※この作品はR-18です。

BanG Dream!~happy? or Un happy~   作:TRcrant

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四日目(昼)

次の日の休み時間、俺は沙綾の目を盗むようにして教室を後にすると、階段を降りていく。

その先の踊り場には目当ての人物が壁に寄りかかるようにして勃っていた。

その人物は俺の姿を見つけると、ものすごく不機嫌そうな顔を浮かべた。

 

「遅えよ」

「悪い」

 

その人物のいつにも増してトゲのある言葉に、俺は謝った。

 

「んで、話って何だよ」

 

その人物……市ヶ谷さんは、本題を切り出す。

 

「ああ、沙綾のことなんだけど」

「だと思ったよ……で、沙綾が何だよ」

 

ため息交じりに相槌を打った市ヶ谷さんは、詳しく聞いてくる。

 

「この間の練習の時、何か悩んでいたりとかしてなかったか?」

「別にそんな事は無かった……っていうか、お前一緒にいるんだからお前の方が詳しいだろ」

 

市ヶ谷さんの言い分ももっともだ。

山吹家に居候をしている今、一番沙綾のことを知っているのは俺と言っても過言ではない。

俺は、昨日学校を後にしてからの沙綾の様子に、どこか違和感を感じていた。

本人に聞くのが一番なのだが、聞いた所ではぐらかされるのがオチだろう。

 

(やっぱり、市ヶ谷さん達にも心当たりは無いか)

 

もしかしたら俺が知らないことを知っているのではと思っていたのだが、どうやら当てが外れてたようだ。

 

「それよりもだ」

 

当てが外れてしまい、今後どうした物かと考えを巡らせようとした俺に、今度は市ヶ谷さんが話を切り出してきた。

 

「あまり他言しないで欲しいんだけど、ここ最近更衣室にカメラが仕掛けられてるようなんだが、お前何か知らねえか?」

「え? いや、知らねえけど」

 

突然の話の内容に、俺は驚きでどこか力が抜けたような感じで答えた。

 

「そっか。何か分かったらすぐに教えてくれよな」

「ああ。わかった」

 

(まあ、そういう機会はないだろうけど)

 

俺は心の中でそう相槌を打ちながら市ヶ谷さんに返すのであった。

 

 

 

 

 

「……」

 

昼休み、俺は一人で校舎の中を歩いていた。

 

(やっぱり、おかしい)

 

本当であれば沙綾との楽しいひと時を過ごすはずだったのだが、俺は用事があると言って先に校舎の中に入っていたのだ。

その理由は、昨日のことで確かめたいことがあったからだ。

昨日、俺が見た沙綾と思われる人物の後姿。

そしてそこにいた男性教師。

二人とも顔が見えないので、男性教師が誰なのかは愚か、そこにいたのが本当に沙綾であったという証拠すらないのだ。

そもそも、あれは本当に教師だったのか?

俺は身長差があったから教師だと思ったが、俺がいた位置、そして見たのが三階であったのを考慮しても、相手が教師だと断定するのはさすがに危険すぎるような気もする。

だが、俺にはあそこにいたのは沙綾だと確信している。

それは勘のようなもので、信ぴょう性には欠けてしまうが。

何より、その根拠が沙綾の様子だ。

あれから、沙綾は時折思いつめたような……考え込む様子を見せることが多くなった。

それに、あの時は気づかなかったが、どこか悲しそうな表情をしているようにも見えた。

だから俺には確信があったんだ。

しかし、沙綾にそのことを聞いてみても「なんでもない」の一点張りだった。

俺の考えすぎなのかもしれないが、だからといって放っておくというのもまず無理だ。

そんなわけで、俺は昨日見た教室がどこなのかを探すことにしたのだ。

たどり着いたのは三階の奥の方の区画だ。

この区画は階数は違うが生徒会室があったり部室があったりと、用のない人であればまず来ることが無い所になっている。

三階にあるのは女子更衣室(俺たち男子は教室で着替える)や、校則違反をした生徒への指導や今後の進路相談や面談などを行う生徒指導室などが存在する。

 

(にしても、盗撮……か)

 

昨日俺が見た教室があるであろう場所まで移動中、俺は休み時間に市ヶ谷さんに言われたことを思い出していた。

さっきは流してしまったが、事件の内容がかなり物騒だ。

 

