BanG Dream!~happy? or Un happy~ 作:TRcrant
「ちょっと、香澄探してくる」
俺は、香澄を探しに行くことにした。
「うん。気をつけてね」
「あ、そういえば香澄、部室のある方に走っていくのを見たよ」
りみさんから健闘を祈る言葉をもらう中、花園さんから有力な情報を得ることが出来た。
「って、そういうことは早く言え!」
「ちょっと行ってくるっ」
市ヶ谷さんの突っ込みを聞きつつ、俺は早足で中庭を後にするのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昼休み、私は人気のない廊下を走っていた。
(早く茂君達の所に行かなくちゃッ)
今日、休み時間に廊下に出たときにある人に呼び止められた私は、”斉藤のことで大事な話がある、昼休みになったら誰にも言わずに一人で指定する場所に来い”と言われていたのだ。
(茂君についての話って何だろう)
そう思いながら、私はその人に指定された場所に向かっていた。
そいて、指定された場所……茂君の入っている部活であるバスケ部の男子更衣室のドアの前にたどり着いた。
(……よし)
「し、失礼します」
「おう、戸山。約束は……守っているようだな」
ドアを開けると、そこには私を呼び出したのは木村先輩だった。
木村先輩は……私の方に歩み寄ってくると外を見ながら感心した様子で口にして、私に中に入るように言ってくる。
私は言われるまま更衣室に入ると、先輩はドアを閉め更衣室内は私と先輩の二人きりとなった。
「あ、あの……それで話って」
早く茂君とお昼を食べたい私は、先輩に用件を聞いた。
茂君以外の男の人と二人きりになるのが嫌だったと言うのもあるけど、何より目の前にいる木村先輩のことが怖い人に見えたのが一番の理由かもしれない。
「戸山。確かお前は斉藤と付き合ってるらしいな」
「は、はい」
”どうしてそんな話を?”と不思議に思いながら答える私に、木村先輩はこちらに振り返る。
「なら、斉藤がバスケ部のレギュラー入りした話は知ってるな?」
まるで確認するように聞いてくる木村先輩に、私は頷いて答えるしかなかった。
「別に、斉藤が誰と付き合おうとも問題はないんだがな……」
木村先輩はそう言うと、懐から一枚の写真のようなものを取り出すと、私に見えるようにそれを突きつけた。
「ッ!?」
その写真を見た私は、驚きのあまり息をのんだ。
「これはさすがにまずいよなぁ」
それは、昨日私が茂君とキスをしている所の写真だった。
「神聖な部の更衣室でこんなことをしていたと知られたら……あいつはレギュラーから外されるだろうなぁ」
「そんなッ!」
木村先輩の言葉に、私は背筋が一気に凍っていくような感覚になる。
(わ、私のせいで茂君が……)
茂君がバスケ部のレギュラー入りをするためにとても頑張っていることは知っている。
だから、それを私のせいでなかったことになってしまうのは止めなければいけなかった。
「あ、あの……なんとかなりませんか?」
「なんとか……ねぇ。まあ、出来なくもねえが」
私の問いかけに答える木村先輩の言葉に、私の中で一筋の希望の光が見えた。
「幸いこれを知っているのは俺と写真を撮ったやつだけだ。そいつは俺が言えばこのことは言うこともねえし、何なら元のデータも差し出すだろう。とはいえなぁ、さすがにあいつのためにそこまでするのもなぁ……」
木村先輩は、そこまで言うと私の方を不気味な笑みを浮かべる。
「まあ、かわいい後輩の彼女そうしてもと言うならば、手を貸さなくもない―「それじゃあッ」―ただし、条件があるがな」
「条件……何ですか?」
私の中の何かが、”それ以上聞くな”って言ってくるけど、私はそれを無視して木村先輩に条件の内容を聞いた。
「俺の言う事を何でも聞け。そうだな、今週いっぱいでいいや。そうすれば、このことは秘密にしてやる」
(い、言うことを……)
先輩の口にした条件に、私は体が震えた。
怖い。
ただただ先輩が怖い。
この条件を受け入れたら、私の大切な物がなくなってしまうような気がした。
「破格の条件だろ? ほら、どうすんだ? 呑むのか? それとも断るか?」
「それ……は」
でも、木村先輩は私に考える余裕なんて与えてくれなかった。
「時間稼ぎするなら、これを顧問に報告しないといけねえな」
「……ッ」
木村先輩のその言葉に、私はもう考えることが出来なくなった。
気づけば私の両手はスカートの端をぎゅっと握りしめていた。
(私が先輩の言う事を聞けば、茂君を守れる)
「茂君を……助けて、ください」
