一之瀬さんを部屋に送った後、部屋に戻り、一之瀬さんが撒き散らした女の匂いを換気して少しはマシにしてから、坂柳さん達を部屋に招いた。
「それで、どうですか?良い動画は撮れてましたか?」
「どうでしょうか。俺はまだ見ていないんですが、一之瀬さんとの行為は全てベッドの上で行いました。だから映像は問題ないと思いますが、音声がどこまで取れているかですね」
とりあえず寝室に彼女達を入れた。
「いつもの部屋の匂いと違うわね」
「ついさっきまで一之瀬さんが、この部屋で汗だくになっていたので。これでもだいぶマシになったんですよ?」
「女と遊んで楽しんだ後に、すぐ別の女達を連れ込むなんてね。一之瀬も可哀想に」
「まだ付き合っていませんからセーフですよ」
ベッドに座り、アプリから先ほど録画した動画を端末に落とした。
動画を再生すると、両脇から坂柳さんと神室さんが覗き込んできた。2人の髪の毛が肩に掛かる。
最初はただ部屋が映っていただけだったが、すぐに2人の男女が入ってくる。俺と一之瀬さんだ。
画面の中で俺と一之瀬さんがベッドに座った。
手を繋ぎ、額を合わせてお互い見つめ合っている。一之瀬さんの顔が赤い。
『一之瀬さん。好きです……』
「映像も音声も問題なさそうね」
「カメラはそこの棚にありますから、映像はしっかり映るでしょう。そして私は画質を少し犠牲にして、集音性の良いカメラを選んでおきましたから」
「この部屋の大きさならよっぽど小声で話さない限り拾えそうですね。それにしても、自分が画面の中にいるのは変な感じがしますね。なんでしょう、このよく知らないスカした男は」
「それが他人から見たあんたなのよ」
「女はこういう男が好みなんでしょうか……」
今度は俺が強く一之瀬さんを抱きしめた。彼女が思わず漏らした、色気のあるため息さえも逃さず拾っている。
坂柳さんが感心しながら言った。
「こうして見てみると定点のカメラも悪くないですね」
「ベッドの上を映すだけなら十分ね。それにこういうの、変わっていて面白いわね」
「ええ。映画やドラマの濡れ場とも違う感じですね」
あれはカメラマンがいて視点がコロコロ変わるから違うと感じるんだろう。俺はすぐピンと来た。これは盗撮モノのエロ動画だと。
いや、例えになってないな……それ以外の何ものでもなかった。
俺達は初めは色々とこの動画の感想を言い合っていたが、だんだんと口数が減っていった。
理由は話すことがなくなっていった、というのもあるが、一番は一之瀬さんの嬌声があまりにも艶めかしいからだろう。画面から見え、聞こえてくる一之瀬さんの痴態を眺めていればそうなる。
『はっ……あっ!ああっ……♡……ふ……う……んぅ……♡き、汚い女の子で、ごめんなさい……♡』
『今後は俺に嘘はつかないでくださいね?』
『ごめんなさい……♡あ……ん……♡はっ……ふ……♡ごめんなさい……♡』
画面の中で一之瀬さんが情けない姿を晒している。
俺はこの時、後ろから彼女を責め立てていたから顔は見えていなかった。しかし、この動画にははっきりと映っていた。
俺に女の弱点をいじめられて、悶えている盛りのついた雌の顔が。
クリトリスを潰されてよがりながら、必死に俺に媚び、詫びている一之瀬さんを見て、神室さんはポツリと呆れたように言い放った。
「……一之瀬、こいつとんだマゾじゃない」
これを見れば誰だって分かる。
その通り。一之瀬さんはマゾだ。
自分の泣き所を抑えられた結果、男の顔色を窺いながら謝罪をするハメになるという惨めな境遇に興奮している、真性のマゾだ。
