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「暑いな……」
中間テストを無事突破したことで俺たちDクラスにはクラスポイントが与えられた。
87ポイントという僅かなポイントではあるが、5月から今までクラスポイントは0だったことを考えれば大きな進展と言える。
何故ならこれで毎月8700プライベートポイントが支給されるからだ。あるとないとでは雲泥の差なのは間違いない。
そしてそれは今月から配布されるはずだったのだが、一方であるトラブルがあった。
クラスメイトである須藤がCクラスの生徒と喧嘩になり、一方的な暴力を振るったことだ。これによって8700プライベートポイントの支給は現状見送りとなった。
ところでこの須藤の暴力事件だが、何やら裏があるらしい。
須藤はCクラスから仕掛けられたもの、つまり罠だったと言っている。
須藤を救うため、あるいはようやく得たクラスポイントを守るために平田や櫛田、Dクラスのみんなは放課後の時間を使って様々な場所を回っているところだ。
それは俺も同様だ。まずは事件現場を一度確かめておこうとこの特別棟に足を運んでみた。
「あなたも変わってるわね、綾小路くん。自分からこの件に首を突っ込むなんて。目撃者は見つかったし、もう打つ手がないことも判明した。これ以上何をしようと言うの?」
「須藤は最初にできた友達だからな。多少の協力はするさ」
だが、俺の横にいる堀北は今回の件を内心でどう思っているのかは微妙だ。
単純に須藤を救いたいとは思っていないだろうが、ようやく得たクラスポイントを手放したいとも思っていないはずだが。
とりあえず廊下の端まで歩いて、そして天井から壁の隅を隈なく見て回る。
ふと堀北は何かに気がついたように辺りを見回し、それから考え込んだ。
「どうやらここには監視カメラはないみたいね。いえ、当然と言えば当然だけれど」
堀北の言う通り、監視カメラがあったらこんな事態にはなってはいない。
監視カメラがなかったから互いの言い分のどちらが正しいのかがハッキリしないでいる。そしてそれを狙ってCクラスは須藤をここに誘い込んだ。
だが須藤の言い分を信じるならば、『もしも監視カメラがあった場合』には、Cクラス側が窮地に追い込まれることになる。
それに加えて特別棟の異様なまでの暑さ。実際にここにいるだけで体力も気力も奪われるのが分かる。長時間いれば思考もだんだんと鈍りそうだ。
今日はここに足を運んだ甲斐があった。俺の脳裏に浮かんだある作戦、案外不可能じゃないな──―
「ねえ君たち、そこで何してるの?」
突然の声に振り向くとそこには見たことのあるストロベリーブロンドの美少女がいた。
直接会話をしたことはないが、一之瀬と言うBクラスの生徒だ。そして優秀な生徒だってことだけは風の噂で知っている。
「私たちに何か用かしら」
堀北は突然現れた一之瀬に警戒心をむき出しにした。こんな場所で声をかけられる状況を堀北は偶然とは捉えていない。
一之瀬は辺りを見回しながら言った。
「君たちに用があるわけじゃなくてね、この場所に用があったの。ほら、ここが例の喧嘩騒動が起こった場所なんでしょ?一度様子を見ようと思ってここに来たの」
「何故あなたがそんなことをしないといけないのかしら。あなたに何の関係が?」
一之瀬の言葉に堀北がさらに警戒心を強めた。何か裏があるとでも考えているんだろう。
だが、一之瀬は堀北の怪訝そうな態度に特に不快感を見せることなく答えた。
「私は今回の件には関係はないんだけど、実は以前にも似たようなことがあったの。それで今回こそは見過ごせないと思って個人的に調べてるってわけ」
「似たようなこと?まさかCクラスはこういったことを既に何度かやっているの?」
以前にも類似したことがあったと一之瀬は言うが、驚きは大してない。
今回の手口は前もって計画されたもの。明らかに思いつきからのものではないのは明らかだ。
同じようなことが以前からあり、今回たまたま須藤が引っかかった。そういうことかもしれない。
一之瀬は素直に頷いた。
「うん。前にあったのは──―」
「帆波さん、こんな所でどうしたんですか?」
