媚薬を飲みすぎた俺が生意気な天才研究者に襲い掛かっちゃう話 作:yan_yan_
ドーム=非戦闘民が住んでいる居住区。キャンサーが侵入しないようにセラフ隊員によって守られている。
セラフ=キャンサーに対抗できる武器。女性のみ扱える。
「うっ」
頭痛がする。
ここはどこだ。
目を開けると白い天井が見える。俺は真っ白で清潔なベッドに横たわっていた。
眩く光る蛍光灯が室内を照らし、窓からはほのかに暖かい太陽光が燦燦と室内に降り注いでいる。
「えっと…」
そうだ。思い出した。キャンサーに襲われたんだ。
あれは、食べ物を探すために1人でドームから出たときのことだ。キャンサーに見つからないように息を殺し移動していたものの、運悪く小型のキャンサーを見落としてしまい鉢合わせてしまった。
追いかけられ、足を切り付けられ、動けなくなり、もう殺されると思った瞬間…
「危ない!」
現れたセラフ隊員達に助けられた。彼女達はあっさりとキャンサーを倒した。俺は逃げることしかできなかったというのに。その力こそが彼女達の持つ特別な武器である「セラフ」だ。
彼女たちはいつもドームを守ってくれている。俺は、そんな彼女たちに感謝すると同時に情けなさも感じていた。けれども、男ができることは少ない。少なくとも、戦闘においては何もできない。
そして、今回も助けられてしまった。悔しさからぎゅっと拳に力が入る。
悔しい。彼女たちを戦わせなきゃならない自分に。何もできない自分に。もしも、俺に戦える力があれば助けられるのに。
握りしめた拳を見る。そして、腕へ視線が移る。そこには薄く隆起した筋肉があった。トレーニングをしているわけではない。過酷な生活環境のおかげで勝手についたものだ。見せるためのものではなく実用的な筋肉。
まぁ、キャンサー相手にはほとんど役に立たない。使えるのは逃げるときくらいだ。それでも今回は逃げられなかったが。
「はぁ…」
彼女たちには普段からドームの警備でお世話になっているのに、また迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ない。
「そういえば、ここはどこだ?」
ふと、この場所を知らないことに気づく。俺のドームにある病院はもう少し古く、こんなに真っ白ではない。
つまり、ここは俺が住んでいる所とは別のドームであるはずだ。
俺はセラフ隊員に助けられた後に気を失った。まだ生きているということはセラフ隊員が運んでくれたのだろう。まさか、ここはセラフ隊員の基地?
「男、目が覚めたか」
女性にしては低く、重苦しい声が病室を貫く。
気づくと病室の入り口に一人の女が立っていた。
突然現れた彼女に驚くと同時に、その姿に見覚えがあることに気づく。助けてくれたセラフ隊員の内の1人だ。もっとも、彼女は遠くから見ていただけだったが。
彼女が俺の寝ているベッドまでゆっくりと歩いてくる。真正面から見ると彼女の美しい姿が良く見えた。藤色の髪は首のあたりで無造作に二つに結ばれている。オーバル型の眼鏡を通してこちらを見つめる空色の瞳は、何故か不機嫌そうだ。そして、猫背気味の姿勢が印象的だった。
「男、幸運だったな。もしも私たち31B部隊があの場にいなければ、お前は死んでいた」
「っ…」
そうだ。間違いない。俺はあの場で死を覚悟した。助かったのは彼女たちのおかげだ。
「そして、お前にはさらなる幸運…いや、不運かもしれないな。……まぁ、幸運としておこうか。お前はセラフに選ばれた」
…………セラフに、選ばれた?しかし、セラフを扱えるのは……たしか……。
「まるで理解できないという顔をしているな。その通り。セラフ装備は女にしか扱えない。それは常識だ。しかし、お前は扱うことが可能だ。理解不能だがセラフが反応している。よって、お前はセラフ隊員になれる。…もっとも、どうしても嫌だというのなら強制することはできない。しかし、私がお前を助けたことに感謝の気持ちでもあるな…」
「やる」
即断だった。毎日、自分の不甲斐なさを悔やんでいた。彼女たちの犠牲の上に成り立つ日々。それは、はたして正しいのだろうか。
そんな折、舞い降りた奇跡。これを掴まずにいられるだろうか。