そしてこのマゾを俺が好きにしても良いと、坂柳さんから許可があった。最高の玩具だ。俺に依存させて好き放題使ってやる。
俺が今後の展望を考えて竿を少し膨らませていると、俺の左足にそっと手が置かれたことに気がついた。
神室さんの手だ。どうやら神室さん自身は俺の太ももに手を置いていることに気がついていないようだ。食い入るように画面を見ている。
神室さんに気づかれないように、彼女のことを盗み見る。
いつもよりも少しだけ息が荒く、何度も足を組んだり、直したりと忙しない。
彼女も興奮しているんだろうか。一之瀬さんが俺の責めに屈する姿を見て、その悩ましげな声を聞いて。
次は坂柳さんのこともチラリと見る。様子は普通だ。ただ画面を見ているだけ。彼女の横顔からは何も分からない。彼女は一体何を考えているんだろう。
『勝手に当たってしまう分にはしょうがない。そうではないですか?』
『……うん……しょうがないよ……♡』
動画は一之瀬さんが俺の足に股を擦り付けるところまで進んだ。俺がもう一度やって見たいと思って誘導したシチュエーションだ。
『あっ……♡あ、ああっ……♡』
画面の中で腰を振り続ける一之瀬さん。
『男の足に擦り付けるのはどうですか?気持ちが良いですか?』
『き、気持ち良いっ……♡気持ち良いよぉ……♡』
画面を見つめながら、軽く腰を揺する神室さん。
「…………っ……♡」
横に座っている俺や坂柳さんに気が付かれないように、ゆっくりと、少しだけ。
画面の中の一之瀬さんに自己投影しているのか、それとも自分が実際に擦り付けていた時の体験を思い出しているのか、どちらかは分からない。
ただ、顔を上気させ、腰をくねらせながら画面に見入っている彼女は、あまりにも魅力的だった。
「……ねえ。大きくなってるけど……」
彼女のことを見ていたら完全に大きくなってしまった。ズボンの上からハッキリと形がわかるほどに。
「こんなの見てたらこうなります。神室さんは興奮しませんか?」
「……」
彼女から返事はなく、また画面を見始めてしまった。
しばらく一之瀬さんが腰を振るところを眺める。
今度は坂柳さんをコッソリと見る。
坂柳さんはもうすでに画面を見ておらず、代わりに神室さんを見ていた。
また、ゆっくりと腰を前後させ始めていた神室さんを。
すると坂柳さんと目が合った。坂柳さんは悪戯っぽく小さく笑い、人差し指を口に当てた。
そうだな。俺も神室さんの邪魔をしたくはないし、何より今の彼女をずっと眺めていたい。
『さ、里中くん……♡あふっ……うっ……♡そろそろ……イき……ます……♡』
残念ながらそれは叶いそうにないが。そろそろ終わりのようだ。
一之瀬さんは首を掴まれ、ベッドに押し倒される。
『一之瀬さん。好きです』
『うっ……♡……ぁぁぁぁああああ…………♡』
画面の中の俺が唾を一之瀬さんの口の中に垂らした。
部屋の光に反射して白く輝くものが上から下へ、一之瀬さんの口に落ちる。
それに合わせて神室さんの喉がコクリと鳴る。
『付き合ってください』
『んちゅ……♡……ん……♡……イッ……ク……♡』
一之瀬さんが俺に屈服する瞬間だ。
彼女は垂らした唾液を飲み干し、腰を跳ね上げながら、女剥き出しのアクメ顔を晒していた。
その凄惨な光景を見て、神室さんは何かに耐えるように、左手で自分のスカートを握りしめていた。
女が屈服する瞬間なんて、神室さんは今まで見たことがなかっただろう。衝撃的なのは間違いない。
坂柳さんもきっとそのはずだ。しかし、横目に見たが一見すると普通だ。動揺は見られない。彼女が今何を考えているのか、さっぱり分からない。これを見ていて興奮しないのだろうか?
