古代ローマのふた×TS総受けの哲学 作:ふた×TS論理的なストア派哲学者
原作キャラクター以外で唯一まともに登場する名有りオリキャラが出てきますが、基本的に活躍は無いです()
後、本作は山あり谷ありでも純愛です。純愛です(大事なことなのでry)
「ルキア、私から教えられることはもう何も無い」
「……今までありがとうございました」
「教えた物全て、無駄にしてくれるな」
「はい」
屋敷の中庭で壮年の男性、父の友人に礼を述べる。厳格な雰囲気の彼は和やかに破顔して、僕の頭を撫でた。
僕、ルキウス・アンナエウス・セネカ六歳。記憶を取り戻してから実に二年が経った。
今日は剣術の最後の鍛錬日だった。本当は半年くらい前には既に師範である彼を倒していたのだが、彼は最後の最後まで僕に技術を教授してくれた。頭が上がらない。
僕の自己研鑽計画は順調の一言だった。
剣術に関してはこの通り。また勉学も言うまでもなく快調で、来月にはローマから新しい家庭教師も来る。
それもこれもいくつかの嬉しい誤算のお陰である。
まず我が家はとても裕福だ。
僕と同名の父は非常に弁の立つ弁論家、弁護士であり、母はローマの市民権を持つ裕福な家系の出身者。こんな時代じゃ家柄は裕福なことの半ば絶対条件である。後、いつの時代も弁護士は稼ぐらしい。
そういう意味では、僕は物凄く恵まれている。これが名も無き農民スタートであればかなりのハードモードだったろう。
加えて、思ったよりも性別に関するあれそれが少ないことが大きい。
現代日本ですらどれだけ頑張っても未だに男尊女卑思想が無くならないのだから、この時代ならなおさら男尊女卑的な価値観は強く根付いているというもの。しかしなんとも意外な事だが、僕が勉学を修めたいと言っても快く両親はそれを許したし、次いでに駄目元で打診してみた剣術に関しても友人を家庭教師として招いてくれた。
このことから推測するに、もしかすると僕の生きるこの世界では男だの女だのと言った性別以前に強さや才覚、後は血筋などが重要視されるタイプの世界なのかも知れない。もっと飛躍するならば、このローマ帝国で活躍した偉人なんかも女だったりするのかも。……まあ、さすがにそれは無いか。
そもそも前世では日本史専攻だったので、五賢帝とかそれくらいしかローマ帝国に関係する知識は持ち得ていないのだ。実はこの偉人は女だったと言われても、薄い反応しか出てこない。
……しかし、順調な中でも仮称魔法だけは調子が良くなかった。
これに関してはそこそこ進展があったが、正直言ってそこそこ以上の物は特に何も無いという有様。火や水を出したり、空を飛んだりはできるが、時間を止めるような超自然的なことは出来そうになかった。後、彼という前例もあるのであんまり大っぴらには練習ができないというのもある。
そんなこんなで着々と力を付けながらも、魔法に苦心していた時のこと。
「ルキア、ここに居たのか」
「お父様、何かご用ですか?」
「ああ。お前に会いたいという人が居るんだ」
人目を盗んで魔法の練習ができる場所を探していた時、どこか緊張した様子の我が父が僕を呼びとめた。
「会いたい人、ですか?」
「そうだ。ローマのアッタロスという哲学者の方が、お前の噂を聞き付けて来たらしい」
僕の噂、というのは我が母が自慢げに周囲に吹聴しているものだ。やれ神童だのと宣っているが、正直言って困ったものである。もう既に噂はローマにまで届いているのか。井戸端会議とは恐ろしい。
しかし、誰なのだろうか。そのアッタロスという人は。
内心疑問符を浮かべながら客間に行くと、身なりの良い美女が姿勢良く座して待っていた。
女性は僕たちの姿を認めると立ち上がり、一礼してから口を開く。
「いきなりの来訪、申し訳ありません。私、ローマで先人の知恵を追うアッタロスと申します」
「……ルキウス・アンナエウス・セネカです。父とは同じ名ですので、ルキアとお呼びください」
「ルキアさん、ですね。……申し訳ないのですが、お父上には退室していただけますか?」
「……はい、わかりました」