しかし、その内容は横からかけられた言葉によって遮られることになる。
声が聞こえた方向を見ると、ジャージを着た男が笑顔を浮かべて歩いてきた。
何というか、イケメンだ。女子に非常にモテそうな男がやってきた。平田とどっちがモテるんだろうか。
右手にはテニスラケットを持っている。テニス部に所属しているらしい。
「あっ、聡くん。私はあの喧嘩騒動の調査!今度こそCクラスには好き勝手させないから、任せて!」
「はあ、そうですか。そういえばあれはこの場所で起こったんでしたっけ」
「うん。それで、聡くんこそどうしてここに?」
「俺は帆波さんが特別棟に入るのを見て何となく追いかけてきただけです。事件の調査とかそういうのではないですね」
よく分からないがはりきっている一之瀬に対し、男は何処か冷めている。淡々と一之瀬の言葉に返事をしていた。
ちなみに関係ないんだが、ついさっきまで話していた相手が自分の知らない友人や親しくない第三者と仲良さそうに話されると、何故か疎外感を覚えるんだよな。悲しいことにこの学校に来てから幾度も経験した。
『あの部屋』にいただけでは知ることのなかった知識だな。
「全く、次から次へと増えるわね……どうぞ好きに話していて構わないから、私たちのことは放ってほいて頂戴」
俺が何処となく疎外感を感じる一方で、堀北はそんなものはお構いなしだ。目の前で行われていた会話を両断した。
「ああ、待って待って。実は聡くんは今回の件に無関係じゃないんだよ。なんて言っても前回の被害者なの」
「前回の被害者?」
ここで堀北がやっとその男に興味を持ったらしく、初めて男の方を向いた。
男は軽く笑顔を浮かべて話し出した。
「どうも初めまして、里中です。よろしくお願いします」
里中が俺と堀北の方を真っ直ぐに向いて自分の名前を言った。
何の変哲もない自己紹介だ、変なところなど一切ない。にも関わらず、俺は何かが引っかかっていた。
里中……里中か。どこかで聞いたことがある名前だが、どこで聞いた?
初対面なのは間違いない、それは確かだ。ならどこで聞いたんだ?俺は交流関係が広くない。他クラスの生徒の名前を聞く機会なんてほとんどないが……
そうして俺は今日から入学前までの記憶を辿っていたが、そこで櫛田としたある会話を思い出した。
『綾小路くんはイケメンランキングで見事5位につけてるね。おめでとう!ちなみに1位はAクラスの里中くんって人。2位が平田くんで──―』
そうだ、例のイケメンランキングとやらで名前を聞いた。あれの1位が里中という名前だった。おそらくは同一人物だろう。
「あなたの名前なんて聞いていないのだけれど?」
「お互い名前すら知らないのは少し気まずいじゃないですか。名前くらいはと思いまして」
「どうせ、この場限りの関係なのだから別に構わないでしょう」
「そんな冷たいこと言わないでくださいよ。別にそうと決まったわけでもないじゃないですか」
里中と堀北の会話を聞き流しながら、俺は里中の顔をこっそりと盗み見るように観察した。
里中のことをさっきはイケメン、女子にモテそうと大雑把に片付けたが、よく見ると平田とは違ったタイプの男子なのだと思った。
平田もイケメンランキングとやらで2番目だ。つまり1年生でトップクラスにモテる男だろう。俺も同じクラスなだけあって平田がモテる理由というのは何となく分かる。
平田がモテる1番の理由は普段の言動と身にまとう雰囲気だ。
誰に対しても文字通り分け隔てなく親身になって接する態度と、それに伴う優しげな雰囲気が平田の人気の秘訣だと俺は思っている。
つまり平田は容姿という面だけでなく内面の人格的な面も含めて、そのイケメンランキングでの評価に繋がっているように感じる。
一方の里中は平田のような優しげな雰囲気はないように見える。口調こそは丁寧なものの、接しやすさや親しみやすさはあまり感じられない。何というか、馴れ馴れしく話しかけるのは気が引けるというのが正直なところだ。
そのような親しみやすさといった観点では里中は平田に劣っているように思える。だが、実際には里中は平田よりも女子からの評価は高い。
なら里中はどういった点を平田より評価されているのだろうか?