『はっ……♡はっ……♡……はあああぁぁぁ……♡』
一之瀬さんはメス丸出しの深いため息を吐き、彼女の大きな胸を上下させた。しばらくするとふるふると震えながら、脱力して腰を力無く横たえた。
やっぱり女を仕留めた瞬間は、何度見ていても気持ちが良い。男の狩猟本能が満たされる。
その後、俺がキスをし、さらにしばらくすると俺も一之瀬さんも部屋から出ていった。
「……これで終わり?」
「はい。終わりです」
とんでもないエロ動画が撮れてしまったな。このエロ動画をネットに流したらどれだけいいねが貰えるんだろう……
「……一之瀬もかわいそうに。きっと今頃はオナニーの真っ最中ね」
……あの時の神室さんの場合もそうだったんだろうか。
「最後はなかなかハードでしたね。首を抑えつけられながら達していました」
「流石にアブノーマルね……あんなのを覚えさせたら一之瀬の人生が狂いかねないわよ?」
「いやあ、つい盛り上がっちゃって……」
あれは流石にマズイな。いくら楽しかったとはいえ、やり過ぎた。
「ところで、画面の中の一之瀬さんを見ていたら、今度は直接見たくなっちゃいました。神室さん。今回、一之瀬さんがしていたことを私の前で再現してくれませんか?」
坂柳さんが神室さんに、俺の足に股を擦り付けてオナニーをしろと言っている。
俺と神室さんはお互い顔を見合わせた。
神室さんが目を逸らす。
「……別に。私は良いけど……」
「俺も構いませんよ」
「それは良かった。ではやってみてください」
……坂柳さんはなかなかに友達思いのようだ。
「一之瀬さんがしてたときに濡れたところがようやく乾いてきたところだったんですけどね」
彼女が俺の右の太ももでオナニーをしていたが、神室さんも偶然か、右足に跨った。
「女の跡を上書きするというわけですか。良いシチュエーションですね。一之瀬さんの跡が残らない程に、思いっきり汚してくださいね、神室さん」
「まだ付き合ってませんから背徳感はないですけどね」
「あんたたち、少し静かにしてくれない?」
神室さんは呆れたようにそう言った後、俺の肩に手を置いて腰を振ろうとする。
その前に、俺は少し気になったことがあったので、彼女の下着に手を伸ばす。ついでにキスもする。
「……やっぱり、もう濡れてる」
「……うるさい。……んっ……♡」
「あっ……♡ああっ……ん……♡や、やっぱりこれ、凄い……♡」
俺の太ももの上で腰をカクカク、と震えさせながら神室さんは言った。
「これ、そんなに良いんですか?」
そう尋ねた。俺には分からない気持ちだ。
「ふっ……♡ううっ……♡……太もも、固い……から……♡」
「そうですか」
太ももが固くて良いらしい。相変わらず分からない。
俺はまた黙り、神室さんはすりすりと自分の弱いところを俺に擦り続ける。
この光景、やはりチンポに良くなさすぎる。一之瀬さんとの頃からずっと我慢してきたが、なかなかに苦しい。さっさと神室さんをイかせて、俺も気持ち良くなりたい。
「神室さん……かわいいです」
そう言ってキスをした。
「んっ!……はっ……♡あふっ……♡」
そうすると神室さんの腰を振る速度が一段上がった。
「今日の神室さん、とても綺麗です。見ているだけでドキドキします。今日は俺が気持ちよくしますね?」
「あ、ああ……♡み、耳元では……やめて……♡」
続けて、魅力的、素敵、エッチと神室さんの耳元で囁くと、彼女は大満足だったようで、ブルブルと身体を震わせながら我を忘れて前後運動を繰り返してくれた。これで可能な限り早くイッてくれるはずだ。
また坂柳さんを見る。坂柳さんはいつも通りの平静な顔で神室さんが快楽を貪っているところを眺めている。
坂柳さんが俺を見た。俺が彼女を見ていることに気がついたようだ。にっこりと笑う坂柳さん。
一之瀬さんがよがり狂っているところを見て、神室さんが夢中でオナニーしている姿を見て、本当に何も思わないのか?彼女は一般的な性欲は少ないのだろうか?
