月曜の朝、俺は気分良く目を覚まし、弁当の準備を始めた。
この学校にも入学して4週間目。そろそろ1ヶ月になる。
弁当というのは自分のために用意するのはなかなか億劫だが、他人のため、一之瀬さんのような可愛い女の子のためだと気合が入る。
今日は1日目。見た目にも気を使って作らなければ……
さて、こんなところか。
2つの弁当ができた。一つは青の柄の、もう一つはピンクの柄だ。ハンバーグは焼きたてだし、ご飯も朝に炊いたものだ。弁当箱は結構熱くなっている。学校に着いても温かいままだろう。ついさっき作ったものだと分かってくれるはずだ。
今は8時15分。いつもより少し早いが、もう行くか。
この時間帯にしては、俺のクラスが妙に騒がしい。まだ少し早い時間だが、いつもよりもクラスに人が集まっている。
理由は分かる。特に気にせずに中に入った。
そして周囲の目が一気に俺の方を向いた。視線が痛い。
「おい、里中!お前フラれたって本当か!?」
まず勢い良く話しかけてきたのが橋本だった。俺がフラれるなんて到底思ってもいなかったのか、珍しいものを見た、と言った感じだ。
「ああ。フラれたよ、見事にな」
「そうかそうか!まさか、こいつがフラれる日が来るとはな!ま、そういう日だってあるだろ。ジュースの一本くらいは奢ってやるよ!」
どことなく嬉しそうだな。コイツ……
俺がフラれたのが余程興味深かったのか、いつもはあまり話しかけてこない奴も話しかけてきた。
「お前みたいなイケメンでもフラれる時にはフラれるんだな!まあ元気出せよ!」
「やめておけ。橋本、弥彦。こういったようなことを外野があまりに騒ぎ立てるのは趣味が良くない。それに相手は失恋した側だ。さらに配慮が必要だ」
戸塚弥彦、葛城康平。
名前は知っているが、仲は良いわけではない。もちろん、普通にクラスメイトとして話せる仲ではあるが。
「いや、いいんだ、葛城くん。俺がフラれたのは事実。それに俺はあまり気にしてはいないから」
「しかしだな、里中。いくらなんでもこれは気分が悪いだろう」
大丈夫、大丈夫と言って自分の席に着く。男達に元気出せよ、と励まされながら。
男は面白いものを見た、と言った感じで笑っているが、一番心底から喜んでいるのは彼女達だろう。
「里中くん。その、元気出して!一之瀬って子にはフラれちゃったけど、女の子は他にもいっぱいいるから。きっと里中くんのことを好きになってくれる子も見つかるよ!」
「ありがとうございます。谷原さん」
満面の笑みで俺に話しかけてきたのは谷原さんだった。谷原さんの他にも俺に本気で恋をしていそうなメンツが嬉しそうに話しかけてくる。
「里中くん。かわいそう……辛かった記憶は忘れて、また元気にテニスをやってるところを見せて!」
「フラれた相手のことなんて早く忘れて、里中くんには早く元気になってほしいな!」
まあ、彼女達は一之瀬さんには怒り心頭だろう。いきなり現れた女に全てを奪われかけたんだから。
俺と2人きりでデートをしたことも腹立たしくて仕方がないだろう。しかし、告白が上手くいかなかったことには心底安堵しているようだ。
隣の席で坂柳さんと神室さんが必死に笑いを堪えている。この後の展開が容易に想像できたらしい。
「みなさん、ありがとうございます。確かに一之瀬さんへの告白は上手くいかなくて、失敗してしまいました。でもそんなに励まさなくても大丈夫ですよ」
そう明るく返事をすると、彼女達は何か不穏な気配を察知したのか、さっきまでの笑顔がだんだん凍っていく。
「俺はまだ諦めてないので」
そう言って弁当を取り出した。
「……それ、誰の?」
ピンクの柄だ。明らかに俺が使うものじゃない。
谷原さんが恐る恐る聞いてきた。
「一之瀬さんのですよ」
彼女達は絶句したまま、黙り込んだ。
坂柳さんと神室さんはとうとう耐えきれなかったのか、横で吹き出していた。悪い人たちだ。
