BanG Dream!~happy? or Un happy~ 作:TRcrant
「おはよう、茂君」
「ああ、おはよう。香澄」
翌日、いつものように待ち合わせ場所で合流した俺は、香澄とあいさつを交わすといつものように二人そろって学校に向かって歩き出す。
「「………」」
相変わらず香澄は無言で、何か思い詰めているような様子だった。
「……なあ香澄」
「えッ!? な、何かな茂君」
このままではだめだと思い、俺は思い切って話しかけると、びっくりした様子で用件を聞いてくる。
「香澄、昨日から様子がおかしいけど、何かあったのか?」
「な、何にもないよ。私はいつも通りだよ、ほらっ」
そう言ってガッツポーズをしたり飛び跳ねたりと元気なのをアピールする香澄だが、その表情はどこか無理をしているような感じが拭えなかった。
「でも香澄、なんか思いつめた顔をしてるぞ」
「そんな……こと」
香澄のから元気に、俺は心に痛みを感じながらも香澄の腕をつかんで俺は食い下がるが、香澄は口を固く閉ざして何も言おうとはしなかった。
「……木村先輩と、何かあったのか?」
それは俺の勘という名のひっかけだった。
昨日の部室の一幕が、俺にこの言葉を言わせたのかもしれない。
だが、そんな俺の勘が正しかったのかどうかは、香澄の反応ではっきりと証明されることになった。
「……ッ」
木村先輩の名前が出た瞬間、香澄は体をびくっと震わせたのだ。
一瞬変わったその表情にあったのは、恐怖のような気がした。
それは、今でも小刻みに震えている体が物語っていた。
「香澄。俺はもしかしたら頼りないかもしれない。だけどな、男として……恋人として、香澄の力になりたいんだ」
「茂……君」
冷静に考えれば何恥ずかしいことを往来の場で言っているのだろうかと思う。
でも、そんなことなどどうでもいいぐらいに、俺は香澄のことが心配だったのだ。
「だから、香澄の身に何が起こっているのか……昨日部室であったことを、話してほしい」
「………」
目を潤ませていた香澄は、俺の訴えに忙しなく視線を左右に泳がせる。
とても気まずい時間が流れる中、香澄は静かに口を開いた。
「私は……大丈夫……だから。茂君は……気にしないで」
それは拒絶の言葉だった。
ぎこちない笑みを浮かべながら答える香澄に、俺は一体どんな気持ちを抱いているのだろう?
隠し事をする香澄への失望?
それとも不甲斐ない自分への怒り?
(わからない)
「ほら、早く行こ。遅刻しちゃうよ」
自分の中のぐちゃぐちゃな感情に、目の前がくらくらとする中、俺は話を打ち切るように言って歩き出す香澄についていく形で学校に向かって歩き出した。
それすらも、いつもの俺達ではありえない光景だった。
「ごめんね、茂君」
香澄が口にした言葉も、どこか冷たくたたきつけてくる風にかき消されてしまった。
学校に着いてからも、俺は頭の中で考え続けていた。
(俺はどうすればいいんだ)
いくら考えても答えなんてわかるはずなく、それでも俺は考えるのを辞めなかった。
「おい、茂ッ」
「うわ!? な、なんだ亮かよ」
突然耳元で大きな声で呼ばれた俺は、飛び跳ねるように驚きながら俺を呼んでいた亮のほうに抗議の意味を込めて視線を送る。
「なんだって、さっきからずっと呼んでるのに無視すんなよ」
「そ、そうだったのか。悪い」
俺の視線の意味に気づいたのか、むしろ心外だと言わんばかりの視線を向けながら言ってくる亮に、俺は申し訳なく思い謝った。
「で、何思いつめたように悩んでるんだよ?」
「それは……」
亮の問いかけに、俺は言っていいものかどうか悩んだ。
これは俺の問題なのだ。
なら、俺の力で解決するべきなのではないかと思っていたのだ。
「言いたくねえんなら無理には聞かねえけど、一人で考えても駄目なことは、いつまで経っても答えなんて出てこねえぞ」
「……」
亮の言うこともわかる。
俺がどんなに頭をひねったところで、それは所詮一人の考えだ。
いつまで経っても答えが出てこない可能性だってある。
「……今から話すことは、誰にも言わないでくれ」
「……わかった。約束する」
俺の言葉で深刻さが伝わったのか、量は真剣な面持ちになると頷きながら答えた。
それを聞いた俺は、今朝のことも含めて先日のことを亮に話した。
先日、バスケ部の部室で香澄と木村先輩の姿があったこと。
それから香澄の様子がおかしくなったこと。
