※この作品はR-18です。

お互い初めてのカレカノなんだが、彼女がエロに積極的すぎる   作:淫久兵衛太

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3.

「そういや、お前らってデートとかどこ行くの?」

 

「……デート?」

 

 いつもの部室で次の講義までの空き時間を潰している時のことだ。

 話しを振ってくる柘植の言葉に電子書籍を読みながら適当に相槌を打っていたので、その言葉の意味を理解するまで時間がかかった。

 

「そうそう。デートだよ。せっかく付き合ったんなら休みの日に一緒にでかけるぐらいのことはしてるんだろう? お前と九段下がどんなとこに行くのかなって」

 

 相変わらず人の恋路に興味津々というか、余計なことまで聞きたがる男である。

 めんどくさいと思いつつどう返答したものか考えていると、何も答えない僕に焦れったくなったのか、柘植は深冬に話しかける。

 

「なあ、九段下。そこんところどうなんだよ?」

 

「……ん? なあに?」

 

 柘植の言葉をまったく耳に入れずに読書に集中していたらしい深冬が、自分の名前に反応して顔をあげた。

 

「だから、デートだよ。生田とはどんなところに出かけるんだ?」

 

 柘植の妙に期待したような視線を受けて答えた深冬の言葉はあっさりしたものだった。

 

「まだデートしたことないよ」

 

「マジで!?」

 

 大げさにのけぞりながら信じられないと言わんばかりの様子の柘植に、僕はため息を吐きながら言った。

 

「お前ね。前も言ったけど色々と早すぎるんだよ。僕たちが付き合い始めてまだ二週間ぐらいしかたってないんだよ。出かけられるような休日なんて前の土日だけしかないじゃん」

 

 僕の言葉に何故か憤慨した様子で柘植が反論してくる。

 

「馬鹿野郎! 付き合い始めて初の休日になんでデートしてないんだよ! 普通一緒に過ごしたいとか思うだろうが!」

 

「私は土曜バイトだったし秋広くんは日曜バイトだったからしようと思ってたとしてもできなかったけどね」

 

 深冬の補足に柘植が叫ぶ。

 

「そこは時間作って行けよ! ……しょうがない奴らだな。明日から土日休みに入るんだから、どっか出かけてこいよ。それで、内容をちゃんと俺に報告すること」

 

「なんでお前に予定を決められた上に報告まで入れにゃいかんのだ……」

 

「そりゃあそうだろう! お前たちの腰が重いのも問題だし、もしデートの内容が不純なことに及ぶようならそれも問題だからな! ……けど、もし、その。不純なことをしたらそれも報告するんだぞ?」

 

「柘植、マジでキモい」

 

 部室にいた女子から中身入りのペットボトルを投げつけられて沈む柘植。柘植を撃沈した女子―――川上さんが僕と深冬に向き直る。

 

「まあ、柘植の言葉に乗せられるのは不愉快かもしれないけど、せっかくだから出かけてみたら?」

 

 川上さんの言葉に、僕と深冬は顔を見合わせる。

 正直、お付き合いの手順というものを三段飛ばしで駆け上がってしまっているところがあるので、デートみたいな恋人の真っ当な行為に気が回っていなかった。

 川上さんの言うように柘植の言葉がきっかけになることに引っかかりを覚えなくもないが、いい機会であることも確かだ。

 お互いの予定は共有しているので明日がふたりとも休みなのは分かっている。

 

「……それじゃあ、行く?」

 

「そうしよっか」

 

 そういうことになった。

 

 

 *

 

 

 そして来たる翌日の土曜日のお昼すぎ。

 僕は都内某駅の有名な待ち合わせスポットで待機していた。

 深冬の最寄り駅とは反対方向なので、僕が住んでいる大学最寄り駅で待ち合わせしてもよかったのだが、待ち合わせの風情を重視して現地集合とした。

 現在待ち合わせ時間の三十分前である。

 部室での一件からその場で予定を決めたのだが、その後はいつもどおりの行動でデートについて深く考えていなかった。

 講義に出て、一緒に帰って公園でキスをして、トイレの影で深冬の爆乳生乳を揉みしだきながら手でしてもらって解散して、家で公園での事を思い出しながら自分でして。

 ことの重大さを理解さを認識したのはベッドに入ってからだった。

 急にそわそわし始めた僕は中々眠れず、起床したのは出発予定の一時間前だった。

 ……予定を午後からにしておいて本当によかった。

 十分で準備して家を飛び出して来たため、なんだかんだで早く着きすぎてしまった。

 コンビニに寄ってご飯を買い、イートインで食べてから待ち合わせ場所に来てもまだ時間が余っている。

 まあ遅れるよりはましかとスマホを眺めて時間を潰していると、深冬からラインでメッセージが飛んでくる。電車が駅についた、という報告だった。

 時間を見るとまだ待ち合わせの十五分前である。ちょっと悩んでから、待ち合わせ場所にいることを返信すると即、すぐに行くね! と返信があった。

 数分待つと、人の流れの中に深冬の顔を見つける。向こうもすぐにこちらに気がついて、人にぶつからない程度に急いでこちらに寄ってきた。

 