「では俺はこれを一之瀬さんに届けてくるので」
俺のその言葉に彼女達は誰も反応しなかった。
俺が教室を出て、ドアを閉めると教室内が一気に騒がしくなった。
一之瀬さん、本当に恨まれそうだな……
Bクラスの前までやってきて、外から中を覗く。どうやらまだ一之瀬さんは来ていないようだ。
大丈夫だ。弁当はまだまだ温かい。もちろん食べる頃には冷めてしまっているが、それは仕方がないことだ。
クラスの外で一之瀬さんを待っていると、見覚えのある先生がやってきた。
「あっ。テニス部のイケメンくんだ〜。おはよう!」
「先生は確か保健室の……」
「Bクラスの担任の星之宮知恵です。覚えておいてね!」
「俺はAクラスの里中です」
この保険医の先生はBクラスの担任だったのか。
一度テニスをやっている最中、軽く膝を擦ったときに保健室に行ったときに会ったことがある。
何ともフレンドリーでかわいらしい先生だ。正直言って犯したい。
「星之宮先生はクラスに来るのが早いんですね。真嶋先生は時間ギリギリでいつも来るのに」
「私は早めに来てクラスの子とおしゃべりしてるの。逆に真嶋くんは真面目で、俺が早くクラスに行くと生徒が気を使うだろう、って思ってるから遅く行ってるわけね。ねぇ、そんなことよりもさ……」
星之宮先生はニヤニヤしながら聞いてくる。
「そのお弁当、誰に向けたものなの〜?もしかして、ウチのクラスの好きな子への手作り弁当?」
女の人は大人になっても恋バナが好きなようだ。
「はい。そんなところです」
「やっぱり!イケメンで料理ができる男の子なんて凄いじゃない!」
「ありがとうございます。昨日は呆気なくフラれちゃったので、どうにか挽回しようと頑張って作ってきました」
「えっ!フラれた翌日なの!?それなのにお弁当を作ってアプローチなんて、里中くんはなかなかの肉食系男子ね……それで?誰なの?!相手は!」
「それはですね……」
と、言ったところで彼女がやって来た。
「あっ……里中くん……」
「おはようございます。一之瀬さん」
一之瀬さんがたくさんの友人に囲まれながらやってきた。
昨日のことを根掘り葉掘り聞かれていたんだろう。
一之瀬さんは少し気まずそうだが、俺は特に気にせず話しかける。
そして、何故か星之宮先生は顔を引き攣らせていた。
「ゲッ……もしかして……相手って、一之瀬さん?」
「はい」
「そっか……一之瀬さんか……クラス間での恋愛なんて大好物なんだけどな……まさかうちのクラスの、しかもよりにもよって一之瀬さんにか……」
星之宮先生はブツブツと言い始めてしまった。一体どうしたのか……恋バナが好きなんじゃないのか。
よく分からないが、まあいい。
「一之瀬さん」
「な、何かな?」
「一之瀬さんは毎日学食でお昼を食べているんですよね。もし良ければ、今日はお弁当にしませんか?一之瀬さんの分を作ったんです」
そう言って一之瀬さんに弁当を差し出す。一之瀬さんの顔が赤くなる。恥ずかしいんだろうな、かわいい。俺も恥ずかしいからお互い様だ。
一之瀬さんの周りの女の子達がはしゃいだ。
「気持ちは嬉しいけど……でも、里中くん。昨日、私は里中くんを……」
「確かにフラれちゃいました。でも、こうも言ってくれましたよね?まずはお友達からで、と。お友達として一之瀬さんにお弁当を作って来たんですよ」
「お友達はお弁当なんて作ってこないよ……」
「ええ。普通のお友達ならそうでしょう。でも俺は違います。あなたのことが好きなお友達なんです。お弁当くらい作りますよ」
俺のことが嫌いというわけではないだろうが、俺の好意を受け取るのを遠慮しているようだ。これは単に恥ずかしがっているからなのか、それとも自己肯定感が低いからだろうか。よく分からないな。
とりあえず、一之瀬さんに分からせてやろうか。