「…ほう。わかった。では、お前は今日からセラフ隊員だ。手続きの方は私がやっておく。とりあえず、これを読んでおいてくれ。また後日会おう」
どさっと書類が置かれる。表紙には「セラフ隊員の規則」や「生活のルール」と書かれている。
「それではな」
そう言い放ち、彼女はあっさりと部屋を出て行こうとする。
「待ってくれ」
まだ、わからないことが沢山ある。不安なこともある。でも、まず一つ絶対に聞いておかなければならないことがある。
「
「…なに?」
「俺の名前。
命を助けてくれた彼女の名前をどうしても聞いておきたかった。
「……なるほど。忘れていたな。
ぶっきらぼうに言うと、今度こそ彼女は部屋を出て行った。
「
命の恩人の名。忘れないように、心に刻み付けるように小さく呟いた。
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次の日、俺は樋口に研究所まで呼び出しを受けていた。どうやら、彼女は科学技術研究所という所に勤めているらしい。セラフ隊員でありながら研究員でもあるなんて随分と多忙だ。
そういえば、俺にセラフが適合することに気づいたのは、彼女が研究員であることが理由だそうだ。助けてくれた部隊にセラフに詳しい彼女がいてセラフの反応に気づいたから、俺はドームに帰されるのではなくここに送られたのだそうだ。
さて、研究所に呼び出された目的はセラフの試運転とのことだ。そのために研究所へ向かっている。
研究所への道中。それなりの人数とすれ違う。全員が女性だ。ここはセラフ基地。女性戦闘員のみが所属する特殊な軍事拠点である。もっとも、現在は俺という異物が紛れ込んでいるわけだが。正直、かなり肩身が狭い。こそこそと隠れるようにしながら研究所へと向かう。
やっと研究所に到着して、ほっと息を吐いた。そして樋口が待っている部屋へ向かい、ノックをしてドアを開ける。
「来たか。少し待ってくれ」
机に向かって書き物をしている彼女が、こちらを一瞥もせずに言い放つ。そして、そのまま書き込みを継続する。待つこと数分後、やっと顔を上げた。
「待たせたな。男のセラフか…どんな結果が出るか楽しみで仕方ない。それでは検査を始めようか」
さっと態度を切り替えた彼女に急かされて言われるままに検査台の上に立ち、目を瞑る。
彼女がゆっくりと語りかけてくる。
「…さぁ、思い出せ」「…そうだ」
その声に引きずられるように意識が深く沈み込む。
そして、バチリと脳内で火花が散った。
「っ!」
驚きで目を開くと、俺の手には剣が握られていた。
「なるほど。特に女と変わる点はないか。少々拍子抜けだが…まぁ、こんなものか」
彼女が手元のタブレットに何かを書きこみながら言う。
「ご苦労。次は精密検査を行う。ついてこい」
俺は彼女に連れられて部屋を移動する。その途中、気になることを聞いてみる。
「なにか異常なところでもあった?」
「いや、ないな。まぁ、男がセラフを扱えるということが異常なのだが、それ以外は全てが正常だ。これから行う精密検査で何かが分かるかもしれないが、現状は全く理解できん。……さて、着いたぞ」
精密検査を行う部屋に到着する。そこは検査器具が置かれている部屋だった。レントゲンや採血器具など様々な道具がある。ざっと数十種類はあるだろうか。
「これらを全て行う」
「…すべて?この数十種類はありそうなのを?」
「そうだ。人体には外見だけでは判明しない変化が多数ある。よって、これら全てを行い詳細なデータを取る。もっとも女の場合はここまでやらないが、お前は例外だからな」
なるほど。げんなりしつつも同意する。確かに検査は大事だ。……それにしても、多すぎる気はするが。
ふと、恐ろしい想像をしてしまう。
「あの、……これからモルモットみたいな、人体実験をされるなんてことは……ないよな?」
冷たい汗が出てくる。少し不安だ。
「ふん。安心しろ。私は全てのセラフ隊員は戦闘にその身を投じ、死を身近に感じてこそ真価を発揮すると考えている。飼い殺しにするような真似はしない」
「そうか。それはよかった…のか?」
ちょっと不穏な言葉も聞こえたが、まぁ、モルモットにされることは無いようで安心した。
「それでは検査を行う。手早く終わらせるぞ」