「ごめん! 遅れちゃったかな?」

 

 申し訳無さそうに言う深冬に僕は手を振りながら慌てて言う。

 

「いやいや、待ち合わせ時間よりもずっと早いし、僕が早く着きすぎちゃっただけだから! むしろ慌てさせてこっちが謝らないといけないぐらいだし」

 

 こういう話は続けても水掛け論的になって不毛なので打ち切るに限る。僕は深冬の手を握った。

 

「それよりもせっかく早く合流できたんだし行こうか」

 

「……そうだね。それじゃあ、映画の時間まで適当にぶらつこっか」

 

 苦笑しつつ手を握り返してくれる深冬の確認に、僕は頷く。

 恋愛初心者な僕たちに素敵なデートプランなど出てくる訳もなく、無難に映画鑑賞を主目的とした。

 近場の映画館ではデート感も出ないので都心に出て、予約した映画の時間まではウインドウショッピングに洒落込むという段取りだ。

 ……なお、ここまですべて横で聞いていた川上さんのプロデュースである。彼女には今度二人でなにか贈らなければならない。

 あまり映画館から離れて遅れるわけにはいかないので、僕たちは映画館の入った商業施設の中を回ることにした。

 僕も深冬も本屋に入れば何時間でも時間を潰せる自信があったのだが、それは川上さんに禁止されてしまっている。

 ふらふらと施設の中をさまよいながら、僕はちらりと深冬の方を見る。

 深冬は今日も普段通りの体型を隠すような厚着をしている。直接触って確認した本来の体型を想像しそうになり、慌てて打ち消す。

 股間を膨らませたまま街を歩くのは流石に不味い。

 そのまま視線をさまよわせていると、ふと深冬の顔に視線が向く。そして違和感を覚えて内心首を捻った。しばらく横顔をちらちら盗み見ながら考えていると、気がいた。

 たぶん、今日深冬は化粧をしている。それに、髪型も昨日と違う感じがするので、午前中にセットしてきたのかもしれない。

 しっかりとデートのために準備してきてくれていると思うと胸にこみ上げるものがあるが、翻って自分の有様をみてげんなりしてしまった。

 いつもどおりのティーシャツとジーパンに、起き抜けに洗面台で整えただけの髪型。

 何も考えていない自分のいたらなさに思わずため息をついてしまった。

 

「……秋広君、どうしたの?」

 

 それを深冬に見咎められてしまい、僕は曖昧な笑みを浮かべる。

 

「いや、深冬がおめかしして来てくれてるのに、僕はなにも考えずに来ちゃってたから、申し訳なくなって。可愛いよ、深冬」

 

 深冬はきょとんとした表情を浮かべた後、くすくすと可笑しそうに笑った。

 

「ありがとう、秋広君。別に男の子が見た目を気にすることはないと思うよ。少なくとも、私は気にしないし」

 

「……そうかな?」

 

「そうそう。女の子はなんだかんだ気合を入れるなら見た目から入るってだけ。……本当は服装も変えたかったんだけど、おしゃれに見える服とか持ってなくて」

 

「いやいやいや、そこまでしてもらうのは申し訳ないよ。深冬はその、事情が事情だし……。それに、そのままでも全然おしゃれしてるし可愛いよ」

 

 今の服装でも僕に比べてしっかりしてきていると思うが、彼女が言いたいのはそういうことではないだろう。

 体型にコンプレックスを持つ深冬に僕とのデートのために服装を気にしてもらうのは気兼ねする。

 

「でも、せっかくのデートの時ぐらい、それっぽい服装はしたいんだよね……。そうだ!」

 

 思案顔をしていた深冬が、思いついたといわんばかりに手を叩く。

 

「せっかくだから、服買うのに付き合ってくれない?」

 

「えっ、けど僕女の子の服なんてわからないし、あんまり変な服買わせちゃうと悪いよ」

 

「いいのいいの。秋広君とデートする時のための、秋広君の趣味に合わせた特別な服ってことで。秋広君と一緒の時に着るための服だから、体型とか気にしないものを買えるし」

 