男女間で友情が成立するのは、お互いが『その関係を保ちたい』という意志が合致した時だけの、絶妙なバランスで保たれているということを。
俺は一之瀬さんのテリトリーにガンガン入っていくぞ。その時には、彼女は友情関係なんてどっちつかずな選択肢は選べなくなる。
付き合うか、全く関係を持たないか。
今度はその2つのどちらかを無理やり選ばせてやる。
「良いじゃん!受け取っちゃいないよ、帆波ちゃん!」
「せっかく里中くんがもう一回チャンスくれるって言ってるんだからさ!今度は恥ずかしいからって断っちゃダメだよ?」
「だ、だから、私は恥ずかしいから断ったんじゃなくってね?」
必死に反論する一之瀬さんと、分かってる、分かってると言うかのように頷いている友人達。一之瀬さんもなかなか苦労してそうだ。
彼女の前に更に一歩踏み出し、弁当を差し出す。
「受け取っていただけますか?一之瀬さん」
「あはは……じゃあ、貰っちゃおうかな」
まあ、そうするしかないよな。
「それで、一之瀬さん。もしよかったら、俺も一緒にお昼をしてもいいですか?」
「うん。私は良いけど……」
「私たちは全然オッケーでーす!」
「良かった。では、お昼休みにBクラスに来ますね」
話した感じ、どうやら本当に俺への恋愛感情はまだ無さそうではある。しかし、ここまでガンガン押してくる男に会ったこともなさそうだ。
これからは一之瀬さんにどんどんメッセージを送っていく。そして彼女から返信が来たら即レスだ。ひたすらに俺が一之瀬さんをずっと意識していることをアピールし続け、自分の好意を一之瀬さんに向けてぶつけ続ける。
好意のスパム攻撃だ。いずれ耐えきれなくなって落ちるだろう。
それから平日の5日間。俺は一之瀬さんに何度も何度も、ありとあらゆる形で好意を伝え続けた。
彼女のために毎日温かい弁当を手渡し、その時に好きだと伝えた。
教室に戻り、端末で、『今度デートに行きたい』とか、『好きで好きで仕方がない』とか、『もう一度考え直してほしい。どうしても付き合いたい』などといったことを彼女に送りつけまくった。
彼女の都合が良い時は、放課後に2人でデートをして、その時にも何度も何度も好きだと言いまくった。
そして、今日の土曜日。俺はこの5日間でどのくらい関係が進んだか、坂柳さん達に報告していた。
数日に一回のアナル開発を終えた後に。
坂柳さんも神室さんも、だんだん前立腺で感じるようになってきた俺を見て喜んでいた。そろそろ手コキはなしでお尻だけでイカせたいらしい。
「もはや、ストーカー染みているわね……」
「大丈夫です。彼女は嫌がってませんでしたから」
「まさにストーカーのセリフね、全く……イケメンじゃなかったら通報ものね」
確かにやったことはストーカー寸前、なのか?一之瀬さんが俺に生理的な嫌悪感を持っていたらとんでもないことになっていたかもしれない。
「にしても大した努力ね……確かにメッセージの返信までの時間はほとんど2分は経ってないわね……」
「メッセージの早さは相手への興味を示すもの。早ければ早い程、相手が自分のことが好きなんだと伝わりますよ」
俺はメッセージの返信時間にだけは気を付けていた。俺がこの約1週間でメッセージを返信するのが遅れたのはわずかだ。寝ていたときと風呂に入っていたとき、それと神室さんに手コキされて、出したのを片付けていたときだけだ。それ以外のときは速攻で返事をした。神室さんにアナルを弄られてる最中でも、端末は側に置いて返信した。
それを聞くと神室さんは呆れ返り、坂柳さんは笑っていた。
「それで、その努力の甲斐はありましたか?」
努力の甲斐はあった。
彼女は2日目くらいまではつれない態度だった。好きだと伝えても、『私よりももっと素敵な子はいるよ』といわれたり、彼女の友人を勧められたりしていた。
しかし、めげずにひたすら好きだと言っていくとだんだんと照れるだけになっていき、彼女の口から他の女の話は出なくなっていった。