そういうと彼女はキビキビと準備を行う。
検査が始まった。
検査の間、彼女と話しているうちに気づくことがあった。
まず、彼女はいつも不機嫌そうな顔をしているが決して不機嫌ではないということだ。その不機嫌そうな顔が通常の表情である。このことは失礼なので心の内に留めておこう。
次に、彼女の本職は研究員の方だそうだ。そして自分からセラフ隊員に志願してかけ持ちするようになったのだと。理由を聞いたところ、死に興味を持ったからだとか。…ちょっと理解できなかった。
最後に、彼女は研究が本当に好きなのだろうということだ。検査を行いデータを取るたびに、不機嫌そうな顔をさらに不機嫌そうにしかめながらタブレットを睨みつけていた。その顔からは並々ならぬ熱意が感じられる。彼女にとっては生死をかけたセラフ隊員は副業であり、研究が本職なのだ。それがよくわかった。
「よし、この検査は終わりだ」
長い検査のおかげである程度彼女のことが理解できた気がする。これなら今後とも仲良くやっていけそうだ。
……そう思ったとき、耳を疑うような言葉が彼女から飛び出てきた。
「次に生殖検査を行う。このカップの中に射精しろ」
…………?やっぱり無理かも。
「……聞き間違いだったら申し訳ないんだけど、今しゃ」
「間違っていない。射精だ。このカップの中に射精しろ」
食い気味に返答される。その言葉を連呼しないでほしい。心臓に悪い。
そして、俺の聞き間違いではないらしい。
「それって必要?」
「必要だ。むしろ検査の中で最も重要といえる。もしも、これでお前の精子に特殊性が見られるならば女性しかセラフ隊員になれない現状を変化させ、人類を救うカギになるかもしれない」
確かに。
そう言われるとやるしかない。やりたくない理由なんて羞恥心だけだ。今後セラフ隊員として生死を賭けた戦いに出る以上、少し恥ずかしい思いをする程度はなんともない………と思っておこう。
「……わかった。じゃあトイレに行ってくる」
「いい。ここで行え」
「え?」
ここで?
目の前に樋口がいるのに?
……まさかっ!?もしかして樋口が見たいのかっ!?……ってそんなわけないな。明らかに研究者の目をしてるわ。全くそういうの興味ないって顔だ。
じゃあなんで彼女の目の前でオナニーしなくちゃならないんだ。生死だけじゃなくて精子も気になるってか。
「生死だけじゃなくて精子も気になるってか?」
あ。やべ。口に出ちゃった。……うわ。怒ってる。この顔は明らかに怒ってるよ。やば。
「……まぁいい。なぜなら少しでも新鮮な検体を手に入れるためだ。どうしても嫌だというのならトイレでも構わないが……その場合はモルモットになることも覚悟するんだな」
「ここでやります」
こわ。今のモルモット発言は本気だったな。
覚悟を決めた俺はカップを持ってズボンを脱ごうとする。しかし、じっと彼女がこちらを見ていることに気づく。
「……後ろを向いてもいい?」
「構わない。さっさと行え」
彼女の反対側を向いて座る。背中にはビシビシと視線を感じた。気まずすぎる。
だが、やるしかない。やらなければモルモットだ。
俺はズボンに手をかける。
そして、気合を入れてえいっと脱いだ。もうやけだ。今後、死を覚悟した戦いに出ることに比べたら、こんなことは何ともない!……そう考えよう。
そして、緊張で縮こまっているイチモツを掴み上下に擦り始めた。
一瞬で終わらせてやる。俺は深く誓った。
10分後。そこには全く変わりの無いイチモツが鎮座していた。
いや、頑張ったんだけどさ。でもさ、こんな状況で勃起できるはずないよな。せめてAVでもあれば話は別なんだけど。もちろんそんなものないし、AVを欲しいなんて樋口に言えるはずもない。
結果、俺は勃起すらできていない状態だった。さらに追い打ちをかけるように、
「おい、まだか?」
ときどき樋口が声をかけてくるものだから、少し硬くなってきても驚きで柔らかくなってしまうのだ。
「……さっきも言ったんだけど、できるだけ声をかけないでもらえると助かる」
「それから3分も待ったぞ。まだできないのか?」
「いや、そんな簡単には……」
「何故できない?男はすぐに射精する生き物じゃないのか?なんなら手伝ってやってもいいぞ。経験はないが知識はある」
はぁ!?
