はそう問いかける。
すると、沙綾は気まずそうに答えた。
「……その……恥ずかしくなっちゃって」
俺の言葉に頬を赤く染めながら答える沙綾。
その仕草にドキッとした俺は、思わず彼女を抱きしめてしまう。
「ど、どうしたの、急に?」
「なんとなく……こうしたくなった」
「なにそれ……もう」
抱き締められた沙綾は、口ではそう言いつつも、どこか嬉しそうにしている。
「さ、そろそろ帰ろうか」
「……ぇ」
俺がそう言うと、沙綾は小さく驚きの声を上げた。
そして、寂しげな瞳で俺を見つめてくる。
「帰る、の……?」
沙綾は少し潤ませた目で見上げながら、俺にそう訊ねてくる。
その表情は、とても色っぽくて艶やかだった。
「どうしたんだ?」
「……」
俺が尋ねると、沙綾は何も言わずに俺の腕の中でじっとしている。
「沙綾?」
もう一度、俺は沙綾の名前を呼んでみるが、やはり何も反応はない。
「ねぇ、茂」
沙綾が静かに口を開いた。
「ん? なんだ?」
「私達って付き合ってるんだよ、ね?」
沙綾は上目遣いで俺に尋ねる。
「ああ、そうだぞ」
「じゃあさ……その……しないのかなぁって思って」
「な、何を……だ」
沙綾の質問のに、俺は戸惑う。
「分かってる癖に……バカ」
沙綾は拗ねたように呟いた後、目をつむるとゆっくりと顔を近づけてくる。
沙綾の顔が近づいてきて、俺の唇と沙綾の唇の距離は、残り数センチというところまで迫っていた。
俺はそこで、沙綾の意図を理解して、静かにその時胃を待つことにした。
沙綾の吐息を感じる距離で、俺の心臓は激しく脈打っている。
あとほんの数ミリで互いの唇が触れ合う所まで近づく。
そして……
「ん……っ」
沙綾の小さな声と共に、俺達の唇が重なった。
柔らかさと温かさ、そして沙綾の甘い匂いを感じた俺は、胸の奥が熱くなるのを感じていた。
「ちゅ……ふぁ……」
やがて、長いようで短い時間を経て、沙綾はゆっくりと俺から離れて行った。
お互いの唾液が混ざり合った透明な糸が俺たちの間を繋いでいたが、それもすぐに切れてしまった。
「……どうだった?」
沙綾は顔を真っ赤にしながら、恥ずかしそうに感想を求めてくる。
「……良かった」
俺は素直にそう答えた。すると、沙綾は照れ臭そうに笑った。
(なんて可愛いんだ……)
思わず見惚れてしまうほど魅力的な笑顔を浮かべている沙綾のことを見て、俺は改めて思った。
「じゃあ、お返し」
「え?」
俺は不意を突くように、今度は俺の方から彼女に口づけをした。
「ん……んぅ!?」
沙綾は驚いて一瞬身体を強張らせたが、受け入れるように俺の背中に沙綾が腕を回してきた。
俺は沙綾の感触を味わうように目を閉じる。
「ちゅ……ん……ちゅ……」
お互いに相手の唇を啄み、何度も軽いキスを繰り返す。
沙綾とするキスはとても甘く、幸せな気分になれた。
俺は、目を開けて沙綾の表情を伺ってみた。
沙綾の表情は、今まで見たことがないくらいに蕩けていて、幸せそうなものだった。
「ん……ちゅ……はむ……ん……ん……っ」
俺は沙綾の口から僅かに漏れる熱い吐息と、時折漏れる小さな喘ぎ声で理性を溶かされそうになる。
(これ以上は……ヤバいな……)
俺は沙綾の頭を撫でながら、名残惜しいと思いつつ彼女のことを離す。
「あ……もう終わり、なの?」
沙綾は寂しそうにそう言った。
「ごめんな」
「……ううん。私こそ、わがまま言ってごめんね。さ、早く帰ろ」
沙綾はそう言うと、俺に背を向けて歩き出した。
その背中はどこか悲しげに見える。
「………」
(沙綾……)
その姿に、俺は黙って彼女の後に続いていくことしかできなかった。
いかがでしたでしょうか?
一応ラッキースケベは六日目まで昼(もしくは夕方)パートで書いていく予定です。
*もしかしたらない日もあるかもしれないです。
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