「それで、昨日のデートで2度目の本格的な告白をしたとき、彼女、面白いことを言っていましたよ」
そう。昨日の金曜日の放課後のデートで告白したとき、彼女は小さな声で言っていた。
『私、里中くんが思うほど、綺麗な女の子じゃないかもしれないよ……?』と。
「……つまり、本当に一之瀬には何か弱みみたいな秘密があるってこと?」
「神室さんの言う通り、その可能性はありますが……おそらく、里中くんの言う面白いことはそのことではないのでは?」
俺は頷いた。
「彼女にそんなものがあるかは分かりませんが……俺が言いたいのは、告白の返事としてのこの発言は、付き合ったときのことを考えた予防線のようなものに聞こえた、ということです」
「なるほど。つまり、いざ付き合ってお互いのことを更に深く知った際に失望しないでほしい、ということでしょうか」
「はい。そんな風に俺は聞こえましたね」
『一之瀬さんが本当はどんな人かはよく分からない。ただ一つ言えるのは、今、俺はあなたのことが好きだということだけ』と返してはみたが、彼女は赤くなって俯いただけでまともな返事は返ってこなかった。
「つまり、彼女は俺のことを付き合うのに十分な異性だと思っているわけです」
「結局5日足らずで落としてしまったわけですか」
「まだ付き合ってはいませんが、そういうことになりますね。ああいう自分に自信のない、自己評価の低い子はすぐ落とせますね」
昨日の時点で、一之瀬さんからのメッセージの返信速度は、月曜日の頃とは比較にならないほど早くなってはいた。
しかし、実際に彼女の心をどこまで占有できているのか、その具体的な成果はなかなか見えなかった。
だからその言葉を聞いたときには充足感が凄かった。狙った獲物をようやく仕留めた、そんな気分を味わった。
「ならなんで一之瀬は昨日の告白で付き合わなかったの?ほとんど落ちてるんでしょ?」
それは確かに神室さんの言う通りではある。
「それなんですよ。それがよく分からないんです」
最初は自己肯定感が低いことが理由だと思っていたんだがそれだと、自己肯定感が低いことと、俺のことが気になっているのにも関わらず俺からの告白を断ること、この2つが結びつかない。
自分に自信がなくても、今回の告白は俺からのアプローチであって、彼女が自分をどう思っているかはあまり関係がない。
つまり俺のことを異性として付き合っても良いと思っているのなら、断る理由はないはずだ。
そのことを話すと、
「彼女、自己肯定感が低いだけではないかもしれませんね」
坂柳さんが少し考えてからそう言った。
「他に何かありますね。おそらく、彼女が言っていた『自分はそんなに綺麗ではない』という言葉に関係があるのではないでしょうか?」
「確かにそれと似たようなことは彼女は時々口にしていましたね……俺はてっきり謙遜か何かだと思っていたんですが……」
「本当にあるかもしれませんね。彼女の汚い部分が」
坂柳さんが呟いた。
「何ですか、その素敵な言葉は。一之瀬さんの汚い秘密なんて凄い暴いてみたいですね!」
「ええ。里中くんの秘密とどっちが汚いか、比べてみたいものです」
「いや、それは流石にこいつのには勝てないでしょ……」
一之瀬さんの秘密か。俄然興味が湧いてきた。
「それで?これからどうすんのよ。落ちてるのに告白には答えないんでしょ?」
「ここまで来たらもう付き合うのは簡単です。その気になれば、明日にでも」
坂柳さんから許可を貰えば即落とせる。むしろ、昨日はそれを必死に自制するのが大変だった。
「なるほど、分かりました。同じですね?私のときと」
「はい、そうなります。ただ、少し良いことを考えました。せっかくなので、最後は彼女から告白してもらいますか」
もう一之瀬さんにメッセージは送ってある。
明日は3度目のデートだ。
デートの前に部屋を念入りに掃除しておこうか。