そして、今朝問いただしたが、何も答えてはくれなかったこと。
全部を話して気持ちが楽になることはなかったが、それでも亮は静かに耳を傾け続けてくれたことはうれしかった。
「………なるほど」
すべてを話し終え、考え込む仕草をしながらつぶやかれた声にはどこか深刻そうで……真面目な印象を抱かせる。
「茂、一つ聞いてもいいか?」
「ああ、かまわない」
真剣な面持ちの亮に、俺はほぼ即答に近い早さで頷いて答えると、亮は静かにその疑問を俺に投げかける。
「茂は、木村先輩の噂って知ってるか?」
「噂? ……いや、知らないけど」
亮から投げかけられた質問に、俺は何のことだと言わんばかりに返す。
「木村先輩、女癖が悪いらしいんだ」
「……」
亮の口から語られた”噂”の真実に、俺は言葉を失う。
「女子をそういった目で見ている……だとか、体を触られたとか、それにもっとひどいと、過去に他人の彼女にも手を出したとか、まあそんな感じの話が女子達の噂になってるんだ」
「……知らなかった」
ようやく口から出てきたのは、そんな言葉だった。
でも、俺にとってはそれが率直な感想なのだ。
「それも無理はないな。茂はバスケ部だし、何より女子達との関わり合いもそんなにないからな」
(まさか、木村先輩がそんなひどいやつだったなんて……ッ)
亮の口から語られた村先輩の裏の顔に、俺は自信の不甲斐なさを呪った。
「で、茂の話から推測するに……」
「香澄に手を出そうとしている……と、言うことか?」
話をまとめる亮の言葉に続けるように俺がそう聞くと、亮は無言で頷いた。
(香澄……)
ふと、視線を香澄のいる方向に向ける。
そこにはクラスメイトの女子達と楽しげに話をしている、香澄の姿があった。
「なあ、なんとか香澄を助け出す方法はないのか?」
――なんとかしないと――
そう思った瞬間には、俺は亮に尋ねていた。
「なんとかと言われてもな……正攻法でいくなら先生に相談するのが一番なんだろうけど……」
「木村先輩、ぱっと見は面倒見の良い怖そうな先輩、だからな」
亮の言わんとすることを察した俺は、そう相槌を打つ。
俺が知る木村先輩は、怖いがとても面倒見が良い先輩だ。
教師達からもそう見られているのであれば、俺の話は信用されない可能性はある。
「そうだ。茂には生徒会と関わりを持ってただろ」
「え? ……ああ。市ヶ谷さんのことか」
市ヶ谷さんは生徒会の書記を務めている。
それは香澄から自慢げに教えられている。
……なんで香澄が自慢げに言っているのかという市ヶ谷さんのツッコミ付きで。
「だから市ヶ谷経由で、生徒会に相談してみるのもありなんじゃないか? それに、生徒会には鬼の風紀委員長がいるんだし」
「なるほど……」
亮の意見ももっともだ。
生徒会の風紀委員長でもあり、俺たちの先輩でもある氷川紗夜先輩は、風紀違反者に一歩も引かないで取り締まりをすることから”鬼の風紀委員”として恐れられている。
そんな人に相談すれば、解決策は見つかる可能性がある。
(とはいえな……)
いくら生徒会の権限があるとは言え、一般生徒には違いない。
仮に動いてくれたとしても、うまく解決に至るのかどうかは疑問だ。
(先生に相談するか、それとも生徒会に相談するか……)
どっちも効果があるかどうかの疑問がある以上、なかなか決められない。
両方に相談するのも手だが、あまり派手な動きを指摘村先輩に気づかれれば香澄の身が危なくなる恐れがある。
故に、相談するのであればどちらかにした方が無難だ。
(それなら俺が相談するのは―――)
そして、俺は考えた末に相談する先を決めるのであった。
ここで昼パートは終了になります。
そして、これよりこちらに投稿するようになって最初のアンケートになります。
改めて説明しますと、主人公に取らせる行動に投票していただく物になります。
最も得票数の多い選択肢に沿って、夜パートで主人公が行動します。
なお、期限は7日後の22日までとさせていただきます。
皆様の貴重な一票をお待ちしております。
主人公が取るべき行動は
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―――先生に相談する
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―――生徒会に相談する