 僕のためらいは、ねっ、と上目遣いで見てくる深冬と、自分の思うがままに深冬を着飾れるという誘惑に、打ち砕かれた。

 

 

 *

 

 

「今日は楽しかったね!」

 

 駅までの道行で、深冬は上機嫌な様子で笑顔を向けてくる。

 

「そうだね。すごい楽しかった」

 

 そう言いつつも、僕は深冬の方を見れないでいた。

 深冬の提案を受け入れて彼女の服選びをした後、僕たちは予定通り映画を見てから店に入って映画について語らいながら夕食を取った。

 現在店を出て帰路についている訳であるが、深冬の態度を見れば、今回のデートは大成功であったことは間違いあるまい。

 彼女に喜んでもらえてホッとしたと同時に、なんとも言えぬ罪悪感を覚える。

 僕は、映画の内容も、一緒に食べた夕食の味もその時の会話も、ほとんど覚えていなかった。

 すれ違う人々の露骨な視線を感じつつ、勇気を出してちらりと深冬を見る。

 深冬の服装は、駅で待ち合わせた時と違っている。

 デート用に新しく買った服を、せっかくだからとそのまま着ているためだ。

 黒の半袖サマーセーターに、ブラウンのフレアスカート。半袖から伸びる腕は、白く目に眩しい。

 可愛らしさよりも大人っぽさが際立つ服装で、僕の反応が良かったのを見て購入されたものであるが、これが大問題だった。

 サマーセーターはタイトでぴっちりとしていて、フレアスカートはみぞおちの辺りをきゅっと締め付けている。

 どうなっているかというとつまり、深冬の巨大な胸が強調された状態になっていた。

 僕もそれで反応してしまったのであるが、彼女はそれを分かって確信犯的にこの服装をしている。

 露骨に動揺して終始気をそぞろにしている僕を見てずっとにこにこしているので間違いない。

 テンションの上がった深冬は行きにつないでいた手を解き、代わりにぎゅっと僕の腕を抱きしめるようにして組んで歩いている。

 

「こうしていればこの服装でも安心できるから」

 

 と、言われてしまってはどうにもできない。いや、嫌だという気持ちは一切これっぽっちもないので、どうにかするつもりはまったくないのだけれど。

 おかげで視覚的にわかるようになった胸が押し付けられて股間に悪い。

 ……まあ彼女もご機嫌であるし、僕も腕は気持ちいいやら、周囲の男から浴びせられる嫉妬の視線が気持ちいいやらで、内心嬉しくはあるのだけれど。

 しかし、分かっていたことだが、深冬の胸はめちゃくちゃ大きい。

 何度も触ってはいたが、服の上からとはいえ、視覚的に確認するのは初めてのことだ。本当に小さなスイカが入っているんじゃないかと見紛うほどで、それが僕の腕に押し付けられて形を変えている。

 女性の胸なんて深冬の胸しか触ったことはないが、もし仮に万一他の女性の胸を触る機会があったとしても、これに勝るものはないかもしれない。

 初めての胸が深冬の胸でよかったのか悪かったのか悩みつつ、改札を通り、ホームに降りる。

 

「……なんか人が多いね」

 

「そうだね……。事故でもあったかな」

 

 深冬の言葉に同意しつつ電光掲示板を見上げる。アナウンスに耳を傾けつつ確認すると、どうやら事故で遅延が発生しているらしい。

 この駅は都心から地方に流れる路線の始発駅ということもあり、帰宅する人々で溢れかえっているようだ。

 

「迂回路もダメそうだし待つしかないね……」

 

「厄介だなあ。ちゃんと電車に乗れればいいけど」

 

 そうぼやきつつ比較的人の少ない場所を探して列に並ぶが、どこを選んでも変わらないかもしれない。

 深冬とお喋りしながら待つのは苦にならないが、電車に乗ってからが大変そうである。

 一本目の電車は乗れず、次の電車を待つはめになったが、次の電車には間違いなく乗れそうだった。

 やがて、ホームに電車が停車すると反対側のドアが開き、そこからどっと人が降りていくのが見えた。

 しばらく待つとこちら側も開いて人がぞろぞろと中に入っていく。

 僕は乗車するとさっと車内を見渡すが、席には座れそうもない。小さく舌打ちしつつ、ドアの隅を確保すると、深冬をドア側に立たせた。

 直後に、後ろから入ってきた人にぐいぐいと押し込まれる。

 なんとかドアが閉まって電車が動き出した。

 僕は深冬をつぶさないように手をドアに突き力を込めるが、すぐに腕が震え始めてしまった。

 