「いや!そんなことされたら余計無理だから!……とにかく、話しかけないでくれ。そうだな、もう10分くれ。そしたら射精してみせる」
「10分か。少し長いが……まぁ、いいだろう。始めろ」
手伝うとかびっくりだわ。一体何をするつもりだったのか。というか性について緩すぎだろ。……今更だけど、なんで異性と同じ部屋でオナニーしてんだよ。俺は自分のことで精いっぱいだったけど、樋口の神経がぶっ飛んでることに今気づいたわ。
俺は樋口の貞操観念に畏れを抱きつつ再度作業を始める。
制限時間は10分。心の中で奮起する。しかし、やはり難しい。
『くそっ!ダメだっ!全く勃ちあがらねぇっ!これがっ、プレッシャーってやつかっ!俺のイチモツに重く圧し掛かってきやがるっ!くそっ!まったく跳ね除けられねぇっ!』
やはり難しい。そうしている間に時間は過ぎ去っていき残り5分となってしまう。あっという間に半分が経過してしまった。
『くっっっ!俺の力では世界を救えないのかっ。くそっ。生死を賭けた戦いどころか、精子を出すことすらできないなんてっ!俺って奴はっ!』
絶望に打ちひしがれる。
『AVでもあれば…いや、そこまでの贅沢は望まねぇ!何でもいいっ!ネタがっ!何かネタさえあれば戦えるっ!どこかにネタはねぇのか?…………っ!?』
そのとき、背後にいる樋口のことを思い出した。今までの彼女は緊張の元凶だった。俺にとっての敵。それも強敵だった。しかし、発想を転換してみてはどうだろうか?
そう!彼女をネタにすればいいのだっ!まさしくコペルニクス的転回っ!ポーランドの天才が舞い降りたっ!
シナプスが信号を送る。妄想が一瞬で広がり興奮の渦に飲まれる。
妄想の樋口が俺に語り掛けてくる。
『何故できない?男はすぐに射精する生き物じゃないのか?なんなら手伝ってやってもいいぞ。経験はないが知識はある』
先ほどの樋口の言葉だ。そして、そこから想像できる未来を創造するっ!
『これを上下に擦ればいいのだろう?ほら、さっさとだせ』
『そんなもので私が気持ちよくなるとでも?寝言は寝て言え』
『つまらん。まだ出ないのか?』
「…ぃ」
うぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!イケるっ!これなら戦えるっ!
後から思い返すと、命の恩人をネタにするなんてクズじゃんと思ったがこの時は何も思わなかった。ただ
勝てるっ!
イチモツは過去に見ないほど勃起していた。手を動かすたびに迸る快感。これはもう時間の問題だ。すぐそこに勝利は見えている。あとは、ただひたすらに攻めるのみ。
「………ぉぃ」
そして、遂にその時が来た。次の一擦りで勝利する。俺はやり遂げたのだ。この極限状態の中、責務を全うした。この功績が世界を救うかもしれない。
俺は、カップの中にイチモツを突っ込み最後の一擦りを行う。
そして、射「おい。無視するな。10分経ったぞ」突然、樋口の声が聞こえた。
ポンと肩を叩かれる。
夢から現実へと引き戻される。驚きでビクリと体が震えてカップが手から滑り落ちる。落ちていくカップを慌てて掴もうとするも間に合わず、姿勢が大きく崩れた。
そして、そのまま限界を迎えたイチモツは暴発した。
「あ」
ビュッと飛び出た精液が樋口の顔へ飛んで行く。それはやけにスローモーションに見えた。
そして、びっくりするくらい大量の精液が彼女の眼鏡と顔を汚していく。
俺は青い顔で固まった。樋口も何が起きたのかわからずに固まっていた。
ぽたりと精液が床に垂れる音がやけに大きく聞こえる。心臓がドクドクと激しく鼓動していた。
俺は下半身丸出しのまま、石のように固まる。
…………あっ、彼女の唇にまで掛かってる。…………どうしよう。
凍り付いた状況から先に動き始めたのは樋口だった。てくてくとどこかへ歩いていくと、ザーっ水を流す音が聞こえてくる。ぺっ、ぺっ、と唾を吐く音が聞こえるのは精液を吐き出しているのだろうか。