「あっ……里中くん……!」
「お待たせしました。一之瀬さん」
待ち合わせた場所に約束の5分前に行くと、既に一之瀬さんが待っていた。
「今日の一之瀬さんは凄いかわいいですね。私服姿は魅力的ですし、それに良い香りがします。毎日の疲れが癒やされていくようです」
一之瀬さんの手を握り、目を見つめながら、そう言った。
それに対し一之瀬さんは照れくさそうに笑みを浮かべ、俺の目を見つめ返していたが、一向に目を逸らさない俺に負けて、顔を俯かせた。
未だに好きとメッセージを送ったときに、スタンプでしか返信できない恥ずかしがり屋が俺に勝てるわけないだろ。
それにしてもやはりこの女、相変わらずエロすぎる私服姿だな。
2回目のデートは制服デートだったが、1回目のデートは私服だった。そのときのと比べると今日は露出が多い。肩の見えるオフショルダーを着て、下はミニスカートだ。今日は初夏並みの気温らしいから、寒いことはないだろうが……
まるで『いつでもOKです』と言ってるような格好だな。お望み通り犯してやりたい。
そしてこの女、いつの間にか香水を付けて来るようになっていた。確か、木曜日からだったはずだ。好き好き攻撃がだいぶ効いてるな、と笑った記憶がある。
結局女は押すよりも押されるのが大好きだ。特にこういう自分に自信がない女は。俺が押せば押した分だけ、自分に価値があると言われている、特別視されている、大切に思われてるということになるからな。
心が満たされ、良い気分にならないはずがない。そしてそれが俺への好意に繋がるわけだ。
もはや勝負は付いてる。何をやっても落とせるが、最後は彼女の方から交際を懇願させようか。
「では、まずはお昼から済ませましょう」
「うん……」
俺は彼女の手を引いていった。
以前も来たカフェに入り、注文をした。
俺はスパゲッティとコーヒー、そしてホットケーキを一枚頼んだ。パンケーキはこの間、一之瀬さんが食べているのを見て少し気になった。それにカフェの飯は量が少ないからな。
一方、彼女はサンドイッチとカフェラテを頼んだ。
そのサンドイッチ、大して量がないんだよな。俺はこの間注文して少し後悔した。一之瀬さんは俺と同じ弁当を毎日食べているんだから物足りないだろう。
料理が届くまでの間、お互いにほとんど話さなかった。
料理が来ても、しばらくお互いに黙ったまま食べていた。
ある程度食べたところで、俺は彼女に話しかけた。
「一之瀬さん、俺はあなたが好きです」
彼女は顔を赤くして、黙ってカフェラテを飲んだ。
「それでもあなたはいつもこう言って断ります。『私は里中くんが思っているほど綺麗ではないから』と」
「……うん。私は里中くんにそんなに好かれるほどの女の子じゃない……」
「それで俺がフラれるのは納得が行きません。俺だって汚いところはある。お互い様だと言っているじゃないですか」
「で、でも……私のは本当に……」
「そこで俺に提案があります」
彼女は黙って俺の話を聞く。
「今日からお試しで1週間付き合ってください。そして1日に必ず数時間だけは時間を取って、俺と恋人として過ごしてほしいです。お互いのことをよく知り合った後、改めて1週間後の日曜日に、最後のお返事を聞かせてください。俺と付き合うのか、そのつもりはないか」
「ううん……でも……」
まあ当然嫌がるよな。付き合うことができないと言っているのに、お試しで付き合えなんて意味不明な理屈だからな。
「これはあなたのためではなく俺のためなんです。このままずっと、理由も分からないまま友達で居続けるのは苦しいんです。もし付き合えないというのなら1週間後の日曜日、そのときにそう言ってください。あなたと1週間付き合って、それでも心が動かせなかったなら仕方ないと諦めます。お願いします。俺のために」
「里中くんのため……」
「はい。俺のため、です」
俺のため。それはしっかり強調しておく。
