矢黒長介 別名闇医者
幻想郷——博麗神社、居間。
妖夢「……愁さん、大丈夫ですか」
愁「うん。大丈夫だよ」
妖夢「……本当に?」
愁「本当に大丈夫だよ」
霊夢「(本当に大丈夫かどうかがこっちにはわからないのよね、この子は……)」
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レミィが隣に座ってきた。
レミィ「……ねえ、愁。正直に言ってよ」
愁「え」
レミィ「次の六人目のこと、思い詰めてるでしょ」
愁「……」
レミィ「黙った」
霊夢「やっぱりそうじゃない」
愁「……思い詰めてるっていうより、考えてる。こいつだけは少し複雑だから」
レミィ「どういう意味?」
愁「……こいつが、妹を」
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霊夢「……そいつが?」
愁「矢黒長介。六人目。こいつが僕の妹を殺して、記憶を失わせた」
フラン「(……お兄様……)」
妖夢「……」
愁「(静かに)だから複雑なんじゃなくて——こいつだけは、ちゃんと終わらせたい。適当じゃなく」
レミィ「……愁」
愁「大丈夫だよ、レミィ。ちゃんと考えてるから」
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翌日——
愁は紫に呼ばれて、スキマの向こう側にある広い部屋にいた。
紫「……来たわね。矢黒長介の件でしょ?」
愁「はい。情報をもらえますか」
紫「もう集めてあるわよ」
愁「さすがですね、紫さん」
紫「褒めても何も出ないわよ。……でも愁、あなたの顔が少し違うわね」
愁「そうですか」
紫「こいつは……特別なのね」
愁「……はい」
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紫はスキマから分厚いデータを取り出した。
紫「矢黒長介のプロフィールは知ってるわよね。父は大学病院の院長、母は薬物取り締まりのトップ。両方のコネを使って薬物の売買をしている」
愁「はい」
紫「一度逮捕されているけど父の権力で揉み消された。それも記録に入ってるわ」
愁「……それは知ってます」
紫「でも——これは知らないでしょ」
愁「……」
紫は一枚のファイルを渡した。
愁「(目を通して)……これは」
紫「矢黒が使った記憶消去薬物の配合と——投与記録ね。あなたの妹に使ったものと、同じ薬よ」
愁「(静かに)……証拠として使えますか」
紫「完璧に使えるわ。これを持っていれば、どんな権力があっても揉み消せない」
愁「……ありがとうございます、紫さん」
紫「礼は終わってからでいいわよ。……で、どうするつもり?」
愁「まず取引ルートを潰します。次に証拠を送りつける——でも父親のコネが効かない部署に」
紫「具体的には?」
愁「矢黒の母の職場は薬物取り締まりのトップ。でも、そこには情報が流れてる。だから——同じ省庁の、矢黒の家とコネがない別の部署に直接送ります」
紫「……なるほどね。父親には対抗できても、全方向は守れないってわけね」
愁「はい。あと——取引の日時と場所も同時に流します。現行犯で押さえれば、父親が動く前に証拠が揃う」
紫「(少し微笑んで)愁、あなたいつからこんなに頭が回るようになったの」
愁「紫さんの隣にいたら自然と」
紫「……それは素直に受け取っておくわ」
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現実世界——数日後の夜。
矢黒は取引現場にいた。
夜中の二時。
人気のない倉庫。
いつもの場所、いつもの時間。
——のはずだった。
矢黒「(……なんか、嫌な感じがするな)」
そのとき——倉庫の出口に、懐中電灯の光がいくつも見えた。
矢黒「……!」
警察だった。
しかも見慣れない部署の制服だった。
矢黒「な、なんで——!」
逃げようとしたが、もう遅かった。
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愁はのんびりお茶を飲んでいた。
霊夢「……もう動いたの」
愁「うん。たぶん今頃捕まってるよ」
レミィ「相変わらず手が早いわね」
愁「待つの、苦手だから」
霊夢「それで終わりじゃないでしょ。父親が動くんじゃないの?」
愁「動く前に証拠を送った。矢黒の家とコネがないところに——妹への投与記録も含めて全部」
霊夢「……全部?」
愁「全部」
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矢黒の父親が病院の不正経営を理由に捜査対象になった。
翌々日——
矢黒は保釈されたが、自宅には戻れなかった。
財産は凍結。
病院も閉鎖の危機。
母親は辞職。
矢黒の「権力」は、跡形もなく消えた。
矢黒は一人になっていた。
取り巻きはいなくなった。
権力もなくなった。
薬物の仕入れルートも潰れた。
実験台もいない。
なら——自分だ。
矢黒は、部屋に残っていた「最後の薬」を取り出した。
これさえ打てば、何かが変わるかもしれない。
これさえ使えば、まだやり直せるかもしれない。
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矢黒は目を覚まさなかった。
父も母も、そのとき捜査の対応で手が離せなかった。
異変に気づいたのは、昼になってからだった。
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その夜、愁は縁側に一人で座っていた。
レミィが後ろから来て、黙って隣に座った。
しばらく二人とも何も言わなかった。
夜風が吹いて、木の葉が揺れた。
レミィ「……終わった?」
愁「……終わった」
レミィ「……」
愁「……なんか言って、レミィ」
レミィ「……お疲れ様。よく頑張ったわ」
愁「(少し笑って)……ありがとう」
レミィ「(そっと肩に頭を乗せて)……もう一人よ」
愁「……うん。もう一人」
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霊夢「(遠くから二人を見て……)(……あの子、こういうときだけ素直になるのよね)」
妖夢「霊夢さん、覗いてますよ」
霊夢「覗いてない、偶然見えただけよ」
妖夢「同じことです」
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タイトル変更について
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やっと変わったか……
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前の方がいいな〜