「だ、大丈夫?」

 

 じっとりと汗をかく僕を深冬が心配するように見るが、僕はなんとか笑顔を作ってそれに答える。

 

「大丈夫だよ。次の駅で人も減るだろうし」

 

 果たして次の駅で一度圧力は減じたが、すぐに同じぐらいの力で押し込まれてしまった。

 降りた分だけ人が乗車してきたようで、状況は変わらない。流石にこれは持たないかと密かに焦っていると。

 

「私は大丈夫だから、こっちに寄りかかっていいよ。この調子だとずっとこんな感じだろうし」

 

「けど……」

 

「ほら」

 

 躊躇する僕を抱きしめるようにして引き寄せる深冬。僕もそこで力尽きてしまい、ドアと僕で深冬を挟んでしまう。

 深冬の体の中で一番出っ張っている胸が僕の体でぐにゃりとひしゃげて押しつぶされる。

 やわらかなクッションのおかげで僕は辛くないしなんなら気持ちいいが、深冬の方が大変そうだ。

 

「大丈夫?」

 

 心配する側に回った僕の言葉に、深冬はちょっと顔をしかめつつも、笑顔を作って答える。

 

「大丈夫だよ。ちょっと苦しいけど、大変なわけじゃないし。それに……」

 

 深冬は僕の背中に回した腕にぎゅっと力を込めながら、僕にささやくように言った。

 

「こうして秋広君と抱き合ってれば、全然辛くないから」

 

 反則みたいな言葉だ。

 僕も深冬の背中とドアの間に手を差し入れて彼女を守りつつ苦笑する。

 

「そっか。きつかったら言ってよ」

 

 そうしてしばらく合法的に抱き合いながら会話していたのだが、ある時点で問題が起きた。

 急カーブの部分を通過したのか、車体がわずかに傾き、人の圧がこちら側に寄ってくる。

 とっさに深冬をつぶさないように力を込めたが、慌てて確認する。

 

「大丈夫!?」

 

「大丈夫だけど、ちょっと大丈夫じゃないかも……」

 

 なにか不味いことがあったかと慌てて深冬の様子を確認すると、深冬はおでこを僕の胸にあてて、うつむきがちにしている。

 

「ど、どこか打ったりした?」

 

「そういうわけじゃないんだけど……。んっ!」

 

 小さく声をあげた深冬は慌てて僕の胸に顔を押し付けて声を殺した。

 いったいどうしたのだろうか。

 困惑しつつ深冬を観察すると、こころなしか顔が赤くなっているようだった。これだけ人が集まっているのだから車内の熱もこもっているが、暑さにやられたのだろうか。

 そうしているうちに、ふと気がつく。

 先程の衝撃で僕の右足の膝がドアとくっついていた。間にいる深冬の股下に足を差し込むような形になってしまったようだ。

 そして、ふとももの上になにかが乗っている感触。

 どうやらその、深冬の足の間に膝をわりこませる形になってしまったらしい。

 つまり、今ふとももに乗っているのは深冬の……。

 

「ご、ごめん! すぐにどかすから!」 

 

 僕は慌てて膝を抜こうとするが、ちょうどカーブに差し掛かって圧がこちら側にかかってしまい、逆に深冬の股間に押し付けるような形になってしまう。

 

「んあっ……! あっ……」

 

 息を殺しながらも小さく声をあげる深冬に焦りを覚えて膝をどかそうとするが、人が全体的にこちらに寄ってしまったのか、体を戻すことができない。

 足を引き抜くのも難しい体勢になってしまっていて、なんとか引き抜こうともぞもぞと膝を動かすが、それが深冬を刺激するような形になってしまう悪循環で、どうにも動けなくなってしまった。

 

「ごめん、体が動かせなくて……」

 

 申し訳無さとどうしようもなさで死にたい気分になりつつ深冬に謝る。さぞ痛くて辛いだろうと思って苦しくなるが、深冬は首を振った。

 

「ほんと大丈夫だから。苦しくはないの。ただ、その……」

 

 電車の振動で僕の膝が動いてしまい、その刺激を受けた深冬がびくりと体を震わせる。

 顔を紅潮させ、僕を抱きしめる手に力を込めながら深冬はか細い声で続けた。

 

「その、膝があたってるところがすごい気持ちよくて……。声が我慢できないかも」

 

「……へ?」

 

 僕が間の抜けた声をあげていると、深冬は自分から体を揺すって僕の膝に股をこすりつけ始めた。

 

「あっ……。……だめ。気持ちいいの、我慢できない」

 

「ちょちょちょっ!?」

 

