※この作品はR-18です。

BanG Dream!~happy? or Un happy~   作:TRcrant

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六日目(夕)

(っく、行こうっ)

 

もう悩んでいる暇は無かった。

俺は焦燥感に突き動かされるようにひまりの後を追うように部活棟の方へと駆けていくのであった。

 

 

 

 

 

(確か、テニス部の更衣室は三階だったよな?)

 

ひまりが向かっていった部活棟は、学園の部室がある。

運動部の場合は更衣室として宛がわれている。

ちなみにテニス部の活動場所であるテニスコートへのルートは部活棟とは真逆なので、間違いなく更衣室に向かっているはずだ。

前にひまりがテニス部の更衣室が三階だというのを話していたのを思い出し、目的地である三階に向かった。

 

(ひまり、今行くからなッ)

 

俺ははやる気持ちを抑えられずに階段を数段飛ばしで駆けあがっていく。

三階にたどり着いた俺は、すぐにテニス部の更衣室である『部室』を探す。

 

(あった……!)

 

廊下の一番奥、テニス部女子更衣室の文字を見つけた俺は、その扉前に歩み寄る。

 

「止めてくださいっ」

 

(ん?)

 

その時、中から聞こえてきた声は、間違いなくひまりの物だった。

俺はその声が聞こえた瞬間、躊躇わずに更衣室のドアを静かに開けて隙間から中を覗き見る。

幸いにもドアはすんなりと開き、俺は中の様子を確認することが出来た。

中にいたのはひまりと、ドアを塞ぐように立っている人物の二人だった。

その人物の顔は分からないが、体格からして男だろう。

男の身長はひまりよりも高くて、およそ180cm前後ぐらいだろうか?

髪はショートヘアーの金髪で、後ろ姿からしてガラの悪そうな男にも見えた。

 

(誰だ……こいつ? それにここは女子更衣室だろ)

 

俺はそんな疑問を疑問抱きながらも、中の様子を物音を立てないように観察を続ける。

 

「いいじゃねぇかよ。俺たち仲良くしようぜ? なぁ?」

「や、止めてください。本当に迷惑です」

 

男の絡みつくような台詞に、ひまりが拒否を示す。

ひまりは毅然とした態度で対応をしているが、その声が僅かに震えていた。

 

「あ? いいのかぁ? そんな態度取って」

 

男がそう言いながら一歩前に足を踏み出すと、ひまりは怯えたように後ずさる。

 

「”あれ”を俺が皆にバラしたらどうなるかなぁ?」

 

男はまるでひまりを脅すような言い方で、詰め寄るようにさらに一歩踏み出した。

 

「ッ、そ、それ……は」

 

その言葉を聞いた瞬間、ひまりは動揺したように目を見開く。

男の発した言葉には、何か特別な意味が込められているように思えた。

 

(”あれ”ってなんだ?)

 

俺は二人のやり取りに疑問を抱くが、そんな俺を置き去りにし二人は会話を続ける。

 

「部長の俺が言えば皆信じるだろうよ! そうしたらお前達はどうなるんだろうなぁ?」

「っ!」

 

男……部長の言葉に、ひまりが息を吞むのが分かった。

 

「困るよなぁ? バレたらあいつはタダでは済まねえだろうなぁ。お前のせいで大事な人が大変なことになるなんてなぁ!」

「ぁ……ぅ」

 

部長が下卑た笑みを浮かべながら言ったその言葉に、ひまりは動揺したように男を見上げる。

その目は見開かれていて、信じられないものを見たような表情をしていた。

 

「やめて……くださいっ」

 

ひまりは懇願するように男に対して叫んだ。

だが、部長はそんなひまりの言葉をまるで楽しむかのように耳を貸そうとしない。

 

「じゃあどうすればいいのか分かるよなぁ?」

「ッ……」

 

部長にそう言われてひまりは悔しそうな顔を浮かべ、何かを耐えるように両手を握り締めて俯く。

部長はニヤニヤとしながらそんなひまりを見下ろし、右手でひまりの身体に触れようと手を伸ばす。

 

(まずい!)