そして、タオルで顔を拭きながら戻ってくる。
……俺はとりあえずズボンを履いた。
ひとまず汚れを落としたらしい彼女が口を開く。
「おい、なぜ、私の顔に出した?性行為にはそういうものがあると読んだことはあるが、そういうことなのか?それとも、恨みでもあるのか?……理解できない」
慌てて弁明する。
「いやいやいや!とんでもない!突然肩を叩かれたから驚いてカップを落として、それを拾おうとしたら姿勢が崩れて、そのまま我慢できず…、わざとじゃないんだ…本当に…。……ごめん……」
どんどんと尻すぼみになってしまう。本当に申し訳ない。
じっと彼女の空色の瞳に見つめられ、俺は申し訳なさから目を逸らす。
そして、無言のまま少しの時間が経ち、彼女は口を開く。
「…まぁいい。確かに、声をかけた私も悪かった。はぁ、もう少し待っていれば検体を取得できたというのに……。私の不手際が大いにあったことを認めよう」
「………………いいの?」
なんと。寛大な彼女は許してくれるそうだ。
「構わん。それより射精を再開しろ。今日中には検体を採取したい。先ほどのは使えないからな」
そう言うと、彼女はテキパキと動き始める。既に先ほどのことは忘れたかのようだ。凄まじいほどの切り替えの早さである。むしろ、加害者である俺のほうが気にしてしまっている。ほんと俺は馬鹿だよ。射精に夢中になるあまり頭がおかしくなっていた。今思い返せば、彼女に何度も声をかけられていた。オナニーに夢中になっていた俺が気づけなかったのだ。本当に申し訳ない。
さて、再び射精しろとのお達しが出た。先ほどの出来事で罪悪感があるので、できれば早めに終わらせたい。……しかし…………、俺は自分のイチモツの様子を伺う。……うん、そうだよな。こんなことになってしまって非常に言いにくいが話すしかない。
「あの、本当に申し訳ないんだけど、さっき射精したからもう出ない。少なくとも今日は無理だ」
イチモツは完全に沈黙していた。
「なに?できないのか?………………それは困るな。何か方法は……そういえば……」
彼女は小さく呟くと棚を漁り始めた。そして、奥の方から薄汚れたビンを見つけ出す。ラベルは日焼けしており少し年代を感じさせるものだった。
「これは精力剤だ。人類の数を増やすために私が製作した。もっとも、男の被験者がこの基地にはいないため途中で中断していた研究なのだが……ちょうどいい。これを飲め」
差し出されたビンを見つめる。……いかにも怪しい薄汚れたビンだ。
「……それって安全なのか?」
「もちろん。計算上安全だ」
計算上?
「まず1粒飲め。それで効果が無ければ2粒。それでも無ければ3粒だ。間隔は1分…いや10分だったか?まぁいい。1分以上空けろ。そして、取得できた検体は速やかにそこの冷凍庫へ入れるように。私は風呂に入る。何かあれば声をかけてくれ。臭い匂いが残ってしまってはたまらん」
そう一気に言い切ると、彼女はなぜかタイマーをかけて部屋の一角にあるドアへ入っていった。あそこが風呂場なのだろう。
俺はぽつんと取り残される。
……結局、彼女がすぐ隣にいなくてもいいのなら、初めからこの状態にしてほしかった。それなら、もっと手早くできただろうに。まぁ、いまさら言っても仕方ないけど。
とりあえず、怪しい薬を飲む前にイチモツの状態を確かめる。おーい、元気かい?……返事がない。ただのイチモツのようだ。
ビンの蓋を空けて中身を見る。見た目は真っ白で綺麗な錠剤である。普通の薬と何ら変わらない。それを見て少し安心した。もしも、けばけばしいピンク色でもしていたら飲む気が失せていた。
さて、彼女が話した通りならばこれを飲めば勃起できるはずだ。1分に1錠だったな。樋口が風呂から上がる前にさっさと終わらせよう。
ストップウォッチをセットして1粒飲む。
『なっ、なんだっ!?体がっ、熱いっ!うっ!うぉぉっぉぉぉ!』
なんてことは起きない。