俺は里中のことを詳しくは知らないが、そんな俺でも1つだけ平田より優れている点を見つけることができた。
それは外見の差、容姿の差だ。
もちろん、外見の評価というのは明確な基準はない。個人の感性に大きく左右されるところがある。
だが、あくまで俺の感性で言えば里中は平田よりもかっこいいと思えた。
例えるならば、平田は学校で一番可愛い女子、あるいは親しみやすさを売りにしているアイドルだ。
確かにかわいいが、1日に何百万人も人々が行き交う東京の都心部などで観察していれば、そのレベルの女の子は確率的に相当数見つかるはずだ。
それに対して里中は学校なんかではお目にかかれないくらいの美人、あるいは普段テレビを見ない人でも名前は聞いたことがあるような国民的女優だ。
俺も外の世界に出てきてから一般的な高校生の知識を少しでも身につけようと、テレビや雑誌に多少は目を通した。
だが里中は今までに見た俳優やタレントと比較しても遜色ない、あるいは優れた容貌をしているように見える。
そんなわけであくまで俺の感想だが、里中が平田を押し退けて1年生で最も女子からかっこいいと評価されている理由は『容姿がより優れているから』だろう。
いや、身も蓋もない結論だな……あれこれと考えたが、要は顔が良いというだけだ。
「はあ……堀北よ」
「俺は綾小路だ、よろしく」
「綾小路くんは知ってるかもしれないけど、私は一之瀬です。よろしくね」
そんな雲上の方々の争いは置いておいて、気が乗らないと言わんばかりにやる気のない堀北の後に俺はしれっと自分の名前を言った。
うん、これで入学初日の自己紹介の雪辱は果たしたぞ。
あの時も堀北がいてくれて、今回のような酷い自己紹介をしてくれればな……あんな大惨事にならずに済んだんだが。
互いの名前はこれで分かったと言わんばかりに堀北は本題について切り出した。
「それで、あなたが前回の被害者だというのは?」
「言葉の通り、以前もあったんですよ」
そう言って里中は自分が以前Cクラスから受けた嫌がらせを話し出した。
簡単に言うと、見ず知らずのCクラスの生徒に私物を破損された上に挑発を受けたらしい。
「そしてあなたはその挑発を受けてからどうしたの?」
そう問いかけた堀北に対して里中は不思議そうに返事をした。
「どうするも何も、普通に担任に報告をしましたよ。学校側からは監視カメラが設置していない場所だったので犯人は分からないという回答で終わりました。なのであくまで表向きはCクラスは無関係の事件という扱いですね」
「はあ、そう……」
「何です?そのため息は……」
堀北が手を頭に当ててため息を吐いた。俺もその気持ちは分かる。
「別に、当たり前のことですよね。というか俺にできることなんてそれ以外になかったので」
「あなたの言う通り、当たり前ね。そしてその当たり前ができない人がクラスメイトだというのが悲しいというだけよ」
その通りだ。他人に暴力を振るってはいけないという常識を持っていれば、里中のケースのように問題は起こらなかった。
今回の件、須藤は罠に嵌められた被害者かもしれないが、それと同時に暴力を振るった加害者だ。
「そんなわけで私にも協力させてくれない?聡くんの件は結局泣き寝入りで終わっちゃったし、今度こそはと思ってね。敵の敵は味方ってわけじゃないけど、どうかな?」
一之瀬の提案に堀北は少し考えていたようだが、返答にそこまで時間はかからなかった。
「手伝ってもらいましょう、綾小路くん」
一之瀬がBクラスの利益のために、CクラスやDクラスをかき回すような暗躍を目論んでいるリスクもある。
しかし堀北はそのリスクよりも他クラスの協力が得られるというメリットを取ったようだ。
堀北の承諾を受けて、一之瀬は笑顔を浮かべて頷いた。
「決まりだね。じゃあCクラスの嘘を暴くためにまずは目撃者探しからかな?」
「実は目撃者自体はこちらで見つけられたわ。ただ、Dクラスの生徒なのが問題ね」
「そっか、同じクラスの子だったかー。でも目撃者が1人とは限らないし、Bクラスのみんなに一度聞いてみるから」