 

そんな様子を目にした俺は本能的にそう思った。

だから俺はドアノブに手をかけて一気にドアを開けようとした時だった。

 

「う゛ッ」

 

突然頭に鋭い衝撃が走り、俺はその衝撃で身体が前に倒れ込む。

ドアに倒れ込んだ為、少し開いていたドアはそのまま勢いよく開いて中に倒れ込んだ。

 

(く、そっ……)

 

俺は心の中で毒づきながら身体を動かそうとするが、頭に強い衝撃を受けたせいで意識を失いかけているのが分かる。

なんとかして立ち上がろうとするが身体に力が入らず、顔を上げることすらできない。

 

(まだ仲間が居たのかよ……っ)

 

まさかの予想外な状況に、俺は悔しさを滲ませながら悪態をつく。

よくよく考えれば、奴の仲間がいないという保証など、どこにも無いのだ。

おそらくは部長の仲間が何処かに隠れていて、隙だらけになったところで俺の頭を何か硬い物で殴りつけたのだろう。

 

「茂ッ!?」

 

俺の姿を見たひまりは驚いたような声を上げる。

 

「茂ッ! しっかりして! い―――――に……っ」

「お―――は―――なぁ」

 

ひまりの叫び声と男の下卑た声が聞こえてくるが、何を言っているのかはよく聞き取れない。

そして俺は、そのまま意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

「……?」

 

意識が戻った時、俺の視界に映ったのは真っ白な天井だった。

 

(ここは……どこだ?)

 

俺は周囲を確認しようと頭を上げようとした。

 

「う゛っ」

 

しかし、その瞬間頭に鈍い痛みが走り、思わず声が漏れる。

 

「茂っ!」

 

そんな俺の声を聴きつけたのか、ひまりが慌てた様子で俺の名前を呼んだ。

 

「ひま……り?」

「茂……よかったっ」

 

ひまりは今にも泣きだしそうな顔で俺の側に駆け寄り、安堵したように呟いた。

そんなひまりの顔を見た瞬間、俺の脳裏に意識を手放す前のことが蘇り、頭に痛みが走るのも構わずに上半身を起こすとひまりを抱きしめた。

 

「茂……ぁ」

 

突然のことに驚いたような声を上げるひまりだったが、やがて俺に体重を預けるように身体を預けた。

ひまりの体温を感じながら、俺は腕に力を入れてひまりをより深く抱き寄せる。

 

「ひまり……ごめんな」

 

俺は震える声でそう言った。

 

「ううん……茂は悪くない……私が……ぐす……悪いの」

 

俺の謝罪にひまりはそう言って俺の胸に顔を埋めて首を横に振りながら泣いていた。

そんなひまりの様子に、俺はより強く抱きしめる。

 

しばらくして、ひまりは少し落ち着いたようで顔を上げた。

 

「ありがと……茂」

 

そう言ってひまりは微笑んだが、目元には涙が溜まっていた。

俺はその涙を指でぬぐい取る。

 

「ごめん……ごめんね……」

「だから謝るなって」

 

何度謝っても謝り足りないのか、ひまりは何度も謝り続けた。

そんなひまりに、俺は苦笑しながら頭を撫でた。

 

「大丈夫だ……それより、ここって」

 

俺はそう言いながら周囲を見回す。

周囲の状況から、ここは保健室だと思われる。

 

「保健室だよ……あの後、先生がここに運んでくれたの」

 

ひまりは表情を曇らせながらそう言った。

 

「そっ……か」

 

どうやら、あの後先生によって保健室に運ばれたようだ。

 

「ひまり……その」

 

――一体何があったんだ?

