※この作品はR-18です。

東方闇幻想録 〜記憶の探索〜   作:如月 愁

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では、どうぞ。


第九話 七武将の七人目、そして終わり

坂本健一郎 別名大魔王

 

 

幻想郷——博麗神社。

 

フラン「ねえねえ、次で最後なんでしょ?」

 

愁「そうだよ」

 

フラン「じゃあ派手にやろうよ!」

 

愁「……派手にはしないよ」

 

フラン「えー!なんで!」

 

霊夢「あんた毎回それを言ってるじゃないの」

 

フラン「……そうだっけ」

 

レミィ「そうよ」

 

フラン「……ちぇー」

 

────────────────────────────────────────────

 

愁は縁側に座って、空を見上げていた。

 

妖夢「愁さん……今回は、どんな顔をしていいかわからないんですが……」

 

愁「そうだね」

 

妖夢「……七人目ですよ。本当に最後ですよ?」

 

愁「……うん」

 

妖夢「……愁さんは、終わったらどうするんですか」

 

愁「え?」

 

妖夢「七人全員いなくなったら、その後は?」

 

愁「……そんなこと、考えたことなかったな」

 

妖夢「(そう言って微笑む愁を見て)(……この人は本当に……)」

 

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七人目——坂本健一郎。

 

別名大魔王。

 

愁がかつていじめられていた頃、それを「陰から全て管理していた」男だ。

 

父は国会議員。総理大臣とも繋がっている。

権力の網は細かく、深く広がっている。

 

これまでの六人は——事故に見せかける、自滅を誘う、告発する——そういった手が通じた。

 

だが坂本は違う。

 

こいつは「証拠が出ても揉み消せる」人間だ。

こいつは「追い詰めても逃げ道がある」人間だ。

こいつは「自分では絶対に動かない」人間だ。

 

だから——愁は三日間、何もしなかった。

 

ただ、考えた。

 

────────────────────────────────────────────

三日目の朝。

 

霊夢「……ねえ、愁」

 

愁「うん」

 

霊夢「あんた、三日間ずっと考えてるじゃない」

 

愁「うん」

 

霊夢「(隣に座る)……珍しいわね。いつもはもっと早く動くのに」

 

愁「……こいつだけは、ちゃんとしたかったから」

 

霊夢「……」

 

愁「六人まではさ、みんなどこかに弱点があった。自業自得になる部分があった。でも坂本は……こいつだけは、自分では絶対に動かない。他の人間を使って、自分は安全なところにいる」

 

霊夢「……それで?」

 

愁「だから——こいつには、自分の手で掘った落とし穴に落ちてもらう」

 

霊夢「……どういうこと?」

 

愁「(少し間をおいて)こいつの一番の弱点は、「自分が一番賢い」と思っているところだよ」

 

────────────────────────────────────────────

 

紫のもとへ——

 

愁「紫さん。坂本の秘書と、直接のコネクションを全部出してもらえますか」

 

紫「もちろん揃ってるわよ。……今回は、私も少し手伝うわ」

 

愁「え?」

 

紫「あの子の記憶のことは……私も関わっているもの。最後ぐらいは一緒にやらせて」

 

愁「……ありがとうございます、紫さん」

 

紫「礼は終わってからでいいって言ってるでしょ」

 

────────────────────────────────────────────

 

まず——愁は坂本の秘書に接触した。

 

正確には、紫がスキマを通じて「接触の糸口」を作った。

 

秘書の名前は田口という。

 

坂本健一郎の父親の秘書を長年務めている人物だ。

 

田口は最初、愁の話を聞かなかった。

 

でも——「矢黒長介が今どうなっているか」を話すと、態度が変わった。

 

田口「……あなたが、そういう人ですか」

 

愁「何者かと聞かれたら、答えにくいですが」

 

田口「……坂本家の件は……ずっと、おかしいと思っていた」

 

愁「ならば、協力してもらえますか」

 

田口「……証拠として使えるなら、渡せるものがあります」

 

田口から受け取ったのは——

 

坂本が関与した薬物取引の詳細な記録。

 

さらに——

 

愁の妹への「指示書」。矢黒長介に命令を出した記録だった。

 

愁「(それを見て、少しの間、動かなかった)」

 

田口「……大丈夫ですか」

 

愁「……はい。ありがとうございます」

 

田口「……坂本には、これ以上好き勝手はさせられない」

 

 

次に——愁は坂本本人を動かすことにした。

 

坂本に「取引の話」を、匿名で持ちかけた。

 

内容は——「幻想郷(普通には行けない世界)の技術」だ。

 

愁が現代に持ち込んでいる技術の一部を「設計図」として見せることで、坂本の興味を引く。

 

こいつは権力も欲しいが——それ以上に、「誰も持っていないもの」が欲しい人間だ。

 

予想通り——坂本はすぐに食いついた。

 

指定した場所は廃工場。

 

昼でも人気のない場所だ。

 

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その日——愁は一人で廃工場に向かった。

 

レミィ「(心配そうに)本当に一人で行くの?」

 

愁「うん」

 

レミィ「私も——」

 

愁「来なくていいよ、レミィ。今回は僕が行きたい」

 

レミィ「……」

 

愁「(少し微笑んで)終わったら、すぐ戻るよ」

 

レミィ「……わかった。でも絶対戻ってきなさいよ」

 

愁「もちろん」

 

────────────────────────────────────────────

廃工場の中。

 