そんなことを考えていると、神室さんの腰の動きが鈍くなってきた。だいぶ腰もカクついているようだし、限界が近いようだ。
「ふっ……♡うぐっ……♡あ、あれ、やって……♡」
「あれ?」
「うっ……♡こ、これ……♡」
そう言うと、彼女は顎を少し上に向けて、俺に喉を見せつけてきた。おいおい、まさか……
「……さっきアブノーマルだって自分で言ってたじゃないですか……」
「い、いいから!やって!」
「分かりましたよ……」
ちょっと呆れながら、神室さんの首を掴み、ベッドに抑え込んだ。
少しくぐもった声を出しながら、身じろぎしようとする彼女。
だが、上半身は全く動かない。それを理解した彼女は大人しくなった。
そして俺は彼女の濡れ切った下着に膝を当てた。
「ではたっぷり気持ちよくなってください」
「あっ……♡あああぁぁぁ……ぁ…………♡」
グリグリグリと神室さんの弱り切ったところを潰すと、彼女はたまらず、悲しげな嬌声を上げて啼く。
もはや、イかせるのはあまりにも簡単過ぎた。
「イクッ♡イクイクイクイク…………ッ♡」
眉をひそめ、唇を噛み、顔を淫らに歪ませながら、腰を浮かせて、絶頂する。
俺が神室さんを抑え込んでから僅か1分程度の出来事だった。
「……ふっ……♡ふっ……♡ふ……うっ…………♡」
にしてもエロいな……と神室さんのイッてる顔を覗き込みながら思った。
これ、相当に気持ちいいらしい。
しばらく、俺が神室さんのアクメ顔を観察していると、彼女と目が合い、そのことがバレた。
すると、神室さんは顔を赤くし、小さな声で
「……最悪……♡」
と呟いた。
思わず竿が反応してしまった。
神室さんが余韻を味わい、息を整えたところで、坂柳さんが話しかけた。
「どうでしたか?首を掴まれ、抑えつけられた感想は」
「……あれ。女じゃ絶対外せないわね。体勢的にも、体格的にも。……こいつ、意外と腕が太かったし……」
「俺、テニスやってるからか、右腕だけ少し太いんですよ」
「一之瀬さんの気分が良く分かりましたか?」
「ええ。上半身は全然動かないし、股に膝を押し付けられると、下半身も動かなくなっちゃうし……」
神室さんが今日の体験について話している。あの……早く俺のを抜いてもらって良いですかね……?
「……まあ、唾液を飲ませるやつはなかったけど……」
「あれは女を落とす時のやつなので」
「……別に良いじゃない、私にやったって」
「キスはしてるんですし、似たようなものですよ」
「それはそうだけど……」
「フフ。それより神室さん、気持ちよくしてくれたお礼に里中くんを気持ちよくしてあげては?彼、なかなか辛そうですよ?」
坂柳さん。ありがとうございます。
その後、神室さんにキスをしながら手コキでイかせてもらった。イクときは神室さんの足に擦り付けてイキたいというと、彼女は自分の太ももの内側に俺の亀頭をこすりつけた。神室さんの身体の柔らかさにとうとう耐えきれず、俺は射精した。
なんだかんだ、神室さんの足に擦り付けてイクのは初めてかもしれない。尻を弄られながらイクのはいつもしてるんだけどな。
俺が射精し終わったところで、今日はお開きとなった。
今日は5月1日。入学してから1ヶ月過ぎたわけだ。
今日は朝からクラスのグループはある話題で盛り上がっていた。
なんでも今日はこの学校での金銭に相当するポイントの支給日で、10万ポイント振り込まれることになっているはずだが、どうやら少し足りないらしい。
そう聞いて自分のポイント残高を見たが、俺はぱっと見はよく分からなかった。10万程度は振り込まれてそうに見えた。
だが、ポイントの取引履歴を見ると、確かにそれが事実だと分かった。僅かに10万ポイントに足りてない。9万4000ポイントというなんともキリの悪い数字が振り込まれていた。
よく分からないが、ほぼ10万ポイントが振り込まれているんだし、別に良いだろうと思っていたが、話はそれだけではないらしい。
なんでも他のクラスの子は6万ポイントしか払い込まれてなかったり、1ポイントも払われていない生徒もいたりするらしい。
それは確かに不公平だな。
しかし、一之瀬さんはこのことを俺に伝えてこない。
昨日あんなプレイをした後だ。どんな顔をして話せば良いか分からないのだろう。
今日は朝に会うのは許しておいてあげようか。
会うのは昼休みにしよう。