(まさか、沙綾はそれで……)

 

ふと、そんな可能性にぶち当たった。

それであれば沙綾が何も言わないことの辻褄が合う。

そう、”写真をばらまかれるという脅しを受けていて言えない”という仮説の辻褄が。

 

(えっと、確かこの三つ先の部屋だったよな)

 

そんなことを考えながらも、俺は目的を果たそうとしていた。

俺は三つ先の部屋に目を向ける。

 

「……生徒指導室」

 

そこは、生徒指導室だった。

俺の当てが外れていなければ沙綾がいたのはそこで間違いなかった。

 

(そうすると、やっぱりあの時いたのは教師か)

 

まだそう断定するのは早いが、このような場所に教師以外のやつが入るだろうか?

 

(よし、とりあえず沙綾に聞いて……ん?)

 

生徒指導室という手がかりを得た俺は、それを基に沙綾にもう一度問い詰めようと思いながらきびすを返そうとした時だった。

俺の視界の端に、何やら光る物体が見えたような気がしたのだ。

 

「気のせいだとは思うんだが……」

 

さすがに神経質になりすぎだとは思うんだが、気になってしまうのだから仕方が無いと、自分に言い聞かせるようにして俺は光る物体が見えた場所の方に足を進める。

そこは、普通に歩いていれば死角になるような箇所が多くある場所でもあった。

俺はしゃがみこむと覗き込むようにしながら光る物体が見えた場所を確認する。

 

(あった)

 

そして、俺はその物体を見つけた。

それは、壁際にまるで隠すように置かれていた。

俺は手を伸ばしてその物体を引っ張り出す。

 

「これって……」

 

俺が引っ張り出した物、それはカメラだった。

カメラについては詳しくないのであれだが、プロが使うような本格的な物だった。

後ろ側には液晶ディスプレイがあり、撮った写真を確認することが出来るようになっていることから、かなり高級であるのは俺でもわかった。

 

(これって一体誰の……持ち主には悪いが)

 

高級そうなカメラだ。

きっと持ち主は必死に探しているだろう。

俺は持ち主を探すためにその手がかりを得るため、俺は持ち主に心の中で謝りながら撮影した写真を確認することにした。

 

(これが、電源ボタンか?)

「よし、付いた」

 

手探りでカメラの電源を付けると思わしきボタンを押すと、狙い通りにディスプレイに撮影したであろう写真が表示され、俺はその写真を確認していく

最初に表示されたのは、誰かの足だった。

 

(まあ、状況的に俺の足だろうな)

 

俺が見た光る物体は、おそらくカメラのフラッシュか何かだろう。

そう結論づけた俺は、カメラを操作して違う写真を確認していく。

 

「なッ!?」

 

俺は、そこに写し出された写真に言葉を失った。

そこに写し出されたのは、女子生徒の着替えている写真だったのだ。

俺は、女子生徒同士がふざけて撮ったのではという、ありえない推測をしながら他の写真を表示していくが、表示されるのは、それを否定するように着替えている女子生徒のものだった。

誰なのかはわからないが、写真の中には見知った顔がちらほらあり、

 

「……ッ」

 

沙綾の写真まであった。

俺はそれ以上写真を見るのを止めた。

 

(まさか、このカメラは例の盗撮犯のか?)

 

俺はすぐにそのカメラを持って職員室に向かおうとした時だった。

 

「ん? このシール……どこかで」

 

カメラの下側に貼ってある何の変哲もない青丸のシールを見つけた俺は、それに既視感を覚える。

 

(そうだっ! あいつだ!)