 僕は焦って周囲を確認する。幸い前後は僕とドアに挟まれ、右には座椅子の壁がある。左には人がいるが、体を深冬とは逆に向けて人と話しているため気がつく人はいないようだ。

 深冬の漏らす小さな喘ぎ声は電車の音と周囲のざわめきにかき消されて、聞いているのは正面にいる僕ぐらいのものである。

 つまり、満員の電車の中にいながら、密室のような形になっているのだ。

 僕はごくりと喉をならした。

 この電車は快速急行で、これから僕の家の最寄り駅まで止まることはない。その間目の前で僕の体を使って喘ぐ深冬を見続けることになるのだが、僕の中でむくむくと欲望が鎌首をもたげる。

 僕は、深冬の背中に回していた手をそろそろと下におろしていく。

 背中、腰となぞるように動かすと、深冬が体を震わせてしがみついてくる。

 そして深冬のお尻に到達したその手で、お尻をぎゅっと鷲掴みにした。

 

「あぁっ……!」

 

 目を見開いて一際大きな声を上げる深冬。それでも声はかき消されて周囲には聞こえていない。

 深冬のお尻は、胸に負けないぐらいむっちりしていて、触り心地は最高だった。

 左右の尻たぶそれぞれを手でこねくり回す。指先が、夏向けのため生地が薄目のフレアスカート越しにショーツの縁に引っかかる。

 僕はしっかりとお尻を掴んだ手と膝を同時に押し込んだ。

 今まで以上に強い刺激に、深冬は一層強く顔を僕に押しつけ、押し殺したような、くぐもった声をあげる。

 ふるふると震える深冬にやり過ぎたかな、と心配していると、先程から固くなりっぱなしの股間に刺激を受けて僕は腰をびくりと震わせた。

 慌てて確認すると、背中に回されていた深冬の左腕がいつの間にか前に回っている。

 深冬の頭に遮られて見えないが、その手は僕の股間に伸びている。

 深冬が顔を上げて僕を見る。

 その表情は公園でいつも見るものよりもとろけていて、熱に浮かされているようにも見えた。

 

「ふふ、おかえしだよ」

 

 深冬が小さく微笑みながら左手をもぞもぞともぞもぞと動かすと、ズボン越しに強い刺激を感じて僕は焦った。

 

「ちょっ、ここでは不味いよっ」

 

 ここでうっかり射精してしまうと臭いでバレてしまう。

 しかし僕の言葉に耳をかさない深冬は、左手で僕を撫でながら、腰を動かして自分も快楽をむさぼり始める。

 

「……ぐっ」

 

「あんっ……。んんっ……!」

 

 調子に乗ってしまった僕は罰のようにこの快楽に耐えねばならなかった。

 普段とは違ったシチュエーションに興奮していたことと、可動範囲が狭いため、つたない深冬の手の動きが逆に興奮を助長して、地獄のような快楽が押し寄せる。

 さわさわと逸物を撫でるようにしている深冬の手の感触のもどかしさと、膝に感じる深冬の大事な部分を擦り付けられている感触に頭がどうにかなりそうだった。

 絶頂イコール社会的死という最悪な状況に耐え続ける。

 こういう時に限って時間の進みが遅く感じてしまって地獄が長引いている。

 半分泣きそうになりながら深冬の攻勢に耐えていると、その終焉は唐突に訪れた。

 減速する電車の揺れで強く膝を押し込んでしまい、深冬がびくんと一際強く震える。

 その余波で逸物を強く握られた僕は、目の前で火花が散ったようにちかちかとして、訪れる強い射精感をお尻に力を入れて半ば維持で耐える。

 そして、電車が完全に停止して目の前のドアが開くと、僕たちははじき出されるようにして外に出た。

 自分も辛かったが、ふらりと倒れ込みそうになる深冬を慌てて支え直して脇に避ける。

 後からおりてくる人たちがこちらを見てくるが、大丈夫です、と愛想笑いしながら深冬を引っ張り、近くのベンチに座らせた。

 僕も隣に座って大きく息を吐いた。

 あ、危なかった……。

 尊厳を守りきり、社会的死を免れた僕は達成感に満たされていた。

 今後はこういうことは時と場所を選ぼうと心に誓っていると、肩に重みを感じた。

 そちらを見ると、うつむいた深冬が肩にもたれかかっている。

 

「だ、大丈夫!?」

 

 慌てて僕が確認すると、深冬がこちらを見た。

 潤んで充血した目に見つめられて、僕は固まってしまう。深冬は小さな声で僕に言った。

 

「私、秋広君の部屋に行きたい」

 

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