状況がよく分からないが、とりあえず学校に登校した。
クラスに入るとやっぱりみんな、例の話をしているらしい。
周囲に挨拶をしながら席に座る。
席に着き、端末で一之瀬さんにメッセージを送る。
『今日は昼休みにそっちに伺いますね?』と。
しばらく待ったが、返事はない。最近は彼女は即レスをするようになってたんだが、やっぱり気まずいらしい。
「里中くんは気になりませんか?例のこと」
適当に端末を弄っていたら坂柳さんが話しかけてきた。
「それなりには気になりますけど、俺には何が何だかさっぱり分からないので、どうしようもないです。坂柳さんはどうです?」
「私もあまり興味はないですね」
それに他に俺の頭を占有することがある。
今日はどのように一之瀬さんを虐待して屈服させるか、ということだ。
真嶋先生が教室に入って来てホームルームの始まりを示す鐘が鳴った。
ホームルームが始まると、ある生徒が真嶋先生に質問した。今日のクラスポイントの振り込みは何なのかと。
そこからは怒涛の情報開示だった。
曰く、この学校は優秀な生徒からABCDの順にそれぞれクラス分けされ、その上でクラス間の順位争いを行い、最終的にトップとなったAクラスだけが、この学校の恩恵を享受できるとか。そしてクラスの成績を表すクラスポイントによって、そのクラスの生徒に支給される学校内での通貨に相当する、プライベートポイントの額が変動する。さらに試験で赤点を取ったら退学、とのこと。
真嶋先生がホームルームを終えるとみんな騒がしく周囲と話し出す。
俺も端末を使って、坂柳さんと神室さんとの3人のグループで話していた。
『いや、この学校にこんな秘密があったんですね。全然気付きませんでしたよ。2人はどうです?』
『私も気が付きませんでしたね。妙な学校だなとしか』
『私も全く』
どうやら俺達は全然気が付かなかったようだ。しょうがないか。他に関心があることがたくさんあったからな。
『もしかして、一之瀬さんって敵ってことになるんですかね?俺は今、敵と恋愛してます?』
『そうなりますね。いいじゃないですか。禁じられた恋。なかなか燃え上がりそうな関係ですね』
『いつか彼女をたくさん気持ち良くして、無理矢理クラスの機密情報を吐かせてみましょうか』
『それやったら一之瀬、間違いなくクラスに居られなくなるわね……』
確かにそれは間違いないな。
『それにしても坂柳さん。やっぱり頭が良いんですね。小テスト、全部解けたんですか』
先ほどのホームルームの際、この間行われた小テストの結果も発表された。坂柳さんは100点。当然一位だ。
『照れますね。ありがとうございます』
『正直、それはあまり驚いてないというか、納得ね。それよりあんたが、クラスで3番目に勉強ができる方が驚いたわよ』
喜ばしいことに俺はクラスで3番目で90点だった。ちなみに2番目は葛城くんだった。見るからに優等生タイプだ、納得だな。
『あんた、私たちとしょっちゅう遊んだり、部活に参加してて、よくその成績を維持できるわね』
『授業はしっかり受けていますから。それに中学の頃から真面目に勉強していて、教師ウケも非常に良かったんですよ。そう言う神室さんも、10番内に入っていてなかなかじゃないですか』
『一応、私も中学の頃は真面目な生徒で通ってたのよ』
『フフ。どうやら私たち、みんな優等生のようで。しかし、そういう表向きの良い人間こそ、裏で何をやってるか分かったものじゃないという良い見本ですね』
良い子ほど裏に回れば碌でもないことをしている、というのは本当だったようだ。
『おや、葛城くんが今、面白いことを言っていますよ?』
坂柳さんがそう書き込んだ。チャットに夢中になっていた俺は周囲に意識を向ける。葛城くんが何か周囲に呼びかけているようだ。
「この学校の仕組みが判明した今、集団として一つとなり、他クラスと戦っていくために、クラスの意思を取りまとめるリーダーが今後必要になると俺は思う。もし良ければ、俺がその役を担おうと思う。他に誰か立候補する人間はいないか?」
『クラスのリーダーですか。真面目ですね、葛城くん』
俺は呑気にそう書き込んだ。向いてそうではあるな。良いんじゃないだろうか。
『まだこれからの学校生活がどうなるかも分からないのに、気が早いことね』