 

そのシールの正体に気づいた俺は、慌てながらその人物を呼び出すことにした。

 

 

 

 

 

廊下では誰かに聞かれる恐れもあったので、俺は屋上に呼び出すことにした。

それはカメラの持ち主である人物に対しての、俺的なある種の情けでもあった。

そして、屋上に向かって待っていると、ほどなくしてその人物が屋上を訪れた。

 

「突然呼び出すなんて、どうしたんだよ?」

 

呼び出した人物は、いつものようにあっけらかんとした様子で話しかけてくる。

 

「これ、お前のだろ?」

 

前置きをする余裕などない。

俺は本題を切り出すように先ほど見つけたカメラをその人物に見えるように取り出す。

 

「ッ!? そ、それは」

 

すると、その人物はあからさまに表情を一変させた。

 

「三階の廊下に隠すように置いてあった。誰のかを調べようと撮影した写真も見た」

「………」

「まさか、お前が盗撮犯だったなんてな……亮」

 

俺はそいつ……亮を軽蔑するように吐き捨てる。

 

「ま、待ってくれよ。それが俺のだって言う証拠はねえだろっ」

 

往生際悪く抵抗してくる亮に、俺は動かぬ証拠を突き付けることにした。

 

「お前言ってたじゃねえかッ! すげえ高いカメラを買ったから盗まれても俺のだってわかるように、目印になるような青印のシールを貼るんだってな!」

「……ッ!」

 

俺の言葉に、亮は表情を引きつらせながら息をのんだ。

俺はあの時、少し前に亮が、貯めたバイト代で滅茶苦茶高いカメラを買ったんだと自慢気に言っていたのを思い出したのだ。

その時に、盗まれてもわかるような目印をつけるんだと見せた青印のシールを俺に見せてきたのだ。

そのシールがカメラの下側に貼ってあったのだ。

 

「もし認めねえんだったら、お前のカメラを見せてみろよ。このカメラクラスの高級なカメラをなッ」

 

亮が来るまで、俺はこのカメラについてネットで調べていた。

このカメラはかなりの高性能のようで、暗い場所に置いていても鮮明に撮影することができたり、動くものを検知したら自動でシャッターを切る機能までついている優れものらしい。

お値段は生々しくて言えないが優に6桁近くいっている。

 

「くッ……」

 

俺の言葉で、亮は反論ができなくなったのか、口を噤んだ。

 

「な、なあ。このことを知ってるのはお前だけなんだよな?」

「ああ。それがどうした?」

 

まさか口封じでもするつもりか?

そう思って警戒していた俺の予想を裏切るように、亮は突然その場に土下座をし始める。

 

「頼むっ! 俺を見逃してくれっ!!」

 

そしてその口から出たのは、ある意味予想できたものだった。

 

「つい出来心でやっちまったんだっ! もう二度とやらねえからッ!」

「出来心で、こんなカメラを設置するか? しかも人の彼女のまで」

 

いつからかは知らないが、流しで見てしまったが撮影された写真は、少なくとも出来心でやったとは言えない感じだった。

 

「そ、それは……わ、わかった! 写真は消すっ! だから、この通りだッ」

 

(いや、そういう問題でも無いんだが……)

 

沙綾の写真を消してもらいたいのは本心だが、果たしてそれでいいのだろうかという疑問が出てくる。

 

「そ、そうだっ! 見逃してくれたら茂の言うこと何でも聞くっ! 何だってするからっ!」

「何でも?」

 

よほどバレるのが嫌なのか、もはや見境無く懇願してくる亮の言葉に、俺は思わず惹かれてしまった。

 

「そ、そうだッ! なんだっていい! だから、見逃してくれッ!」

 

(何でも良いと言うことは、もしかしたら昨日のことを解決できるんじゃ無いか?)

 

ふと、俺の中でそんな考えが浮かんだ。

”何だってする”という亮の言葉を信じるのであれば、昨日の沙綾と一緒にいた人物の正体や、そいつから沙綾を守る手段などを提案してくれる可能性がある。

沙綾の写真をすべて消去させて、今回のことを黙っていることと引き換えに沙綾の身を守る事に協力させれば、この問題の解決も十分可能になる。

だが、盗撮という卑劣なことをしている……しかも常習性の高い亮を信じても良いのかという疑問も残る。

それに、沙綾のためとはいえ、悪いことをしているやつを見逃すというのも、俺的には気が引ける。

考えを巡らせた俺は――――




やや長めとなりましたがここで恒例のアンケートに映らせていただきたいと思います。
今回も主人公に取らせたい行動をお選びください。
得票数の多い行動を主人公がとります。
期限は一週間後の23日までとさせていただきます。

皆様の貴重な一票をお待ちしております。


H:1
B:1

主人公の選択は

  • ―――亮を犯人として突き出す
  • ―――亮を見逃す
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