普通だ。呑んだ瞬間心臓がバクバクするとかヤバイ効果は無いようだ。まぁ、そりゃそうだよな。研究が進んでいれば配布する予定のものだったんだし。
そして1分経過。効果は何も無いようだ。俺のイチモツは変化無しである。
「よし、2粒目だな」
2粒目からは慣れたものである。ぱくりと薬を飲み込む。そして1分待つ。効果は…なし。
「じゃあ3粒目か」
ぱくりと飲み込み1分待つ。効果は無し。
なんとなく不思議な気分になる。こんなに効果が出ないことなんてあるのか?もしかして、薬が古いからダメになってるとか。
………まぁ、いっか。とりあえず言われた通りに呑んでおこう。もう怒られたくない。
そして、4粒目、5粒目と呑む。相変わらず効果は無い。
そして、開始から10分後。俺は既に10錠飲んでいた。だが、まだ効果は無い。
さすがにおかしいと思っていた。でも、さっきの失敗があるから言われたことを遂行しようと思い薬を呑み続けていた。
そして、さらに次の薬を呑もうと思った時体が少しポカポカし始める。さらにイチモツが熱くなってくる。
「お?きたか?」
じわじわと体が熱くなっていく。どうやら効果が出始めてきたらしい。イチモツが少しずつムクムクと大きくなってきた。
「おー、すごいな。さっきまであんな無反応だったのに」
どうやら、樋口謹製の薬はしっかりと効果があるようだ。
良し。じゃあ、さっさと射精して終わりにしよう。
そう思い、俺は一物を擦り始める。身体がどんどん熱くなり敏感になっていく。そして、
「うっ」
あっさりとカップに射精した。ストップウォッチを見ると丁度11分である。早い。俺はズボンを履く手間も惜しんで急いでそれを冷凍庫に入れる。忘れたら今までの苦労が水の泡である。
「ふぅ、よかった。これで終わりだ」
とりあえず一安心だ。あとは樋口が風呂から上がるのを待って終わり。俺はズボンを履こうと思い足を裾に通す。そして、そのまま上に引き上げようとしてあることに気づく。
「そういえば、勃起が全然収まらないな」
たった今射精したにも関わらず、俺のイチモツは元気であった。恐るべしドーピング。
しかし、余裕を持てたのはそこまでだった。
身体が熱くなり続ける。加えて、ムラムラとした感覚が増し、どんどんと膨らんでいく。全く収まる気配はない。
「なん、だ…?はぁ、はぁ、やばい。熱い…」
目の前がくらりと揺れる。慌てて机に手をつくとストップウォッチが転げ落ちた。
見ると13分を指している。その時、俺は一つの恐ろしい仮説を思いついてしまった。
樋口の言葉を思い出す。
『まず1粒飲め。それで効果が無ければ2粒。それでも無ければ3粒だ。間隔は1分…いや10分だったか?まぁいい1分以上空けろ』
なんか適当だった。
もしかして、10分間隔を空けて呑むべきものなのではないか。10分後に効果が表れるとしたら、まだ3粒しか効果が表れていないことになり、これから残り7粒の効果が表れるはずである。やばすぎる。
急いで流しへ向かう。全身が熱い。口から出る呼吸は炎のようだ。股間は敏感になりすぎて感覚が曖昧になってきている。
蛇口を勢いよくひねって水を出す。顔を流れ出る水に近づけ、そのまま直接ガブガブと飲み込む。全身が熱い。のどが渇く。いくらでも飲めそうだ。頭がくらくらする。全身が勃起しているようだ。
……ダメだ。
水を飲む程度ではどうにもならない。……あぁ、俺はここで死ぬのか。まさか、精力剤の過剰摂取で死ぬとは思わなかった。せめて、死ぬならキャンサーと戦って殺されたかったな。
クラクラと揺れる頭でそんなことを考えて………俺は気を失った。
そして、目が覚めると目の前にはうつ伏せで倒れている樋口がいた。
彼女は全裸だ。さらに、股からは大量の精液が溢れでている。
………………え?
立ち位置や場面などの状況説明について
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