『確かにそうですね。まあ、早いに越したことはないんじゃないですか?Aクラスで卒業するとかはどうでも良いですが、本人が進んでやってくれるならありがたいですね』
『この学校に入学したときならAクラスで卒業したいと思ったかもしれないけど、今は確かにどうでも良いわね』
あくびをしながら神室さんと話す。正直どうでもいいところはあるが、プライベートポイントはあって困らない。葛城くんには頑張ってもらおう。
そのままぼんやりとチャットを眺めていると、坂柳さんがあることを言い出した。
『面白そうですね。私がこのクラスを率いてみましょうか』
少し驚いて、坂柳さんの方を見る。
坂柳さんがこっちを見てニコニコと笑い返した。かわいい。
『坂柳さんが?向いてるか向いていないかでいったら向いていると思いますが……』
『思ったんですよ。クラスの支配者となれば、ある程度自分の好きなようにクラスを操れます。もし、私たちの関係がクラスメイトに漏れたとしても揉み消せるかもしれないと。それに他にも色々役立つかもしれませんから』
『確かに。そう言われてみるとリーダーってのも役に立つことがあるかもしれないわね』
なるほど。手間に見合うかは分からないが、メリットはありそうだ。
『分かりました。ではクラスのリーダーにつくためのお手伝いを何かしましょうか?』
『いえ、それはいいです。神室さんには色々と手伝っていただくこともあるかもしれませんが、里中くんは周囲に私と深い関係だと知られてはいけません。基本的には、あくまでクラスの一員として振る舞ってください』
『そうですね。分かりました』
俺と坂柳さんはあくまでクラスメイトであり、クラスの一員としての協力以上のことはしてはならない、ということか。
「……他に誰か立候補者はいないか?居ないのならば俺がリーダーとして今後やっていくことになるが……」
「では私も、このAクラスのリーダーとして立候補してもよろしいでしょうか?」
坂柳さんは隣の席から立ち上がり、そう言った。
その様子を見ていると、何か嫌な予感がしてきた……
俺の予感は的中した。
坂柳さんが立候補して候補者が2人になったことで、クラスは1つになるどころか2つ、さらに言えば3つに分裂した。
有り体に言えば、クラスは葛城派と坂柳派の2つの派閥が、中立派の獲得のために対立をすることになった。
2人の候補者が出揃ったときに、どちらを支持する人間が多いのか、クラスの意見を聞いたときにちょうど五分五分に割れてしまった。
それに加えて、五分五分に割れたと言ってもそれはお互い派閥の支持者の数のことであり、旗色を明らかにできていないクラスメイトの方がずっと多いことも、リーダーを決められていない一因だ。
このクラスの人間の半分以上を占めるのは中立派だ。未だにどちらが良いのか決めかねているのも無理はない。なんと言ってもまだ入学して1ヶ月だ。
そんなことを決められるほど、クラスメイトは2人のことをよく知ってはいない。仕方ないだろうな。
しかし、均衡しているとはいえ、あえて優劣をつけるなら、現状劣勢なのは坂柳さんの方なのではないかと思う。
この1ヶ月、葛城くんはこのクラスにそれなりに交友関係を広げてきた。
だが、坂柳さんは俺と神室さんと一緒に、背徳的な行為で日頃遊び呆けていたからな。交友関係では葛城くんに遅れをとっているようだ。
一応、俺がクラスメイトの一員として坂柳さんを支持することを言うと、俺と比較的仲の良い女の子たちの何人かが、中立派の中でも坂柳派寄りになって、なんとか五分五分に近い形勢を保てた。
だが、もし仮に俺が中立としてこの対立を見守っていて、今より少し劣勢な状況になっていたとしても、坂柳さんは一歩も引く気がないだろう。彼女はそういう人だ。
そして葛城くんも、自分ならこのクラスをより良い方向に導いていけると自信があるようで、引く気はないらしい。
そしてお互いが引かない以上、どちらかが圧倒的に優勢になるまで対立は終わらない。
そういうわけで今もAクラスでは対立が続いている。
このクラスをAクラスで卒業させることを目的とする葛城くんと、私利私欲のためにこのクラスを支配しようとする坂柳さんとの間で。
あれ、もしかして俺達が裏で碌でもないことをしていなければ、このクラスは綺麗に一つでまとまったのか?
俺達ってAクラスのガンだったりするのか?
