※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでる童貞はどうすりゃいいですか?   作:楓 湊

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無事に防人邸から文乃を助け出したNLNS。
文乃を守る為に淳之介はかつて敵であった”彼”に師事する事になる。

そして左腕が本調子に戻らない悠真は最後の自分との対談に臨む。


13話 勇気と恐怖

 ドスケベ条例を巡る戦いは終盤に差し掛かっている。

 

 様々な思惑が蠢いて複雑化していたモノが今となっては単純明快になって後は防人老人との決着のみになった。

 

 今以上に力を付けなければならないという話になって、淳之介はヤクザの手嶋俊英から特訓を受けているとか。

 他のNLNSのメンバーも決戦に向けて各々の為すべき事に尽力している所だ。

 

 であれば。

 自分も為すべき事を成すのみ。

 

 「___そろそろ、記憶を、戻して欲しい」

 

 受け入れる覚悟は出来ていた。

 

 『もう、いいのか』

 

 「十分、やりたい事はやった…と思う。記憶を取り戻して、一生過去の事を後悔しながら生きる事になっても…構わない」

 

 『…童貞のままでも?』

 

 「別にヤらなくたって生きていけるから。そこまで心配しなくても大丈夫」

 

 『本当に、悔いはないのか』

 

 「ない。後悔以上に、共存が成立したこの島を見たい気持ちの方が強いんだ」

 

 『そこまでの覚悟があるなら…良いか』

 

 「良いよ。今度は、皆の目覚めを待つ側になりたいんだ」

 

 『…聞いたことないぞその願望』

 

 「…何時も、見てもらってるからさ」

 

 『なるほど…』

 

 

 少しの間を挟んでから、

 

 「___おかえり」

 

 総てを、受け入れた。

 

______

 

 思い出した記憶は、凄惨そのものだった。

 弱い気持ちから後悔に変わり、後悔から殺意に変わり、殺意から失意に変わった思い出。

 

 居た筈の、死なせてしまった妹の顔も、助けようとした兄妹の顔も。

 

 ___適当な遣り取りだったが、確か仲があった緑髪の少女の顔も。

 

 整合性が取れ、確かに自分が経験した事だと自覚するまでに、数秒ほど。

 

 「___はぁ…」

 

 溜息がお似合いだった。

 たった数秒で、身体に掛かる重圧が一気に強まったような気がした。

 

 だからといって、記憶を切り離していた間の事を忘れていた訳ではない。

 第一目標は達成した。

 

 後は、自分を鍛えるだけだった。

 

______

 

 無事に記憶を取り戻した自分が向かう場所は、相変わらずSSの訓練場だった。

 

 「やっぱりこっちが馴染む…」

 

 「おい、此処で何をしているんだ」

 

 「…武器の調達を、少し」

 

 「訓練用のハンドガンと弾薬で戦うつもりか? 随分と舐め切った態度になったものだな」

 

 「いえ…弾薬の準備はもう出来ているので、肝心のハンドガンの方だけを、ね」

 

 「…少し態度が変わったか…?」

 

 「あるべき形に戻っただけです…あまり後ろばかり見てはいられませんから」

 

 「そうか。だったらコレを使え。訓練用のを態々使わなくても良い」

 

 そう言った糺川先輩の手より投げられたハンドガンを二丁、受け止める。

 少しばかり寂しかった手に充足感を与える鉄の塊。

 使い慣れた自分のモノではないものの、確かに手に馴染むソレを、両手にそれぞれ持って、ホルスターに収めた。

 

 「…最後の餞別だ。くれてやる」

 

 「…会長にとことん甘いようで。でも…助かります」

 

 たとえ、一度失った信頼は取り戻せなくても。

 

 「___人間、誰しも複雑な事情があるんです。それを全て解決する事なんて出来ません」

 

 「………」

 

 「だから、自分から話さない限りは触れようとは思いません。でも___」

 

 「待ちます。僕が言える事ではありませんが…いずれ、和解する時まで、待ちます」

 

 「………ああ」

 

 これで感謝の意とするのは流石に駄目だろうか。

 などと当人に尋ねても仕方ないので、折角会話が切れたタイミングを利用し、「それでは」と軽い挨拶を述べて訓練場を去った。

 

 

 ___これだから自分が嫌いで仕方ない。

 

 

______

 

 

 「それで、私の所に来てしまうだなんて…可愛い所もあるんですね、如月さん」

 

 「よくよく考えたらあの訓練場以外で射撃の練習する場所なかったから撃ちたいけど撃てないもどかしさが悶々としてるんです…」

 

 「だったら私の腟内で好きなだけ撃って頂いても構わないんですよ?」

 

 「丁重にお断りします」

 

 「私と貴方の仲ですのに」

 

 「実はそんな仲なんてなかった…ではなく?」

 

 「あら…もう思い出されたんですか?」

 

 「まあ…必要だと思ったので。それで…いざ思い出してみれば…なんてことない、”はじめまして”を言っただけだった筈ですが」

 

 「…確かに、如月さんにとってはそれほどでもない出来事だったのかもしれません。然し私にとっては___」

 

 一呼吸置いてから、

 

 「一生の思い出になるくらい、大事な出来事なんですよ?」

 

 何時も見せている笑顔だったが、言葉も相まって想像以上に”効いた”。

 

 「ヒロインかよ…」

 

 「先輩の、ですけどね」

 

 「誰のかは聞いてない」

 

 「もしかして妬いてます?」

 

 「妬いてたら嬉しいか?」

 

 「先輩に求婚される次くらいには」

 

 「意外と順位高くて驚いたよ」

 

 「驚いたという割には表情が変わりませんね?」

 

 「童貞らしく恥ずかしがったり驚いて『脈アリか?』なんて思う方がヤバいでしょ」

 

 「先輩ではなく私を取ろうなんて…♥」

 

 「二択のように見える一択やめて」

 

 「では矢張り私の事が異性として好きなんですね?」

 

 「発想の飛躍が激しい。まだそんな感情は無いから」

 

 「まだ、ということは矢張り脈アリなんじゃありませんか。構いませんよ、その気になれば隣は空けておきますので」

 

 「淳之介に失礼だろ」

 

 「確かに先輩の事を諦めきれないというのもありますが、文乃さんが居ますからね…」

 

 確かに、割と”あの二人”は切っても切れなさそうな縁になっていそうな気もする。

 

 「然し先輩は私にとって特別な方だというのは変えようのない事実ですし…だからといって如月さんの想いを無下にしたくないですね…」

 

 「勝手にこっちが好意があるように捉えるのやめて貰えます?」

 

 「え? 無いんですか?」

 

 「無いとも言い切れないしあるとも言い切れない」

 

 どうしても直接的な言葉を使う事を避けてしまう。

 

 「では…次の戦いが終わってから改めて聞くことにしましょうか」

 

 「…そうしてください」

 

 かえって自分が恥ずかしくなっただけじゃないか___赤くなった顔を隠すように背を向けてさっさと生徒会室を後にした。

 

 ___これだから、童貞でいることが恥ずかしい。




あとがき

好きだ、と面と向かって言うのが辛い…

というわけで色々お話をする回でした。
このまま悠真くんには桐香√に進んで欲しいのですが、中々淳之介くんに対する好感度をどう上回るかが攻略の鍵になるんですよね…
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