その疑問を言葉にすることができなかった。

 

「実はね……私、部長に脅されてて……」

 

ひまりは途切れ途切れにそう言うと目を伏せる。

俺はそんな様子を見つめながらただ静かに話を聞いていた。

ひまりの話によれば、きっかけはこの間教室でしたキスだった。

その場面を写真に撮られて、ひまりは部長から脅されるようになったらしい。

内容も、”写真をばら撒かれたくなければ自分と付き合え”というものだった。

 

「それで……ね。今日、写真を消してもらうために行って……それで……」

 

ひまりは話しにくそうに言葉を詰まらせながらも、なんとか説明しようとする。

 

「……大丈夫。もうそれ以上言わなくていい」

 

俺はひまりの言葉を遮って優しく抱きしめる。

 

「……っ!」

 

俺の言葉に、ひまりは感極まったように嗚咽を漏らし始めた。

少しだけ乱れた服装を見れば、話など聞かなくても何があったのかなど、俺ですら容易に察することが出来る。

 

「ひっぐ……ぐすっ……」

 

ひまりは嗚咽を漏らすたびに身体を振るわせる。

 

(本当に……俺は……っ)

 

あの時俺が誰かに……日菜先輩達に助けを求めていれば……。

そんな自責の念に押し潰されそうになりつつも、なんとか自分を奮い立たせるようにそんな様子のひまりが落ち着くまで、俺は何も言わずただ抱きしめることしか出来なかった。

 

「ありがとう。茂」

 

少しして再び落ち着きを取り戻したひまりは、そう言って俺から離れる。

 

「気にしなくていい。俺はひまりの彼氏なんだからな」

 

俺は、そう言ってひまりを安心させるように微笑んでみせる。

 

「……うんっ」

 

そんな俺を見て安心したのか、ひまりは明るい笑顔を見せる。

無理して作った笑顔かもしれないが、それでも笑ってくれたことに俺は少しではあるが安堵した。

 

「それで……ね。茂にお願いがあるの」

「お願い?」

 

ひまりは恥ずかしがるように顔を赤くして上目遣いに俺を見ながらそう切り出す。

 

「茂に……してほしいの」

 

そう言って、ひまりは目を閉じて俺に向かって顔を上げた。

俺はひまりの仕草の意味を理解した。

 

「お願い……茂に上書きしてほしいの」

 

見るとひまりの手がスカートを握りしめるようにして、少し震えていた。

よほど怖い思いをしたのだろう。

俺はそんなひまりの様子に胸が締め付けられるような思いになりながらも、俺はためらう。

 

(このまましても良いのか?)

 

今は人気が無いとはいえ学園内だ。

ここでするのはかなりリスキーだ。

それに事が事なだけに、自重する方が良いような気もする一方で、ここでお預けは少し辛いと言う本心もある。

場所を移動することも考えるが、それもムード的な意味でどうなのかが疑問だ。

ためらった俺は―――




いかがでしたでしょうか?
えっと……本当にすみません。
最後の最後で思いっきりやらかしました。

これ、ハッピーエンド確定だからまだ許されますが、そうで無ければ……(汗)
一応念のためにお知らせしますと、ハッピーエンド確定なのには変わりないです。
そして、本編では”具体的に何があったのか”は明記しない予定です。
そういった内容は”裏パート”にて書かせていただく予定です。

それでは、これより恒例のアンケートに移らせていただきたいと思います。
主人公に取らせたい行動をお選びください。
得票数の多い選択肢の行動を主人公が取ります。
期限は一週間後の15日までとさせていただきます。
なお、夜パートではステータスは記載いたしませんのでご容赦いただけますと幸いです。
皆様の貴重な一票お待ちしております。


下記にヒロインのステータスを記載いたしますので、よろしければご参照ください。

【欲情】:興味
【親密度】:普通↓
Bポイント:1

主人公の選択は――――

  • 思いとどまらせる
  • ひまりの願い通りにする
  • 場所を変える
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