熱に浮かされたような雰囲気で父が了承する。何かがおかしい、そう気が付いた時には既に遅い。
父が退出すると、ガチャリと鍵が掛けられたのが分かった。
多分、精神操作の魔法か何かだろう。
いつでも干渉を弾けるように警戒しながら、アッタロスを睨み付ける。
アッタロスもまた紫色の眼を光らせて、僕を見つめ返してきた。
「……何が目的ですか?」
「そう身構えないの、可愛いルキア」
彼女に名を呼ばれた瞬間、全身に悪寒が走る。
ばちりと電流のような痛みが走り、身体の中の魔法式が反応して干渉を弾いたのが分かった。
「……ふふ、やっぱり。貴女、私の魔術を看破しているのね。凄いわ」
「っ。何が目的か、答えてください……!」
掌をかざし、いつでも魔法を使えるように威嚇する。
僕の片目、仮称千里眼は彼女の実力を僕以下であると判断しているが、底の知れなさもまた確かに感じていた。
女は妖艶に嗤う。
「私の名前はシモン、古き魔術師のシモンよ。貴女の才能を青田買いしに来たの」
「ボクの才能を? 何に使うつもりですか」
才能の青田買い。普段なら喜ばしいことかもしれないが、怪し過ぎる彼女の口から出たその一言は全く信用出来ない胡散臭さを孕んでいた。
問いかければ、彼女は更に笑みを深めたかと思うと急に能面のように無表情となる。
「私は原初の神をこそ信ずる。今の世界を想像した
彼女は謳うように唱える。
その雰囲気はただただ狂気的で、忌避感を抱かせるものであった。
「その為に、貴女が必要なのよ」
いつの間にかすぐ側まで寄っていた彼女が微笑みかけて、僕の頬を撫でる。
それだけで何度も何度も身体の中で痛みが迸った。懲りず、僕に干渉を続けているらしい。痛いは痛いが耐え切れない程じゃない。
僕は気丈に彼女を見詰める。
「可愛いルキア、私のヘレン。貴女は私の妻となり、私の目的を果たすための聖娼となるの」
「妻になんて、なるわけ……!」
勝手な言い分に怒りを覚えて声を若干荒らげる。
第一、男の価値観を持ち続けている僕が妻だの聖娼だのになるはずも無い。
「いいえ、なるわ。貴女は私の与える快楽、悦楽に負けて私の女になるのよ♡」
「そ、そんなこと……!」
「貴女の価値観を全て壊して、その根底に淫妖さを植え付けてあげる♡ まだ成熟せぬ童女の内から、立派なオンナとして最低に堕落させてあげる♡」
「っ」
元男としては背筋が凍るような恐ろしい言葉の羅列。脳を揺さぶるような甘い声。
まるで洗脳だ。
シモンの言葉を聞き流すことが出来ない。もしも彼女の干渉が効いていたらと思うとゾッとする。
「……ふうん。これでもダメなのね」
「諦めて、帰ってください……!」
息も絶え絶えになりながら拒絶すれば、彼女はまた明度の違う笑みを浮かべた。
「良いわ、今日のところはここまで」
僕から離れて踊るようにくるりと身を翻すと、
「でも私は諦めの悪い女なの。絶対に犯してあげるから♡」
「……何度来ても同じです」
「ふふ、気丈な娘ね。ますます欲しくなったわ」
ダメだ。この女とは相性が悪過ぎる。
けれど、実力は僕の方が圧倒的に上だ。どれだけ魔法で干渉されようと弾き続けられる。
「それと、本物のアッタロスなら外で寝ているから、忘れないであげてね」
「え、あ、待っ……!」
女はそう言い残すと、霞のように消えて行った。
一人残された僕は、どっと押し寄せてきた肉体的な疲れと、恐ろしい存在から齎される貞操の危機による精神の疲れに苛まれた。
「……はぁ、忘れよう」
キャパオーバーしかけたところで、僕は彼女の存在を一先ず頭から消し去ることにしたのであった。
オリキャラの出番は?
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ラスボスまで昇格
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竿役まで昇格
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チョイ役止まり