そう言ってから、一之瀬は話に退屈して端末を弄っている里中の方に振り向いた。
「聡くんもクラスメイトに聞いてみてくれる?私と聡くんでBクラスとAクラスのみんなに聞けばこれで1年生はCクラス以外全員聞いたことになるね」
「俺もやらないとダメですか?正直面倒なんですが……」
「ちょっと待って」
一之瀬と里中の話をまたもや堀北は遮った。これはもしかして、俺は思い違いをしていたのかもしれない。
「一之瀬さん、彼はAクラスなの?同じBクラスではなく?」
「うん、そうだよ」
きょとんとした顔で一之瀬が肯定した。
一之瀬と里中は同じクラスではない。にも関わらず関係は親密だ、互いを下の名前で呼び合うほどに。
これは、まさか……
「妙な話ね。彼が同じクラスメイトならともかく、何故Aクラスの生徒のためにあなたが動くというの?」
「え、えーっと……」
堀北はまだ俺と同じ考えに辿り着けていないらしい。どうやらそっち方面は鈍いらしい。
頬を掻きながら何かを言いづらそうにしている一之瀬の一方で、里中は相変わらず端末に目を落としながらあっさりと答えた。
「付き合ってるんですよ、俺たち。交際中なんです」
「交際中?」
「あはは……そ、そうなるんです……」
その言葉を聞いて俺は思った。
問い・人は平等か否か。
答え・人は不平等なもの、存在であり、平等な人間など存在しない。
恋人どころか友人すらいない俺のような人間がいる一方で、他クラスのかわいい恋人を手に入れている人間がいる。
まさに住んでいる世界が違う、想像もできないような人生を送る人間が実際に存在する。
世界は、社会は、人間は、平等にはできていない。
「一之瀬さん、あなた正気?この学校の仕組みを知らないのかしら。他クラスの人間ということは結局のところ敵よ。Aクラスという一つしかない椅子を巡って争う相手でしょう」
「い、いやもちろん知ってるよ?でもね、その……」
俺が人間とは不平等なものであるという持論を一層強固たるものにした一方、一之瀬は堀北に責め立てられてタジタジになっていた。
そしてそれを見ておかしそうに笑った里中が2人の話に口を挟んだ。
「しょうがないじゃないですか、好きになっちゃったんですから。恋ってそんなものだと思いますよ」
「恋愛にうつつを抜かした結果、あなたがBクラスに落ちても構わないと?」
「構わないというわけではないですが、だからといって別れる気にはなりませんね」
「あら、そう。実際にBクラスに落ちた後でも同じことが言えるのだとしたら大したものだけれど」
堀北はそのような皮肉を言ったが、俺には理解できる。
俺もAクラスで卒業するなんてことより、一之瀬のような魅力的な女の子と恋愛をしたいという気持ちの方が強い。
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最初の、そして最後の自由だ。この学校にいるうちに一度経験してみたいところだな。
里中は堀北の皮肉に軽く苦笑いを浮かべた後に「まあ、それはともかく」と端末から顔を上げて言った。
「目撃者なんてこれ以上見つかるとは思えません。Cクラスの方もわざわざ監視カメラのない特別棟で事を起こしたところを見るに、人の目に触れることは可能な限り避けていたんでしょう。Dクラスで見つかったという目撃者はまさに奇跡です」
「それはそうかもしれないけど、でも1人見つかった以上他にいないと決まったわけじゃないよね。諦めずに探し続けることには意味があるんじゃないかな」
里中と一之瀬がまた2人話し続ける。今回は堀北は口を挟まないようだ。
「さらに目撃者が見つかったところで、実際の事件の一部始終を納めた動画のような物証が都合良く得られるとも思えません。物証がなければどのみちDクラスには不利な展開になると思いますよ。Dクラスの例の生徒は暴力を振るったことは認めちゃったんですよね?」
「ええ、その通りよ」