彼女のような人間なら、彼女のためと言うより俺のためといった動機付けの方が効果的だろう。
「……うん。里中くんのためなら……」
どうやら、自分を説得していただけたようだ。
「それは良かった。では今から一之瀬さんとは恋人同士、ということで」
「里中くんと、恋人……」
「はい。ですが、1つだけ言っておきたいことがあります」
そう、大事なことだ。
「恋人として付き合う以上、俺も綺麗なところだけを見せることはできません。汚いところもそれなりに見せてしまいますが、幻滅しないでくださいね?」
一之瀬さんはコクリ、と頷いた。
エロいことをしまくりますが悪しからず、だな。
「では今日は俺の部屋でデートしましょうか」
カフェを出た後、俺の部屋に直行する。
いよいよ、一之瀬さんをモノにできるのだと思うと胸の鼓動が激しくなる。部屋のドアを開け、一之瀬さんを中に連れ込んだ。
部屋に上がり、2人で手を洗い、入念に口をすすいだ。
これから何をするのか、彼女も何となく察しがついたようだ。
俺は特に口臭が気になるものを食ったわけではないが、一応口臭ケアのミントのタブレットを食べた。
一之瀬さんにも差し出すと彼女も黙って1つ食べた。
忘れるところだった。端末で寝室のカメラのスイッチを遠隔で入れておく。これで準備は万端だ。
「今から恋人らしいことをしますね?」
「うん……」
ここまでついてきた以上分かっていると思うが、同意をとっておく。
その後、一之瀬さんを寝室に連れ込んでベッドに座らせた。
そして俺も横に座り、まずは手を絡める。
「一之瀬さん、好きです……」
彼女とおでこをくっつけて、見つめ合いながら好意を伝える。一之瀬さんは、もはや目を逸らすこともできなくなった。お互いの息がかかる。さっき食べたミントの香りがする。
次は一之瀬さんを膝の上に乗せ、抱きしめる。俺の胸板に彼女の胸が押しつけられて、形を変えた。ああ、凄い柔らかい……高校生の胸にしては柔らかすぎる。握れば指が沈み込むようなマシュマロおっぱいだ。
さらに強く抱きしめてみる。一之瀬さんが「ああっ……」とため息を漏らした。彼女と距離がさらに近づき、彼女の鼓動が聞こえる。当たるおっぱいが心地いい。
当然ながらもうすでにバキバキに勃起していた。そして一之瀬さんを膝に乗せている以上、これもまた当然ながら彼女の股に俺のものが当たる。
「里中くん……固くなってる……」
「ごめんなさい、一之瀬さん。これは男の生理現象で、好きな人と過ごしているとなってしまうんです。俺の汚いところですが、許してくださいね?」
「うん……」
彼女を強く抱きしめたまま、許しを乞う。
よし、承諾は得たぞ。
彼女を抱きしめる力を緩めた。また彼女と見つめ合う。
今度は唇を彼女に近づけていく。彼女もようやくその時が来たと思ったのか、目を閉じて唇を差し出してじっと俺を待った。
そして、唇が軽く触れ合うくらいのキスをした。
ああ……もどかしすぎる。早く口の中を舐め回したい。
2度3度とキスを繰り返す。だんだんキスも深いモノになっていく。何回かキスを繰り返した後、そろそろいいだろうと舌を入れた。
「んん!……んっ……んぅ……ちゅ……」
初めは彼女も驚いたようだが、こういうことも頭の中で考えていたのだろう。すぐに落ち着いて、ディープキスをお互いに繰り返した。
もう彼女もすっかり興奮しきっているのか、俺の勃起したズボンの膨らみに股を擦り付けだした。
「んちゅっ……里中くん、苦しいよね?こんなに固くなって……私が楽にしてあげる」
そういうと彼女は俺のズボンのファスナーに手を伸ばしてきた。俺はその彼女の手首を掴んだ。
「いえ、それはやめておきましょう。これはあくまでお試しの恋人体験。身体に自然と当たってしまうならともかく、お互いの性器を手で触れるのは少し行き過ぎかと」
「で、でも……里中くん、苦しそうだし……あ……ん……ちゅっ……」