「それは、条件を呑むということで間違いないな?」
そして、私はついに木村先輩の要求を呑んでしまった。
「そうだそうだ。物分かりの良い彼女をもってあいつは幸せ者だな」
私の答えなんて、最初から分かっていたのかもしれない。
笑いながら言う木村先輩の姿を見て、私はそう思ってしまった。
「分かってるとは思うが、この事は誰にも言うなよ? 喋りでもしてみろ。あの写真は白日の下にさらされることになるぞ」
「……ッ! はい」
釘をさすように言ってきた木村先輩に、私は息を呑んだ。
「戸山、その場でじっとしてろよ」
「な、なにを……」
木村先輩の表情がとても怖くてまるでハンターのような目になっていた。
(い、いや……逃げないと)
木村先輩は何をするのか言ってないけど、でもここにいたらだめだと私の中の何かが叫び続けていた。
この場から逃げ出したい。
そう思うけど、ここから逃げたら茂君の苦労が台無しになってしまうという恐怖が、私の脚をすくませていた。
段々と木村先輩が近づいてくる。
そして、スッと私に手を伸ばしてきた。
木村先輩の手が私の体に触れるほどまで近づいてきた時だった。
外から”パタパタ”と駆け寄ってくる足音が聞こえたのは。
「っち」
その足音に、木村先輩が怒ったような表情を浮かべながら舌打ちをする中、近づいてきた足音はここのドアの前で止まると、そのドアが開かれたのであった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「はぁ、はぁ」
俺はバスケ部の部室に駆けていた。
(まさかとは思うけど、香澄が部室区画に行くんだとしたらそこしか考えられない)
いわばほぼ勘ではあったけど、俺は急いで部室に向かった。
そして、バスケ部の部室(という名の更衣室だけど)の前まで来た俺は、ドアを開けた。
「香澄ッ……と、先輩?」
ドアをガバッと開けると、中には木村先輩とその奥には香澄の姿があった。
「おい斎藤。開ける時はノックをしろと言ってんだろ」
「す、すみませんっ」
ノックもせずに開けたことに、こちらのほうに向かい合うと怒号を浴びせる先輩に謝りつつも、俺は先輩に疑問をぶつけてみることにした。
「あの、先輩はここで何を」
「あぁ、忘れ物をしちまってな。ここに来たら戸山がいたから何をしているのかを聞いてたところだ」
「そ、そうですか」
いつも通りに応える先輩だけど、その奥にいる香澄の表情は暗くまるで雨の日のように沈んでいた。
(部室にいたから怒られた………のか?)
「本当に、こんなかわいい彼女がいるとは羨ましい限りだな。斎藤」
「え……ええ」
そんなことなど気にせず、軽快に笑い飛ばしながら言う先輩は、香澄のほうに振り返ると
「―――――」
何かを呟いた。
「ッ!」
その言葉は、俺には聞こえなかったが。香澄の息をのむ声だけは聞えた。
「じゃあ、俺は出るがあまり羽目外すなよ」
「は、はい」
最後にくぎを刺すように言って去って行く先輩のことよりも、俺は香澄の様子が気になって仕方がなかった。
「なあ、香澄―――」
「早く行こ? お昼休み終わっちゃうよ」
一体ここで何をしていたのかを聞こうとした俺の言葉を遮るように、香澄は笑みを浮かべながら言うと、タタタと早足で部室から出て行ってしまった。
俺は、そんな香澄の様子に違和感を抱きながらも、後を追うように部室を後にするのであった。
そして迎えた放課後。
この日は、部活もないので一緒に帰ることになったのだが
「「……」」
終始俺たちは無言だった。
それは、俺にとっては信じられないことでもあった。
いつもなら、楽しそうにその日学校であったことや市ヶ谷さん達のことなどを楽しそうに話すのに、今日に限ってそれがなかった。
そっと、横目で香澄の様子を伺うと、どこか思い悩んでいるような表情を浮かべていた。
(やっぱり、聞いたほうがいいよな)
昼休みの時はなんだかんだで聞くタイミングを逃したが、今ならば十分話を聞けるはず。
「なあ、かす――「茂君ッ」―――おわ!?」
そう思って立ち止まった俺は香澄のほうを見ながら昼休みのことを聞こうとしたが、それを遮るように香澄がこちらに振り向くと、大きな声で名前を呼んでくる。
「来てッ!」
「あ、ちょっ」
そして、そのまま俺の腕をつかんだ香澄は俺を引っ張って公園の中に入っていく。
そのまま引っ張られ続けた俺が連れてこられたのは草木の生い茂るところだった。
そこは公園からは死角になっていて、物音を立てなければ俺たちがいることすら気づかれないような場所だった。