……気がついてはいけないことに気がついてしまったかもしれない……
まあクラス内の闘争に関しては坂柳さんに任せよう。彼女ならどうとでもするはずだ。
それよりも、俺が関心があるのは一之瀬さんのことだ。
一之瀬さんはこの学校の仕組みを理解して、俺との関係をどうするつもりなのか。
なんとなく予想は付くが、どうなるか……
昼休み、俺はいつも通りBクラスに訪れて一之瀬さんを探した。
「あっ!ほら、帆波ちゃん。里中くん来たよ!」
「一体どうしたんですか?」
一之瀬さんの友人の様子が何やらいつもと違う。
「それが帆波ちゃん、この学校の仕組みを聞いてから、里中くんとは付き合えない、関係を無かったことにするって言い張って聞かなくて……」
一之瀬さんの顔を見る。彼女はこちらを見ず、目を合わせない。
「私たちは何度も個人の恋愛なんて好きにして良いって言ってるのに……」
「これはあくまで学校の勝手な都合なんだから、帆波ちゃんがそれに振り回されなくても良いのに……」
彼女の友人達がそう言った。
「確かにその通りだ。俺たちにクラスメイトが恋愛をする権利を奪う資格などはなく、さらにクラス間での競争というのは、今日学校がいきなり俺たちに告げたもの。それ以前からあった関係を無かったことにする必要なんてないぞ、一之瀬」
確か、この生徒は神崎、と言ったか。Bクラスに結構来ているおかげで顔と名前が一致してきた。
「ううん……もう決めたことだから……」
そう一之瀬さんは言って、俯いた。
思わず、言葉を失う友人達。
なるほど、状況は分かった。
「一之瀬さん。とりあえず約束した通り、2人でお昼に行きましょうか。今日もお弁当を作ってきましたよ?」
一之瀬さんはコクリと頷いた。
2人で人通りが少ない外のベンチで食事をする。
お互いに何も話さず、黙々と弁当を食べる。
しかし、どうやら彼女はあまり食欲がないようだ。
「どうしました?あまり美味しくなかったですか?」
「違う……!違うの……」
一之瀬さんの声が震えている。
「やっぱり俺と付き合うのは、無理ですか?」
一之瀬さんは黙って頷いた。
「無理だよ……他のクラスならともかく、里中くんはAクラス……上を目指すなら絶対に戦わないといけない相手……里中くんと付き合ったら、私、みんなに迷惑かけちゃう……」
俺は黙って彼女の話を聞き続ける。
「私、Bクラスではみんなのまとめ役みたいなことをやってるの。そんな私が、絶対に戦う相手のクラスの人と付き合うなんて、できないよ……」
俺は彼女の話に頷いた。
「だからね、里中くん……ごめんね……恋人として付き合うことは、できないよ……ううん、それだけじゃない……友達として仲良くするのも、もうできない……そんなことをしたら、切なくなっちゃうから……」
俺は答えた。
「……一週間、待つことなくフラれちゃいましたね……」
「……ごめんね……ごめんね……」
もたれかかってくる一之瀬さん。
俺の肩に頭を乗せながら、彼女は泣いていた。
「悲しいです……こんなことになるなんて……」
「私も……悲しいよ……」
彼女の涙が頬を流れるところが見える。
「……この一週間、最後の思い出を作りましょう。俺と、一之瀬さんの」
「……私と里中くんの、最後の思い出……」
どちらからともなく、お互いの手を絡め合い、自然と唇を近づけた。
「好きです。一之瀬さん……」
「……うん。私も、好き……」
そう言って一之瀬さんを強く抱きしめる。
彼女も俺を強く抱き返してくる。
俺たちを引き裂こうとする残酷な運命になんとか抗おうとするかのように。
俺の肩ですすり泣く一之瀬さんを見つめながら、思った。
何言ってんだこのバカ女は?
今更自分の意志で俺から離れられると思ってんのか?
無理に決まってるだろ。
この女は全く分かっていない。
自分が置かれている立場を。
すでに屈服済みだと言うことを理性で理解してない。
この一週間でしっかり教え込んでやる。
立場はとっくに入れ替わってるということを。
すでにお前は交際を受ける側ではなく懇願する側だ。
まずはそれをしっかりわかってもらおうか。
坂柳さん S
神室さん SでもMでもエッチならいい
一之瀬さん M
里中くん Sより、しかしSでもMでも