坂本は護衛を三人連れて来ていた。

 

そして——正面に、横川愁がいた。

 

坂本「……横川愁」

 

愁「久しぶり、坂本」

 

坂本「なぜここに——」

 

愁「呼んだから来てくれたんでしょ。ありがとう、ちゃんと来てくれて」

 

坂本「……何が目的だ」

 

愁「(穏やかに)終わらせに来たよ」

 

坂本「……! お前ら——」

 

護衛三人が愁に向かおうとした瞬間——

 

三人とも、音もなく崩れ落ちた。

 

坂本「なっ……なんだ、なにをした!」

 

愁「眠ってもらっただけだよ。一日は起きないから安心して」

 

坂本「きさま……何者だ……!」

 

愁「(少し考えてから)人間かどうか聞かれたら、難しいとこだけど——神だとは言われてる」

 

坂本「ふざけるな——!」

 

────────────────────────────────────────────

 

愁は坂本に近づいて、一枚の封筒を置いた。

 

愁「それに入ってるのは——あなたが今まで関わってきた犯罪の記録、全部だよ」

 

坂本「……何?」

 

愁「薬物取引の詳細。指示の記録。通話データ。矢黒長介への命令書——それと、僕の妹に何をしたかの記録も全部」

 

坂本「……そんなものが存在するわけが——」

 

愁「田口さんが持ってた。長年の積み重ねってすごいね」

 

坂本「田口が……! あいつが……!」

 

愁「それは今、複数の機関に同時に送信されてる。父親のコネが届かないところに、全部」

 

坂本「……っ! 止めろ——!」

 

愁「もう遅いよ」

 

────────────────────────────────────────────

 

坂本の手が震えていた。

 

愁「……坂本、一つだけ聞いていい?」

 

坂本「……なんだ」

 

愁「僕の妹のことを——覚えてる?」

 

坂本「……」

 

愁「(目を見て)覚えてるんだね」

 

坂本「……それが何だ。お前も、お前の妹も——ただの道具だった。弱い奴が悪い。それだけだ」

 

愁「………………そう」

 

────────────────────────────────────────────

 

愁は何も言わなかった。

 

怒鳴りもしなかった。

泣きもしなかった。

拳を振るいもしなかった。

 

ただ——坂本をまっすぐ見た。

 

その目には、怒りも、憎しみも——なにもなかった。

 

あるのはただ、静かな「終わり」だけだった。

 

────────────────────────────────────────────

 

愁「(静かに)……ありがとう。正直に言ってくれて」

 

坂本「……なに?」

 

愁「謝ってほしかったわけじゃないから。ただ——確認したかっただけ。こいつは本当に終わらせていいやつかどうか」

 

坂本「……お前、何を——」

 

愁「うん。大丈夫。確認できたよ」

 

────────────────────────────────────────────

 

その夜——坂本健一郎は、証拠とともに逮捕された。

 

父親の手が動いたが——証拠を受け取った機関の動きのほうが速かった。

 

田口の証言もあった。

 

坂本は拘置所に入れられた。

 

数日後——坂本は拘置所の中で、かつて自分が切った「裏の仲間」に処された。

 

流血は——なかった。

 

────────────────────────────────────────────

 

七人目死亡

 

──七武将、全員終わり──

 

────────────────────────────────────────────

 

幻想郷——

 

愁が戻ってきたとき、縁側にはレミィが待っていた。

 

フランも、霊夢も、妖夢も、さとりも——みんないた。

 

レミィ「(立ち上がって)……終わった?」

 

愁「……終わった」

 

レミィ「(そっと抱きついて)……本当に?」

 

愁「本当に終わった」

 

しばらく二人はそのままでいた。

 

────────────────────────────────────────────

 

霊夢「……お疲れ様」

 

愁「ありがとう、霊夢」

 

妖夢「愁さん……本当にお疲れ様でした」

 

フラン「お兄様!お疲れ様!ご飯作ったよ!」

 

愁「え、フランが?」

 

フラン「もちろん咲夜さんに手伝ってもらったけど!」

 

咲夜「(遠くから)ほとんど私が作りました」

 

フラン「(小声で)そこは言わなくていいんだよ咲夜……」

 

愁「(声に出して笑う)……ありがとう、みんな」

 

────────────────────────────────────────────

 

夜——

 

愁は一人で縁側に座っていた。

 

風が涼しかった。

 

幻想郷の空は、いつも通りきれいだった。

 

レミィ「(隣に来て座る)……ねえ、愁」

 

愁「うん」

 

レミィ「これで本当に全部終わったのね」

 

愁「……うん」

 

レミィ「……どんな気持ち?」

 

愁「(少し考えて)……軽い、かな。ずっと何かが重かったんだけど——なくなった感じがする」

 

レミィ「……そっか」

 

愁「……でも、妹のことはまだ終わってないから」

 

レミィ「……うん。それは一緒に向き合いましょ」

 

愁「……ありがとう、レミィ」

 

レミィ「(頭を肩に乗せて)……当たり前じゃない。私はいつでもここにいるわよ」

 

 

 

星が多い夜だった。

 

 

 




感想・評価してくださると作者のモチベーションが上がります。どんどん書いてください!
誤字があれば教えてください。

絶対送ってきてください!

それでは~




あ、少し期間が空いて最終話投稿されると思います……たぶん。(的中率85%)

タイトル変更について

  • やっと変わったか……
  • 前の方がいいな〜
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