抜きゲーみたいな島に住んでる童貞はどうすりゃいいですか? 作:楓 湊
防人老人との最後の戦いが今、始まる___!
作戦が立てられた。
防人老人の元まで淳之介を届ける事、それが他のメンバー及び自分に出来る事だ。
文乃は負傷の蓄積でこれ以上戦わせる訳にはいかない。
実質十人にも満たない人数で戦わなければならないのだ。
しかも相手はSSでもなければSHOでもない。
完全武装した兵士のような奴らと戦うことになるのだ。
ある意味大人の殺し合いに子供がだけで挑むというのもおかしな話だが、やらなければならない。
「___やっぱり、ハンドガン以外の銃の訓練しとけば良かったかな…」
「まぁまぁ、良いではないですか。一番使い慣れた武器なのですから」
「完全にSSビッグスリーの威を借りるつもりなんですけどね」
「お前達の戦いだろう…私達はあくまでこの島の未来の為にだな___」
「はいはいレイちゃん今日はそういうコト言うのはナシだからね」
NLNSの面々が共に行動していく中、自分は偶然合流したSSビッグスリーと行動する事になった。
何だかんだ協力してくれる彼女達に内心感謝しながらも、矢張り敵だったという事もあり複雑な心情は拭えなかった。
「……まともに戦うのも初めてだし、大丈夫かな…」
「そう不安がる事も無いと思いますよ…? と、近付いて来ましたね」
タイミングとしては先に目的地へ向かったNLNSの後ろを進んでいる状況だ。
SSを相手にたった六人で戦って来た者達ならばと思ったが、流石に相手が悪いのか此方との接敵も早くなりそうな雰囲気だった。
「じゃあ、分散して相手の方をお願いします。僕は周辺の増援を足止めしておきますので…」
輝かしい舞台には輝かしい人物だけが居ればいい。
自分も含め、邪魔をする者には立ち退いて貰わなければ。
「___ただの学生やってた筈なんだけどなぁ…」
彼女達を先に行かせ、その場で待って居るとぞろぞろと武装した集団がやって来る。
何処か他人の前では言えないようなセリフを決め、その集団の方へと走り出した。
______
「___っ!」
棒立ちにならず、常に移動しながら確実に銃弾を脚か腹に撃ち込む。
囲まれるとハンドガンでは対処し切れない。
かといって強気な態度を取った手前、なるべく自分だけで全滅させなければならない。
___一発につき一人。
「何だコイツ、ハンドガンだけで俺らを圧倒するつもりか!?」
「何処が圧倒だっての。こっちがめっちゃ劣勢なんですけど…っ」
数の差は歴然、というかそもそも勝てる戦力差ではない。
それでもまともに戦えるのは木々が生い茂る山中で、なおかつ慣れた戦場である此方の方にアドバンテージがあるからだ。
囲もうとすると人数の多い敵は誤射が起きてしまう可能性を孕む事になり、誤射を考慮する必要のない此方が遠慮なく戦う事が出来る。
「…どうなったか凄く気になる」
感動的なラストバトルは主人公の特権なのだ。
邪魔するわけにはいかない。
「ちっ…! 囲んで確実に仕留めろ!」
男の号令で一応連携が取れる奴らが周囲を囲み、ライフルの銃口を向ける。
幾ら地の利があったとしてもそれがずっと続くわけではなく、敵も慣れていくのは至極当然。
「ホント、皆バケモノだと思うよ…」
ここで侵攻を許してしまえば負担が更に伸し掛かる。
そんな事をみすみす許すわけにはいかない。
「うおおおおおおおおおおお!!!」
先に撃たれる前に、と正面の奴を撃ち、間髪入れずにその方向に走る。
僅かに遅れて撃ってきたライフルの弾丸が直撃する前に、思い切り地面を踏んで跳ぶ。
そのまま前に身体を一回転させ、自分を囲んでいた円から脱すると木々の裏側を伝って射線を阻みながら避ける。
あまりにもアクロバティックな挙動は身体に負担が掛かる。
「あまり多用は出来ない…」
反射的に射撃を繰り返しながらもやけに冷静な思考で自身の体力と身体の負担を相談を現在進行系でやっていた。
少しでも気を抜けば一発でも弾が身体を掠め、動きが鈍ることは間違いない。
意地でも被弾するわけにはいかなかった。
「自分も見えなくなるから嫌だったけど___!」
弾薬のリロードもしなければならない為、頃合いを見計らって”Egg”を足元に投げ捨てる。
「ちぃッ、煙幕か!」
ただでさえ視界の悪い夜中の森林に煙幕となれば視覚で見分けを付けるのは不可能___
「いち、にぃ…!」
すかさず敵兵の懐に潜り込み、銃身で首筋に一撃を与える。
加減がわからず力を込めたおかげか一撃で気絶してくれた。
「これで___!」
煙幕に紛れながらリロードを行い、再び距離を詰めて視認出来る距離で、撃つ。
折角の射程距離のアドバンテージも、至近距離の格闘戦なら意味が無い。
一人、二人と見える数だけ仕留める。
そして煙幕が薄れてくると少しずつ目的地へ退きながらも的確に射撃を命中させる。
「数がだいぶ減ってるんだ…!」
少しずつ殲滅に間が空くのは増援の侵攻が弱まってきているからだと思い、僅かに肩の力を抜く。
今は問題ないが左腕の方が心配で、射撃は右手に頼るようになっていた。
______
もう、何人倒したかどうか考える気も無かった。
止まらない敵の侵攻に次第に意識が朦朧とし始め、それを射撃の反動で僅かに払拭し、敵の弾を躱し続けていればまた朦朧としてくる繰り返しだった。
「はぁ…はぁ…っ」
疲労の蓄積も酷く、自分が如何に短期決戦に特化していたのかがハッキリとして辛かった。
「___! ___!」
もう、敵の声すら聞き取れない。
でも、狙えるのなら、撃つ。
次第に視界もぼやけていく。
現実に居るかどうかもわからず、身体は何時か地面に伏し、滑るように斜面を下り、そして何もわからなくなった。
この戦いは後に”ドスケベ戦役”と呼ばれるようになる。
悠真は意識不明のまま病院に運ばれ、何年もの間目覚める事はなかった。
あとがき
ぬきたし1編はここで終わりです。
内容が薄すぎる問題は次回以降何話かネタ回を持ってくることで補填していこうと考えています。
そして物語はぬきたし2へ___