物言いたげな彼女の口を強引にキスで塞ぐ。
「……ん……ちゅ……は、ふう……そんな……里中くん……」
それが終わると物欲しげな目で俺を見つめるだけだった。
俺のためだなんだ理由をつけていたが、やっぱり自分が欲しがっていただけだったか。
それからは一之瀬さんとベッドに横になり、俺は一之瀬さんの背中側から彼女の気分をひたすら盛り上げ続けていた。
「一之瀬さん。好きです。好きなんです。好きで仕方ないんです」
「ダメっ……!耳元で囁いちゃダメ……♡」
そう耳元で囁くと、一之瀬さんは震えながら弱音を吐いた。
「そうですか。ではこんなのはどうですか?」
そう言って彼女の背中を人差し指でツーっと触る。
「あ、あぁぁぁ……♡」
そうすると、一之瀬さんはぷるぷると身体を震わせて、俺の指から逃げるように遠ざかっていってしまった。
「これもダメなんですか?」
「ダメっ!背中もダメ……♡」
逃げてしまった彼女の腰の下に手を入れ、再び引き戻す。
そしてまた彼女の背中に身体をピッタリくっつけて、今度は太ももをそっと触っていく。
「太もも、そんな風に触られるとエッチな気分になっちゃう……♡固いのも、当たってる……当たっちゃってるよ……♡」
「一之瀬さんはワガママですね?ダメなところばかり。どこならいいんですか?」
「ここ……ここ触って……♡」
そう言うと、一之瀬さんは太ももを触っていた俺の手を掴んで、彼女の下着を触らせた。
「うわ、凄い濡れてますね。いつから濡れていたんですか?」
「さ、さっきキスされたときから……♡」
「そうですか」
そう言って彼女の下着を撫でる。彼女の腰がビクンと震えた。声を上げるのは懸命に抑えたようだ。
彼女の女性器の全体像を把握した後、俺は一之瀬さんのクリトリスを軽くすり潰しながら再び尋ねた。
「それで、本当はいつから?明らかについさっきからの濡れ具合ではありませんが……」
「ああ……ん……♡さ、里中くんと会う前に、好きだとメッセージを貰ったときから……です……♡」
「会う前からですか。簡単にバレる嘘はつかないでくださいよ」
「はっ……あっ!ああっ……♡……ふ……う……んぅ……♡き、汚い女の子で、ごめんなさい……♡」
「今後は俺に嘘はつかないでくださいね?」
「ごめんなさい……♡あ……ん……♡はっ……ふ……♡ごめんなさい……♡」
何度かクリトリスを潰し、一之瀬さんを啼かせて謝罪させた後、クリトリスから手を離した。
「残念ながらお試しの期間中なので、ここを触るのはこれで終わりです。言いましたよね、性器を手では触らないと」
「さ、触ってない……!下着を触ってるだけ……!」
「いや、触ってるようなものですよね?」
一之瀬さんは浅ましく言い訳をしていたが、聞く気はない。
俺はまた太ももの内側やおっぱいに手を伸ばした。
「お願い……♡触って……♡触って……♡」
必死に懇願してくるが、触りはしない。
俺が触らないなら、と一之瀬さんは自分で触ろうとする。
もちろんその手は掴んで止めた。
「せっかく恋人といるのに、オナニーはやめてくださいよ。悲しいじゃないですか」
「苦しいの……♡ここ……苦しいの……♡」
「ここ?」
「お、おまんこ……♡おまんこ苦しいの……♡」
おまんこ苦しいと懇願されても、俺ができることはあまりない。
「ですから、手で触ることは出来ませんよ。でも……」
そう言って俺は起き上がり、一之瀬さんも起こし、彼女を俺の右足の上に跨らせた。
「勝手に当たってしまう分にはしょうがない。そうではないですか?」
「……うん……しょうがないよ……♡」
そう言って彼女は腰を前後に動かし始めた。
「あっ……♡あ、ああっ……♡」
神室さんにやった時以来だ。もう一回やってみたかったんだ。
そして今回は一之瀬さん。デカい胸がバルンバルン震えて大変目に良い光景だ。