「香澄、こんなところに引っ張ってきてどうしたんだよ?」
「……」
そんな場所に連れてきた香澄に問いかけるが、香澄は俺に背を向けたまま何も答えようとはしなかった。
「おい―――」
「……キス、して」
よくわからない香澄の行動に、俺が少し語気を強めた瞬間、香澄はこちらに振り返ると周囲の音にかき消されるのではないかと思うほどの小さな声を上げた。
「香澄、何を」
「お願い……」
目を潤ませながら俺の顔を見てくる香澄の姿は、どこか不安そうで縋りつくようにも思えた。
「……わかった」
香澄が何を思ってお願いしてきたのかはわからない。
でも、それしか俺にできることがないのであれば……そう言う思いで俺は頷くと、香澄の体を抱き寄せるように腕を回す。
「……ッ。しげる、君」
「香澄……ン」
一瞬体をびくっと震わせた香澄だったが、熱っぽい声で俺の名前を呼びながら目を閉じる香澄の唇に、そっと自分の唇を合わせる。
「チュ……チュぱっ、ひへるふん……チュッ」
「……チュッ、かふみ」
お互いにそっと触れあ合わせるだけのキス。
それだけなのに、香澄の気持ちが俺の中に流れ込んでくるようだった。
「チュッ……チュッ……ッ!」
何度も触れては話し、また触れてを繰り返した俺は、香澄の唇を舌でコンコンと突いてみた。
びくっと体を震わせて驚いた様子で目を見開かせた香澄だったが、再度突いてみると香澄はおっかなびっくりな様子で唇を開けた。
「んッ……」
香澄の口の中に俺は舌を侵入させると、香澄の歯茎などを舐めまわしていく。
「ふぁッ、しげるふん(茂君)……ほんはほろ、なめひゃらめ(そんなとこ、舐めちゃダメ)」
突然の俺の行動に、抵抗するように声を上げていた彼女だったけど、俺は止めるつもりはなかった。
「ひッ! はむ……チュパっ、ひは、はらまっへ(舌、絡まって)――――チュっ」
香澄の舌に自身の舌を絡み合わせると、最初は驚いていた香澄だったけど、次第に熱に浮かされたようにボーっとなって行き、俺のそれに応じるようになっていた。
(やば、キスってこんなに気持ちよかったのかよ)
本で読んだことがある”ディープキス”だったが、実際に体験してみると想像以上のものだった。
香澄の舌に触れているだけなのに、頭の中がとろけて行ってしまいそうな……そんな感覚に陥るのだ。
「あむ……チュッ、チュッ……ふぅぅ」
少しすれば、香澄は夢中になっていた。
最初は受け身だった香澄も、今では自ら俺の舌を追いかけまわすように絡みついてくるようになっていた。
「ジュルルル」
「やぁぁ、ちゅばしゅわないへ(唾吸わないで)よ」
なので、俺もさらにステップを勧めようと、香澄の口の中にある唾液を吸い取ってそれを飲み干してみた。
「香澄の唾、おいしい。俺のも……んッ」
普通であれば卒倒ものだけど、香澄のであればいくらでも飲める。
俺は香澄にもその感覚を味わってほしいと、今度は俺の唾液を香澄の口の中に送り込んでみた。
「んぅっ!? んぐ、んぐ……」
「どう?」
いったん口を離して香澄に感想を尋ねてみる。
「茂君のつば……おいしい。飲むたびにキラキラドキドキしてくる」
放心したように答える香澄の目はどこかとろんとしていて、その口元からは俺のかそれとも自分のかわからない唾液が垂れていて、それがとてもエロかった。
(や、やばい……これ以上我慢できねえ)
そんな彼女の姿を見ていた俺の理性は、一瞬にして溶けてなくなりつつあった。
あるのは、今すぐに彼女とセックスをしたい。
その欲望が高まりつつあった。
もう俺には今の場所のことなどが、考えられなくなるほどに思考が止まっていたのだ。
「香澄」
「………うん」
そんな俺の様子に気づいたのか、香澄は俺の言葉の意味を悟ってコクンと頷いた。
それは、俺にとっては承諾を意味するものでもあった。
(いま、俺は香澄と……)
感慨深げに心の中でつぶやいた俺が、香澄の制服に手を掛けようとした時だった。
「はやくはやくー!」
「もう、そんなに走ったら危ないでしょ」
「「ッ!?」」
横のほう……公園のほうから聞こえてきた親子の声に、俺たちは驚いて飛び跳ねるように驚くと、慌てて俺たちは距離を取るように離れた。
「ば、バレてはないみたいだな」
「う、うん……そうだね」
聞えてきた声の感じからしても、ここに遊びに来ただけのようだ。
だが、一度水を差された俺たちは、そのまま続けることもできず
「……帰ろうか」
「そう、だね」
後ろ髪を引かれる思いで、その場を離れるのであった。
文字数は、昼パートは3千字前後、夜パートは5千字前後を予定しております。
H:1
B:0