里中の問いに堀北が答えた。須藤は茶柱先生に呼び出された時に暴力を振るったこと自体は認めたはずだ。
「では、少なくとも目撃者を探すといった正攻法で無実を勝ち取るのは不可能に近いでしょう。せめて暴力を振るったことすらも認めていないのなら、話は別でしたが」
里中が今回の件についてそう結論付けた。
確かに今回の件、須藤が既に暴力を振るってしまった以上、このままなら何らかの罰を受けるのは間違いない。Cクラス側にどんな思惑があったにせよ、暴力を振るったのだから当然だ。
しかし『暴力を振るったことを初めから認めなかったら』か。それは監視カメラがない場所に誘い込まれたことを逆手に取ることになる。
須藤が暴行をしたかどうかの真実は学校側には分からない。水掛論となるだろう。
確かにこの場合は、所謂『正攻法』で無実を勝ち取れるかもしれない。
だがその場合、Cクラス側が実際の事件当時の録音等をしていれば裏目に出る。須藤は通常より重い罰を受けることになるはずだ、リスクは大きい。
まあ須藤はそこまで頭が回らず素直に自白したようだが。
やはり里中の言う通り『正攻法』で無実を勝ち取るのは不可能。それが俺の結論でもある。
それにしても里中はAクラスの生徒なだけはある、頭の回転は悪くはない。
「そんなわけで俺はあまり乗り気にはなれません。元々DクラスとCクラスの揉め事で他人事だからというのもありますが」
「無理もないわね。むしろそれが当然でしょう」
里中の言葉に堀北が同意した。恐らく堀北も無実はハナから諦めてるんだろうな、気が合うらしい。
「まあまあ、そんなこと言わずに。聡くんはAクラスで目撃者を探すだけでいいから。だめ?」
「いや、それすらも面倒なんですが。大体、俺は今回の件で罠に嵌められた生徒の名前すらも知らないんですよ?見ず知らずの人のために頑張れと言われても……」
「尤もな言葉ね。クラスメイトの私でさえ面倒極まりないもの。一体何でこんなことをしないといけないのかしら……」
とうとう堀北は自分の現状への愚痴をこぼし始めた。気持ちは分かるけどな、この本音を須藤が聞いたら泣きそうだ。
しかし、そうか。茶柱先生は各クラスに今回の件を通達したと言っていたが、喧嘩騒動があったくらいにしか伝わっていないのか。
里中は、ひょっとすると一之瀬も事件の当事者の名前は各担任から知らされていないのかもしれない。
一応、名前だけは教えておこうか、何かの役に立つかもしれないしな。
「ちなみに暴力を振るった生徒の名前は須藤って言うんだが……」
「須藤?まさか、須藤くんが?」
俺が須藤の名前を言うと、即座に里中が反応した。いや、反応したのは里中だけじゃない。一之瀬も肩をビクッと震わせた。
「はあ、なるほどなるほど。帆波さんが妙に張り切っていると思ったら、そういうことでしたか。それは張り切っちゃいますよね」
「ち、ちがっ!私も今初めて知ったことで!」
「何?あなたたち、須藤くんのことを知っているの?」
堀北が意外そうに尋ねた。俺も意外だ。須藤がこの2人と知り合い?
須藤はこの通り喧嘩騒動を起こすようなタイプだ。そしてこの美男美女のカップルはどちらも模範的生徒のように見える。
一体どんな接点だ、部活動絡みだろうか。
「ええ、もちろんですよ。ですよね、帆波さん?」
「う、うん……」
何だ、この2人の反応は?ただ単に知り合いにしては妙だが、実際にどんな関係なのかは想像がつかない。
「まさか被害者が須藤くんだったとは。気が変わりました、部活なんてやってる場合じゃないです。俺にも手伝わせてください。絶対に須藤くんを無実にしてみせます。頑張りましょうね、帆波さん」
「い、いや私は須藤くんのために頑張ってるんじゃないんだよっ?聡くんのために頑張ってるだけだからね?」
「……理解に苦しむわね」
いや、本当にな……
訳が分からないが、こうして俺と堀北はBクラスとAクラスの協力を取り付けることに成功した。
次回は生意気な女先輩とダブルデート、エロ回予定!
その次はアイドルオタクと対峙!
そしてその次は風俗!
そしてやっと3巻!