「男の足に擦り付けるのはどうですか?気持ちが良いですか?」
「き、気持ち良いっ……♡気持ち良いよぉ……♡」
良かった。一之瀬さんも大喜びのようだ。
「それは良かった。ではイクときになったら言ってくださいね。それまでは好きにしてください」
一之瀬さんは時折腰を震わせて動きを止めつつも、夢中で股を俺の右足に擦り付けていた。
一方俺は端末を手にし、坂柳さんと神室さんのグループにメッセージを送った。『一之瀬さんとの行為を撮影中です。終わったら部屋に来ますか?』と。
メッセージを送ったところで、予想外に早く一之瀬さんが限界だと泣き言を言い出した。
「さ、里中くん……♡あふっ……うっ……♡そろそろ……イき……ます……♡」
「わかりました」
そう言って、俺は一之瀬さんの白い喉を右手で掴んでベッドに押し倒した。
流石に動揺したのか、もがきながら俺の手首を握り、喉から手を外させようと抵抗する。
だが、俺が喉を締めるつもりはないこと、そして何よりどうやっても外せないことを悟った彼女は、パタリと手を倒し抵抗をやめた。
一之瀬さんの無駄な抵抗とその末路を見終えてから、俺は彼女の股に右足を差し入れ、膝で彼女の弱点をグリグリ潰した。
一之瀬さんは元々限界だったようで、あっという間に高みに登っていった。
ここが攻め時だと思い、一之瀬さんに告白する。
「一之瀬さん。好きです」
「うっ……♡……ぁぁぁぁああああ…………♡」
一之瀬さんが達する寸前、顔を彼女の真上に持っていき、唾液を垂らした。彼女は口を開けてそれを受け止めた。
「付き合ってください」
「んちゅ……♡……ん……♡……イッ……ク……♡」
上気し、汗と涙でグチャグチャになり、頬に髪の毛が張り付いているかわいい顔を、淫靡に歪ませながら彼女は達した。
「はっ……♡はっ……♡……はあああぁぁぁ……♡」
一之瀬さんは全身を跳ね上げて絶頂を受け止めようとした。しかし残念ながら、俺が首を抑えているため上半身は動かず、下半身だけが彼女が絶頂したことを示すことになった。
一之瀬さんの深い絶頂の余韻のため息が、俺の顔に掛かってくる。濃厚な女の匂いだ。今すぐ彼女をハメたとしても、彼女は何も文句を言わず、大喜びするだけだろう。
ああ、犯したいが我慢だ。
上から一之瀬さんのイキ顔を眺めていると、彼女は唇を俺に差し出してきた。イッた後の余韻に浸りながら、俺の顔を見つめていたらキスがしたくなったようだ。
顔を近づけてやると喜んで目を瞑って唇を突き出してきた。おねだりが上手い女だ。
しばらく余韻を堪能し、何度か股を俺の太ももに擦り付けているところを見届け、そろそろ満足したと思われるところで、彼女に部屋に帰るように言った。
服が乱れていたのは多少は直したが、男に屈服した直後の女特有の雰囲気は隠せていない。
はっきり言って、このままエレベーターに乗って男と2人きりになれば、一之瀬さんは即レイプされかねない。身体は完璧に出来上がっているから、簡単に気持ち良くはなれるだろうが。
ともかく一之瀬さんがこんな状態な以上、俺が彼女の部屋まで見送るしかない。
ドアを開けて廊下に誰もいないことを確認した後に一之瀬さんを外に出した。エレベーターからは男が数人降りてきたが、彼女の発情しきった姿を上手く体で隠し、部屋まで連れていった。
「では一之瀬さん。明日の放課後も数時間程度でいいので、空けておいてくださいね」
一之瀬さんは俯いたまま頷いた。
パタン、と扉が閉まる。
首を掴んで抑えつけたのは少しやりすぎたか?
一之瀬さんが俺の言うことを聞く、欲しがりで従順なマゾだったから、ついやり過ぎてしまった。
プレイ中は大満足だっただろうが、後から思い出されてドン引きされなきゃいいが……
端末が振動する。
どうやら今から坂柳さん達が来るようだ。
そしてこのメッセージを受け取って思い出した。
そういえばまだ録画を切ってなかったな、と。